3/5に接種停止の連絡が当院にも届き、とりあえず今週の接種予定者には電話でその旨を伝えました。
その後はニュースで取り上げられることなく、新聞もヒートアップせず静観している印象です。中国新聞が社説で取り上げていました;
■ ワクチン接種の中断 欠かせない冷静な対応
乳幼児の細菌性髄膜炎などを予防する小児用肺炎球菌ワクチンやインフルエンザ菌b型(ヒブ)ワクチン。接種した4人が相次いで亡くなった。
いずれも世界100カ国以上で使われている。国内でも多くの自治体が接種の無料化に踏み切ったばかりだけに衝撃は大きい。
厚生労働省はおととい、これらの接種を一時的に見合わせる措置を決めた。接種と死亡の関連が明らかでない以上、ここでいったん立ち止まるのは当然といえる。
週明けにも専門家による調査会を開き、因果関係の評価を進めるという。科学的な根拠に基づく判断とともに、十分な情報の開示が求められる。
4人は川崎、兵庫県の宝塚、西宮、京都市の生後3カ月~2歳。全員が肺炎球菌ワクチンを接種。同時にヒブワクチンと混合ワクチン(ジフテリア、百日ぜき、破傷風)を接種したのは2人で、残る2人はヒブか混合のいずれかを受けていた。接種翌日から3日後までに亡くなった。
接種との関連について担当医は「評価不能」2人、「不明」2人と厚労省に報告しているようだ。
一番の気掛かりは今回の死亡がワクチンの副作用によるものかどうかだろう。
厚労省によると、昨年10月までに肺炎球菌ワクチンの接種を受けた推定70万人のうち副作用が報告されたのは42人。ヒブワクチンを受けた140万人中では44人だった。頻度は他のワクチンに比べて高くないものの、けいれんなど重い副作用も少数ながらあった。
先月末にあった厚労省の調査会では共に「安全性に重大な懸念はない」とされたものの、今回のケースについて詳細な検討が急がれる。その際、明らかにしてほしい幾つかの疑問点がある。
まず、製造段階で何らかの問題がなかったのかという点。肺炎球菌ワクチンは全員が同じメーカーで、2人はロット番号も同じだった。ヒブワクチンを受けた3人も同じメーカーだった。
さらには複数のワクチンを一度に打つ同時接種との関係を気にする向きもあろう。海外では広く普及している方法で、副作用が強まる恐れはないとされてはいる。
亡くなった子のうち2人に持病もあったという。死亡との関連について精査が必要だろう。
親の不安に応えると同時に、動き始めたワクチン接種の態勢を後退させないためにも、しっかりした検証作業が不可欠だ。
日本では1990年代、新三種混合(MMR)ワクチンの副作用の多発によって接種が中止された経緯がある。健康被害に対する訴訟も相次いだ。その後のワクチン行政が欧米に比べて大きく後れを取ったことは否めない。
年間千人の子どもが細菌性髄膜炎を発症し、死亡率は2~5%とされる。重い後遺症となるケースもある。副作用のリスクがゼロというワクチンはない。いたずらに動揺せず、正しい情報に基づいた冷静な対応を心掛けたい。
3/8には専門者会議が開催され、今回の問題を検討する予定とのこと。
実はこの専門者会議、3/4に「新型インフルエンザワクチン、子宮頚癌ワクチン、肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンに問題はない」と発表したばかり。
■ 【ワクチン評価の専門家委員会】インフルなど4ワクチン‐重大な懸念認められず
厚生労働省の「インフルエンザワクチンおよび子宮頸がんワクチン等の安全性に関する専門家委員会」は、昨年10月から接種を開始したインフルエンザワクチンの安全性について、1月末時点で「重大な懸念は認められない」との評価をまとめた。
今シーズンのインフルワクチンは、季節性(A/H3N2およびB型)と、新型(A/H1N1)の3株混合の3価ワクチン。1月末現在、5110万回分が医療機関に納入された。接種との因果関係にかかわらず、医療機関が報告した副反応は661人で、頻度は10万回に1回程度だった。
副反応のうち、入院などに相当する重篤なものは、医療機関から123人、製造販売業者から81人の報告があった(医療機関の報告と重複の可能性あり)。死亡例は22例(医療機関報告16人、企業報告6人)で、ワクチン接種との明確な因果関係がある症例は認められなかった。副反応の報告は、昨シーズン(09年10月~10年6月)の約10分の1に減少しているが、明確な理由は分かっていないという。
この日の会合では、子宮頸癌とインフルエンザ菌b型(Hib)、肺炎球菌の3ワクチンについても審議し、安全性に重大な懸念は認められないと評価した。
この中で、子宮頸癌ワクチン(09年12月から今年1月末までに延べ101万回の接種回数)については、128例の副反応のうち、失神が25例と目立ったため、委員から、年代別に失神発生頻度を調査、比較するよう求める意見が出た。
これを踏まえて、どのような判断が下されるのか注目したいと思います。
その後はニュースで取り上げられることなく、新聞もヒートアップせず静観している印象です。中国新聞が社説で取り上げていました;
■ ワクチン接種の中断 欠かせない冷静な対応
'11/3/6 中国新聞
乳幼児の細菌性髄膜炎などを予防する小児用肺炎球菌ワクチンやインフルエンザ菌b型(ヒブ)ワクチン。接種した4人が相次いで亡くなった。
いずれも世界100カ国以上で使われている。国内でも多くの自治体が接種の無料化に踏み切ったばかりだけに衝撃は大きい。
厚生労働省はおととい、これらの接種を一時的に見合わせる措置を決めた。接種と死亡の関連が明らかでない以上、ここでいったん立ち止まるのは当然といえる。
週明けにも専門家による調査会を開き、因果関係の評価を進めるという。科学的な根拠に基づく判断とともに、十分な情報の開示が求められる。
4人は川崎、兵庫県の宝塚、西宮、京都市の生後3カ月~2歳。全員が肺炎球菌ワクチンを接種。同時にヒブワクチンと混合ワクチン(ジフテリア、百日ぜき、破傷風)を接種したのは2人で、残る2人はヒブか混合のいずれかを受けていた。接種翌日から3日後までに亡くなった。
接種との関連について担当医は「評価不能」2人、「不明」2人と厚労省に報告しているようだ。
一番の気掛かりは今回の死亡がワクチンの副作用によるものかどうかだろう。
厚労省によると、昨年10月までに肺炎球菌ワクチンの接種を受けた推定70万人のうち副作用が報告されたのは42人。ヒブワクチンを受けた140万人中では44人だった。頻度は他のワクチンに比べて高くないものの、けいれんなど重い副作用も少数ながらあった。
先月末にあった厚労省の調査会では共に「安全性に重大な懸念はない」とされたものの、今回のケースについて詳細な検討が急がれる。その際、明らかにしてほしい幾つかの疑問点がある。
まず、製造段階で何らかの問題がなかったのかという点。肺炎球菌ワクチンは全員が同じメーカーで、2人はロット番号も同じだった。ヒブワクチンを受けた3人も同じメーカーだった。
さらには複数のワクチンを一度に打つ同時接種との関係を気にする向きもあろう。海外では広く普及している方法で、副作用が強まる恐れはないとされてはいる。
亡くなった子のうち2人に持病もあったという。死亡との関連について精査が必要だろう。
親の不安に応えると同時に、動き始めたワクチン接種の態勢を後退させないためにも、しっかりした検証作業が不可欠だ。
日本では1990年代、新三種混合(MMR)ワクチンの副作用の多発によって接種が中止された経緯がある。健康被害に対する訴訟も相次いだ。その後のワクチン行政が欧米に比べて大きく後れを取ったことは否めない。
年間千人の子どもが細菌性髄膜炎を発症し、死亡率は2~5%とされる。重い後遺症となるケースもある。副作用のリスクがゼロというワクチンはない。いたずらに動揺せず、正しい情報に基づいた冷静な対応を心掛けたい。
3/8には専門者会議が開催され、今回の問題を検討する予定とのこと。
実はこの専門者会議、3/4に「新型インフルエンザワクチン、子宮頚癌ワクチン、肺炎球菌ワクチン、ヒブワクチンに問題はない」と発表したばかり。
■ 【ワクチン評価の専門家委員会】インフルなど4ワクチン‐重大な懸念認められず
2011.3.4:薬事日報
厚生労働省の「インフルエンザワクチンおよび子宮頸がんワクチン等の安全性に関する専門家委員会」は、昨年10月から接種を開始したインフルエンザワクチンの安全性について、1月末時点で「重大な懸念は認められない」との評価をまとめた。
今シーズンのインフルワクチンは、季節性(A/H3N2およびB型)と、新型(A/H1N1)の3株混合の3価ワクチン。1月末現在、5110万回分が医療機関に納入された。接種との因果関係にかかわらず、医療機関が報告した副反応は661人で、頻度は10万回に1回程度だった。
副反応のうち、入院などに相当する重篤なものは、医療機関から123人、製造販売業者から81人の報告があった(医療機関の報告と重複の可能性あり)。死亡例は22例(医療機関報告16人、企業報告6人)で、ワクチン接種との明確な因果関係がある症例は認められなかった。副反応の報告は、昨シーズン(09年10月~10年6月)の約10分の1に減少しているが、明確な理由は分かっていないという。
この日の会合では、子宮頸癌とインフルエンザ菌b型(Hib)、肺炎球菌の3ワクチンについても審議し、安全性に重大な懸念は認められないと評価した。
この中で、子宮頸癌ワクチン(09年12月から今年1月末までに延べ101万回の接種回数)については、128例の副反応のうち、失神が25例と目立ったため、委員から、年代別に失神発生頻度を調査、比較するよう求める意見が出た。
これを踏まえて、どのような判断が下されるのか注目したいと思います。