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中野信子・著“ペルソナ―脳に潜む闇”を読んで

今回は中野信子・著“ペルソナ―脳に潜む闇”を読んだので、紹介したい。実をいうと、まぁここらで中野信子氏の本でも読んで脳科学の一端にも触れようかとの思いで読み始めた。表題にある“ペルソナ”は英語のpersonalityの語源であることは知っていたので、“人格や個性に潜む闇”の脳科学的解説だろうと誤解したのだ。ところが、実際に読んでみ始めると、“なんじゃ、こりゃぁ”との勘違いを思い知ることとなった。 読み進むにしたがって次第にようやく分かったのは、普通の家庭の、お勉強のできるお嬢さんが、親との葛藤、少女時代の孤独、男社会の壁・・・に悩みながら、精神的成長を思春期から青年期にかけてを綴ったものだったのだ。いわば著者自身の“仮面の告白”であり、その仮面がペルソナだったのだ。 著者はこの本の最後で“己の闇を見つめることは、人間にとって、認知のワクチン、心のワクチンのようなものだ”と断言する。続けて、“これは私の物語のようであって、そうではない。本来存在しないわたしが反射する読み手の皆さんの物語でもある。”そう、だから筆者も思春期について思い出したのであろう。 . . . 本文を読む
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