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📚読書備忘録📚
(自己評価★★★★★)+泣ける物語
たまに山ブログ
         

『大江健三郎全小説4』

2024-04-24 | 大江健三郎

 



2018年12月10日 第一刷発行
株式会社講談社

この全集の中でも難解そうな「父と天皇制」
五十歳で亡くなった父について描こうとしていた大江さん。
尾崎さんの解説「復元された父の肖像」にあるように「父」を主題としている。

今まで以上に難解で、正直うんざり気味にもなった一冊
なので再読はしたくない(苦笑)


--------(抜粋) 
 

「今度の中篇集で、癌か狂気してか死の床にある男が、子供のころ父親と加わった、天皇の名のもとの反乱を再現しようとする。また、月への打ち上げを恐怖して、宇宙船基地を逃げた男が、現人神(アラヒトガミ)に救われることを夢みる・・・・・これらの、自由をおしつぶされる悲鳴と救済をもとめる叫び声を、時にはユーモラスにあげている男たちが、僕にとっての「同時代」なのです(著者・『みずから我が涙をぬぐいたまう日』)
 

【収録作品】
走れ、走りつづけよ / 生け贄男は必要か / 狩猟で暮らしたわれらの先祖 / 核時代の森の隠遁者 / 父よ、あなたはどこへ行くのか?/ われらの狂気を生き延びる道を教えよ / みずから我が涙をぬぐいたまう日/月の男(ムーン・マン)/ 水死

──父と天皇制

 
著書について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞、94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 
 
--------
 
 
 
・走れ、走りつづけよ

 
--------(抜粋)
 
外部からおそいかかる時代の狂気、あるいは、自分の内部から暗い過去との血のつながりにおいて、自分ひとりの存在に根ざしてあらわれてくる狂気にとらわれながら、核時代を生き延びる人間の絶望感とそこからの解放の道を、豊かな詩的感覚と想像力で構築する。「万延元年のフットボール」から「洪水はわが魂に及び」への橋わたしをする、ひとつながりの充実した作品群である。
 
--------
 
「狂気」とは?
主人公の「僕」と従兄には30代から発狂したという祖父がいた。

米国のグラマー女優ベネロープ・マンダリンの交通事故死

血は争えないのか・・
 
 

・生け贄男は必要か


巨漢の男善太郎 「善」と呼ばれる男

魯迅の『狂人日記』

*岩波版『魯迅選集』

---

「自伝っぽぃ」
 
---
 
 
 
・狩猟で暮らしたわれらの先祖か
 
 
「山の人」 流浪する一家 「当たり屋」
 
---
 
「しかし新たに人肉ですね」
「指・・・流浪一家」
 
---

 
 
・核時代の森の隠遁者


---冒頭

きみは「自由」をもてめて森を抜けだし、地方都市から大都市へとなおも「自由」をさがしもとめて跳びだしてゆき、そしてついにはアフリカへまで出かけたのだが、「自由」は見つかったかね?ぼくはアフリカどころか森の奥の谷間にじっと住みついているばかりだが、しかもなお、ぼくもまたなにをさがしもとめて生きてきたかといえば、それは「自由」なのだ。

---

合言葉は「自由」!!

 

・父よ、あなたはどこへ行くのか?


難解も難解で、どうにも理解しがたい。

***蹶起
 
---

お父さん!お父さん!あなたはどこへ行くのですか?
ああ、そんなに早く歩いて!僕らは迷子になってしまいました、この不信と恐怖の土地で。
僕ら、すなわち僕と息子とは、それぞれの躰いちめんについている枯草や乾いた泥をはらいおとし、湧き水で涙と汗に汚れた顔を洗い、それから電車の駅にむかって歩きはじめた。
 
---

ブレイクの詩句 父の伝記を書こうとする試み。



・われらの狂気を生き延びる道を教えよ


何だか仰々しい題名
つい構えてしまったけど、イーヨー登場でほっこり

大江さんとイーヨーのルーティン
排骨湯麺とペプシ・コーラ
 
---
 
―—イーヨー、排骨湯麺とペプシ・コーラおいしかった!
 
---
 


・みずから我が涙をぬぐいたまう日


--------(抜粋)
 
天皇に殉じて割腹、自死を遂げた作家の死に衝撃を受けた、同じ主題を共有するもう一人の作家が魂の奥底までを支配する<天皇制>枷をうち破って想像力駆使して放つ”狂気を孕む同時代史”の表題作

―全く異なる二つの文体により、
現代人の危機を深刻、ユーモラスに描く中篇小説


--------

「遺言代執行人」


大江さんはこの作品について「『みずから我が涙をぬぐいたまう日』は、その前に書いた『われらの狂気を生き延びる道を教えよ』という小説をつないで、自分のなかで父親的なものがどういうかたちをとっているかを考えようとした。父親的なものというのは、僕には神秘主義的にいえば天皇制そのものにつながっています。」

そう天皇制について考えさせられる作品



・月の男(ムーン・マン)


最初に雑誌に掲載された時は『死滅する鯨の代理人』
「鯨」

--------(抜粋)


宇宙船基地よりの逃亡男が日本の現人神による救済を夢見る「月の男」

―全く異なる二つの文体により、
現代人の危機を深刻、ユーモラスに描く中篇小説


--------




今回はここまで。
残りは中編の『水死』です。

 
「年譜やっと1997年まで来ました。
 62歳 伊丹十三って自殺なんですね。」

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大江健三郎『不満足』

2024-02-14 | 大江健三郎

 

大江健三郎
『不満足』


前回の読書会で再読するかもしれないと言った『不満足』


--------(抜粋)

P149
---

―—鳥(バート)、おれは怖かったんだよ!

---

菊比古が何に怖がっていたのか、怖かったのかが気になる・・
前後を読み直してもはっきり分からず。
再読するかもしれない。

--------

 

『大江健三郎全小説3』完読 - ◆BookBookBook◆

 

『大江健三郎全小説3』完読 - ◆BookBookBook◆

『大江健三郎全小説3』2018年7月10日第一刷発行株式会社講談社今回の読書会は、幸福な若いギリアク人からです。最近は三時間近く語っていることが多い。あっという間のこの...

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たくさんの物語があり再読する機会は稀だけど、今回再度直近で読んでみて、
気づかなかった点や引っかかりについて着目することにより、主人公達の動向を自然と意識
ただ納得するかと言えばあまりはっきりとはしていない(笑)
集中力はもとよりこの難解さをどう読み解くか。
確かに少しずつ慣れてきたとは言え、毎度苦笑させられるある意味おもしろい作品群です。

 

 

 

この全小説3には「大江健三郎年譜」が付いていて、少しずつ読み進めている。
作成はもちろん納得の尾崎真理子さんです。

現在1990年(平成2年) 大江健三郎55歳まで。

---

1994年度のノーベル文学賞を大江健三郎に授賞すると発表
授賞理由は「詩的な想像力によって、現実と神話が密接に凝縮された想像世界を作り出し、
読者の心に揺さぶりをかけるように現代人の苦境を浮き彫りにしている」

---



それと巻末
「政治少年死す」若き大江健三郎の「厳粛な綱渡り」ある文学的時代精神の“考古学”
日地谷=キルシュネライト・イルメラ
(この方はドイツ人日本文学研究者)

こちらもまだ未読
中々読書に集中出来ない日々。。










💚💚💚



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『大江健三郎全小説3』完読

2024-01-19 | 大江健三郎


『大江健三郎全小説3』


2018年7月10日 第一刷発行
株式会社講談社

今回の読書会は、幸福な若いギリアク人からです。
最近は三時間近く語っていることが多い。
あっという間のこの読書会 勉強になります。
 
 
--------抜粋
 
 
1961年の雑誌発表以来、一度も書籍化されることのなかった「政治少年死す」を含む1964年までの初期短編群その3
性、政治、青年の苦悩を真正面から赤裸々に描く。


【収録作品】
セヴンティーン/ 政治少年死す──セヴンティーン第二部/ 幸福な若いギリアク人/ 不満足/ ヴィリリテ/ 善き人間/ 叫び声/ スパルタ教育/ 性的人間/ 大人向き/ 敬老週間/ アトミック・エイジの守護神/ ブラジル風のポルトガル語/ 犬の世界

──初期作品群その3
 
 
著者について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞、94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 
 
--------
 
 
 
・幸福な若いギリアク人

まずこの「ギリアク人」が本当に存在する民族なのか?

特に調べることなく読み進む。
アメリカ・インディアンのように皮膚が黒く硬いのでインディアンとよばれている二十歳の製材工が主人公
今やインディアンは差別?禁止用語?

ニヴフ - Wikipedia

樺太から終戦後に母親と二人引き揚げてきた青年
ある時「おまえは、ギリアク人だ」と言わたのをきっかけに、自分の出生について興味を持つ。
自分のアイデンティティー

この作品が発表された1961年
大江さんは北海道の礼文島をを訪れている。
その時の経験を基に描いたのかな。

(ラストの・犬の世界に通ずる)



・不満足

鳥(バード)、菊比古が登場
そう『個人的な体験』(2年後)の主人公と同じ名前
特にこの菊比古って名付けは大江さんらしい(苦笑)


P149
---

―—鳥(バート)、おれは怖かったんだよ!

---

菊比古が何に怖がっていたのか、怖かったのかが気になる・・
前後を読み直してもはっきり分からず。
再読するかもしれない。



・ヴィリリテ

同性愛を扱った短編

もう何が来ても驚かない。同性愛やら何やら(説明は省略)
ある程度の展開には馴れたとしてもやはり辟易してしまう。。

一体何がまともなんだろうか?

ぼんやりしていてオチがあるようでない。



・善き人間

上記同様 同性愛物語が続く。。

この題名から「誰が善き人間?」と話題にのぼったけど、

---


「誰が悪いやつらだ?」
「みんな本当に悪い人間ですよ。大学教授も、学生も、教師の奥さんも。おたがいに、ひどいことをしていますよ、そして今日はもう忘れているんです」
「しかし、みんな、おたがいに苦しんでいたよ、あの女だってウィスキーで酔うまえは苦しんでいたろう?結局ああいう連中のほうが他の健全な人間よりとくに悪いということはないんだよ」と老人はいった。



「みんな善い人間だよ、そしてたいていの善い人間にできることは、昨日みたいなことをひきおこすか犬の主人になるかすることくらいだよ、おまえさんみたいに、沢山の犬をあつかって、その犬どもの王になることくらいだよ」


---

かならず犬が出てくる。
善い人間 題名は善き人間



・叫び声 こちらも代表作


---


一章  友人たち
 
ひとつの恐怖の時代を生きたフランスの哲学者の回想によれば、人間みなが遅すぎる救助をまちこがれている恐怖の時代には、誰かひとり遥かな救いをもとめて叫び声をあげる時、それを聞く者はみな、その叫びが自分自身の声でなかったかと、わが耳を疑うということだ。

戦争も、洪水も、ペストも大地震も大火も、人間をみまっていない時、そのような安堵の時にも、確たる理由なく恐怖を感じながら生きる人間が、この地上のところどころにいる。かれらは沈黙して孤立しているが、やはり恐怖の時代においてとおなじく、ひとつの恐怖の叫び声をきくとその叫びを自分の声だったかと疑う。そしてそのような叫び声は恐怖に敏感なものの耳にはほとんどつねに聞えつづけているのである。


---

この冒頭の一文が主要

現代を生きる孤独な青春達の夢と挫折を鋭く追求

僕を巡る登場人物、アメリカ人のダリウス・セルベゾフと二人の友人呉鷹男と虎

僕はフランス文学を専攻する大学生で、梅毒への恐怖に悩
ダリウス・セルベゾフはスラヴ系アメリカ人で同性愛者
呉鷹男は朝鮮人を父親に持つ18歳の在日朝鮮人の少年
虎はアフリカ人の父と日本人の母を持つハーフでアル中

色濃い仲間とパトロンが夢に向かって同居生活をしている。
何とも説明だけでも濃い。



この物語をきっかけに知ったおぞましい事件
小松川事件 - Wikipedia




・スパルタ教育

なぜに「スパルタ教育」!!??
中身から読み取れなかった題名でした。

この作品は現実の大江さんの状況を描いた作品
宗教団体からの脅迫となっているが、現実はもっと厳しいものだった。。

ただ救いがある物語でありよかった。



・性的人間 出た!!!大問題作である(^▽^;)

主人公はJ
前半と後半に分かれた、それも全く世界観が違う物語である。
もうヤケクソなのか?これ以上のタブーのネタが尽きたのか!?

どうしようもない物語です。
題名からもそう思いますよね?

それもわたくし朝の通勤時に後半を読みました。wow



・大人向き

記載するには微妙?・・こちらはホモセクシュアルの物語です。

東大法学部のエリート学生が陥った兄のトラウマからの新たなる世界
新宿二丁目
青髭の取った行動が矛盾だらけである。そこはスッキリしない。
そもそもスッキリを求めてはいけない(笑)

最後は大人な対応で「大人向き」かしら。



・敬老週間

永いあいだ閉じこもっていた余命いくばくない老人に対して、
アルバイトに雇われた学生3人が20年後の理想の世界を話して聞かせる物語
描かれている世界が1960年代だから、20年後って言うのが1980年代
そこの乖離が今読むとおもしろい。

ユーモア溢れた短編です。good!



・アトミック・エイジの守護神

主人公は大江さん本人を思わせる作家
その目の前に現れた怪しげな経歴を持つ胃癌の中年男
原爆孤児を10人集めて救済し、現在はアラブ式健康法道場を開いている。
と書くとかなり胡散臭い人物ではあるが・・憎めない。
不思議と惹き込まれた。

難は何ヵ所か汚描写

保険金300万(1960年当時)今だと×3ぐらい?
こうゆう数字に時代を感じる。



・ブラジル風のポルトガル語

題名がインパクト!!(笑)


冒頭
---


ジープに乗ったぼくと森林監視員とは、香りたてる深い森を暗渠のようにつらぬく道を疾走し、カーブでは落葉をかぶった赭土をえぐりとっては弾きとばした。落葉は黒く赭土は朱く、数しれないイモリを轢いて疾走するみたいだった。やがれ、われわれは不意に、視界のひらける高台に出た。われわれは夏の終わりの真昼の光に輝く深い森に囲繞された紡錘形の窪地を見わたした。


---

もちろん舞台は四国の山の中
もう定番中の定番ですな。

消えた村人達の行方を捜す森林監視員

オ・セニョール・コンプレエンデ?
ナウン・セニョール・ナウン・コンプレエンド!

いいえ、小生は理解しません!

この掛け合いがツボ

めずらしく平和な誰も死なない物語



・犬の世界

大江さんのテーマの一つとして兄と弟の物語
生き別れした弟との再会ではあるが夫婦で「にせ弟」と呼んでいた。
本当の弟か?それとも他人なのか?そこまあまり重要ではない。

最初の短編、幸福な若いギリアク人に通じる共通点
ここではオロッコ人の祈祷師に会い、そこで弟の生霊をよびだしてもらう予定だった。
しかし突然現れた弟を優先して家路に着く。

このにせ弟は歌を歌えなかった。
ラスト
---


人が歌う歌によって、かれを判断してはならない、というモラルにぼくは賛成だ。しかし二時間の練習のあと、なお《夏は来ぬ》を歌うことができない若者に、ぼくが再び出会うことがあれば、それによってぼくはかれがどういう人間であるかを判断せざるをえないだろうと思うのである。


---

納得の一文である。

「残酷な暴力にみちた世界」

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『大江健三郎全小説3』

2024-01-05 | 大江健三郎

 



2018年7月10日 第一刷発行
株式会社講談社
 
 
--------抜粋
 
 
1961年の雑誌発表以来、一度も書籍化されることのなかった「政治少年死す」を含む1964年までの初期短編群その3
性、政治、青年の苦悩を真正面から赤裸々に描く。


【収録作品】
セヴンティーン/ 政治少年死す──セヴンティーン第二部/ 幸福な若いギリアク人/ 不満足/ ヴィリリテ/ 善き人間/ 叫び声/ スパルタ教育/ 性的人間/ 大人向き/ 敬老週間/ アトミック・エイジの守護神/ ブラジル風のポルトガル語/ 犬の世界

──初期作品群その3
 
 
著書について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞、94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 
 
--------
 
 
 
・セヴンティーン

初期の中編傑作と言われている作品
「文學界」文藝春秋新社 1961年1月1日

 
題名の通り17歳に少年の内側から見た世界
その世界とは1960年代
右翼団体の一員となっている過程が描かれている。
「天皇」を題材としている。

この作品は前回も時代考証で記載(抜粋)していた、
1960年10月に日比谷公会堂で催された自由民主党、社会党、民社党の立会演説会
そこで起こった浅沼委員長の殺害事件と同年である。
どちらが先か?
なんとこちらの作品が先なのです。
予測していたかのよう・・
 
冒頭
---


今日はおれの誕生日だった、おれは十七歳になった、セブンティーンだ。


---

そこで「センティーン」って言う!?突っ込みたくなる(笑)
(後日ヴとブの違いに気づく。。)
セブンティーンのイメージは雑誌
ついこの作品の題名「十七歳」じゃダメなの?って。

で、やはり十七歳(大江さんの作品の場合年齢は関係ないけど)
エロからスタート
もう驚くことはないけど、リアルな描写には辟易
 


問題作はこの二作目です。

・政治少年死す(「セヴンティーン」第二部)

浅沼委員長の殺害事件の犯人である山口二矢にかなり近しい内容になっている。

読んでみても心情を真似て描かれている錯覚に陥った。

初出 
「文學界」文藝春秋新社 1961年2月1日


これはリアルにヤバイ思想を持つ17歳を描いた作品です。

政治的理想と個人的な性向との落差、ズレ・・




今回はここまでです。
 

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『大江健三郎全小説2』完読

2023-12-27 | 大江健三郎

 



『大江健三郎全小説2』


2018年11月9日 第一刷発行
株式会社講談社
 
 
--------抜粋
 
 
「リアリスチクに現代日本の青年をえがきだすこと、それを、現実から疎外された青年をえがくべく試みるということとして、この作品のテーマの位置においたことを、私は決してまちがっていたとは思いません。しかし、達成された作品がはたして日本の現代の青年をリアリスチクにえがきだしているかの批判は、それも否定的な批判は、この作品の上梓にあたって再び激しくおこなわれるだろうと思います」(著者・『孤独な青年の休暇』)

【収録作品】
ここより他の場所/共同生活/上機嫌/勇敢な兵士の弟/報復する青年/後退青年研究所/孤独な青年の休暇/遅れてきた青年/下降生活者

──初期作品群その2
 
 
著書について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞、94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 
 
--------
 
 
ラスト 結構な長編(P284 と言ってもこの全集でのページ数)

・遅れてきた青年
 
「新潮」1960年9月1日
毎月掲載連載ってこともあり、長々と無駄な描写が続くように感じた。
やはり連載物はその都度都度の状況(世相)も関係してくるのか、ブレを多少感じなくもない。
 
--------(抜粋)


地方の山村に生れ育ち、陛下の勇敢な兵士として死ぬはずの戦争に、遅れてしまった青年
戦後世代共通の体験を描いた半自伝的小説


--------

第一部 一九四五年夏、地方
第二部 一九五*年 東京

早過ぎた敗戦 この二部構成となっている。

ちょうどこの“浅沼委員長刺殺事件”が起こった時代
 

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沢木耕太郎『テロルの決算』★★★新装版(あとがきが3つもある)週末は江國香織のハードカバーでまったり過ごそうかと思っていた。が・・邪魔が入った。強烈な本を手にしてし...

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第一部 一九四五年夏、地方

題名はそのままで敗戦で終わった戦争に参戦出来ず「遅れてしまった」と絶望する青年(主人公)の物語である。
子供の頃から天皇を敬うなんて今の時代じゃ考えられない。
四国の山奥(定番)では敗戦後、進駐軍の噂がひとたび流れ始める。
軍隊の立てこもりが起こっている市の中心部へ、朝鮮人集落の友と隠し持っていた自動小銃を持ち仲間に入れてもらおうと向かうが、警察に捕まってしまう。
「ぼくはもう子供じゃない」
・・いや十分子供です。
 
第二部 一九五*年 東京

時は流れ・・
教護院の演壇に立つ主人公
現在は大学で政治学を勉強している身である。

 
 
 

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『大江健三郎全小説2』

2023-12-04 | 大江健三郎

 



『大江健三郎全小説2』

 
2018年11月9日 第一刷発行
株式会社講談社
 
 
--------抜粋
 
 
「リアリスチクに現代日本の青年をえがきだすこと、それを、現実から疎外された青年をえがくべく試みるということとして、この作品のテーマの位置においたことを、私は決してまちがっていたとは思いません。しかし、達成された作品がはたして日本の現代の青年をリアリスチクにえがきだしているかの批判は、それも否定的な批判は、この作品の上梓にあたって再び激しくおこなわれるだろうと思います」(著者・『孤独な青年の休暇』)

【収録作品】
ここより他の場所/共同生活/上機嫌/勇敢な兵士の弟/報復する青年/後退青年研究所/孤独な青年の休暇/遅れてきた青年/下降生活者

──初期作品群その2
 
 
著者について
 
大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞、94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 
 
--------
 
 
 
・ここより他の場所
 
---

暑い夏の真昼だ、汗みずくの老人がホテルの前の陽にてらされた舗道を行ったりきたりして待伏せしている。

---

冒頭の一文
何やら怪しい雰囲気
しかし単純に結婚から逃れたい男性の心情物語
誰にでもある逃避願望
 


・共同生活
 
猿との生活
主人公の青年の狂気と妄想

四匹の猿の上手い具合に死角がないその目線を辿ってみたり・・
 
こちらも結婚を迫られてる恋人からの逃避願望
(・ここより他の場所同様)

ただ妄想からだと、少し前に読んだ引きこもりの少年の話に似ている(・鳥)



・上機嫌
 
ある夏の日にオートバイ事故を目撃したことから始まる。
作家のわたしと映画女優K、そしてその事故をきっかけに出逢った青年

ラストの心中が意外だった。
 
救いのない物語
 
自由 嫉妬 憤怒
そして 心中
 
---
 
 
こうしてわたしはこの現実世界にひとりぼっちでのこされた。


---



・報復する青年
 
超短編

自室から見える女の部屋を覗き見する青年



・勇敢な兵士の弟

こちらも超短編

勇敢な兵士→特攻隊だった兄
その弟→憂鬱な青年

母が無念でその兄の霊を呼び出すのに、霊媒師の元へ。

---


―—兄さんは水泳がうまかったし好きだったけど、と戻って来た憂鬱な青年に母親はいった。死んでもやはり毎日、海を泳いでいるんだねえ。


---

ラストのおかしみがよき。




・後退青年研究所

題名からして時代を感じる。

GIO(ゴルソン・インタビュー・オフィス)
ミスター・ゴルソンという社会心理学者が登場
怪しさ満点



・孤独な青年の休暇

Ⅰ 浮浪者
Ⅱ 解放
Ⅲ 地方都市
Ⅳ 性関係
Ⅴ 陥穽
Ⅵ 自由が!
 
この陥穽(かんせい)とは?
陥穽(かんせい)とは? 意味や使い方 - コトバンク


--------(抜粋)


「リアリスチクに現代日本の青年をえがきだすこと、それを、現実から疎外された青年をえがくべく試みるということとして、この作品のテーマの位置においたことを、私は決してまちがっていたとは思いません。しかし、達成された作品がはたして日本の現代の青年をリアリスチクにえがきだしているかの批判は、それも否定的な批判は、この作品の上梓にあたって再び激しくおこなわれるだろうと思います」
(著者・『孤独な青年の休暇』)


--------




・下降生活者

偽りの自分 本当の自分とは?

「下降の主人公まとも?」
「なんか、踏み外すっしょ 助教を」
「あぁやっぱりそういう展開!?」
期待を裏切らない大江さんです。。




今回はここまで///
「何だか『大江健三郎全小説2』暗黒時代ですね」

 


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『大江健三郎全小説5』完読

2023-11-16 | 大江健三郎


大江健三郎全小説5

 

株式会社講談社
2018年10月10日 第一刷発行



残二作『個人的な体験』と『新しい人よ眼ざめよ』です。


 
--------抜粋
 
 
障害者の息子との共生を描く作品群。「ぼくはすでに自分の言葉の世界にすみこんでいる様ざまな主題に、あらためて最も基本的なヤスリをかけようとした。すなわち、個人的な日常生活の癌のように芽ばえた異常を核にして、そのまわりに、欺瞞と正統、逃亡することと残りつづけること、みずからの死と他者の死、人間的な性と反・人間的な性というような命題を結晶させ、再検討することを願ったのである」(著者・『個人的な体験』)
 


【収録作品】
空の怪物アグイー
個人的な体験
ピンチランナー調書
新しい人よ眼ざめよ

──共生


著者について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞。94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 
 
--------
 
 
・個人的な体験
 
 
--------(抜粋)
 
奇形に生れたわが子の死を願う青年の魂の遍歴と、絶望と背徳の日々
狂気の淵に瀕した現代人に再生の希望はあるのか? 力作長編
 
--------
 
これはもはや私的小説なのか?
そう想像してしまうにはリアル過ぎる気がしてしまう。
この生かすか殺すか的葛藤は本当にあったことなのか!?
 
 
「鳥バードが主人公?」
「また異常な赤ちゃん!?OMG」
「ジョニーウォーカーをジョニイって記載しているのが大江さんっぽい」
「火見子 当て字ですね~」
「ウィリアム・ブレイク出た!」
「そしてヘミングウェイ」
 
 
やはり火見子が精霊っぽく・・現実味のない女性である。
大江さんの女性は女性らしさが欠けている。
それは初期作品から目に付くところ。
 
 
 
・新しい人よ眼ざめよ ★★★★(私的に好きな作品 イーヨーが癒し)
 
 
 
--------(抜粋)
 
 
障害を持つ長男イーヨーとの「共生」を、イギリスの神秘主義詩人ブレイクの詩を媒介にして描いた連作短編集
作品の背後に死の定義を沈め、家族とのなにげない日常を瑞々しい筆致で表出しながら、過去と未来を展望して危機の時代の人間の<再生>を希求する、誠実で柔らかな魂の小説
大佛次郎賞受賞作
 
 
--------
 
 
下記に分かれている。
 
・無垢の歌、経験の歌
 
 イーヨーが父が死んだと思って発狂!?家族に暴力を振るう。
 包丁を持って佇むイーヨー 目線はガラス窓の外にあった。
 でもそれは家族を守る行動であった。
 
 足、大丈夫か? 善い足、善い足! 足、大丈夫か?
 痛風、大丈夫か? 善い足、善い足!
 
 マジこれは読んでほしい一作である。
 
 
・怒りの大気に冷たい嬰児が立ち上がって ★★★★
 
 
---
 
《人間は労役しなければならず、悲しまねばならず、そして習わねばならず、忘れねばならず、そして帰ってゆかなければならぬ/そこからやって来た暗い谷へと、労役をまた新しく始めるために。》
 
---
 
 
・落ちる、落ちる、叫びながら‥‥‥
 
イーヨーがスミングスクールに通っていた時のちょっとした!?事件
水を怖がらずどんどん沈んでゆくイーヨー

時代を感じる怪しげな集団

右翼と左翼 今じゃ考えらない時代


・蚤の幽霊
 
この衝撃は検索したわたしが悪い・・
そうMさんの生首です。。


 
・魂が星のように降って、跗骨のところへ
 
イーヨー音楽劇を演出するの巻~
才能ってどこで生まれるか分からないね。
 
 
・鎖につながれたる魂をして

イーヨー誘拐事件
大江さん・・波乱万丈ですね。
 
 
・新しい人よ眼ざめよ

イーヨー寄宿舎に入る。
戻って来たその夜に決意表明
 
イーヨーは、そちらへまいりません!イーヨーは、もう居ないのですから、ぜんぜん、イーヨーはみんなの所へ行くことはできません!
 
イーヨーの成長物語である。
もう出来た弟と妹よ。感動物語でもある。
 
 

ラスト巻末の「大江健三郎の小説をめぐる最初の覚え書」
中々読めずに苦痛だった。。


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『大江健三郎全小説5』

2023-11-11 | 大江健三郎

 

『大江健三郎全小説5』
 
 
『ピンチランナー調書』が課題となり、今回は5巻チャレンジです。
私的には『空の怪物アグイー』が気になってました。
だって空の怪物ですよ!?大江さん・・(^▽^;)?

 
 
--------抜粋
 
 
障害者の息子との共生を描く作品群
「ぼくはすでに自分の言葉の世界にすみこんでいる様ざまな主題に、あらためて最も基本的なヤスリをかけようとした。すなわち、個人的な日常生活の癌のように芽ばえた異常を核にして、そのまわりに、欺瞞と正統、逃亡することと残りつづけること、みずからの死と他者の死、人間的な性と反・人間的な性というような命題を結晶させ、再検討することを願ったのである」(著者・『個人的な体験』)


【収録作品】
空の怪物アグイー
個人的な体験
ピンチランナー調書
新しい人よ眼ざめよ

──共生
 


著者について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞。94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 
 
--------
 
 
順不同 読書会課題作から。
 
 
 
・ピンチランナー調書

--------(抜粋)
 
 
地球の危機を救うべく「宇宙?」から派遣されたピンチランナー二人組!「ブリキマン」の核ジャックによる民衆の核武装?……。内ゲバ殺人から右翼大物パトロンの暗躍までを、何もかもを笑いのめし、価値を転倒させる道化の手法を用いて描き、読者に再生への希望と大笑いをもたらす。死を押しつけてくる巨大なものに立向い、核時代の《終末》を拒絶する諷刺と哄笑の痛快純文学長編である。
 
 
--------

上記のように説明されているけど笑いはないし痛快でもない。

イーヨー!!!
私的にイーヨーにほっこり癒しを感じるのです。
 
 
「少年爆殺される 早朝の銀座で
マジか!逃げ果せたか、不発かと思いました」

「ピンチ 自伝ですか?
一筋縄ではいかない・・」

「いきなり「ヤマメ軍団」ついてゆけない~(笑)」

「森が迷子、で森を殴りつける」

「血みどろ・・妻の馬頭が半端ない(笑)
森がイーヨーにかぶる」

「何故か若返る」

「毛虫の毛が生きてる!?」
「良い性交が毛虫の毒を消したのさ。
めでたしめでたし」

haha 延々とやり取りは続く(省略)


後日談として知るが、森の失踪は(現実で言えばイーヨー)実話でもあった。
そのエピソードは衝撃だった。
さらっと書いていたけど現実は「誘拐事件」となっていてイーヨーが連れ去られていた。
なので現実はもっと厳しいものだったと窺い知れる。
この物語とリンクしているのは、森(イーヨー)が発見されたのが駅だったこと。
もし・・そこから先の悪い妄想も胸を打つ。

 
 
・空の怪物アグイー(私的に気に入った★★★★)
 

単純に怪物モノかと思ったら・・
アグイーとはカンガルーほどの巨きさで木綿の白い肌着をつけた赤んぼうで、
それは空を浮遊していて、時々降りてくる。
👻
それを聞くと大丈夫!?と思うけど、許容してしまうのが大江ワールド
どんな展開でも最近パターンが読めてきた(笑)

ぶっ飛んだ登場人物が多過ぎて、まともな人物を探すようになってしまう。
 

--------(抜粋)
 
 
六〇年安保以後の不安な状況を背景に“現代の恐怖と狂気”を描く
 
 
--------

そう言われてもピンとこない時代


「ルイ14世を脅かした肉屋って何ですか(笑)ツボ」
 
かれのアグイーの世界

 
 

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『大江健三郎全小説1』完読

2023-10-12 | 大江健三郎

 



『大江健三郎全小説1』

 
株式会社講談社
2018年9月10日 第一刷発行



残一作『われらの時代』中編です。
少々時間がかかりました。やっと完読です。
(現在隔週帰省中。。)

 
--------抜粋
 
 
1958年、大学在学中の当時史上最年少23歳で芥川賞を受賞した「飼育」をはじめ、「奇妙な仕事」「死者の奢り」「他人の足」などデビュー前後の鮮烈な初期短篇の数々を収録、ほかに最初期長編として名高い『芽むしり仔撃ち』、『われらの時代』を含む。
小説家としての第一歩をしるす記念碑的な作品群
大江文学はここから始まった!

【収録作品】
奇妙な仕事/他人の足/死者の奢り/石膏マスク/偽証の時/動物倉庫/飼育/人間の羊/運搬/鳩/芽むしり仔撃ち/見るまえに跳べ/暗い川・重い櫂/鳥/不意の唖/喝采/戦いの今日/部屋/われらの時代

──初期作品群その1


著者について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞。94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 
 
--------
 


・われらの時代

めずらしく二人称で語られてゆく物語
滑稽でもあり爆破ニュースの箇所で失笑
 

--------(抜粋)

 

遍在する自殺の機会に見張られながら生きてゆかざるをえない“われらの時代”
若者の性を通して閉塞状況の打破を模索した野心作

 

--------

コギト工房 大江健三郎 われらの時代

 

 

---

 

《しかし自殺する機会はいくらでもあるのだ、数百万の陸橋があるだろう、数百万の絶壁があり、数百万の踏切があるだろう、自殺の機会は遍在している。行動、英雄的でしかも滑稽でない行動、純粋に孤独な中で達成できる決定的な行為、それは自殺だ。自殺だけがわれわれを猶予からまぬがれさせる唯一の道だ。それを知っていながら決行することができないで生きつづける!
しかし自殺の機会はつねにあるのだ》

 

---


あぁ暗い・・ここまで暗い結末の物語はない。

でも靖男のブレない意志には感心
(正直フランスへ旅立ちたくてnonと言って、裏切り行為の後悔に苛まれると予想)

 

---


若者たちよ きみたちの時代だ!


---

 

 

巻末の突っ込みどころ満載!?(もはや解説ではなくあらすじ)
尾崎真理子さんの解説『よろしい、僕は地獄へ行こう!』

そして難解も難解で何を言っているの全く不明なデヴリムさんの文章で終了///

 


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『大江健三郎全小説1』完読(少々フライング)

2023-09-09 | 大江健三郎

 

『大江健三郎全小説1』
 
 
株式会社講談社
2018年9月10日 第一刷発行

前回の続きからです。
 
 
--------抜粋
 
 
1958年、大学在学中の当時史上最年少23歳で芥川賞を受賞した「飼育」をはじめ、「奇妙な仕事」「死者の奢り」「他人の足」などデビュー前後の鮮烈な初期短篇の数々を収録、ほかに最初期長編として名高い『芽むしり仔撃ち』、『われらの時代』を含む。
小説家としての第一歩をしるす記念碑的な作品群
大江文学はここから始まった!

【収録作品】
奇妙な仕事/他人の足/死者の奢り/石膏マスク/偽証の時/動物倉庫/飼育/人間の羊/運搬/鳩/芽むしり仔撃ち/見るまえに跳べ/暗い川・重い櫂/鳥/不意の唖/喝采/戦いの今日/部屋/われらの時代

──初期作品群その1


著者について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞。94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 
 
--------
 
 
 
・飼育
 
 
第39回芥川賞受賞作(昭和33年度上半期)
 
後半戦読んでいてどきどきが止まらなかった。
さて子供たちと黒人兵の行方はいかに!?
 
 
---


僕らには、その光り輝く逞しい筋肉をあらわにした夏、不意に湧き出る油井のように喜びをまきちらし、僕らを黒い重油でまみれさせた夏、それがいつまでも終わりなく続き、決して終わらないように感じられてくるのだった。


---
 
「僕はもう子供ではない」
この事件をきっかけにして少年は大人になった?
そう括ると単純だけど、味方だと思っていた大人たちの裏切りが堪えた結果が「信じない」「信じられない」
「信じられるか」かな。
黒人との心の通い合った関係の消滅

双方砕かれた身体
 
 
 
・人間の羊
 
大江健三郎も羊好き?いえ・・村上春樹が先だったからそう思うわけで、
本当は触発されたのは村上春樹の方だろう。

狂気

 
 
・運搬
 
滑稽話



・鳩
 
少年院での出来事
描写が意外や少年の目から見ても情景が美しい。
 


見る前に飛べ
 
二十歳の学生 何事に対しても無関心

署名活動「署名に協力してください」

葡萄酒・・今は聞かなくなった。

「勇ましいわね」 闘争の時代

六本木の俳優座劇場の近くの、高級家具店がならんでいる坂に面したフランス料理店
 
---


とにかく友だち十人あつまれば、六人は人間を殺したことがある、そういう世代もあるんだからねな。


---


ペルノ酒


---


「戦争は向こうからおそいかかって来るんだ、静かな生活からわざわざ自分をひっこぬいてこちらから戦争にへとびこんでゆくのは難しい。考え込んだり、検討したりしてはとてもだめなんだ。なあ、そうだろ」


---
 
ヘンリ・ミラア 作家?
サド
 
無料の家庭教師
 
何も出来ない日本人
 


・暗い川 おもい櫂(かい)
 
娼婦のワンパターン
少年の暴走化
 
 
 
・鳥
 
部屋に閉じこもり鳥達と暮らす青年の話
線のない話
洗脳の話

これって本人したら鳥は存在するわけで・・
母親もヒドイけど、こんな精神状態の息子を手放したくもなる!?
まさしく先取りした現在の引きこもり問題



・不意の唖(おし)
 
反権力と理不尽な振る舞いに対する反骨精神を反映されている。
 


・喝采

---


おれのおかまやろう、おれにこそ拍手喝采だ、


---


 
・戦いの今日(こんにち)
 
意味不明過ぎて(大江さんは大概がそうなんですが(^▽^;))
再度読み直す・・
 
ジュディ・ガーランドの映画
 
 
---


「跳べ、溝のなかへ飛びおりろ」


---

もう絶対そうくるって予想通り・・
新鮮さかない。
 
主観的な書き方「かれ」
 
 
 
・部屋
 
憂鬱な青年
人はないものねだりをする。うむ。
 
一人ぽっちの戦争
 


--------(フライング)

実家が災害にあい、読書出来る状態じゃなく・・
後日追記します。



・われらの時代
 
性交の描写が何とも上手い 気がする。
性描写が印象的(大江さん卓越してきたわね)
 

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