ティム・オブライエン
訳 村上春樹
『世界のすべての七月』★★★
題名の如く七月になるのを待って再読(以前途中挫折)
結構な長丁場
『ニュークリア・エイジ』然りおもしろい。
特に暴走している会話に惹き込まれる。
『本当の戦争の話をしよう』読んでみたい。
P70
「きっとつらいことだろうね――なんていうか――だからもし、君の気持ちが確かじゃないのなら……」
「確かなものなんてどこかにあるんですか?」
相手は首を振った。「私にもわからんね」
「彼女は今、休暇を取っているんだと思う。脳味噌休暇村で」
今では薄暗い日々が戻ってきていた。絶望の日々というわけではない。不幸というのですらない。ただ、昔からのおなじみの、無気力の日々である。冷淡で物憂げな、どちらにも傾かない精神。何ひとつとして、彼女の心を動かすものはなかった。何ひとつとして彼女を傷つけるものもなかった。彼女は外界から封印されて隔てられてしまったような気がした。痛みからも、喜びからも、自分自身の感情からも。そこには高揚もなければ、惨めな落ち込みもない。ときどき自分が、何かの強力なドラッグを目いっぱい注入されてしまったような気がした。ヴァリウムとか、一発でころりと眠ってしまう新種の睡眠薬みたいなものを一つかみ。彼女はただ一度も笑うことなく、一日に、あるいはときには一週間過ごすことができた。セックスは悪くなかった。でもそれはただ「悪くない」という程度のものでしかない。人生はまず良好だったが、「まず良好」という以上のものではない。それでもなお、あたかもものごとのバランスをとるみたいに、彼女の日常生活はぜいたくなまでの静謐さを保っていた。
「あまりにも幸福で、どこかに吹き飛ばされてしまいそう」
胸が締めつけられる感じで苦しくひたすら「無」になろうと歩く。
よく分からなくなってきた。
最終段階クリアしたばずなんだけど。。