お盆も終わりの16日、散歩に出るのが少し嫌だった。というのも、週末に散歩に出たとき
「ランが戻ってこんのや」とランちゃんの飼い主のおばさんに聞いていたから。ランちゃん
は 16歳、人間なら100歳は超えているだろうけどなかなか元気なおばあちゃんわんこ
だ。ビーグル犬だし元猟犬だし、こげを飼いはじめて散歩に行くようになって、道の向こう
から ドシッドシッとゆっくりではあるけど 堂々と走ってくる姿を見た時は「オス犬や」
と、後ろも見ずに逃げ戻ったことがあった。ランちゃんがメス犬ということを知ってからは
平気になったけど、こげの鈴の音を耳にすると家の中から吠えながら出てくるので、きっと
自分のテリトリーに散歩しに来る私達を快く思ってないんだとも思っていた。写真のように
近寄ることはあまりなく、若者こげに興味はあるけど近寄るとこげもどうしていいのかわか
らず、後ずさりをするのでお互いの匂いを確認できるようになったのも、今年になってから
だ。
先週、14日、ランちゃんの家の手前に来た時 おばさんのお孫さん達が帰るのと出くわし
た。見送ったあとおばさんが「ラン、見んかった?」と聞くので「いや、会わんかったよ」
「おかしいな、お昼からおらんから、ひ孫がワンワンない っていうし。お盆の供え餅を
つくって 残ったからランにあげても食べへんし。」「でも、昨日、元気やったで。散歩で
会った時は ランちゃん走ってきて、こげとクンクンしたし」「もう 歳やからの、どこか
で動けんようになったりしたり・・・。暑いからどこかで涼みやるのか・・。このあたりの
山は全部 ランわかってあるからの。ゆうべもしんどそうにしてたし」
ランちゃんは 猟師をやっていたおじさんのあとについて山に行くし、おばさんのマツタ
ケ採りにもついて行く、ちゃんと家に戻ってくるし。ただ、息子さんが言うには、最近、外
にフラフラ出て行く・・という話。聞いていてだんだん私も心配になって来た。
そして、16日散歩に行くとおばさんが門から出てきたので、ランちゃんが戻って来たか
たずねると「ううん、死んでんら」「え?」「家の裏山で声がするから見に行ったら、腰が
立たんと前脚だけ動かすんやらの。重いから、息子呼んで板に乗せて家に連れてきたら、
体はボンボン熱いし、吐く息も熱いんやら。氷で冷やしてもあかんし・・。息子が体さすっ
てあげての、死んだんや」「・・・・」「やっぱり、暑いのがこたえてんの。こげちゃんも
気をつけなあかんで。多いみたいやで、Aさんのとこの犬も室内犬の小さいのやけど、同じ
ように急に弱って、熱あるし獣医もお盆で休みやし、氷で冷やしてクーラーかけて、持ち直
したらしいけどね」「こげの妹も三尾川にいる犬、熱中症でこの間死んでしまったんやて。
ランちゃんこの間元気やったのに。その犬も エサは食べるし元気やったのに、つい死んだ
みたいやで。」人間でも死んでしまうこの夏の暑さは 犬には想像以上にきつい夏なんだ。
もう、知ったワンコの訃報は聞きたくない。早く、涼しい風が吹いて逝ってしまったわんこ
達が、あの世でゆっくり遊べる季節になってほしい。おばさんは「15日やからの~」と
言うので「おじさんが ランちゃん連れに来たんやで。寂しなって」おじさんは秋に山に
入って、不慮の死を遂げてしまったのだ。もう この地区でメスのわんこがいなくなり、
小型犬とこげだけになってしまった。きのうきょうと、こげはランちゃんの家のあたりで
鼻をクンクンさせ、匂いを感じようとしている、ランちゃんの匂いも薄れていくからの、
っておばさんが言っていたけど、寂しい夏の終わりになりました。