アメリカ型市場原理主義の終焉の始まりか

いよいよ、アメリカ型市場原理主義と 借金漬け経済体制が崩壊し始めた。
かつて跳梁し、やがて日本の政権中枢を占めていた市場原理主義者達は、つい先日まで“日本の愚かな人々”は何も分かっていない。少なくとも米国は“素早い対応をしている。日本の対応とは全く違う。”と言っていた。
この意図的で米国びいきの解説は誤っている。今の米国は“日本の場合と違い毒が早く回って、大慌てで対応しなければならなかった”というのが真相だ。
“改革者”の仮面をかぶった日本の市場原理主義者もこれ以上害悪を振りまくのを止めて早々に退場すべきであろう。

金融工学が 毒回りを早くしたのは 実に皮肉だ。金融で一国の経済を浮揚させることは 邪道であることがはっきりしてきた。いわば、米国の金融中心の市場原理主義は 根底から破綻し始めたのだ。つまり、一種のインチキ経済がようやく立ち行かなくなったのだ。
それは、日経新聞が伝えるように米国自動車メーカーの苦境に象徴的に現れている。

問題は これまでの米国を中心とした世界的な資金循環が急速に変化することだ。恐らくは それが先ずは金融収縮として現れるのだろう。現に米国に流入するべき資金の流れは 細っているようだ。ドルの信認は低下する一方だろう。
金融収縮の先の世界の姿は どうやら誰にも分かっていない、予測不能の世界のようだ。

やがて張りぼて経済の正体を現せば、米国の軍事的プレゼンスも低下するだろう。
またパキスタンや北朝鮮の核が闇世界に拡散する可能性も非常に高い。
さらに、食料不足が世界の安全を脅かすことにもなるだろう。
どうやらパックス・アメリカーナの崩壊とともに、世界の安全はこれまで通りではなくなることだけは明確のようだ。不安と混迷の時代の始まりなのだろう。
日本には主体的外交力ばかりではなく、基本的政策力や国家戦略が問われる時代が到来しているのだ。