詐欺というのは、人の弱みにつけ込んだ商法が多いですね。
「母乳で育てたい」という意識が強いお母さん達をターゲットとした「偽母乳ビジネス」が摘発されました。
細菌で汚染されたニセ母乳を飲ませると赤ちゃんに健康被害が発生する可能性があります。
さらに、HTLVなど、母乳を介する感染症のリスクも無視できません。
■ 偽「母乳」ネット販売:購入の母「まるで詐欺」「息子に謝りたい」
(毎日新聞 2015年07月03日)
インターネットの通信販売で、わらをもつかむ思いで手に入れた「母乳」は、不衛生な偽物だった。「息子に謝りたい」。購入して長男に飲ませてしまった東京都在住の会社員の30代女性は、声を震わせた。
今年2月、第1子の長男を産んだ。しかし、母乳がほとんど出ない。「1歳まで母乳以外を与えてはいけない」。ネット上の誤った情報に「母親なんだから我が子を母乳で育てるのは当然」と思い込んでいた。母乳が出やすくなるというハーブティーを買い込み、個人経営の助産師にマッサージしてもらったが、飲める量は出なかった。
周囲から「粉ミルクでも立派に育つ」と諭されても納得できず、ママ仲間への相談も「出来損ないの母親と見られそうでできなかった」。夫に「母親失格で、養子に出したい」とまで泣いて訴えた。
助産師は「赤ちゃんのために頑張って母乳をあげて」と励ましてくれた。それでも出ない時の絶望感。「まるで母乳ノイローゼのようだった」。追い詰められ、知人から母乳の売買を掲げる業者を紹介してもらった。
2月下旬、ホームページ(HP)にあるメールアドレスに、住所や電話番号などと、知人から教えられた過去の購入者の名前を書いて送った。2日後に「担当のサイトウ」を名乗る男性から電話があった。「母乳は人気が高くて品薄だが、今なら少しストックがある」。50ミリリットル単位の冷凍パックに入れて凍らせ、代金引換の宅配便で送る。搾ってから4カ月後は1パック5000円、6カ月後は4500円、約1年は3000円--。
HPでは用途を「母乳風呂やせっけんなど」と説明し、電話でも「飲料に使うなら自己責任。クレームは受け付けない」と念を押された。
女性は、2万円で、「4カ月後」を4パック注文した。届いたパックに同封された「イクミ」名義の手紙は「食べものにも生活にも気をつかっているのできっとおいしいおっぱいです」と飲料を前提としていた。
長男は1パック目を「ごくごく飲んだ」。粉ミルクよりよく飲んだようで安心した。
異変は3月に2パック目を解凍した際に起きた。白い粉のようなものが浮いていた。なめると母乳より甘みが濃いような気がして、そのまま捨てた。子供の体調に異常がなかったのが幸いだった。
毎日新聞が「母乳」の検査・分析結果を伝えると、女性は10秒ほど絶句してから「自業自得だが、まず息子に謝りたい」。そして「母乳にこだわる母親の悩みに付け込んだ取引で、まるで悪質な詐欺。子供への被害が広がる前に規制してほしい」と語った。
【解説】
今回の「母乳」ネット販売業者は、かつて慣習だった「もらい乳」をビジネス化していた。思うように母乳を与えられずに悩み、焦り、罪悪感を抱える母親が少なくないうえ、産院や自治体によって授乳の指導や助言がまちまちであることが背景にある。そうした状況を狙うかのように不衛生な「偽母乳」を売るのは極めて悪質で、関係機関は母乳売買の規制や対策を急ぐべきだ。
母乳を与えると、細菌性髄膜炎や壊死(えし)性腸炎などの発生率と重症度が下がり、乳幼児突然死症候群(SIDS)や白血病、アレルギー性疾患のリスクが減る。厚生労働省の乳幼児栄養調査(2005年)では妊娠中の女性の96%が「母乳で育てたい」と回答。しかし実際に母乳だけで育てている割合は生後から1カ月が42・4%、3カ月は38・0%。授乳の悩みでは「母乳が不足ぎみ、出ない」が48・1%で最多だった。
ネットではこの業者以外にも、母乳の売買を呼びかける業者や個人ブログがあり、利用者がいる可能性がある。
昭和大江東豊洲病院の水野克己・小児内科教授は「完全母乳ではなく、粉ミルクとの混合授乳で良い。母乳を数滴飲んでくれたら、母乳育児を行ったことになる」と語る。母乳が出にくくても肌は触れ合える。母乳育児を「成功」や「失敗」で語らず、自信を持って子供に向き合ってほしい。
次は分析内容を伝える記事です。
粉ミルクの成分も検出されるので、「乳アレルギー」の赤ちゃんは症状が出る可能性があります。
■ 偽「母乳」ネット販売:細菌1000倍、乳児に危険
(毎日新聞 2015年07月03日)
インターネットで販売されている「新鮮な母乳」をうたった商品を毎日新聞が入手した。複数の検査機関で分析したところ、少量の母乳に粉ミルクと水を加えた可能性が高い偽物と判明した。栄養分は通常の母乳の半分程度で、細菌量は最大1000倍。病原菌などが混入した食品販売を禁止する食品衛生法に抵触する恐れがあり、医療関係者は「乳児に飲ませるのは危険」と警鐘を鳴らしている。毎日新聞はネット上で他にも母乳販売をうたうサイトを確認している。
入手したのは、今年長男を出産した東京都在住の30代女性が、母乳販売をうたう業者のサイトで2月に買った50ミリリットル冷凍パック4個のうちの2個。1パック5000円だった。国内唯一の「母乳バンク」がある昭和大江東豊洲病院(東京都江東区)と、一般財団法人「日本食品分析センター」(渋谷区)に検査と分析を依頼した。
その結果、母乳にはないたんぱく質「βラクトグロブリン」が検出された。乳アレルギーの子供が飲めば強い反応が出るレベルで含まれていた。脂肪や乳糖(炭水化物)は一般的な母乳の半分程度。同病院の水野克己小児内科教授は「脂肪分が少ない状態の母乳を、水で希釈した粉ミルクに混ぜた可能性が高い」と指摘した。
検出された細菌はレンサ球菌など3種類。母乳バンクで安全としている一般的な母乳の100~1000倍で、免疫力の低い小児らが摂取すれば、敗血症などを引き起こす恐れがある。山崎伸二大阪府立大教授(細菌学)は「極めて不衛生な環境で製造、保管されていたことが疑われる。病原性の弱い菌なので健康な人が摂取すれば大きな問題はないだろうが、腸管の発達が不十分な乳児は思わぬ健康被害が生じる恐れがある。絶対に飲ませるべきではない」と話した。
販売業者は用途を「母乳風呂」用などとする。1日10件程度の購入の問い合わせがあり、会員は約300人としたうえで、「品質や安全性を保証できず、飲用を控えるようアピールしているが飲むかどうかは自由」と説明。しかし、女性が受け取った同封の手紙は飲用を推奨する内容だった。
厚生労働省監視安全課によると、国内で母乳の販売は規制されていない。衛生上問題のある母乳の販売について「母乳は体液なので区別が難しいが、食品として扱うとしても不衛生なものは食品衛生法に抵触する可能性があるし、売買すべきものではない」としている。
早産児・低出生体重児を扱うNICUでは、お母さんが自ら搾乳したおっぱいを冷凍してお父さんが運んでくる、ということが日常的に行われています。
それが進化したのが昭和大学の「母乳バンク」ですが、日本で1つしかありません。母乳の提供者に登録するには越えるべきハードルが設定され、また処理・保存には細心の注意がくばられています。
■ 母乳ネット販売:厚労省など自治体に注意呼びかけ
(毎日新聞 2015年07月03日)
インターネットで不衛生な偽「母乳」が販売されている実態を明らかにした毎日新聞の報道を受け、厚生労働省は3日、衛生管理状況が不明な母乳を乳幼児に与えることに注意を呼びかける通知を全国の自治体に出した。問題がある母乳の販売業者には販売停止などの指導をするよう求めている。また、消費者庁も同日、同様の注意を喚起した。一方、医療関係者も「厳密な安全確認を重ねない限り、他人の母乳を与える行為はリスクが大きすぎて許されない」と訴えている。
厚労省は文書で、既往歴や搾乳方法、保管方法などの衛生管理状況が不明な第三者の母乳について、「病原体や医薬品の化学物質などが母乳中に存在した場合、これらに暴露するリスクや衛生面のリスクがある」と指摘。母乳を通じて感染する可能性がある病原体の例として、エイズウイルス(HIV)や、白血病ウイルス(HTLV-1)を挙げている。
その上で、妊産婦訪問、新生児訪問、乳幼児健康診査などを利用し妊産婦や乳幼児の養育者に、ネット販売されている母乳のリスクを広く注意喚起するよう求めた。
ネット販売の母乳の危険性は、昨年7月に設立された国内唯一の「母乳バンク」を持つ昭和大江東豊洲病院(東京都江東区)の取り組みからうかがい知ることができる。
同バンクは早産や病気などで母乳が出にくい母親に代わり、医療目的で別の女性の母乳を赤ちゃんに与える機能を持つ。使われる母乳は、徹底的に安全を追求したものだ。提供する女性は血液検査を受け、感染症の有無、飲酒や喫煙の習慣のチェックを経て、ようやくドナーとして登録される。
ドナーが自宅で搾った母乳はすぐ冷凍してバンクに送付。細菌検査や母乳成分の基準をクリアすれば、さらに62・5度で30分間、低温殺菌処理される。これで細菌がないことが確認されたものが、マイナス70度で冷凍保存されて出番を待つ。しかし、冷凍保存期間は3カ月が限度。解凍した場合は一気に細菌が繁殖するため、24時間以内の利用が必要だという。
バンクの運営を主導する水野克己・小児内科教授は「安全な母乳を全国に提供できるシステムを早期に整備し、ネット売買をなくしたい」と話している。
振り込め詐欺にしても、このニセ母乳ビジネスにしても、人をだまして金儲けをする輩が目立つ日本社会になってしまいました。残念なことです。
「母乳で育てたい」という意識が強いお母さん達をターゲットとした「偽母乳ビジネス」が摘発されました。
細菌で汚染されたニセ母乳を飲ませると赤ちゃんに健康被害が発生する可能性があります。
さらに、HTLVなど、母乳を介する感染症のリスクも無視できません。
■ 偽「母乳」ネット販売:購入の母「まるで詐欺」「息子に謝りたい」
(毎日新聞 2015年07月03日)
インターネットの通信販売で、わらをもつかむ思いで手に入れた「母乳」は、不衛生な偽物だった。「息子に謝りたい」。購入して長男に飲ませてしまった東京都在住の会社員の30代女性は、声を震わせた。
今年2月、第1子の長男を産んだ。しかし、母乳がほとんど出ない。「1歳まで母乳以外を与えてはいけない」。ネット上の誤った情報に「母親なんだから我が子を母乳で育てるのは当然」と思い込んでいた。母乳が出やすくなるというハーブティーを買い込み、個人経営の助産師にマッサージしてもらったが、飲める量は出なかった。
周囲から「粉ミルクでも立派に育つ」と諭されても納得できず、ママ仲間への相談も「出来損ないの母親と見られそうでできなかった」。夫に「母親失格で、養子に出したい」とまで泣いて訴えた。
助産師は「赤ちゃんのために頑張って母乳をあげて」と励ましてくれた。それでも出ない時の絶望感。「まるで母乳ノイローゼのようだった」。追い詰められ、知人から母乳の売買を掲げる業者を紹介してもらった。
2月下旬、ホームページ(HP)にあるメールアドレスに、住所や電話番号などと、知人から教えられた過去の購入者の名前を書いて送った。2日後に「担当のサイトウ」を名乗る男性から電話があった。「母乳は人気が高くて品薄だが、今なら少しストックがある」。50ミリリットル単位の冷凍パックに入れて凍らせ、代金引換の宅配便で送る。搾ってから4カ月後は1パック5000円、6カ月後は4500円、約1年は3000円--。
HPでは用途を「母乳風呂やせっけんなど」と説明し、電話でも「飲料に使うなら自己責任。クレームは受け付けない」と念を押された。
女性は、2万円で、「4カ月後」を4パック注文した。届いたパックに同封された「イクミ」名義の手紙は「食べものにも生活にも気をつかっているのできっとおいしいおっぱいです」と飲料を前提としていた。
長男は1パック目を「ごくごく飲んだ」。粉ミルクよりよく飲んだようで安心した。
異変は3月に2パック目を解凍した際に起きた。白い粉のようなものが浮いていた。なめると母乳より甘みが濃いような気がして、そのまま捨てた。子供の体調に異常がなかったのが幸いだった。
毎日新聞が「母乳」の検査・分析結果を伝えると、女性は10秒ほど絶句してから「自業自得だが、まず息子に謝りたい」。そして「母乳にこだわる母親の悩みに付け込んだ取引で、まるで悪質な詐欺。子供への被害が広がる前に規制してほしい」と語った。
【解説】
今回の「母乳」ネット販売業者は、かつて慣習だった「もらい乳」をビジネス化していた。思うように母乳を与えられずに悩み、焦り、罪悪感を抱える母親が少なくないうえ、産院や自治体によって授乳の指導や助言がまちまちであることが背景にある。そうした状況を狙うかのように不衛生な「偽母乳」を売るのは極めて悪質で、関係機関は母乳売買の規制や対策を急ぐべきだ。
母乳を与えると、細菌性髄膜炎や壊死(えし)性腸炎などの発生率と重症度が下がり、乳幼児突然死症候群(SIDS)や白血病、アレルギー性疾患のリスクが減る。厚生労働省の乳幼児栄養調査(2005年)では妊娠中の女性の96%が「母乳で育てたい」と回答。しかし実際に母乳だけで育てている割合は生後から1カ月が42・4%、3カ月は38・0%。授乳の悩みでは「母乳が不足ぎみ、出ない」が48・1%で最多だった。
ネットではこの業者以外にも、母乳の売買を呼びかける業者や個人ブログがあり、利用者がいる可能性がある。
昭和大江東豊洲病院の水野克己・小児内科教授は「完全母乳ではなく、粉ミルクとの混合授乳で良い。母乳を数滴飲んでくれたら、母乳育児を行ったことになる」と語る。母乳が出にくくても肌は触れ合える。母乳育児を「成功」や「失敗」で語らず、自信を持って子供に向き合ってほしい。
次は分析内容を伝える記事です。
粉ミルクの成分も検出されるので、「乳アレルギー」の赤ちゃんは症状が出る可能性があります。
■ 偽「母乳」ネット販売:細菌1000倍、乳児に危険
(毎日新聞 2015年07月03日)
インターネットで販売されている「新鮮な母乳」をうたった商品を毎日新聞が入手した。複数の検査機関で分析したところ、少量の母乳に粉ミルクと水を加えた可能性が高い偽物と判明した。栄養分は通常の母乳の半分程度で、細菌量は最大1000倍。病原菌などが混入した食品販売を禁止する食品衛生法に抵触する恐れがあり、医療関係者は「乳児に飲ませるのは危険」と警鐘を鳴らしている。毎日新聞はネット上で他にも母乳販売をうたうサイトを確認している。
入手したのは、今年長男を出産した東京都在住の30代女性が、母乳販売をうたう業者のサイトで2月に買った50ミリリットル冷凍パック4個のうちの2個。1パック5000円だった。国内唯一の「母乳バンク」がある昭和大江東豊洲病院(東京都江東区)と、一般財団法人「日本食品分析センター」(渋谷区)に検査と分析を依頼した。
その結果、母乳にはないたんぱく質「βラクトグロブリン」が検出された。乳アレルギーの子供が飲めば強い反応が出るレベルで含まれていた。脂肪や乳糖(炭水化物)は一般的な母乳の半分程度。同病院の水野克己小児内科教授は「脂肪分が少ない状態の母乳を、水で希釈した粉ミルクに混ぜた可能性が高い」と指摘した。
検出された細菌はレンサ球菌など3種類。母乳バンクで安全としている一般的な母乳の100~1000倍で、免疫力の低い小児らが摂取すれば、敗血症などを引き起こす恐れがある。山崎伸二大阪府立大教授(細菌学)は「極めて不衛生な環境で製造、保管されていたことが疑われる。病原性の弱い菌なので健康な人が摂取すれば大きな問題はないだろうが、腸管の発達が不十分な乳児は思わぬ健康被害が生じる恐れがある。絶対に飲ませるべきではない」と話した。
販売業者は用途を「母乳風呂」用などとする。1日10件程度の購入の問い合わせがあり、会員は約300人としたうえで、「品質や安全性を保証できず、飲用を控えるようアピールしているが飲むかどうかは自由」と説明。しかし、女性が受け取った同封の手紙は飲用を推奨する内容だった。
厚生労働省監視安全課によると、国内で母乳の販売は規制されていない。衛生上問題のある母乳の販売について「母乳は体液なので区別が難しいが、食品として扱うとしても不衛生なものは食品衛生法に抵触する可能性があるし、売買すべきものではない」としている。
早産児・低出生体重児を扱うNICUでは、お母さんが自ら搾乳したおっぱいを冷凍してお父さんが運んでくる、ということが日常的に行われています。
それが進化したのが昭和大学の「母乳バンク」ですが、日本で1つしかありません。母乳の提供者に登録するには越えるべきハードルが設定され、また処理・保存には細心の注意がくばられています。
■ 母乳ネット販売:厚労省など自治体に注意呼びかけ
(毎日新聞 2015年07月03日)
インターネットで不衛生な偽「母乳」が販売されている実態を明らかにした毎日新聞の報道を受け、厚生労働省は3日、衛生管理状況が不明な母乳を乳幼児に与えることに注意を呼びかける通知を全国の自治体に出した。問題がある母乳の販売業者には販売停止などの指導をするよう求めている。また、消費者庁も同日、同様の注意を喚起した。一方、医療関係者も「厳密な安全確認を重ねない限り、他人の母乳を与える行為はリスクが大きすぎて許されない」と訴えている。
厚労省は文書で、既往歴や搾乳方法、保管方法などの衛生管理状況が不明な第三者の母乳について、「病原体や医薬品の化学物質などが母乳中に存在した場合、これらに暴露するリスクや衛生面のリスクがある」と指摘。母乳を通じて感染する可能性がある病原体の例として、エイズウイルス(HIV)や、白血病ウイルス(HTLV-1)を挙げている。
その上で、妊産婦訪問、新生児訪問、乳幼児健康診査などを利用し妊産婦や乳幼児の養育者に、ネット販売されている母乳のリスクを広く注意喚起するよう求めた。
ネット販売の母乳の危険性は、昨年7月に設立された国内唯一の「母乳バンク」を持つ昭和大江東豊洲病院(東京都江東区)の取り組みからうかがい知ることができる。
同バンクは早産や病気などで母乳が出にくい母親に代わり、医療目的で別の女性の母乳を赤ちゃんに与える機能を持つ。使われる母乳は、徹底的に安全を追求したものだ。提供する女性は血液検査を受け、感染症の有無、飲酒や喫煙の習慣のチェックを経て、ようやくドナーとして登録される。
ドナーが自宅で搾った母乳はすぐ冷凍してバンクに送付。細菌検査や母乳成分の基準をクリアすれば、さらに62・5度で30分間、低温殺菌処理される。これで細菌がないことが確認されたものが、マイナス70度で冷凍保存されて出番を待つ。しかし、冷凍保存期間は3カ月が限度。解凍した場合は一気に細菌が繁殖するため、24時間以内の利用が必要だという。
バンクの運営を主導する水野克己・小児内科教授は「安全な母乳を全国に提供できるシステムを早期に整備し、ネット売買をなくしたい」と話している。
振り込め詐欺にしても、このニセ母乳ビジネスにしても、人をだまして金儲けをする輩が目立つ日本社会になってしまいました。残念なことです。