『大江健三郎全小説4』
株式会社講談社
最後の一編『水死』です。
集大成と言える長編になります。
なんと74歳で生み出されたとは驚き!
フィクションでありながら、現実味がある。
今回の主人公は「娘」目線 そこの意外性もおもしろく。
【収録作品】
走れ、走りつづけよ / 生け贄男は必要か / 狩猟で暮らしたわれらの先祖 / 核時代の森の隠遁者 / 父よ、あなたはどこへ行くのか?/ われらの狂気を生き延びる道を教えよ / みずから我が涙をぬぐいたまう日/月の男(ムーン・マン)/ 水死
──父と天皇制
大江健三郎
1935年1月、愛媛県喜多郡内子町(旧大瀬村)に生まれる。
--------(抜粋)
ノーベル賞作家、生涯の主題
「父、水死」に立ち向かう。
まさに小説としての面白さを平易な文章で達成した、新しい代表作
終戦の夏、父はなぜ洪水の川に船出したのか?
母が残した「赤革のトランク」には、父親関係の資料が詰まっているはず。
それらを手がかりに、父のことを小説に書こうとする作家・長江古義人
過去を持つ若い劇団女優との共同作業を通じて、
自らの精神の源流としての「深くて暗いニッポン人感覚」を突きつけられる長江
そして、やがて避けようもなく訪れる、壮絶で胸を打つクライマックス!
初めて読む人にも、もう一度読んでみたい人にも、新しいOeがここにある。
--------
第一部 「水死小説」
序章 冗談
第一章 「穴居人(ザ・ケイヴ・マン)」来たる
第二章 演劇版『みずから我が涙をぬぐいたまう日』のリハーサル
第三章 「赤革のトランク」
第四章 冗談はつらぬかれた
第五章 大眩暈
第二部 女たちが優位に立つ
第六章 「死んだ犬を投げる」芝居
第七章 余波(アフタマス)は続く
第八章 大黄(ギシギシ)
第九章 「晩年の仕事(レイト・ワーク)」
第十章 記憶あるいは夢の訂正
第十一章 父は『金枝篇』に何を読み取ろうとしていたか?
第三部 こんな切れっぱしでわたしはわたしの崩壊を支えてきた
第十二章 コギーの伝記と憑坐(よりまし)
第十三章 「マクベス問題」
第十四章 あらゆる手続きが演劇化される
第十五章 殉死
--------
この『水死』に演劇の一場面として出てくる、夏目漱石の『こころ』
内容を知りたいため途中離脱して読んでみて正解
読書会では先生に対して突っ込みどころ満載で、時代の流れを感じる一作