病院勤務医を辞してから8年近く経ちました。
下記ニュースを目にして、勤務医時代を思い出し、つらい記憶が甦りました;
■ 医師当直は時間外労働…割増賃金命じた判決確定(読売新聞 2013年2月13日)
奈良県立奈良病院の産婦人科医2人が県を相手取り、夜間・休日の当直勤務に対して割増賃金を支払うよう求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は12日の決定で県側の上告を退けた。
当直は労働基準法上の時間外労働に当たるとして、県に計約1540万円の支払いを命じた1、2審判決が確定した。
同法は、時間外や休日に労働させた場合、通常より割り増しした賃金を支払うと規定。2人は2004-05年、各年100回以上の当直をこなしたが、県は「医師の当直は待機時間が多く、時間外勤務に当たらない」として、1回2万円の手当だけ支給していた。
1審・奈良地裁判決は、原告らが当直中に分娩(ぶんべん)の取り扱いや救急医療を行うなど、勤務時間の4分の1は通常業務に従事し、待機時間も呼び出しに応じられるよう準備していたなどとして、県には割増賃金を支払う義務があると指摘。2審・大阪高裁も支持していた。
私は小児科医なので、内科系当直を担当していました。
内科疾患の診療経験がなくても「断ってはいけない」との上からのお達しで、救急搬送される重症患者の診療も行わざるを得ず、非常に大きなストレスでした。
夜間もコンスタントに患者さんが来院され、眠りかけると1時間ごとに起こされて診療に当たりました。
それでも翌日の仕事があるので寝る努力をし・・・また起こされることを繰り返しているうちに東の空が明るくなってくるのでした。
3時間まとめて眠ることができると「ラッキー」というレベル。
ある種の拷問のように感じました。
「ポケベル待機」は呼ばれない限り報酬はゼロです。
でも、呼ばれたら30分以内に病院へ駆けつけなければいけないという不文律がありました。
つまり遠出はできない、アルコールも飲めないという「足かせ」をはめられる業務です。
無報酬で有資格者を拘束するなんて、人権侵害も甚だしい。
上記記事のように計算すると、強制されたボランティア労働の対価はわたしでも相当な額になりそうです。
このような労働環境では、30歳台まではなんとか体力が持ちますが、40歳を過ぎると体がボロボロになります。
特に当直明けは仕事になりません。
不条理を感じながらも訴訟を起こす元気もなく、このままでは早死にすると危険を感じて開業を考えるに至りました。
医療崩壊(勤務医が燃え尽きて脱落する)を止めるためには、救急医療を掲げる病院に対して「当直医師に2交代制を義務づける」くらいのルールを作らない限り無理だと思います。現在も医師以外の事務職や看護師は2交代制なのに、医師だけ過酷勤務を強いられているのです。
「医療費を他の先進国並みに引き上げる」と公約を掲げた民主党政権は医療費抑制路線から舵を切れないまま自滅・消滅しました。
さあ、自民党政権のお手並み拝見です。
あまり期待していませんけど。
下記ニュースを目にして、勤務医時代を思い出し、つらい記憶が甦りました;
■ 医師当直は時間外労働…割増賃金命じた判決確定(読売新聞 2013年2月13日)
奈良県立奈良病院の産婦人科医2人が県を相手取り、夜間・休日の当直勤務に対して割増賃金を支払うよう求めた訴訟で、最高裁第3小法廷(大谷剛彦裁判長)は12日の決定で県側の上告を退けた。
当直は労働基準法上の時間外労働に当たるとして、県に計約1540万円の支払いを命じた1、2審判決が確定した。
同法は、時間外や休日に労働させた場合、通常より割り増しした賃金を支払うと規定。2人は2004-05年、各年100回以上の当直をこなしたが、県は「医師の当直は待機時間が多く、時間外勤務に当たらない」として、1回2万円の手当だけ支給していた。
1審・奈良地裁判決は、原告らが当直中に分娩(ぶんべん)の取り扱いや救急医療を行うなど、勤務時間の4分の1は通常業務に従事し、待機時間も呼び出しに応じられるよう準備していたなどとして、県には割増賃金を支払う義務があると指摘。2審・大阪高裁も支持していた。
私は小児科医なので、内科系当直を担当していました。
内科疾患の診療経験がなくても「断ってはいけない」との上からのお達しで、救急搬送される重症患者の診療も行わざるを得ず、非常に大きなストレスでした。
夜間もコンスタントに患者さんが来院され、眠りかけると1時間ごとに起こされて診療に当たりました。
それでも翌日の仕事があるので寝る努力をし・・・また起こされることを繰り返しているうちに東の空が明るくなってくるのでした。
3時間まとめて眠ることができると「ラッキー」というレベル。
ある種の拷問のように感じました。
「ポケベル待機」は呼ばれない限り報酬はゼロです。
でも、呼ばれたら30分以内に病院へ駆けつけなければいけないという不文律がありました。
つまり遠出はできない、アルコールも飲めないという「足かせ」をはめられる業務です。
無報酬で有資格者を拘束するなんて、人権侵害も甚だしい。
上記記事のように計算すると、強制されたボランティア労働の対価はわたしでも相当な額になりそうです。
このような労働環境では、30歳台まではなんとか体力が持ちますが、40歳を過ぎると体がボロボロになります。
特に当直明けは仕事になりません。
不条理を感じながらも訴訟を起こす元気もなく、このままでは早死にすると危険を感じて開業を考えるに至りました。
医療崩壊(勤務医が燃え尽きて脱落する)を止めるためには、救急医療を掲げる病院に対して「当直医師に2交代制を義務づける」くらいのルールを作らない限り無理だと思います。現在も医師以外の事務職や看護師は2交代制なのに、医師だけ過酷勤務を強いられているのです。
「医療費を他の先進国並みに引き上げる」と公約を掲げた民主党政権は医療費抑制路線から舵を切れないまま自滅・消滅しました。
さあ、自民党政権のお手並み拝見です。
あまり期待していませんけど。