◆BookBookBook◆

📚読書備忘録📚
(自己評価★★★★★)+泣ける物語
たまに山ブログ
         

『大江健三郎全小説5』完読

2023-11-16 | 大江健三郎


大江健三郎全小説5

 

株式会社講談社
2018年10月10日 第一刷発行



残二作『個人的な体験』と『新しい人よ眼ざめよ』です。


 
--------抜粋
 
 
障害者の息子との共生を描く作品群。「ぼくはすでに自分の言葉の世界にすみこんでいる様ざまな主題に、あらためて最も基本的なヤスリをかけようとした。すなわち、個人的な日常生活の癌のように芽ばえた異常を核にして、そのまわりに、欺瞞と正統、逃亡することと残りつづけること、みずからの死と他者の死、人間的な性と反・人間的な性というような命題を結晶させ、再検討することを願ったのである」(著者・『個人的な体験』)
 


【収録作品】
空の怪物アグイー
個人的な体験
ピンチランナー調書
新しい人よ眼ざめよ

──共生


著者について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞。94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 
 
--------
 
 
・個人的な体験
 
 
--------(抜粋)
 
奇形に生れたわが子の死を願う青年の魂の遍歴と、絶望と背徳の日々
狂気の淵に瀕した現代人に再生の希望はあるのか? 力作長編
 
--------
 
これはもはや私的小説なのか?
そう想像してしまうにはリアル過ぎる気がしてしまう。
この生かすか殺すか的葛藤は本当にあったことなのか!?
 
 
「鳥バードが主人公?」
「また異常な赤ちゃん!?OMG」
「ジョニーウォーカーをジョニイって記載しているのが大江さんっぽい」
「火見子 当て字ですね~」
「ウィリアム・ブレイク出た!」
「そしてヘミングウェイ」
 
 
やはり火見子が精霊っぽく・・現実味のない女性である。
大江さんの女性は女性らしさが欠けている。
それは初期作品から目に付くところ。
 
 
 
・新しい人よ眼ざめよ ★★★★(私的に好きな作品 イーヨーが癒し)
 
 
 
--------(抜粋)
 
 
障害を持つ長男イーヨーとの「共生」を、イギリスの神秘主義詩人ブレイクの詩を媒介にして描いた連作短編集
作品の背後に死の定義を沈め、家族とのなにげない日常を瑞々しい筆致で表出しながら、過去と未来を展望して危機の時代の人間の<再生>を希求する、誠実で柔らかな魂の小説
大佛次郎賞受賞作
 
 
--------
 
 
下記に分かれている。
 
・無垢の歌、経験の歌
 
 イーヨーが父が死んだと思って発狂!?家族に暴力を振るう。
 包丁を持って佇むイーヨー 目線はガラス窓の外にあった。
 でもそれは家族を守る行動であった。
 
 足、大丈夫か? 善い足、善い足! 足、大丈夫か?
 痛風、大丈夫か? 善い足、善い足!
 
 マジこれは読んでほしい一作である。
 
 
・怒りの大気に冷たい嬰児が立ち上がって ★★★★
 
 
---
 
《人間は労役しなければならず、悲しまねばならず、そして習わねばならず、忘れねばならず、そして帰ってゆかなければならぬ/そこからやって来た暗い谷へと、労役をまた新しく始めるために。》
 
---
 
 
・落ちる、落ちる、叫びながら‥‥‥
 
イーヨーがスミングスクールに通っていた時のちょっとした!?事件
水を怖がらずどんどん沈んでゆくイーヨー

時代を感じる怪しげな集団

右翼と左翼 今じゃ考えらない時代


・蚤の幽霊
 
この衝撃は検索したわたしが悪い・・
そうMさんの生首です。。


 
・魂が星のように降って、跗骨のところへ
 
イーヨー音楽劇を演出するの巻~
才能ってどこで生まれるか分からないね。
 
 
・鎖につながれたる魂をして

イーヨー誘拐事件
大江さん・・波乱万丈ですね。
 
 
・新しい人よ眼ざめよ

イーヨー寄宿舎に入る。
戻って来たその夜に決意表明
 
イーヨーは、そちらへまいりません!イーヨーは、もう居ないのですから、ぜんぜん、イーヨーはみんなの所へ行くことはできません!
 
イーヨーの成長物語である。
もう出来た弟と妹よ。感動物語でもある。
 
 

ラスト巻末の「大江健三郎の小説をめぐる最初の覚え書」
中々読めずに苦痛だった。。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『大江健三郎全小説5』

2023-11-11 | 大江健三郎

 

『大江健三郎全小説5』
 
 
『ピンチランナー調書』が課題となり、今回は5巻チャレンジです。
私的には『空の怪物アグイー』が気になってました。
だって空の怪物ですよ!?大江さん・・(^▽^;)?

 
 
--------抜粋
 
 
障害者の息子との共生を描く作品群
「ぼくはすでに自分の言葉の世界にすみこんでいる様ざまな主題に、あらためて最も基本的なヤスリをかけようとした。すなわち、個人的な日常生活の癌のように芽ばえた異常を核にして、そのまわりに、欺瞞と正統、逃亡することと残りつづけること、みずからの死と他者の死、人間的な性と反・人間的な性というような命題を結晶させ、再検討することを願ったのである」(著者・『個人的な体験』)


【収録作品】
空の怪物アグイー
個人的な体験
ピンチランナー調書
新しい人よ眼ざめよ

──共生
 


著者について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞。94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 
 
--------
 
 
順不同 読書会課題作から。
 
 
 
・ピンチランナー調書

--------(抜粋)
 
 
地球の危機を救うべく「宇宙?」から派遣されたピンチランナー二人組!「ブリキマン」の核ジャックによる民衆の核武装?……。内ゲバ殺人から右翼大物パトロンの暗躍までを、何もかもを笑いのめし、価値を転倒させる道化の手法を用いて描き、読者に再生への希望と大笑いをもたらす。死を押しつけてくる巨大なものに立向い、核時代の《終末》を拒絶する諷刺と哄笑の痛快純文学長編である。
 
 
--------

上記のように説明されているけど笑いはないし痛快でもない。

イーヨー!!!
私的にイーヨーにほっこり癒しを感じるのです。
 
 
「少年爆殺される 早朝の銀座で
マジか!逃げ果せたか、不発かと思いました」

「ピンチ 自伝ですか?
一筋縄ではいかない・・」

「いきなり「ヤマメ軍団」ついてゆけない~(笑)」

「森が迷子、で森を殴りつける」

「血みどろ・・妻の馬頭が半端ない(笑)
森がイーヨーにかぶる」

「何故か若返る」

「毛虫の毛が生きてる!?」
「良い性交が毛虫の毒を消したのさ。
めでたしめでたし」

haha 延々とやり取りは続く(省略)


後日談として知るが、森の失踪は(現実で言えばイーヨー)実話でもあった。
そのエピソードは衝撃だった。
さらっと書いていたけど現実は「誘拐事件」となっていてイーヨーが連れ去られていた。
なので現実はもっと厳しいものだったと窺い知れる。
この物語とリンクしているのは、森(イーヨー)が発見されたのが駅だったこと。
もし・・そこから先の悪い妄想も胸を打つ。

 
 
・空の怪物アグイー(私的に気に入った★★★★)
 

単純に怪物モノかと思ったら・・
アグイーとはカンガルーほどの巨きさで木綿の白い肌着をつけた赤んぼうで、
それは空を浮遊していて、時々降りてくる。
👻
それを聞くと大丈夫!?と思うけど、許容してしまうのが大江ワールド
どんな展開でも最近パターンが読めてきた(笑)

ぶっ飛んだ登場人物が多過ぎて、まともな人物を探すようになってしまう。
 

--------(抜粋)
 
 
六〇年安保以後の不安な状況を背景に“現代の恐怖と狂気”を描く
 
 
--------

そう言われてもピンとこない時代


「ルイ14世を脅かした肉屋って何ですか(笑)ツボ」
 
かれのアグイーの世界

 
 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『大江健三郎全小説1』完読

2023-10-12 | 大江健三郎

 



『大江健三郎全小説1』

 
株式会社講談社
2018年9月10日 第一刷発行



残一作『われらの時代』中編です。
少々時間がかかりました。やっと完読です。
(現在隔週帰省中。。)

 
--------抜粋
 
 
1958年、大学在学中の当時史上最年少23歳で芥川賞を受賞した「飼育」をはじめ、「奇妙な仕事」「死者の奢り」「他人の足」などデビュー前後の鮮烈な初期短篇の数々を収録、ほかに最初期長編として名高い『芽むしり仔撃ち』、『われらの時代』を含む。
小説家としての第一歩をしるす記念碑的な作品群
大江文学はここから始まった!

【収録作品】
奇妙な仕事/他人の足/死者の奢り/石膏マスク/偽証の時/動物倉庫/飼育/人間の羊/運搬/鳩/芽むしり仔撃ち/見るまえに跳べ/暗い川・重い櫂/鳥/不意の唖/喝采/戦いの今日/部屋/われらの時代

──初期作品群その1


著者について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞。94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 
 
--------
 


・われらの時代

めずらしく二人称で語られてゆく物語
滑稽でもあり爆破ニュースの箇所で失笑
 

--------(抜粋)

 

遍在する自殺の機会に見張られながら生きてゆかざるをえない“われらの時代”
若者の性を通して閉塞状況の打破を模索した野心作

 

--------

コギト工房 大江健三郎 われらの時代

 

 

---

 

《しかし自殺する機会はいくらでもあるのだ、数百万の陸橋があるだろう、数百万の絶壁があり、数百万の踏切があるだろう、自殺の機会は遍在している。行動、英雄的でしかも滑稽でない行動、純粋に孤独な中で達成できる決定的な行為、それは自殺だ。自殺だけがわれわれを猶予からまぬがれさせる唯一の道だ。それを知っていながら決行することができないで生きつづける!
しかし自殺の機会はつねにあるのだ》

 

---


あぁ暗い・・ここまで暗い結末の物語はない。

でも靖男のブレない意志には感心
(正直フランスへ旅立ちたくてnonと言って、裏切り行為の後悔に苛まれると予想)

 

---


若者たちよ きみたちの時代だ!


---

 

 

巻末の突っ込みどころ満載!?(もはや解説ではなくあらすじ)
尾崎真理子さんの解説『よろしい、僕は地獄へ行こう!』

そして難解も難解で何を言っているの全く不明なデヴリムさんの文章で終了///

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『大江健三郎全小説1』完読(少々フライング)

2023-09-09 | 大江健三郎

 

『大江健三郎全小説1』
 
 
株式会社講談社
2018年9月10日 第一刷発行

前回の続きからです。
 
 
--------抜粋
 
 
1958年、大学在学中の当時史上最年少23歳で芥川賞を受賞した「飼育」をはじめ、「奇妙な仕事」「死者の奢り」「他人の足」などデビュー前後の鮮烈な初期短篇の数々を収録、ほかに最初期長編として名高い『芽むしり仔撃ち』、『われらの時代』を含む。
小説家としての第一歩をしるす記念碑的な作品群
大江文学はここから始まった!

【収録作品】
奇妙な仕事/他人の足/死者の奢り/石膏マスク/偽証の時/動物倉庫/飼育/人間の羊/運搬/鳩/芽むしり仔撃ち/見るまえに跳べ/暗い川・重い櫂/鳥/不意の唖/喝采/戦いの今日/部屋/われらの時代

──初期作品群その1


著者について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞。94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 
 
--------
 
 
 
・飼育
 
 
第39回芥川賞受賞作(昭和33年度上半期)
 
後半戦読んでいてどきどきが止まらなかった。
さて子供たちと黒人兵の行方はいかに!?
 
 
---


僕らには、その光り輝く逞しい筋肉をあらわにした夏、不意に湧き出る油井のように喜びをまきちらし、僕らを黒い重油でまみれさせた夏、それがいつまでも終わりなく続き、決して終わらないように感じられてくるのだった。


---
 
「僕はもう子供ではない」
この事件をきっかけにして少年は大人になった?
そう括ると単純だけど、味方だと思っていた大人たちの裏切りが堪えた結果が「信じない」「信じられない」
「信じられるか」かな。
黒人との心の通い合った関係の消滅

双方砕かれた身体
 
 
 
・人間の羊
 
大江健三郎も羊好き?いえ・・村上春樹が先だったからそう思うわけで、
本当は触発されたのは村上春樹の方だろう。

狂気

 
 
・運搬
 
滑稽話



・鳩
 
少年院での出来事
描写が意外や少年の目から見ても情景が美しい。
 


見る前に飛べ
 
二十歳の学生 何事に対しても無関心

署名活動「署名に協力してください」

葡萄酒・・今は聞かなくなった。

「勇ましいわね」 闘争の時代

六本木の俳優座劇場の近くの、高級家具店がならんでいる坂に面したフランス料理店
 
---


とにかく友だち十人あつまれば、六人は人間を殺したことがある、そういう世代もあるんだからねな。


---


ペルノ酒


---


「戦争は向こうからおそいかかって来るんだ、静かな生活からわざわざ自分をひっこぬいてこちらから戦争にへとびこんでゆくのは難しい。考え込んだり、検討したりしてはとてもだめなんだ。なあ、そうだろ」


---
 
ヘンリ・ミラア 作家?
サド
 
無料の家庭教師
 
何も出来ない日本人
 


・暗い川 おもい櫂(かい)
 
娼婦のワンパターン
少年の暴走化
 
 
 
・鳥
 
部屋に閉じこもり鳥達と暮らす青年の話
線のない話
洗脳の話

これって本人したら鳥は存在するわけで・・
母親もヒドイけど、こんな精神状態の息子を手放したくもなる!?
まさしく先取りした現在の引きこもり問題



・不意の唖(おし)
 
反権力と理不尽な振る舞いに対する反骨精神を反映されている。
 


・喝采

---


おれのおかまやろう、おれにこそ拍手喝采だ、


---


 
・戦いの今日(こんにち)
 
意味不明過ぎて(大江さんは大概がそうなんですが(^▽^;))
再度読み直す・・
 
ジュディ・ガーランドの映画
 
 
---


「跳べ、溝のなかへ飛びおりろ」


---

もう絶対そうくるって予想通り・・
新鮮さかない。
 
主観的な書き方「かれ」
 
 
 
・部屋
 
憂鬱な青年
人はないものねだりをする。うむ。
 
一人ぽっちの戦争
 


--------(フライング)

実家が災害にあい、読書出来る状態じゃなく・・
後日追記します。



・われらの時代
 
性交の描写が何とも上手い 気がする。
性描写が印象的(大江さん卓越してきたわね)
 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『大江健三郎全小説7』完読

2023-08-23 | 大江健三郎

 

二作目

・洪水はわが魂に及び

 

随分と仰々しい題名で少々引き気味だったけど。
 
1973年9月 新潮社から刊行
 
世間は反社会的な過激派による大事件が相次ぎ、「終末論」があふれていた。
そんな時代に出された問題作!?
またまた大江ワールド全開です。
 
 
 
丸谷才一
「この画家は大まじめな知識人でありながら、しかし猥談と糞尿譚、洪笑と悪ふざけ、人をペテンにかけることが大好きな職人なのだ」
 
まさしくそう!!!たまに辟易するけど慣れるものです(苦笑)
 
 
 
 
 
 
 
 
---読書会メモ
 
武装集団の戦いとしての、自分たちの存在の証として、
描いてはいるが、複雑な生き様を背負った主人公勇魚を始めとした
登場人物たちの群像劇である。
もっと簡単に言うと。
 
勇魚は鯨と樹木の魂との交信を担う者として、言葉を司る者として、
自由航海団に所属する。
 
勇魚の教育係として、無軌道な若者たちを導く。
ドストエフスキーを教本
 
並行として進む物語の中には、息子やへんてこりんな娘
「縮む男」
 
 
 
銃はどこから?(そこ未解決)
 

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『大江健三郎全小説1』

2023-08-09 | 大江健三郎

 

『大江健三郎全小説1』
 
 
1巻からではなく6巻からスタート
代表作から読み始めたのもあり、あとはどこから始めてもあり!?
そう言いつつも1巻は最初に読みたいところ。

大体は1巻が多く読まれそれ以降は疎遠になる傾向
 
 
--------抜粋
 
 
1958年、大学在学中の当時史上最年少23歳で芥川賞を受賞した「飼育」をはじめ、「奇妙な仕事」「死者の奢り」「他人の足」などデビュー前後の鮮烈な初期短篇の数々を収録、ほかに最初期長編として名高い『芽むしり仔撃ち』、『われらの時代』を含む。
小説家としての第一歩をしるす記念碑的な作品群
大江文学はここから始まった!

【収録作品】
奇妙な仕事/他人の足/死者の奢り/石膏マスク/偽証の時/動物倉庫/飼育/人間の羊/運搬/鳩/芽むしり仔撃ち/見るまえに跳べ/暗い川・重い櫂/鳥/不意の唖/喝采/戦いの今日/部屋/われらの時代

──初期作品群その1
 


著者について

大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。東京大学フランス文学科在学中の1957年に「奇妙な仕事」で東大五月祭賞を受賞する。さらに在学中の58年、当時最年少の23歳で「飼育」にて芥川賞、64年『個人的な体験』で新潮文学賞、67年『万延元年のフットボール』で谷崎賞、73年『洪水はわが魂におよび』で野間文芸賞、83年『「雨の木」(レイン・ツリー)を聴く女たち』で読売文学賞、『新しい人よ眼ざめよ』で大佛賞、84年「河馬に噛まれる」で川端賞、90年『人生の親戚』で伊藤整文学賞をそれぞれ受賞。94年には、「詩的な力によって想像的な世界を創りだした。そこでは人生と神話が渾然一体となり、現代の人間の窮状を描いて読者の心をかき乱すような情景が形作られている」という理由でノーベル文学賞を受賞した。
 
 
--------
 
 
順不同 読書会課題作から。
 
 
 
・芽むしり仔撃
 
こちらは先に・『芽むしり仔撃』裁判を前回(前会)先に読了
大体の世界観は大江ワールドなので許容範囲
そう分かってはいても馴染むまでに睡魔に襲われる。。
 
「鍛冶屋登場」
 
「駱駝の栓抜き」
 
結構現代だとタブー用語が乱立(記載は省きます)
 
 
第六章が「愛」!!なんて単純と言うか明確?と言うか「ちょっとウケますね」
 
 
途中でメンバから、弟が失踪するという情報が・・(^▽^;)

ハッピーエンドではなかったのもあり、
それと・万延元年のフットボールの印象が濃く残っていて、特に何の感慨もなく終了
 
 
 
・奇妙な仕事
 
死者の奢り
 
他人の足
 
上記作品大体似たり寄ったり「死体」「バイト」
「どうしようもない話ですね」それで片付けよう・・(苦笑)
 


石膏マスク
 
整形の話
今の時代じゃ当たり前ですが・・
 
 

・偽証の時
 
誰もが偽証ずくめだ。
 


動物倉庫 ★★★★★(おもしろかった!)
 
演劇舞台さながら楽しめました。
新たな大江さんの魅力が感じられた作品でした。
最初が最初だったから「まとも」と感じてしまった(笑)

追い込まれた時の人間の内面が浮き彫りになって、おかしみ。
喜劇です。




今回はタイムオーバー/// ここまでです。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『大江健三郎全小説7』

2023-07-21 | 大江健三郎

 

 

今回の読書会課題は『万延元年のフットボール』です。
6に引き続き分厚いレンガ本です。
本当は文庫本が持ち運びが軽くてよきだけど、手に入らず・
大江さん人気なのかもしれない。
わたしの周りで大江健三郎を読んだことがある人はいないんだけどね~

日々チャレンジです!!
 
 
 

--------(抜粋)

 
 
日本近代の百年の心象風景を、故郷の土俗的背景と遡行する歴史的展望において捉え、戦後世代の切実な体験を文学的形象として結晶化した傑作(『万延元年のフットボール』)
「いまや『洪水』が目前にせまっているという声は、一般的となっている。その時、想像力的に同時代を生きなおす、ということは現実的にはいみがあるであろう」(著者・『洪水はわが魂に及び』)

【収録作品】
万延元年のフットボール(1967年)
洪水はわが魂に及び(1973年)

──ノーベル賞受賞をもたらした作品他
 
 
--------
 
 
 
・万延元年のフットボール
 
万延(まんえん)とは、安政の後、文久の前
1860年~1861年を指す。
フットボールは言わずともサッカーのことですな。
この題名からは特に何も伺い知ることは出来ず。
 
冒頭の取っ掛かりが中々馴染めなかったけど、
(それは大江作品全般に言えるのか?それはまだナゾ)
中間を何とか過ぎ後半に入ったあたりからどんどん惹き込まれてゆく。
ラスト蜜と鷹の会話(蜜の独白)で盛り上がりが最高潮!
これはおもしろいと読書会メンバに伝えたぐらい。
読了後にはさすが大江先生!と絶賛
 
蜜の内面の葛藤をこれでもかと思うほど綿密に描き切っている。
素晴らしい!
自分で思っていても内面の葛藤や本心を著すことは難しい。
どうしようもない気分の浮き沈み、本音と建前、裏表を上手く描き切った作品に出逢えた。
 
 
 
ただですね・・やはりその文体の難解さもそうだけど、
時代背景含め、出てくる登場人物は皆破天荒?現実にあり得ない内容ではある。
何とも言えない大江ワールド(もちろん四国が舞台です)
 
 
 
--------(抜粋)
 
 
友人の死に導かれ夜明けの穴にうずくまる僕。地獄を所有し、安保闘争で傷ついた鷹四。障害児を出産した菜採子。苦渋に満ちた登場人物たちが、四国の谷間の村をさして軽快に出発した。万延元年の村の一揆をなぞるように、神話の森に暴動が起る。幕末から現代につなぐ民衆の心をみごとに形象化し、戦後世代の切実な体験と希求を結実させた画期的長篇
谷崎賞受賞
 
 
--------
 
 
 
村上春樹に感化されていたからか、この『万延元年のフットボール
浄化槽の穴に籠ることや、鼠やら、贖罪羊やら・・どうしても春樹の作品が浮かんでしまった。
双方全く異なる文体なんだけど、何やら影響があるような気がしてしまう。
 
 
 
さて今回はここまでです。
後半の『洪水はわが魂に及び』は一息後にスタートです。

  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『大江健三郎全小説6』完読

2023-06-19 | 大江健三郎



 

続『大江健三郎全小説6』
二度に分けての読書会でした。
(写真は全集第15巻 圧巻!)


「この巻に集められた18編の中期の短編群は、独創的な方法を凝らしてこの国の文学に新境地を拓いた、
 きわめて重要な作品ばかりだ」(尾崎さんの解説から)
これから大江健三郎全小説全集を読んでゆきたいと思ってます 永遠?

 

 

 

・『芽むしり仔撃ち』裁判
 
 
 
「やっぱり独特な世界観ですね~(笑) 反・弟」
「はい「反・弟」スタート ラガーディア空港」
 
「ブロッホって誰?  P87  結局また四国の谷間と「在」  デモクラシー裁判  ジョンソン…(笑)」
「ブロッホ?」
「P83」
 
ブロッホはドイツの哲学者でした。
 
「顔の廃墟からスタート  何でロケット弾を打ち上げまくっているのか…
 夢に見る空間ですらも! 四国弁? 」
「ロケット花火っしょ?」
「あれ?花火でした? ロケット弾って言い回しも」
「ジョンが打ち上げたやつでしょ 浜辺で」
「森じゃないですか? キャンプ場?牧場?」
「浜辺へ向かう途中の疎林っすね」
「パラシュート付きのロケットってありますね
 これ、私も子供の頃遊んだ花火っすよ」
 
「しかし、大江作品ほど、後でこういう風に聞かれて説明に苦労するのはないですね…
 反・弟が記者から『日本人なのに何故英語で書くの?』と聞かれてるでしょ
 その回答も何言ってんだかわかんない」
 
「P109~ ボリビアの山村からスタート
 チェ・ゲバラ殺害フィルム ドライ・マティーニ
 P115 要約
 弟がスクナヒコノミコト  え?—きみは、あの「弟」の兄だ」
「あ~、空をみつめるゲバラ  実はすり替わっていた兄」
「なぜ兄ってバレたのかな 違和感が何かっすよね」
「そうなの~?って素直に納得」
 
「芽むしりでは海軍基地から予科練習生が脱走 村で山狩り。
 で、取り押さえる際竹槍刺さって死亡
 兄(自称弟)がいだいた感情 《怖かったからだ》
 夢の中 あの子が赤鱏(あかえい)」
 
 
 
--------(抜粋)
 
 
この作品は大江が若かりし頃(23歳)に書いた最初の長編『芽むしり仔撃ち』の後日譚となっている。『芽むしり仔撃ち』を書いた小説家が全体を語ってゆく。その小説家に向けて彼の弟でアメリカに滞在する弟が英語で書き送ってくる長い手紙文を、小説家が日本語に直しているという構成である。これだけでもややこしいのだが、さらに全体の構成は複雑である。あまりにも複雑であるため、読みこなすのは大変である。20年前の旧作を土台に新たな小説を構築してゆくという意欲がはっきりとあらわれている。
  
 
--------

 

 

 

・ベラックヮの十年
 
 
 
「ベラックヮまともでした。エッセイですね。『神曲』とか全然知りませんが。。」
「今まで『神曲』読んだ人に会ったことないですもん。もちろん私も読んでないっすが」
「読もう調べようとも思えない。理解不能な気がします」
 
*メモ 『懐かしい年への手紙』読まないとです。 
 

 

 
・夢の師匠



あの少年と壮年
むしパンとハーモニカを持った病気のような子供に見あげられた、生気のない空洞の眼

 

「コックリさん」の流行
そこに「夢を見る子供」と「夢を読む人」

---

夢の占いをさせられいた子供が、あまりに辛いので逃げて来たのを、お祖母ちゃんが裏座敷にかくまってやった。

---

ってか誰かが逃げて来て匿うパターンが大江さん多くない?

 

ソクラテス式の対話

 

未来を予知してなんになる?

 

熟練した「夢を読む人」

 

Tさんとは武満徹さん(初耳)

 

第一幕 若者と壮年の男
第二幕 若者と娘
第三幕 娘と息子が壮年の男

 

 


・宇宙大の「雨の木」




---

僕は「不死の人」のことを書こうとしているのだ。

---

始動……

 

---

悲嘆(グリーフ)となんいもない(ナッシング)こととの間で、私は悲嘆を選ぶ

つまりこの言葉こそが「不死の人」となる。

---

 

推察しにくい(インスクルータブル)日本人

 

マルカム・ラウリーの美しい一節
『泉への森の道(ザ・フォレスト・パス・トゥ・ザ・スプリング)』のなかの祈りの言葉
《親愛なる神よ、心からお祈りいたします、私が作品を秩序づけることができますよう、お助けください、それが醜く、混沌として、罪深いものであれ、あなたの眼に受け入れられる仕方において。…乱れ騒ぎ、嵐をはらみ、雷鳴にみちているものであるには違いありませんが、それを通じて心を湧き立たたせる「言葉」が響き、人間への希望を伝えるはずです。それはまた、平衡のとれた、重おもしい、優しさと共感とユーモアにみちた作品でなければなりません》

 

 

・火をめぐらす鳥



---

〈(私の魂)といふことは言へない/その証拠を私は君に語らう〉

---

「イーヨーが出るとほんわか系になりますよね。大江さん流血してますが。。」
「あー、電車に轢かれそうにって」

 

 



・「涙を流す人」の楡



「あれ?大江さんが天狗のカゲマでしたか?ヤバイ記憶が」

 

 


・僕が本当に若かった頃 ★★★★(私的によき)



「書いて記憶する勉強法  そこから聞いて覚える勉強法へ。
 井の頭線でのドアの問題(これは目黒線にも言える)
 兵衛伯父ネタに苦笑 変わったオジさんを持つ2人

 『阿Q正伝』・・未読

 交通事故が意外な展開
 17歳でアメリカに亡命 日本語は用いぬ、日本語のラングからの亡命も果たす。

 松尾寺大黒天・・(笑)」

 



・マルゴ公妃にかくしつきスカート



 「マルゴ爆笑で終了」やはりおかしみがある大江さん。

 



・茱萸の木の教え・序

 この作品は本当に難解で読むのが「苦」だった一作
 多分大江さんの文体じゃなく(文体なんだけど)タカチャンの文体だと思ってしまったのが要因
 つい「読みかえしてみようかな」って言ってみたけど、止められた(笑) 

 ちなみにこの短編が大江さん最後の短編です。

 

 

 

6巻〆尾崎真理子さんの解説

 

---

現実にある樹木、暗喩(メタファー)としての樹木、
それも端的に故国(ホームランド)=小宇宙(ミクロコスモス)の暗喩としての樹木


---

 

 

 

 

 

 

 

 


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

『大江健三郎全小説6』

2023-05-17 | 大江健三郎

 

 

ノーベル文学賞作家ついにその全貌をあらわす!「大江健三郎 全小説 全15巻」講談社創業110周年記念企画


かなり立派なハードカバーです。
読書会課題本(以下課題作)
持ち歩きが重く、時間がなく電車で読んでて浮いてました・・

 

 

 

・身がわり山羊の反撃

「プロフェソール、」

 

「はい…プロフェソール
 難解キャンディーズ」!!(笑)

 

--------(抜粋)

 

四国の山中にある小さな村をでて、メキシコで暮らす偽医者のモノローグ。プロフェソールというメキシコ・シティの大学で教えに来ている日本人に対し一方的な語りをする。「わし」という一人称で話をする関西のなまりのある男の語りだけで物語るという大江にはめずらしい構成。新たな文体での挑戦的作品。

 10歳のとき(終戦の前年)に大水があり、不安定な岩盤の上に築かれた五軒の家がすべて流された。その五軒の家は実はよそ者として地元で差別を受けていたのである。大水のなか助かったのは「わし」ひとりであった。助かった自分は村長によって厚遇されながら育てられることになった。その理由は大水に流されるなか親たちが乗っていた藁屋根からただひとり馬小屋の屋根に乗り移ったという勇気、さらに村の神社の前を流されているにも関わらず神社に向かってオジギをしたという村への忠誠心、ということで英雄と考えられたからである。が実は村人たちが五軒の家を差別扱いしていたということに対する贖罪のあらわれでもあった。
 13歳の頃にあるできごとがあった。中学3年生が修学旅行から戻ってみたら、集団で赤痢にかかり隔離されるという事件である。赤痢で苦しむ子ども達は飲み水を求めて川に飛び込むということをしたのだ。自分はその様子を何もしないでじっとみていた。しかし後日そのことでとがめられることはなかった。だがそのことがあってからは、自分の置かれている立場は陽の寵児から陰の寵児に変わっていった。
 高校二年生のとき自殺未遂をした。それまではやったこともなかった風呂を沸かすということをして、湯に浸かりながら小刀で腕頸を切りつけるということを。
 高校を出たあと、村人たちの寄付などで大学の医学部にまで進学することができた。しかし五回も医師国家試験に落ちてしまった。村人は自分が村に帰るのをいやがって、わざと試験に落ちているのではないかと疑った。
 その後、村は全体が没落をすることとなり、多くのひとがコロンビアに移住することになり、自分も付き添いの医者として船に乗ることとなった。
 主人公「わし」はいつの時代もずっと集団からの疎外を感じながら生きてきた。
 大江作品としてはちょっと異色ではあるが、面白さは保証付き。入手が難しいがぜひ読んで欲しい作品


--------

 

 

 

・揚げソーセージの食べ方

 

「ソーセージがまたまともで驚き」


「揚げソーセージを食べてる場面出ました(笑)
 やっぱりおかしみがありますね」
「ソーセージ、兵衛伯父さん、まともじゃないでしょ~www」
「まぁそうですが許容範囲(笑)」

 

 

・グルート島のレントゲン画法

 

「グルート島 エッセイっぽいですね」

 

---

 

ファーストクラスにシャンペンか、

 

---

 

--------(抜粋)

 

大江作品には題名に凝ったものが多く、読後にも印象深く残る。この作品もそのひとつである。しかり”グルート島””レントゲン画法”、といわれても全くわからないのが一般的であろう。
グルート島はオーストラリア北部カーペンタリア湾にある小さな島。レントゲン画法とはレントゲンでものの中を透視したように描く手法のこと。走っているバスを外観として画いているのに、中の人物までがえがかれているような手法。
高校生の娘との話をきっかけに「僕」は20年前に一箇月ほど滞在したオーストラリアでの出来事を思い出した。オーストラリアの文化関係当局からアデレイド芸術祭に招待されたとき、分科会で詩人達の集まりに参加した。そのときは通訳をしてくれたグラノフスキー君の語学力不足と自分の聴き取り能力不足で満足な答えができなかったのだ。芸術祭のあと関心のあった現地先住民(アボリジニー)の生活・信仰・芸術にふれてみたいと思った。グラノフスキー君はそれを実現すべくグルート島へ行く計画をたててくれた。その旅に同行することになったのがナオミという娘である。ナオミは蓮実大使の末娘で問題があるといわれていた。そしてグルート島に向かった、、、。
先住民の描く絵にはレントゲン画法がよく使われるのだが、彼らの眼はわれわれの胸のうちから腹腔まで、なみもかも見てしまうことになるだろう。

オーストラリアを舞台にしたちょっと雰囲気の異なる作品である。
 

 

--------

 

 

 

・見せるだけの拷問

 

・・・睡魔
「酔って、笑いながら・昂奮して」

 

--------(抜粋)

 

カリフォルニア大学、バークレイ校にいたとき、ある若い男が尋ねてきた。髭が特長である。彼はアメリカで日本文学の教師となるため博士号をとろうとしていた。名前を中根という。
 中根君は博士号をとるために特別の方策を考えていた。すでに国際作家となっているMとAを中心に論文を準備しているが、そこに10年後の世代の作家「僕」を加えるというのだ。そして自分に新しい中篇小説を書いて貰い、それを草稿の段階から分析をし、定稿となったら英訳をする。タイトルは「酔って、笑いながら・昂奮して」。これは二十年も前にマーサンに話したタイトルそのものだった。マーサンは女子大の大学院英文科に籍を置きながら米軍基地に勤めていた。年齢は30前。「僕」は20代の始めの頃だった。
 そのマーサンとの関わりについて物語は進む。
 「みせるだけの拷問」(テルティシオ・レアリス)というタイトル。またしてもなんとも奇抜な題名である。「そいつを見るだけで、あんたがガタガタになるもの」という言葉から引き出されている。

 

--------

 

 

 

・メヒコの大抜け穴

 

メヒコ!?🦀🦀🦀

 

「メヒコに壊す人が出てきた~(笑)
 それもまた太字だし。 ウケる。 デジャヴってます」
「炭焼き・・(笑)
 大江健三郎おもしろ過ぎる」

 

「メヒコに大島渚監督がサンフランシスコに来た話がありました」

 

「部屋の下で炭焼きしてたって話」

 

 

 

・もうひとり和泉式部が生まれた日

 

「なんか読んでるけど、イマイチ頭に入ってこず…
 苦戦してます」

「シキブサーン また変な世界ですね」

「式部さんが!
 四国は語尾が『が!』ですね。
 女先生、まともだと思ったのに…何で途中からそんな展開になるのか…」
「そうですね「が」!
 和泉式部読み終わりましたが、難解過ぎて理解不能…」
「最後二度読みしてもよく分からず…」

 

 

--------(抜粋)

 

戦争が終わろうとしていた頃、主人公「僕」の生まれ育った谷間の村に都会から多く女たちが帰ってきた。そのひとりに花伯母さんがいた。五十年輩の花伯母さんは本家の倉屋敷にひとりで住んでいた。
 夏のはじめ放課後に学校に残って遊んでいるときに、高等科の国語授業があり、和泉式部の歌を黒板に女先生が書いて教えていた。歌は十数首書かれていて、「僕」はそのすべてを花伯母さんから教えられて知っていたが、黒板に書かれていたのは歌のすべてであり、自分が知っているシキブサンの歌ではなかった。「僕」は花伯母さんに教えられた部分以外はすべてチョークで抹消するということをした。それは例えば「花咲かぬ谷の底にも住まなくに深くもののを思ふ春かな」を「谷の底にも住まなくに!」と、まるで祝詞のようにして声にして憶えて行くものであった。
 「僕」はこのいたずらで校長室につれてゆかれ殴られることになった。

 その女先生に奇妙な噂が流れだした。先生は神社脇で身もだえしながら舞っている、しかも苦しげな声をたてながらというもの。 それは神事であった。そして「大いなる女たち」についての神話的な伝承が書かれることになった。

 森の伝承と和泉式部の歌との組み合わせという突飛な発想が深い物語を作っている。

 

--------

 

 

 

・その山羊を野に

 

「山羊はちょっと笑える」

「既に大凧に躰を縛りつけて、谷間から森全体を見わたした曾祖母についての言い伝えがあるって苦笑
 伝説とか好きですよね」
「大凧って、んなわけないじゃん…
 これちょい役で兵衛伯父さん出てきます」

「蜜枝アネサマって…ははは」
「トンデモ住人っすね。
 また谷間と『在』とかレギュラー用語が」

「とりめの助長さん」

 

 

--------(抜粋)

 

大江作品は登場人物の名前がユニークでそれだけでも楽しい。よくぞこんな名前を考えるものだと感心するばかりである。この作品では「蜜枝アネサマ」。今であれば「壇蜜」という女優の名前で多少は慣れているかもしれないが、なにしろ1984年の話である。突拍子もない命名である。「蜜枝」もうそうだが「アネサマ」がついてしまえばもう笑うしかない。
 そのアネサマは30そこそこの女性である。戦争末期、疎開して谷間の村にやって来た蜜枝アネサマは魅力的である。小説の冒頭にでてくる贖罪山羊(スケープ・ゴート)としての配役である。日本の風土物語にでてくる女性のように若い男の相手を次々とした。しかし大勢の男を相手にしていてもそこには整然とした秩序がある。
 この蜜枝アネサマがある日豹変する。「元禄花見踊り」と呼ばれるほどの華美な服装に変わった。そこから物語は深くなってゆく。

 

--------

 

 

 

・「罪のゆるし」のあお草

 

「イーヨー、マイペースです」

「罪のゆるし 意外や重めですね」

「罪のゆるし、最後はいい感じでした」

「神隠し」

「ウィリアム・ブレイク…さっぱりわからん」

「大江健三郎を読んでいるといかに自分が凡人かわかります」
「同じくです。次元が違います」
「すっかりハマってますね(笑)」

 

--------(抜粋)

 

昨年の春、家族みなでアラレの降りしきる谷間に帰省した。裏の座敷から川面をへだてた対岸の、いちいち記憶にきざまれている巨木に、落葉した雑木の斜面を、時をおいて白い闇にとざすアラレが降る。風景が再び明るくなった後、天井で音がするのは、瓦の隙間に入りこんでいたアラレがバラバラこぼれ落ちるのだと母親はいった。彼女はさきの秋に大病をした。この冬はしばしばアラレの通過を、そばだてた耳に聞いて夜をすごしたのだろう。

 

--------

 

 

 

・いかに木を殺すか

 

死刑制度

 

--------(抜粋)

 

 How to kill a tree. シカゴで会った日系アメリカ人の歴史学者の、こちらは韓国系アメリカ人である夫人からおくられたハワイの写真集に、このタイトルをつけた切実な物語があった。発行から時をへたその写真集には、日進月歩するカメラと印刷技術の今日でありながら、またハワイの風物という月並な主題をあつかいながら、古典的なといいたいほどの風格があり、引き付けられた。オアフ島のハイスクールで知りあい、苦学の末、アメリカ本土で職をえて結婚した歴史学者夫婦の、写真集への思いのたくし方に共感させるものがあるのでもあった。

 

--------

 

 

 

抜粋はこちらから→ 若い読者のための大江健三郎ワールド

これぞ備忘録📚

 





 🐤♡


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

O

2023-04-21 | 大江健三郎

 

大江健三郎
『同時代ゲーム』???


読書会課題本
ある意味ホットな作家さんなのでチョイス

大江健三郎と言えば、ノーベル文学賞作家です。

大江健三郎 - Wikipedia

 

--------(抜粋)

 

海に向って追放された武士の集団が、川を遡って、四国の山奥に《村=国=家=小宇宙》を創建し、長い〈自由時代〉のあと、大日本帝国と全面戦争に突入した!? 壊す人、アポ爺、ペリ爺、オシコメ、シリメ、「木から降りん人」等々、奇体な人物を操り出しながら、父=神主の息子〈僕〉が双生児の妹に向けて語る、一族の神話と歴史
得意な作家的想像力が構築した、現代文学の収穫1000枚

 

--------

 

「おはようございます。
あの…大江健三郎全くの意味不明です(爆笑)
ゆっくり読んでも理解不能で朝から笑ってます。
妹よ…伝わってるのか?」

3/25 こんなメールからスタート(^▽^;)

 

今まで色々な作家さんを読んできたけど、ここまでの難解はなかった。
ホントただの苦痛でしかなかった。

 

しかしそれがヘンな方向へゆくのが、3/29

「なんか先が思いやられそな、大江ワールド」
「でもハマる!?気持ち分からなくもないです(笑)」

 

そして苦痛じゃなくその難解を楽しみはじめていた。

4/5 とうとう完読!!!

 

達成感

 

 

 

そこから放置本を読み進めたけど、すらすら難なく読めるという(というか話が通じる!)
どんな本でも以前にも増して自然と速読となっていた。

そんなオチです(^▽^;)大江ワールド恐るべし。


  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする