徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

HPVワクチン副反応はえん罪?

2016年06月29日 11時08分47秒 | 小児科診療
 先日扱ったHPVワクチンの副反応ねつ造データがメディアに取り上げられました。
 EBMという世界の最先端でしのぎを削る大学教授たちが、このような非科学的な行為に走ることが私には信じられません。今まで積み上げてきた業績がゼロになり学会から追放されてしまうのですから・・・よほどの外部圧力があったのでしょう。

■ 子宮頸がんワクチン、厚労省の副作用研究に「疑い」...信州大が調査へ
2016年6月28日 読売新聞
 信州大学は、子宮頸がんワクチンの副作用の仕組みなどを研究している厚生労働省研究班代表、池田修一教授(脳神経内科)の発表内容について、学内で調査することを決めた。
 発表は3月16日、厚生労働省内で池田教授が行った。自己免疫疾患を起こしやすいように遺伝子操作したマウスに子宮頸がんなど3種のワクチンなどを打ったところ、子宮頸がんを打ったマウスだけに脳を攻撃する異常な抗体が出来た、などと説明した。これに対して今月20日頃、外部の研究者から、「実験を行ったマウスは1匹ではないか」「実験手法やデータに疑いがある」などの指摘があった。


■ HPVワクチン研究に疑義 信州大が調査へ
2016.6.28:産経新聞
 厚生労働省研究班(代表=池田修一信州大教授)が行っている子宮頸(けい)がんワクチン接種後の障害に関する研究に疑義が寄せられたとして、信州大が事実関係を調査することが28日、大学への取材で分かった。研究不正防止の指針に基づき学内に予備調査委員会を設置し、本格的な調査が必要かどうかを判断する。
 研究班は3月、厚労省で「免疫異常を起こしやすいマウスにワクチンを打つと、子宮頸がんワクチンを打ったマウスの脳にだけ異常が現れた」とする研究結果を発表。しかし、研究デザインやデータの取り方について外部の研究者らから疑義が寄せられた。大学は近く調査を始め、必要があれば外部委員を含む調査委員会を設置する。


 こちらも外部圧力をうかがわせるニュースです;

■ 子宮頸がんワクチン調査 名古屋市が結果を事実上撤回
2016.6.26:NHK
子宮頸がんワクチンの接種後に出た体の痛みや記憶力の低下はワクチンによるものかどうか、全国で初めて大規模調査を行った名古屋市が、ワクチンを接種したグループとしなかったグループとの間に症状の差は無かったとする分析結果を事実上撤回し、今後、データの分析はしない方針であることが分かりました。
このアンケート調査は、去年、名古屋市が市内の中学3年生から大学3年生の女性およそ7万人に、体の痛みや記憶力の低下など24の症状の有無を尋ねたもので、子宮頸がんワクチンを接種したグループとしなかったグループとで症状の出方に違いがあるかを比較する全国初の大規模調査として注目されました。
名古屋市は、去年12月、2つのグループの間に有意な差は無かったとする見解を発表していましたが、今月出された最終報告書では、この見解を事実上撤回して調査の生データを示すにとどまり、今後、データの分析は行わない方針であることが分かりました。名古屋市は、12月のデータの分析方法に疑問の声が寄せられたためとしています。
薬の副作用の問題に詳しい京都大学の川上浩司教授は、名古屋市が独自に調査したこと自体は評価されるべきだとしたうえで、「専門家の間でもデータの分析のしかたで意見が分かれることもあるが、調査は7万人の市民に協力を求めたもので、市民がいちばん知りたい疑問に答えるべきではないか」と話しています。
ワクチンと症状との関係については、国も同様の調査を行っていますが、結果がいつ出るのか見通しは立っていません。
◇ 接種の積極的な呼びかけ中止して3年以上経過
子宮頸がんワクチンを巡っては、国が接種の積極的な呼びかけを中止して3年以上が経過する異例の事態となっています。
国は、呼びかけを再開するかどうか判断するため、全国の医療機関を通じて同様の症状が出ている患者の状況を確認し、ワクチンの接種と症状の因果関係を調べる調査を去年から始めています。しかし、現在は1万9000ある医療機関に対象となる患者がいるかを確認している段階で、患者の詳しい症状などを集めて最終的な分析結果をいつ出せるのか、見通しは立っていません。子宮頸がんワクチンを接種する人は、ピーク時の100分の1以下に減っている状況が続いています。
アメリカなどでは、病院のカルテの情報などを元にこうした調査を迅速に行える仕組みがあり、日本も同じようなシステムを一刻も早く導入すべきではないかと指摘する声が専門家から上がっています。


 これらをみていると、各メディアの微妙な立ち位置が見えてくるような気がします。
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