The Rest Room of ISO Management
ISO休戦
藤巻健史・著“Xデイ到来 資産はこう守れ!”を読んで
4日朝、目覚めると飛び込んできたのが、北朝鮮のミサイル発射の警戒報道だった。7時22分の発射だったと思うが、報道やJアラートに載ったのは7時29分だったと思う。それも奇妙なアラートで、青森と東京都下島嶼部への警報であった。その後は発射の事実を伝えるのみで、引き続く経過報道は全くなされず、8時過ぎになってようやく津軽海峡部を通過して7時44分頃日本の太平洋EEZ外への弾着報道があった。
あの東京都下島嶼部への警報は一体何だったのだろうか。それと、発射直後、青森-岩手間の新幹線の運行は中止、北海道内のJR線も運航中止したとのことだったが、7時50分頃にはいずれも運行を再開していたようだ。それからすると、弾着後の報道やJアラートの沈黙は何だったのだろうか。JRはいち早く対応していたようなので、問題は少ないのだろうが、一般にも適時適切に経過報道があって良いのではないだろうか。
こういう報道でいつも不思議に思うのは、何故日本はミサイル迎撃をしないのか、ということだ。日本本土には被害が及ばないと判断して“破壊措置をしなかった”と言うが、もういい加減に北に思うがままの開発実験をさせないことがあっても良いのではないか。与党の一部には“反撃能力”の議論まで出ているようだが、その手前の迎撃能力の発揮があって然るべきだと思うのだが、どうなのだろう。
日本政府は北朝鮮に対し抗議するだけで、何ら実力行使をしない。なすがままの“遠吠え”状態なのだ。北朝鮮に一連の順調なミサイル開発を許して良いのだろうか。日本の上空を思うがままに使わせて良いのか。ミサイル開発阻止を目論むのならば、徹底した迎撃が必要な処置ではないのか。それともあのイージス艦や迎撃ミサイルは見せかけであって、実は確実な迎撃能力はないのが実態なのであろうか。“迎撃能力はあるぞ”との見せかけなのだろうか。見せかけに膨大な予算を“浪費”しているのか。
迎撃が当たり前のように可能ならば、北朝鮮がミサイルを打つたびに確実に迎撃していれば、順調なミサイル開発実験は容易に阻止できるのではないのか。実験結果が出なければ実験の意味はなくなる。日本政府は何故、それをせずに許容し、“遠吠え”を上げるだけなのだろうか。期待通りの実験結果が出るように日本上空を使わせて北に協力しているかのようだ。日本に通告のないミサイル発射をこのまま許容してよいのだろうか。
ウクライナ戦争。どうやらロシア軍は制空権を失っているらしい。そのため、ドローンすらまともに飛ばせない。その上物資不足の中、イランから大量に輸入したドローンは故障が多くて使えていないという。
ウクライナ軍の陽動作戦が成功した背景にはこういった要素があった、という。つまり、ロシア軍はウクライナ軍の動向を十分に把握できていないのだ、という。
その上ロシア軍は、現地前線軍の指揮官の権限が無く、中央の指令で動かざるをえないため前線指揮官は前線の兵士の信頼を得られず、士気が大幅に低下しているという。これは、開戦早々から指摘されていたことなのだが・・・。しかも新規に投入した補充兵を十分に武装させ訓練することもままならない。その結果、すでにウクライナ軍に投降するロシア軍補充兵もいるようだ。
ロシア軍のこの為体では、最早勝敗は明らかではないだろうか。ただ、プーチンがどういう段階で核を使うと決断するだろうか、という局面に限りなく近づいている。そうなれば敵味方双方の被害は甚大になり、プーチンの政治生命は確実に即座に終わるはずなのだが。
外国勢力の宗教団体には、日本の右派の心も奪われてしまったかのような不思議な現象には呆れてしまう。日本の右派には国粋主義者は居なかったのか。それで右派と言えるのか。
今や、衆院議員議長の動向に焦点が当たっているが、問題になるたびに当該宗教団体関連に参加した会合の数が増える。それで良いのか。普通に考えれば、もう更迭でしょう。
こんなに簡単に外国勢力に心を奪われているくらいだから、北朝鮮のミサイルも、EEZ内に落ちた中国のミサイルも迎撃しないのだろう。1発の迎撃成功率が100%でないというのならば、複数の迎撃処置が必要のはずだが、そうしたことを実施しないのは、そういうことではないか。
否、実は迎撃能力がないので、できなかった?できないことに無駄に金をかけているのは、今度は違う方向の外国勢力の餌食になっているからなのではないか。
実は日本の防衛力は、外国勢力によって穴だらけになっているのだ!暢気にしている場合ではないのだ!
さて、今回は藤巻健史・著“Xデイ到来 資産はこう守れ!”を読んだので紹介したい。何となくおどろおどろしい標題だが、これは藤巻氏のかねてからの主張である。このところの円安で、日本経済がどうなるのか気懸りだったので、読んでみたのだった。
その藤巻氏の略歴、及び本書の内容についての出版社情報と目次は以下の通り。
藤巻健史[フジマキタケシ]
1950年東京都生まれ。一橋大学商学部を卒業後、三井信託銀行に入行。1980年、社費留学で米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院にてMBAを取得。帰国後、三井信託銀行ロンドン支店勤務を経て、1985年に米銀のモルガン銀行に転職。同行で資金為替部長、東京支店長兼在日代表などを歴任し、東京市場屈指のディーラーとして世界に名を轟かせ、JPモルガンの会長から「伝説のディーラー」と称された。2000年にモルガン銀行を退職後、世界的投資家ジョージ・ソロス氏のアドバイザーを務めたほか、一橋大学経済学部で13年間、早稲田大学大学院商学研究科で6年間、半年の講座を受け持つ。2013年から2019年までは参議院議員を務めた。2020年に旭日中綬章を受章。日本金融学会所属。現在(株)フジマキ・ジャパン代表取締役。東洋学園大学理事。
出版社内容情報
インフレになっても、金利を上げられない日銀。円安、物価上昇はこれからが本番。
今、世界では長く続いていたデフレの時代が終わり、インフレ懸念が生じている。インフレが進むと国民の生活が苦しくなるため、各国の中郷銀行は金利を引き上げて、インフレを抑えようとしている。ところが、世界一の借金大国である日本は、金利を上げると、保有国債の金利も上がって評価損が出てしまうため、金利を上げることができない。そのため日銀の黒田総裁は、3月下旬から10年国債の0.25%での「指し値オペ」を始める始末。アメリカは徐々に金利を上げていくから、日米の金利差は開く一方で、ドル高円安も止まらなくなる可能性も。著者は、以前から警告してきたXデイ(日本経済が大混乱の陥る日)が近いと予測。この先、日本経済はどのように崩壊しているのか? 個人はXデイから自分の財産をどのように守ればいいのか?今こそ知っておくべき知識・情報が詰まった、日本国民必読の書。
目次
第1章 すさまじい米国のインフレ
第2章 米国の専門家は高インフレをこう見ている
第3章 今後の米国のマーケットはこう動く
第4章 世界のインフレ退治の流れにのれない日銀
第5章 為替の動向を予測する
第6章 「日銀が危ない」ことを理解するための基礎知識
第7章 日銀が債務超過になると何が起きるか
第8章 どういう経緯で借金大国に至ったのか
第9章 官僚、学会からの警告を聞け
第10章 日銀の大失態
第11章 日銀が危機的状況にあるこれだけの理由
第12章 日銀とFRBの健全性はこんなに違う
第13章 ハイパーインフレ後の日本経済
第14章 経済とお金のナゾに答える
第15章 日本のXデイに備えて財産を守れ!
終章 Xデイ後に日本が同じ間違いをしないために
おわりに
本書の主張・主旨はここに紹介した“出版社内容情報”に尽きる。著者の従来からの主張の域を出ていなかったのだ。
ただ付け加えれば、“物価コントロールは中央銀行の仕事であって、行政府の担当ではない”という主張が、肝になるのではないか。ところが、日本は物価上昇の渦中に会って、中央銀行の利上げではなく行政府が補助金を使って物価上昇をコントロールしようとしており、それがまた財政悪化に輪をかける結果となっている、という主張だ。これは正しい指摘だろう。
欧米諸国はこの役割分担がしっかり確立されているが、日本は日銀は政府の子会社だという意識が抜けきれていない。その点で欧米諸国から見て後進的であり、戦後まもなく日本円及び日本政府発行国債が屑になった経験から何も学んでいないことになる。
この話を補強しよう。日本銀行のウェッブサイトには“金融政策の独立性” についての説明が載っている。銃殺された元首相は黒田総裁を使って、アホノミクスでこれを滅茶苦茶にしたのだ。つまりデフレ克服のためと称して、超財政赤字にして赤字国債を日銀に買わせていたのだ。いわば“花見酒経済”を展開していただけ。経済成長は見られず、産業の新陳代謝も進まなかった。それがアホノミクスの真髄だったのだ。いわば補助金経済で、政権の御仲間が潤うだけなのだ。いみじくも東京五輪がそうだったのだ。
ところで、アホノミクスが行き詰まれば、ハイパーインフレになるはずなのだが、その対策は如何に。表題に“資産はこう守れ!”とあるのだから、それに触れなければサギなのだ。目次の第15章にそれは表記されている。そこでは先ず、『強い国のリスク資産を買うのが金持ちになる手段』だと言っているが、ここでは“強い国の資産”に重点があるのであって、決して“リスク資産”に重点がある訳ではなくここでは、“利殖には”リスク資産だ、と言っているに過ぎないという意味である。決して読み間違えないようにすることだ。そしてついでに“流動性のない金融商品に手を出さない”と言っている。ここで“強い国の資産”は流動性が相対的に高いことに注意するべきだ。
で、“ドル資産であれば、いろいろ分散して持つのがいいと思いますが、中心はドルの現金に近いもの。私自身は米ドルのMMFが好きです。”と回答を披歴している。
だから、ドル建て資産をもつことが主眼になる。だがよくよく考えてみれば、ハイパーインフレに備えるのであれば、円現金だけが危険となるのであり、土地など不動産や金銀財宝の現物は問題ないはずだ。或いは、株式。株はボロ株でない限り物価が上がれば、それにつれて上がるはず。株式ベースの投信も同じだろう。要するに、円現金や日本国債に関連しない金融資産は問題ないはずだと考えられる。急場には、米ドル現金をどう入手するかが問題なのかもしれない。
私も、金融資産の20%を米ドルに強いある信託銀行にはドル建て資産のみを預けている。残りのほぼ半分以上は日本株式関連となっているので、ハイパーインフレには抵抗力はあるはずだと考えている。
次に、気になるのがハイパーインフレの後どうなるのか、だ。著者は次のように言っている。“政府はハイパーインフレの鎮静化に取りかかるでしょう。方法は3つ考えられます。①ドルを法定通貨にする、②1946年のように日銀を残して預金封鎖し新券を発行する、③終戦後のドイツのように、古い中央銀行を廃し、新中央銀行を設立する、の3つです。”著者はこのうちの③だろうと予測している。①も候補として有り得るのだ。米ドル現金をどう容易に調達できるかも急場には問題なのだ。
但し気懸りなのは、私の記憶では藤巻氏は“不当な円高を円安に是正するべき”と1ドル100円未満時代に主張していて、リフレ派を補強していたように覚えていることだ。そして円高を是正すらすれば、日本経済は復活すると言っていた。その点、アホノミクスでは十分解消されたのだが、一向に日本経済は良くならなかった。藤巻氏にはそういう見立違いがあるのではなかろうか。それとも私の記憶違いであろうか。
それにしても、藤巻氏はいつまで“狼少年”を演じるきなのだろうか。10年前にも同じことを言っていた。一向にその“Xデイ”が出現しないのは何故なのか。それが語られないこと、それが日本の経済学の弱点なのだと思うのだが。今年も又、ノーベル経済学賞受賞は候補すら見当たらず、絶望的なのだろう。
又、この本のかくれた真髄は日本銀行のディールの機微が書かれている点だと思う。私は十分にその点を理解できなかったが、諸子は十分に読み味わって頂ければ良いのではないかと思うのだ。
あの東京都下島嶼部への警報は一体何だったのだろうか。それと、発射直後、青森-岩手間の新幹線の運行は中止、北海道内のJR線も運航中止したとのことだったが、7時50分頃にはいずれも運行を再開していたようだ。それからすると、弾着後の報道やJアラートの沈黙は何だったのだろうか。JRはいち早く対応していたようなので、問題は少ないのだろうが、一般にも適時適切に経過報道があって良いのではないだろうか。
こういう報道でいつも不思議に思うのは、何故日本はミサイル迎撃をしないのか、ということだ。日本本土には被害が及ばないと判断して“破壊措置をしなかった”と言うが、もういい加減に北に思うがままの開発実験をさせないことがあっても良いのではないか。与党の一部には“反撃能力”の議論まで出ているようだが、その手前の迎撃能力の発揮があって然るべきだと思うのだが、どうなのだろう。
日本政府は北朝鮮に対し抗議するだけで、何ら実力行使をしない。なすがままの“遠吠え”状態なのだ。北朝鮮に一連の順調なミサイル開発を許して良いのだろうか。日本の上空を思うがままに使わせて良いのか。ミサイル開発阻止を目論むのならば、徹底した迎撃が必要な処置ではないのか。それともあのイージス艦や迎撃ミサイルは見せかけであって、実は確実な迎撃能力はないのが実態なのであろうか。“迎撃能力はあるぞ”との見せかけなのだろうか。見せかけに膨大な予算を“浪費”しているのか。
迎撃が当たり前のように可能ならば、北朝鮮がミサイルを打つたびに確実に迎撃していれば、順調なミサイル開発実験は容易に阻止できるのではないのか。実験結果が出なければ実験の意味はなくなる。日本政府は何故、それをせずに許容し、“遠吠え”を上げるだけなのだろうか。期待通りの実験結果が出るように日本上空を使わせて北に協力しているかのようだ。日本に通告のないミサイル発射をこのまま許容してよいのだろうか。
ウクライナ戦争。どうやらロシア軍は制空権を失っているらしい。そのため、ドローンすらまともに飛ばせない。その上物資不足の中、イランから大量に輸入したドローンは故障が多くて使えていないという。
ウクライナ軍の陽動作戦が成功した背景にはこういった要素があった、という。つまり、ロシア軍はウクライナ軍の動向を十分に把握できていないのだ、という。
その上ロシア軍は、現地前線軍の指揮官の権限が無く、中央の指令で動かざるをえないため前線指揮官は前線の兵士の信頼を得られず、士気が大幅に低下しているという。これは、開戦早々から指摘されていたことなのだが・・・。しかも新規に投入した補充兵を十分に武装させ訓練することもままならない。その結果、すでにウクライナ軍に投降するロシア軍補充兵もいるようだ。
ロシア軍のこの為体では、最早勝敗は明らかではないだろうか。ただ、プーチンがどういう段階で核を使うと決断するだろうか、という局面に限りなく近づいている。そうなれば敵味方双方の被害は甚大になり、プーチンの政治生命は確実に即座に終わるはずなのだが。
外国勢力の宗教団体には、日本の右派の心も奪われてしまったかのような不思議な現象には呆れてしまう。日本の右派には国粋主義者は居なかったのか。それで右派と言えるのか。
今や、衆院議員議長の動向に焦点が当たっているが、問題になるたびに当該宗教団体関連に参加した会合の数が増える。それで良いのか。普通に考えれば、もう更迭でしょう。
こんなに簡単に外国勢力に心を奪われているくらいだから、北朝鮮のミサイルも、EEZ内に落ちた中国のミサイルも迎撃しないのだろう。1発の迎撃成功率が100%でないというのならば、複数の迎撃処置が必要のはずだが、そうしたことを実施しないのは、そういうことではないか。
否、実は迎撃能力がないので、できなかった?できないことに無駄に金をかけているのは、今度は違う方向の外国勢力の餌食になっているからなのではないか。
実は日本の防衛力は、外国勢力によって穴だらけになっているのだ!暢気にしている場合ではないのだ!
さて、今回は藤巻健史・著“Xデイ到来 資産はこう守れ!”を読んだので紹介したい。何となくおどろおどろしい標題だが、これは藤巻氏のかねてからの主張である。このところの円安で、日本経済がどうなるのか気懸りだったので、読んでみたのだった。
その藤巻氏の略歴、及び本書の内容についての出版社情報と目次は以下の通り。
藤巻健史[フジマキタケシ]
1950年東京都生まれ。一橋大学商学部を卒業後、三井信託銀行に入行。1980年、社費留学で米国ノースウェスタン大学ケロッグ経営大学院にてMBAを取得。帰国後、三井信託銀行ロンドン支店勤務を経て、1985年に米銀のモルガン銀行に転職。同行で資金為替部長、東京支店長兼在日代表などを歴任し、東京市場屈指のディーラーとして世界に名を轟かせ、JPモルガンの会長から「伝説のディーラー」と称された。2000年にモルガン銀行を退職後、世界的投資家ジョージ・ソロス氏のアドバイザーを務めたほか、一橋大学経済学部で13年間、早稲田大学大学院商学研究科で6年間、半年の講座を受け持つ。2013年から2019年までは参議院議員を務めた。2020年に旭日中綬章を受章。日本金融学会所属。現在(株)フジマキ・ジャパン代表取締役。東洋学園大学理事。
出版社内容情報
インフレになっても、金利を上げられない日銀。円安、物価上昇はこれからが本番。
今、世界では長く続いていたデフレの時代が終わり、インフレ懸念が生じている。インフレが進むと国民の生活が苦しくなるため、各国の中郷銀行は金利を引き上げて、インフレを抑えようとしている。ところが、世界一の借金大国である日本は、金利を上げると、保有国債の金利も上がって評価損が出てしまうため、金利を上げることができない。そのため日銀の黒田総裁は、3月下旬から10年国債の0.25%での「指し値オペ」を始める始末。アメリカは徐々に金利を上げていくから、日米の金利差は開く一方で、ドル高円安も止まらなくなる可能性も。著者は、以前から警告してきたXデイ(日本経済が大混乱の陥る日)が近いと予測。この先、日本経済はどのように崩壊しているのか? 個人はXデイから自分の財産をどのように守ればいいのか?今こそ知っておくべき知識・情報が詰まった、日本国民必読の書。
目次
第1章 すさまじい米国のインフレ
第2章 米国の専門家は高インフレをこう見ている
第3章 今後の米国のマーケットはこう動く
第4章 世界のインフレ退治の流れにのれない日銀
第5章 為替の動向を予測する
第6章 「日銀が危ない」ことを理解するための基礎知識
第7章 日銀が債務超過になると何が起きるか
第8章 どういう経緯で借金大国に至ったのか
第9章 官僚、学会からの警告を聞け
第10章 日銀の大失態
第11章 日銀が危機的状況にあるこれだけの理由
第12章 日銀とFRBの健全性はこんなに違う
第13章 ハイパーインフレ後の日本経済
第14章 経済とお金のナゾに答える
第15章 日本のXデイに備えて財産を守れ!
終章 Xデイ後に日本が同じ間違いをしないために
おわりに
本書の主張・主旨はここに紹介した“出版社内容情報”に尽きる。著者の従来からの主張の域を出ていなかったのだ。
ただ付け加えれば、“物価コントロールは中央銀行の仕事であって、行政府の担当ではない”という主張が、肝になるのではないか。ところが、日本は物価上昇の渦中に会って、中央銀行の利上げではなく行政府が補助金を使って物価上昇をコントロールしようとしており、それがまた財政悪化に輪をかける結果となっている、という主張だ。これは正しい指摘だろう。
欧米諸国はこの役割分担がしっかり確立されているが、日本は日銀は政府の子会社だという意識が抜けきれていない。その点で欧米諸国から見て後進的であり、戦後まもなく日本円及び日本政府発行国債が屑になった経験から何も学んでいないことになる。
この話を補強しよう。日本銀行のウェッブサイトには“金融政策の独立性” についての説明が載っている。銃殺された元首相は黒田総裁を使って、アホノミクスでこれを滅茶苦茶にしたのだ。つまりデフレ克服のためと称して、超財政赤字にして赤字国債を日銀に買わせていたのだ。いわば“花見酒経済”を展開していただけ。経済成長は見られず、産業の新陳代謝も進まなかった。それがアホノミクスの真髄だったのだ。いわば補助金経済で、政権の御仲間が潤うだけなのだ。いみじくも東京五輪がそうだったのだ。
ところで、アホノミクスが行き詰まれば、ハイパーインフレになるはずなのだが、その対策は如何に。表題に“資産はこう守れ!”とあるのだから、それに触れなければサギなのだ。目次の第15章にそれは表記されている。そこでは先ず、『強い国のリスク資産を買うのが金持ちになる手段』だと言っているが、ここでは“強い国の資産”に重点があるのであって、決して“リスク資産”に重点がある訳ではなくここでは、“利殖には”リスク資産だ、と言っているに過ぎないという意味である。決して読み間違えないようにすることだ。そしてついでに“流動性のない金融商品に手を出さない”と言っている。ここで“強い国の資産”は流動性が相対的に高いことに注意するべきだ。
で、“ドル資産であれば、いろいろ分散して持つのがいいと思いますが、中心はドルの現金に近いもの。私自身は米ドルのMMFが好きです。”と回答を披歴している。
だから、ドル建て資産をもつことが主眼になる。だがよくよく考えてみれば、ハイパーインフレに備えるのであれば、円現金だけが危険となるのであり、土地など不動産や金銀財宝の現物は問題ないはずだ。或いは、株式。株はボロ株でない限り物価が上がれば、それにつれて上がるはず。株式ベースの投信も同じだろう。要するに、円現金や日本国債に関連しない金融資産は問題ないはずだと考えられる。急場には、米ドル現金をどう入手するかが問題なのかもしれない。
私も、金融資産の20%を米ドルに強いある信託銀行にはドル建て資産のみを預けている。残りのほぼ半分以上は日本株式関連となっているので、ハイパーインフレには抵抗力はあるはずだと考えている。
次に、気になるのがハイパーインフレの後どうなるのか、だ。著者は次のように言っている。“政府はハイパーインフレの鎮静化に取りかかるでしょう。方法は3つ考えられます。①ドルを法定通貨にする、②1946年のように日銀を残して預金封鎖し新券を発行する、③終戦後のドイツのように、古い中央銀行を廃し、新中央銀行を設立する、の3つです。”著者はこのうちの③だろうと予測している。①も候補として有り得るのだ。米ドル現金をどう容易に調達できるかも急場には問題なのだ。
但し気懸りなのは、私の記憶では藤巻氏は“不当な円高を円安に是正するべき”と1ドル100円未満時代に主張していて、リフレ派を補強していたように覚えていることだ。そして円高を是正すらすれば、日本経済は復活すると言っていた。その点、アホノミクスでは十分解消されたのだが、一向に日本経済は良くならなかった。藤巻氏にはそういう見立違いがあるのではなかろうか。それとも私の記憶違いであろうか。
それにしても、藤巻氏はいつまで“狼少年”を演じるきなのだろうか。10年前にも同じことを言っていた。一向にその“Xデイ”が出現しないのは何故なのか。それが語られないこと、それが日本の経済学の弱点なのだと思うのだが。今年も又、ノーベル経済学賞受賞は候補すら見当たらず、絶望的なのだろう。
又、この本のかくれた真髄は日本銀行のディールの機微が書かれている点だと思う。私は十分にその点を理解できなかったが、諸子は十分に読み味わって頂ければ良いのではないかと思うのだ。
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