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“ISOを活かす―60. 文書の定期的なレビューによって、トラブルを防止する”


今回は 文書の定期的レビューというか見直しの必要性についてです。

【組織の問題点】
電器メーカーのA社では、製品ごとにQC工程図があります。これは、5年前のISO9001認証取得時に作成したのですが、現在では当時の製品の半分が生産中止となっています。一方、現在も生産されている残り半分の製品は設計変更や、工程変更がなされており、QC工程図が陳腐化したままになっています。
ところが、最近製造部に転入してきた人が、このQC工程図にしたがって仕事をしたところ、当然ながら品質問題が発生してしまったのです。
ISO9001ではこのQC工程図のような文書はどのようにすればよいのでしょうか、という課題です。

【磯野及泉のコメント】
著者・岩波氏は次の事項の順守を指摘しています。
①設計変更や工程変更などに応じて QC工程図に限らず品質文書は最新版に改訂すること。
②この改訂もれを防止するために定期的にレビューすること。
③品質文書の改訂の度合いをチェックして、文書内容が生きているかレビューすること。

ISO9001のシステムを運営している限り、これらの実施は当然のことであり、特に②は手順をルール(文書)化しておくべきです。

しかし、私が思うに この5年間の内部品質監査で、品質文書が的確に機能しているか、一度も検証されていなかった、というのは驚きです。組織によっては 年に2度内部監査するところも結構一般的のようですが、そうだとすると、品質文書の機能不全を10回も見落としたことになります。これは内部監査そのものが形骸化していることになり、QMS自体の機能不全も考えられる訳で、重大です。内部監査プロセスのどこに問題があったのか チェックするべきでしょう。
監査のテクニカル面での問題として、現状の品質文書にしたがって、製品監査や プロセス監査が実施されていなかったという問題があるものと思われます。

それから、これまで製造現場では 機能していない文書を見ずに何を基準に 製造していたのでしょうか。今まで品質トラブルは生じなかったとすれば、非常に幸運だったのでしょうか。新人が この旧文書で仕事をすると直ちにトラブルとなったことから、この文書には生産に重要なポイントが規定されていたものと思われます。となると、A社の現場には深い闇が存在することを窺わせ、背筋が寒くなるのを覚えます。
こういう視点からも このA社のQMSの機能不全というより、内部統制不全そのものも考えられます。

著者・岩波氏は この事例をさらりと やり過ごしていて、読む側も そういうムードでやり過ごしてしまいそうになりますが、このA社は 経営上重大な問題を内包しており、これは相当な危機と 言えなくもありません。A社経営者は 襟を正すべきです。ISOマネジメントを通じて この事態を是正できれば 幸いです。

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