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河村小百合・著“日本銀行―我が国に迫る危機”を読んで

スーダンの内戦が激化。ために自衛隊が邦人救出に輸送機をジプチに派遣した。このスーダンの内戦の原因が良く分からない。軍内部の権力闘争の表面化との見方もあるのだが。

一方、ウクライナ侵攻しているロシアの民間軍事会社“ワグネル”の創設者プリゴジン氏は14日、声明を発表し、ウクライナ東部や南部の一部をロシア側が占領していることを踏まえ、“作戦の終了を宣言し、ロシアが計画した成果を達成したと周知することが理想的だ”とSNSで表明したという。このワグネルはスーダンの金鉱で不法な採掘に関与しているとされるので、どうやらウクライナ侵攻に嫌気がさして、金の採掘に専念したいと思い始めたのか、との憶測も出ている。スーダンの内戦激化と関連があるのか。

プーチンはほぼ戦術核を使用するとの憶測が広まっているという。

陸自のヘリコプター事故について未だに原因が分かっていない。外部攻撃による爆発は、そういった音が聞こえるはずなので考えられないという。陸自のヘリコプターのためフライト・レコーダーが機外に装着されていなかったために、機体が海中に没してレコーダーが海上に浮上しなかったため、場所の特定が困難になったとのこともあるようだ。陸自が島嶼防衛のため海上に進出したために生じた問題でもあるようだ。

選挙遊説の岸田総理に向けて爆発物が投げ込まれた事件について、中国メディアは「悪夢の再演」で「日本はもう安全ではなくなった」と報じた、という。
SP(警視庁警備部警護課)と県警の連携不十分が原因とも言われている。安倍元首相への襲撃は奈良県で起きた。今度は和歌山県、やっぱり手薄の県警では十分な対応困難なのか。

知らなかったが、日本の現状は深刻な人手不足だという。ならば、賃金は総体的に上昇するはずだ。大企業だけに余力があって、自社の従業員を守るために“春闘”では快く賃金を上げたと思ったのだが、潜在的にこのような問題が社会全体にあるのが現実だったのであれば、賃金の上昇がきっかけにインフレに発展する可能性が大きいと思うべきなのかも知れない。これは重大な局面に差し掛かって来ているのかも知れない。



さて、今回紹介するのは日本の金融の総本山・日銀の金融政策に関する本である。河村小百合・著“日本銀行―我が国に迫る危機”(講談社現代新書)である。実は、著者があるTVのワイド・ショウ番組に出演して、実は日本が金融上の大危機を迎えているとの解説していたのを見て、その著書を検索して購入し、読んだものである。やっぱり、昨年秋の1ドル150円はヤバかったのか?
いつものように、以下に同書の概要を記す。

[出版社内容情報]
2013年日銀が「量的・質的金融緩和」(異次元緩和)を始めてからもうすぐ10年が経つ。世界経済の急激な局面の転換によって、わが国は、この“超低金利状態”を維持できるかどうかの瀬戸際、まさに崖っぷちに立っている。これまでの放漫財政路線を安易に継続し、異次元緩和を強引に押し通し続けようとすれば、遠からず、どういう事態に陥るのか。そして、それを回避するためには、私たちは何をなすべきなのか。世界の中央銀行の金融政策と財政に精通したエコノミストが警鐘を鳴らす。

異次元緩和は限界/日銀がいくらでも国債を買い入れられた時代はもう終わりだ

・長期金利は“糸の切れた凧”に
・新規国債発行ストップで、社会保障費も防衛費も義務教育の国庫負担金も一律4割カットに
・財政破綻したギリシャは預金者1人・週当たり約5万6700円の預金引き出し規制に
・最悪の事態を回避できる道はないのか

[目次]
プロローグ 異次元緩和から9年、ついに現れた不穏な兆候
第1章 日本銀行に迫る債務超過の危機
第2章 我が国の財政運営に待ち受ける事態
第3章 異次元緩和とはどのようなものだったのか
第4章 欧米中銀の金融政策運営との比較でわかる日銀の“異端”さ
第5章 異次元緩和が支えたアベノミクスと残された代償
第6章 事実上の財政破綻になったら何が起きるか―戦後日本の苛烈な国内債務調整
第7章 変動相場制下での財政破綻になったら何が起きるか―近年の欧州の経験
第8章 我が国の再生に向けての私たちの責務

[著者等紹介]河村小百合[カワムラサユリ]
株式会社日本総合研究所調査部主席研究員。1988年京都大学法学部卒業、日本銀行入行。1991年株式会社日本総合研究所入社。2019年より現職。財務省財政制度等審議会財政制度分科会臨時委員(現職)、国税庁国税審議会委員、厚生労働省社会保障審議会委員、内閣官房行政改革推進会議構成員(民間議員)等を歴任(本データはこの書籍が刊行された当時に掲載されていたものです)


日銀の危機?ドゥイゥコト?米
これは、コロナ禍の初期に始まる一件である。当初不景気になると見た米政府が巨額の財政支出を行い経済を支えたことから、或いは日本政府が巨額の赤字国債発行を継続し或いは増強して、デフレ脱却を図ろうとしたことから問題が生じている。
米国では、コロナ禍が終息し始め経済が復旧し始めると、市中に出回ったマネーが余剰化した。またロシアのウクライナ侵攻によって、モノ不足となるとモノとマネーの比率からインフレが生じ始め、急速な物価高となった。そこで、米中央銀行に当たる米連邦準備制度理事会(FRB)が急速に利上げを実施した。
ところが日本側はデフレ経済だったので、何とか日銀は市中にマネーを大量に供給し“2年で2%の物価上昇”を目標に“異次元緩和”を実施していたが、一向に物価上昇が見られなかった。そして16年1月にはマイナス金利政策の導入、16年9月、“イールドカーブ・コントロール(YCC)”を導入し、それまでの短期金利以外に長期金利(10年物国債の利回り)をゼロ近傍に抑え長期金利を何とか低く抑えた。当然ながら、日本はコロナ禍でもそれを継続強化。そこで、日米金利差が広がり、昨年10月、日本円が150円台(最高値10/21の152円)になった。



ところが、どうやら円安によって日本の物価も上昇し始めたが、賃金も抑えられたままだったので、物価高のみ進行する気配となった。そこで慌てて取り敢えず、為替介入をやって、現状の1ドル130円台に落ち着いている。
この間に、日銀は利上げを実施するなどして、金融の正常化に取り組まなければならない局面に至っている。ところがである、現状、日銀は簡単に利上げを行うことができないということなのだ。それは、利上げすると“日銀が債務超過”に陥ることになるからだ、という。それは“異次元緩和”が原因だというのだ。その説明が本書に縷々丁寧に書かれている。

日銀が大量の国債を買い入れている。22年度の買入は153.9兆円だったとされる。その結果、日銀の国債保有割合は過去最大の52%(昨年12月現在)となるとされる。国債は市中銀行から買い上げることになるので、それは日銀当座預金*に振り替えられる。その結果、日銀当座預金は543兆円(バランスシートのほぼ対価の保有国債581兆円)に上っているとされる。
ところが、短期金利を上げるとこの日銀当座預金の金利も上げなければならなくなる(付利;金融の中立性のため)。この付利によって日銀は債務超過になる可能性がある、というのがこの本の主張なのだ。
つまり、既に発行して日銀が保有している国債は低金利で、これから利上げを行うと当座預金に支払う利子が大きくなる。

受け取れる既発国債の利子<これから当座預金に支払う利子

という関係になり、日銀が損失をこうむることになるのだと言うのだ。

日本銀行当座預金は、主として次の3つの役割を果たしている。 
(1)金融機関が他の金融機関や日本銀行、あるいは国と取引を行う場合の決済手段
(2)金融機関が個人や企業に支払う現金通貨の支払準備
(3)準備預金制度の対象となっている金融機関の準備預金

ここで準備預金制度とは、対象となる金融機関に対して、「受け入れている預金等の一定比率(これを「準備率」といいます)以上の金額を日本銀行に預け入れること」を義務付ける制度。このようにして日本銀行に当座預金または準備預り金として預け入れなければならない最低金額を、「法定準備預金額」(または所要準備額)という。本制度は、1957年(昭和32年)に施行された「準備預金制度に関する法律」により、金融政策の手段として導入された。
準備預金制度の準備率については、日本銀行の政策委員会が金融政策決定会合において設定・変更・廃止する。


そして保有してしまったこの膨大な国債と今後の当座預金、この額が巨額であるために“受け取れる国債の利子<当座預金に支払う利子”の差額も膨大であり財政赤字の中、国庫補填による資本注入も容易ではないというのだ。つまり金利を上げると日銀の破綻は瀬戸際に立つことになる、ということなのだ。
そして、ことここに至った黒田前総裁の罪は深いと本書で、著者は口を極めている訳だ。まぁ黒田氏は、当初はアベノミクスの3本の矢の1本を担い放っただけなのだが、他の2本の矢は実行されず機能しなかった悲劇。
アホアホ元首相のアホアホ政策の御蔭とも言える悲劇ではないのか。或いは、その政策をヤルやると言ってやらなかった責任は大きい。その元首相は、偶然にもあの世に逃げ去った。
だが、そんなことを言ってられる場合では最早あるまい。中央銀行の破綻は、国家の財政破綻にもつながる。そうなれば、そのツケは国民が支払うことになる。国民の側としては、それをどのように避け、どのように耐えるのか、具体的に検討しなければなるまい。

ところで、先ほど日本の現状は人手不足だとの情報を掲げた。ならばそれをきっかけに賃金上昇は社会全体に至る可能性は大きい。ということは脆弱なままの赤字財政を抱えている日本は現今小康状態にある円ドル為替も、強烈な円安になり、それによる原料高にも見舞われることになる。さらに円安を仕掛ける目端の利いた外国のファンドはどうやら大勢居そうだ。奥の手の為替介入も外貨準備が尽きれば実施できなくなり、限りあることなのだ。その上、キャピタル・フライトも有り得るとの懸念も大いにあり、結果として円安となる。
それにより夢に見たインフレに至ることとなる。ところが、日本では主要な円安及びインフレ対策である金利を上げられない。(それも上げ過ぎると、欧米で起きたように市中銀行の資金流出・倒産も有り得る。)だがグズグズしていると、インフレがインフレを呼びハイパー・インフレになる可能性が高くなっていることになっているのだ。

ハイパー・インフレになれば、円の減価のために、具体的には“預金封鎖”が必ずあり得るものと考えるのが賢明だろう。この度、4月にどういうタイミングか日銀の総裁は交代した。新総裁は政府の側として、危機対策を具体的にどう進めるかの特別チームを密かに編成して検討・研究しているに違いないのだ。それも国民を巧みに収奪するきわめて具体的な方法を、なのだ。失政のツケは国民に付け回すのが常。危機はついそこまで来ていると見て良さそうだ!
衆愚政治の極みアホアホ政権、アホアホ元首相を支持したツケは巨大である!!かくしてこのアホアホ結果は日本歴史のアホアホ汚点として大きく残るのだ!!!!

あつ、それから言い忘れましたが来週はGW突入となりますので、一旦お休みとさせて頂きます。ヨロシク!

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