最近(2022年1月)、google map 上で当院に対する口コミが連続して投稿されました。
総じて、
「医師の態度が冷たい」
「子どもがぐずってなくと医師は途端に機嫌が悪くなる」
「検査をしてくれない」
「予約したのに待ち時間が長い」
という内容です。
おかしいな・・・
日々、和やかな雰囲気で診療していると思っているのに・・・
そう感じているのは私だけ?
小児科医になって30余年、
小児科・アレルギー科を開業して16年、
診療姿勢を大きく変えたことはありません。
それなのに、ここにきてマイナスのコメントが多くなったのはなぜだろう?
と自問自答してみました。
私のポリシーは、
「正しい医療こそが、最高のサービス」
というものです。
ファッションショーでモデルさんは笑顔を見せないことは有名です。
その理由は、
「笑顔であること顔に興味が集中してしまい、服の印象が薄くなる」
からだそうです。
それと同じ理由で、
「愛想より、正しい医療」
という姿勢で臨んでいます。
なぜかというと、もともと愛想がなく表情も乏しい私は、
学生時代に「大魔神」とか「はにわ」とか呼ばれていたこともあり、
サービス業に向いていないことは重々自覚しているためです。
なので最初の、
「医師の態度が冷たい」
という口コミは想定内です。
申し訳ありません。
次の、
「子どもがぐずって泣くと医師は途端に機嫌が悪くなる」
について考えてみます。
スタッフが教えてくれました。
「子どもが大声で泣いていると、先生が黙っちゃうからじゃありませんか?」
な、なるほど。
診察室に入ると、
予防接種の怖さが蘇るのか、
診療が終わるまでずっと泣き叫んでいる子がときどきいます。
そのため保護者の方と話ができないので、
私は泣き止むまでじっと黙って待つことにしています。
その沈黙が「冷たい」「不機嫌」に見えてもしまうのですね。
さて、なぜ黙り込んでしまうのか、理由があります。
それは、
・私の持病
・新型コロナ感染対策
の二つ。
私は体格もよく一見健康そのものに見えますが、
10年来、心臓に持病を抱える身であり、
主治医からは手術に準じた処置を勧められています。
緊急性がないため踏ん切りが付かず、予定は延び延びになっていますが、
心臓に予備力がないことは確かで、
大声で話し続けると、心臓に負担がかかり具合が悪くなってしまいます。
毎日、綱渡りの健康状態で診療しているのが現状です。
ですから、子どもが泣き叫んでいると、
それより大きな声で話すと動悸が止まらなくなるため、
泣き止むまでじっと待つようにしています。
はて、以前はどうだったのか・・・
子どもが泣き叫んで、私が泣き止むまで待っていると、
スタッフがタイミングを計って、
子どもを抱いて部屋から出てあやしていました。
しかし新型コロナ禍の今、これができなくなりました。
「泣き叫ぶ」=「飛沫が飛びまくる」状況ですから、
感染リスクを考えるとスタッフに抱っこさせるわけにはいきません。
逆に、マスク・フェイスシールド・ガウンとフル装備のスタッフに、
子どもを抱っこして欲しくないご家族も多いと思われます。
保護者の方に立ってあやしてもらって泣き止めば、
ふつうに病気の説明等できるのですが、
それでも泣き止まない場合は手詰まりです。
何かよい解決法はあるでしょうか?
同行した家族(祖父母など)の方が抱っこして部屋から出ていただければ助かりますが、
なかなか難しいと思われます。
それから、
「検査をしてくれない」
というコメントもいただいています。
この点も、新型コロナの感染対策が影響しています。
乳幼児は痛みを伴う検査をする際、大抵泣き叫びます。
すると、ここでも飛沫がたくさん飛びます。
2年前(2020年春)に、小児科学会から全国の小児科医に向けて、
「飛沫飛散のある処置や検査は控えるように」
という通知が出され、現在も撤回されていません。
ですから、不要不急の検査・処置は控えているのが現状です。
処置の中では、飛沫が飛ぶとされる喘息発作の吸入は、
携帯可能な充電式小型吸入器を用いて、
駐車場の車内で吸入していただくことで解決しました。
“不要不急”の検査の基準は、
「結果により治療に影響を及ぼさない検査」
を目安にしています。
医師の私が“必要”と判断する検査は行っていますが、
一般の方と私の視点は異なりますので、
ギャップが生じるのは仕方ありません。
当院では新型コロナ禍以降、
感染対策も地道に整備してきました。
診察室、隔離待合室、処置室、レントゲン室に、
それぞれ換気扇を増設して強力に強制換気をしています。
発熱外来専用プレハブも増設し、
濃厚接触者はそこで診療と、
万全の体制で臨んでおります。
予診・問診に関しては、
従来は待合室で看護師スタッフと患者家族が対面で、
紙の問診票を使ってやり取りしていましたが、
時には長時間となってしまい、
感染対策から好ましい方法ではありません。
そこで“WEB問診”を導入し、
来院前に問診内容をスマホ入力できるようにしました。
患者さんが訴えたいこと、
医師側が聞き出したい内容を、
もれなく情報収集できるよう半年かけて造り込んだシステムです。
予約システムは「順番取り」のアイチケットを採用しています。
患者さんによっては「時間指定」の予約の方がよい、
という意見も聞こえてきます。
確かに、流れ作業で進む風邪の診療のみなら、
「時間指定」の方が便利だと思います。
しかし、当院はアレルギー科を標榜しているので、
その相談で受診される方は、数十分かかることもあります。
性格上、それを上手く端折ることはできないので、
「順番指定」の方がベターと判断して選択しました。
「順番指定」なら一人の患者さんに時間がかかっても、
ずれ込むだけで順番は変わりません。
患者さんはときどきスマホで順番を確認して来院していただければOKです。
一方の「時間指定」では、一度遅れると「何時に予約したのに1時間も遅れた」
とそれ以降の患者さんへの影響がずっと続くことになります。
さらに、今回の新型コロナのようなパンデミックは初めての経験であり、
特に最近は新型コロナのPCR検査も扱うようになり、
準備に苦心してもなかなかスムースには運ばず、
待ち時間が長くなりがちで、ご迷惑をおかけしています。
日々、(老体に鞭を打ちつつ)手探りで改善していく所存ですので、
ご理解いただければ幸いです。