徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

E型肝炎情報 up date 2025

2025年02月03日 06時35分42秒 | 小児科診療
以前、獣肉の生食の危険性について書きました;

馴染みのある食肉では豚肉、
ジビエ系ではイノシシ、鹿、熊の肉にリスクがあるため、
「生肉は避けることが基本」でした。

今回、E型肝炎に関する記事が目に留まりましたので紹介します。
生肉ではなく、加熱調理が甘い場合の感染リスクについて言及しています。

基本的に「豚やイノシシ、シカの肉や内臓を食べた後で肝炎を発症した場合はHEVの感染を疑い、特に急性肝炎の発症や流行地から帰国後の発症、感染履歴の確認などでは抗体検査をする」としています。

また、獣肉を食べていなくてもヒト-ヒト感染する可能性が最近明らかになりました。
報告は臓器移植や輸血例で、日常生活レベルでの感染例ではありません。
日本赤十字社はその後、献血を検査してHEVを含む血液を排除できる体制を整えた」そうです。

加熱調理の条件については、近年の研究データ報告から推奨内容が変更され、
従来の「70度以上で5分以上、75度以上で1分間以上加熱」が、
肉や内臓は95度、10分以上の加熱」へ。

・・・なんだが、肉が固くなりすぎて食べにくそう。
 加熱しても柔らかさが残るのは鶏肉だけと聞いたことがあります。


▢ E型肝炎、拡大に要警戒 研究班が推奨治療を提言 肉や内臓、十分加熱を 「医療新世紀」
(25/01/21:共同通信社)より一部抜粋(下線は私が引きました);
・・・専門家でつくる日本医療研究開発機構(AMED)の研究班は、これまでに明らかになった病態や推奨される最新の治療をまとめた声明・提言を公表して警戒を呼びかけるとともに、主な感染源である豚やイノシシ、シカなどの肉や内臓を調理する際には十分に火を通すなど、感染防止の徹底を勧めている。
▽人獣共通感染症
 研究班で代表を務めている新潟大の神田達郎(かんだ・たつお)特任教授(消化器内科)によると、E型肝炎は1983年にその存在が明らかになり、90年にE型肝炎ウイルス(HEV)の遺伝子が見つかった。当初はA型肝炎と同様に衛生環境の悪い発展途上国での病気と考えられていたが、今では人獣共通感染症として先進国でも警戒するべき感染症となっている。
 これまでに少なくとも1~4型の4タイプが見つかり、日本では2001年にその存在が明らかになった3型の発生が多い。北海道北部など一部で4型もみられる。抗体検査が11年に保険適用されて以降、診断数が急増し、国立感染症研究所によると、感染症法上の届け出数は23年に初めて500人を超え、24年も500人超。A型の約140人を大きく上回った。
 欧米では肝臓移植を受けた患者で発症が見つかって人から人への感染が知られるようになったが、日本でも15年に肝臓移植に伴う輸血で2人が慢性肝炎を発症したことが判明。日本赤十字社はその後、献血を検査してHEVを含む血液を排除できる体制を整えた
▽重症化や慢性化
 研究班の声明・提言では、豚やイノシシ、シカの肉や内臓を食べた後で肝炎を発症した場合はHEVの感染を疑い、特に急性肝炎の発症や流行地から帰国後の発症、感染履歴の確認などでは抗体検査をするよう求めた。
 重症度の推定や感染経路の調査、偽陽性や偽陰性の除外などの場合には、HEVの遺伝子自体を検出するPCR検査も推奨している。
 神田さんは「高齢者や免疫抑制剤を使っている臓器移植患者、免疫不全の患者、免疫が弱っている人では重症化、慢性化することがあり、注意が必要だ」と話す。
 E型肝炎に限った薬は欧米では承認されているものの日本にはなく、治療では一般的な対症療法が主になる。広く感染症に使われる薬「リバビリン」の使用が推奨され、慢性化した場合も約8割は有効だ。海外では予防ワクチンが開発されているが、現在日本で使用できるものはない。・・・
▽95度で10分以上
 厚労省のウェブサイトでは、流行地域へ旅行する際は生水や氷入り飲料、非加熱の貝類、非調理の果物や野菜の生食を取らないよう注意喚起。また、豚レバーなど内臓を食べる際には、中心まで火が通るよう十分に加熱し、調理段階でも皮膚の傷などからウイルスが体内へ入らないよう気をつけるよう求めている。
 従来の推奨では、ウイルスを不活化するためには70度以上で5分以上、75度以上で1分間以上加熱が必要だとされていたが、研究班の今回の提言では「肉や内臓は95度、10分以上の加熱でウイルスが活性を失う」と条件が厳しくなった。・・・

<参考>
飲食店向けジビエ調理講習会(ホシザキ関東株式会社)
・・・このHPではまだ75℃1分のままですね。
E型肝炎ウイルスの感染事例・E型肝炎Q&A(厚生労働省、2003年報道資料)

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