椎名誠
『殺したい蕎麦屋』★★★★
この題名だけで笑える。
またそこに蛭子さんの絵が(笑)
もちろん内容も笑えた。
入ったときから「ひそやかな殺意」のきざしがあった。
「わずか二百グラムぐらいの食品の中に十~二十グラムも占める(薬品も含む)食品添加物の入っている食い物をうまいうまい、と言って食っているあんたのほうがよほどゲテもの食いなのだ」と。
オゼイユってなんなのよ。
「アメリカネバダ州凍結輸入牛の超薄切り肉と取手産玉葱を農協だし汁で煮た南浦和風つゆだく仕上げ。印旛沼タカハシ兄弟養鶏場の五百個まとめ売りの生玉子を一ヶ添えて」
「自殺がいっぱい」ではなく、
「自然がいっぱい」と書いてあったのだ。
激しい雨の日に高速道路の曲がり道で激しく点滅している赤い文字がある。見ると「雨」と書いてあったりする。雨の日に雨だ雨だと騒いでどうする。
面白いのはモンゴルのとんでもない草原を「佐川急便」なんて大書きして例の飛脚の絵のついたトラックが走っていたりすることだ。
「へえ!凄いなあ。佐川急便はいまやこんなところまで配達している大国際宅配便会社になっているんだなあ!」
とびっくりし、感心したものだ。やがて佐川急便の中古車が走っているだけ、と知って残念と思ったり納得したりした。
ミャンマーのヤンゴンでは「西早稲田行き」なんて普段東京でよく見る表示をつけてるバスがやってくるのを見てやはりびっくりし、つい乗りたくなってしまった。
なーーーんにもしない休日
完璧な空を見てちょっと思うゴルフ行けばよかった。