歩く・見る・食べる・そして少し考える・・・

近所を歩く、遠くの町を歩く、見たこと食べたこと、感じたことを思いつくままに・・・。おじさんのひとりごと

塩原は“文学温泉!?”

2008年01月30日 | 旅の話し
一昨日の続きです。

“塩原温泉シリーズ”9回目になります。

高下駄の板前さんとすれ違い、狭い裏道伝いに歩いていると目の前が開け、何やら“共同温泉施設”と云った趣の建物が出現しました。

塩原温泉“湯っ歩の里”と書かれた大看板がありました。


「足湯回廊・料金200円」と有ります。何となく思い出してきました、以前、テレビで観たような気がしてきました。いろいろな形状の石が底に敷かれ、石を踏み締め、ぐるぐる回って歩く足湯です。 

足湯は各地の温泉で流行っています。たいていは町中、駅前などで「無料」で利用できる施設です。

ここは、足湯を少し規模を大きくして、「有料」の施設にしたようです。どの辺りの客層を狙っているのでしょうか?

旅館の宿泊客が「わざわざ」ここを訪れ、200円払って「ぞろぞろ歩く」ことは無いと思います。



狙いは日帰り客、それも若い層なのでしょう。年寄りは石の上を「ぞろぞろ歩き」ません。この“湯っ歩の里”は、2007年8月にオープンしたそうで、全長60㍍の足湯回廊は日本最大級だそうです。



“お湯”の中を“歩く”施設なので「湯っ歩の里」、真ん中に「っ」を入れることで、それなりの「工夫・拘り・新しさ」を表現しているのでしょう。

わたしとしては、この施設に魅力は感じませんでした。塩原温泉観光協会としては、かなりの決断で、かなり資金を投入したのでしょう。

しかしです。この施設があるからと云って、塩原温泉に行ってみたいと思う人はいるのでしょうか? まぁ、あまり居ないでしょうねェ。

兎に角、塩原温泉を楽しまなければと思いつつ、辺りを眺めると見つけました。室生犀星です。


      塩原道    室生犀星

     秋ふかき塩原道を
     わたしの自動車はひた走りつつ
     いつしか暗みゆき
     はや日暮となりけり

     落葉ふみしき
     山の上に漏るるともし火を見過して
     水のひぴきに縫い込まれてゆく
     わが自動車の肌も夜つゆに湿りたり

     みやこにて夜昼となき
     わがわびしき作のつかれを
     こころゆくまで
     温泉につかり心しづめん


室生犀星さん、仕事に疲れて東京から車に乗って、温泉につかりにきたようです。名前は知っていますが、彼の事はほとんど知りません、むかし学校の教科書で習ったような・・・・・・そんな程度です。

『・・・水のひぴきに縫い込まれてゆく・・・』このあたりの表現が、文学ですねェ。


「龍化の滝」にあった「与謝野晶子の碑」、そして、「室生犀星の碑」、塩原は「文学の温泉」として、「企て」があるようです。



『はや日暮れとなり』ぼんやり灯った明かり、風に漂う秋桜・・・・・・、うーん。この風景、かなり「文学」しています。


「湯っ歩の里」のサイトを見たのですが、温泉だけで「文学」がありません、この施設に、もう少し「文学」があればと思います。


温泉と文学の組み合わせ、面白いと思います。温泉だけではなく、文学があると、「一粒で二度美味しい」気分になります。

おじさん、おばさん達は「得した」気分になるのです。すこしだけ「お利口」になった気分になるのです。

温泉につかって、文学する、いいと思います。

塩原には、まだ文学が有りそうです。

そろそろ宿に戻ることにします。


それでは、また明日。



コメント
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