聞き手・構成 尾崎真理子
『大江健三郎 作家自身を語る』
本書は2007年5月、新潮社より刊行された
『大江健三郎 作家自身を語る』を増補・改訂したものです。
平成25年12月1日 発行
--------(抜粋)
ギー兄さんとは誰か? 「セヴンティーン」と三島由紀夫、ノーベル賞の賞金の行方は? 50時間の対話で綴る「自伝」
最新作『晩年様式集(イン・レイト・スタイル)』をめぐるインタヴュー他、大幅増補
なぜ大江作品には翻訳詩が重要な役割を果たすのでしょう? 女性が主人公の未発表探偵小説は現存するのですか?──世紀を越え、つねに時代の先頭に立つ小説家が、創作秘話、東日本大震災と原発事故、同時代作家との友情と確執など、正確な聞き取りに定評のあるジャーナリストに一年をかけ語り尽くした、対話による「自伝」
最新小説『晩年様式集(イン・レイト・スタイル)』を巡るロング・インタヴューを増補
【目次】
第1章
詩/初めての小説作品/卒業論文
作家生活五十年を目前にして
子供時代に発見した言葉の世界
伊丹十三との出会い
小説家を志す
渡辺一夫先生との交流
第2章
「奇妙な仕事」/初期短篇『叫び声』/『ヒロシマ・ノート』/『個人的な体験』
芥川賞受賞のころ
小説はこのように書き始める
「戦後派」への畏れと違和感
「安保批判の会」「若い日本の会」
「セヴンティーン」を読んだ三島由紀夫の手紙
一九六三年 長男・光誕生
『個人的な体験』刊行当時の評
第3章
『万延元年のフットボール』/『みずから我が涙をぬぐいたまう日』/『洪水はわが魂に及び』/『同時代ゲーム』/『M/Tと森のフシギの物語』
故郷の中学校にて
一九六〇年の安保闘争
『同時代ゲーム』をいま読み返す
メキシコ滞在時の刺激
『洪水はわが魂に及び』を文壇はどう受け止めたか
『M/Tと森のフシギの物語』のリアリティー
第4章
『「雨の木(レイン・ツリー)」を聴く女たち』/『人生の親戚』/『静かな生活』/『治療塔』/『新しい人よ眼ざめよ』
女性が主役となった八〇年代
『新しい人よ眼ざめよ』とウィリアム・ブレイク
『静かな生活』の家庭像
父という存在
第5章
『懐かしい年への手紙』/『燃えあがる緑の木』三部作『宙返り』
一九八七年 分水嶺となった年
詩の引用と翻訳をめぐる考察
祈りと文学
主題が出来事を予知する
第6章
おかしな二人組(スウード・カツプル)」三部作『二百年の子供』
ノーベル文学賞受賞の夜
長江古義人という語り手
『二百年の子供』のファンタジー
どこからがフィクションか
聖性と静かさ
自爆テロについて
若い小説家たちへ
第7章
『美しいアナベル・リイ』/『水死』/『晩年様式集(イン・レイト・スタイル)』
震災ですべてが変わった
人生の主題としての「忍耐」
暴行という最大の恐怖
現代文学の担い手たちに
大江健三郎、106の質問に立ち向かう+α
あとがき
文庫版のためのあとがき
大江健三郎
1935(昭和10)年、愛媛県生れ。東京大学文学部仏文科卒業。在学中に「奇妙な仕事」で注目され、1958年「飼育」で芥川賞を受賞。1994(平成6)年ノーベル文学賞受賞。主な作品に『個人的な体験』『万延元年のフットボール』『洪水はわが魂に及び』『懐かしい年への手紙』『「燃えあがる緑の木」三部作』『「おかしな二人組(スゥード・カップル)」三部作』『水死』『晩年様式集(イン・レイト・スタイル)』などがある。
尾崎真理子
1959(昭和34)年宮崎生れ。青山学院大学文学部卒業後、読売新聞社に入社。1992(平成4)年から文化部記者として文芸を担当する。東京本社文化部長を経て編集委員。著書に『現代日本の小説』、『大江健三郎 作家自身を語る』(大江氏との共著)、『詩人なんて呼ばれて』(谷川俊太郎氏と共著)など。2015(平成27)年『ひみつの王国 評伝 石井桃子』で芸術選奨文部科学大臣賞、新田次郎文学賞、同作品を含む執筆活動により2016年度日本記者クラブ賞を受賞
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現在何冊目?
ちょっと一息ついた冬読書
そこで手に取ったのがこの『大江健三郎 作家自身を語る』です。
ある程度作品を把握して読む大江さんの生の言葉には、得られる物も気づきもたくさん。
作家を読み解く、難解部分を理解する。
また時間を置いてから再読したい一冊