徒然日記

街の小児科医のつれづれ日記です。

インフルエンザによる学級閉鎖が発生する季節になりました。

2014年09月19日 15時40分46秒 | 小児科診療
 ちらほらとインフルエンザによる学級閉鎖のニュースが耳に入る季節となりました。
 現在のところ、検出されているのはA香港型だそうです。

インフルエンザで学級閉鎖 今季初、美濃加茂市の小学校
(2014年09月11日:岐阜新聞)
 岐阜県は10日、インフルエンザの集団発生により、美濃加茂市加茂野町の加茂野小学校5年生の1クラスが学級閉鎖すると発表した。県内のインフルエンザによる学級閉鎖は今シーズン初。
 県によると、このクラスには児童40人が在籍。8日ごろからインフルエンザの症状が出た児童が現れ、10日までに患者は13人に増えた。重症者はいないが、3人の患者からA香港型のウイルスが検出された。閉鎖は11、12日の2日間。

(東京)日野の小学校、インフルエンザで学級閉鎖 今季初
(2014年9月11日:朝日新聞)
 東京都教育委員会は10日、日野市立七生緑小学校の2年生の1学級で、高熱やだるさを訴える児童の一部がインフルエンザと診断されたため、9日から学級閉鎖にしたと発表した。都内の公立学校でインフルエンザによる学級閉鎖になるのは今季初めて。
 この学級では8日現在、児童24人のうち6人が欠席している。5人がA型インフルエンザと診断され、1人もインフルエンザが疑われている。
 都によると、昨季のインフルエンザによる最初の学級閉鎖は10月23日。2年前は9月6日が最初だった。

インフルエンザ集団感染 今シーズン初 出雲の中学、学級閉鎖 /島根
(毎日新聞)
 島根県は9月8日、出雲市立第3中学校(出雲市大塚町)でインフルエンザとみられる症状が集団発生し、11日まで2年生の1クラスが学級閉鎖になったと発表した。インフルエンザが疑われる集団発生は今シーズン初めての確認で、過去3年と比べても2~4カ月早いという。


 当院でもつらそうな表情をしていたり、周りに発熱で休んでいる子どもが複数いる場合など検査をし始めました(今のところゼロです)。
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抗インフルエンザ薬を「予防投与」する条件

2014年09月19日 06時30分08秒 | 小児科診療
 抗インフルエンザ薬には発症してから「治療」として使用するほかに、感染を避ける「予防」としても使用できる薬剤があります。
 現在予防投与が許可されているのは「タミフル」「リレンザ」「イナビル」の3種類。点滴薬のラピアクタは許可されていません。
 では、希望すれば誰でも予防使用できるのかといえばそうではありません。以下の条件があります:

インフルエンザウイルス感染症を発症している患者の同居家族または共同生活者で、かつ、次の条件があてはまる場合:
・65歳以上
・代謝性疾患(糖尿病など)がある
・腎機能障害がある
・慢性心疾患がある
・慢性呼吸器疾患がある(リレンザでは除外されています)


 つまり、クラスでインフルエンザ患者が出ている受験生が希望されても適応にならないということです。
 ご注意ください。

 なお、予防投与は保険が効かず「自由診療」となります。つまり自費ですね。
 かかる費用は以下の通り;

 タミフル®……6,570円(1日1回1カプセルを10日間内服)
 リレンザ®……6,810円(1回2吸入として1日2回、合計1日4吸入を5日間)

 
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新登場の抗インフルエンザ薬「アビガン®」

2014年09月19日 05時49分39秒 | 小児科診療
 2014年に承認された抗インフルエンザ薬、アビガン®(一般名:ファビピラビル、富山化学)は今までのノイラミニダーゼ阻害薬(NA阻害薬)とは作用機序が異なります。NA阻害薬は細胞内で増殖したウイルスが出ていくところを阻害することにより効果を発揮するのですが、アビガン®は「RNAポリメラーゼ阻害薬」として細胞内増殖を阻害する薬です。
 わかりやすい図をネットで見つけました;

アビガン(ファビピラビル)とタミフル・イナビル・リレンザの作用機序の違いは?
(2014年2月6日:ファーマシスタ)




 その効果、適応についてはこちら;

【新薬】ファビピラビル(アビガン)新機序の抗インフルエンザ薬が承認を取得
(2014/6/20:日経メディカル)

(下線は私が引きました)
 ・・・適応は「新型または再興型インフルエンザウイルス感染症(ただし、他の抗インフルエンザウイルス薬が無効または効果不十分なものに限る)」で、用法・用量は「1日目は1回1600mg、2~5日目は1回600mgを1日2回経口投与し、総投与期間は5日間」となっている。
 ・・・実験レベルではヒト由来のA、BおよびC型の全ての型・亜型のインフルエンザウイルスに対して効果を示し、鳥や豚由来を含めた各種の株に対しても幅広い抗ウイルス活性を示すことが確認されている。さらに、同じin vitroではあるがアマンタジン(商品名シンメトレル他)、オセルタミビルおよびザナミビル耐性インフルエンザウイルスに対しても抗ウイルス活性を示すことが確認された。
 ただし本薬の承認に当たっては、承認条件として国内での薬物動態試験の実施などが求められており、その解析結果が公開されて必要な措置が講じられるまでは、厚生労働大臣の要請がない限りは、製造できないこととされている。また発売後も、国が使用の必要があると判断した場合のみ患者への投与が検討される薬剤であるとされ、通常のインフルエンザウイルス感染症に使用されることのないよう、厳格な流通管理を行うことを求めている。
 なお本薬は、動物実験で催奇形性が確認されていることから、妊婦または妊娠している可能性のある婦人には禁忌である。また本薬は精液中に移行するため、男性患者に投与する際は、投与期間中および投与終了後7日間、性交渉時に有効な避妊法の実施を徹底するように求めている。


 ということは、タミフル、リレンザのようにインフルエンザと診断された患者さんに希望あらば制限なく処方できる、過剰使用が問題になるということにはならないようですね。
 一方、この薬剤は別の観点から注目を浴びるようになりました。エボラ出血熱への有効性が期待されているのです;

【エボラ出血熱】日本のインフル治療薬「アビガン」に脚光 マウス実験で効果
(2014.8.14:産経新聞)
 過去最悪の大流行に、WHOが未承認薬についても一定の条件下で患者への投与を認める考えを表明する中、にわかに注目を集めているのが国内の製薬企業が開発したインフルエンザ治療薬「アビガン(一般名・ファビピラビル)」だ。
 アビガンは富士フイルム傘下の富山化学工業(東京都新宿区)が開発し、今年3月、既存の治療薬の効果が出ない新型インフルエンザなどに限って製造販売が承認された。厚生労働相の要請を受けて製造されるため、流通はしていない。
 富士フイルムによると、アビガンは増殖したウイルスの放出を防ぐ従来のインフル治療薬と異なり、ウイルスそのものの増殖を防ぐ。インフルエンザウイルスと特徴が似ているエボラウイルスにも効果が期待され、海外でのマウス実験ではエボラ出血熱にも効果が確認された。同社は「米国のパートナー企業を通じ、エボラ出血熱の治療にアビガンが使えるよう、米国での治験に向けた協議をしている」と話す。
 国内でもエボラ出血熱の発生に備えて期待が高まるが、現状ではアビガンの使用はあくまでインフルエンザに限られている。
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抗インフルエンザ薬の耐性問題

2014年09月15日 15時50分21秒 | 小児科診療
 さて、次は耐性問題。
 リレンザが「はじめての抗インフルエンザ薬」として登場し話題になった1999年、「ノイラミニダーゼ阻害薬は耐性化しにくく、耐性化したウイルスは感染力が弱くなるので問題にならない」と喧伝されたことを記憶しています。
 しかし、その通りには行かず、一時期タミフルの耐性化が話題になりました。
 その経緯を辿ってみましょう。

 厚労省の資料中に次の表を見つけました;



 2008-2009シーズン、流行株であるA(H1N1)ソ連型のタミフル耐性は98.8%!
 この報道に現場の医師はびっくり仰天。
 でも実際に処方していても、薬が効かなくて大変だったという例は多くありませんでした。
 なんでかなあ・・・。

 そして怖々迎えた次の2009-2010シーズンは新型インフルエンザ・パンデミックが発生し別次元へ。と同時にA(H1N1)ソ連型は淘汰され、薬剤耐性ウイルス問題も一旦自然消滅しました。

 次の2010-2011シーズンを迎えても、耐性ウイルスは影を潜めたまま。
 その後の経過は・・・

H1N1pdm09のタミフル・ラピアクタ耐性株検出率、2012/13シーズンも上昇
(2013/7/5:日経メディカル)
 わが国では近年、A/H1N1pdm09でタミフル・ラピアクタ耐性株の検出率が上昇する傾向が認められているが、2012/13年シーズンにおいてもわずかながら上昇傾向が見られたことが分かった。2012/13年シーズンの耐性株は、すべて抗インフルエンザ薬未投与例から検出されたものだった。国立感染症研究所(以下、感染研)と全国地方衛生研究所が共同で行っている、抗インフルエンザ薬耐性株サーベイランスの最近5シーズンのデータ解析より明らかになった。感染研インフルエンザウイルス研究センターの高下恵美氏らが、第54回日本臨床ウイルス学会(6月8~9日、開催地:倉敷市)で報告した。
 高下氏らは今回、サーベイランスで得られた2008/09年~2012/13年の5シーズンにおけるインフルエンザウイルス流行状況、NA阻害薬耐性菌の検出状況を検討した。
 まず、ウイルス流行状況を見ると、2008/09年シーズンより認めれられたH1N1pdm09の検出報告数が、パンデミックを起こした2009/10年シーズンにピークを迎えた。翌2010/11年シーズンには著しく減少し、2011/12年以降の2シーズンではほとんど認められなくなった。2010/11年以降のシーズンではA/H3N2が流行している。B型の流行も少ないながら、ここ3シーズン認められている。
 次に、NA阻害薬耐性ウイルスの検出率を調べると、H1N1pdm09で、タミフル・ラピアクタ耐性株の検出率が、2008/09年シーズン0.5%、2009/10年シーズン1.1%、2010/11年シーズン2.0%と年ごとに増加する傾向が認められた。2011/12年シーズンは、H1N1pdm09の流行がほとんど見られず、解析株は約10株に留まり、耐性株も認められなかった。しかし、2012/13年シーズンでは、やはり解析株が73株と少なかったものの、タミフル・ラピアクタ耐性株が2株(2.7%)認められ、検出率は2010/11年シーズンに比べ、わずかながら上昇した。各シーズンで検出された耐性株はすべて、NA蛋白にH275Y耐性変異を有していた。一方、H1N1pdm09のリレンザ・イナビル耐性株は、5シーズンいずれにおいてもまったく認められなかった
 H3N2では、タミフル・ラピアクタ耐性株が2010/11年シーズン、2011/12年シーズンにおいて各1株(0.7%、0.3%)検出された。検出された2株はともにNA蛋白にR292K耐性変異を有していた。そのほかのシーズンでは、2012/13年シーズンを含め、H3N2のタミフル・ラピアクタ耐性株は認められていないリレンザ・イナビル耐性株は、H3N2においても5シーズンまったく認められなかった
 B型では、5シーズンすべてで、タミフル・ラピアクタ耐性株、リレンザ・イナビル耐性株のいずれも検出されていない
 高下氏は「検出された耐性株はいずれも地域への流行につながっていないが、今後も引き続き耐性株の発生状況を注意深く監視していく必要がある」と述べた。


 単純化すると、

・A/H1N1pdm09では数%ながらタミフル/ラピアクタ耐性ウイルスが増加傾向、でもリレンザ/イナビルには認めず。
・H3N2ではタミフル/ラピアクタ耐性はあっても1%未満、リレンザ/イナビル耐性はゼロ。
・B型では薬剤耐性がゼロ。

 ここで気づいたのですが、耐性化を議論する場合、同じノイラミニダーゼ阻害薬というメカニズムでありながら「タミフル/ラピアクタ」と「リレンザ/イナビル」の2つに分けるのですね。この二組は「交差感受性/交叉耐性」があるので一緒くたに考えてよいことになっているそうです。

 先シーズン(2013-2014)はどうだったのか?
 という疑問に答える記事をどうぞ;

タミフル・ラピアクタ耐性A(H1N1)pdm09ウイルス、解析対象の19%に
(2014/1/9:日経メディカル)
 全国地方衛生研究所と国立感染症研究所が共同で実施している抗インフルエンザ薬耐性株サーベイランスによると、1月6日現在、タミフル・ラピアクタ耐性A(H1N1)pdm09ウイルスが、解析対象の19%に見つかっていることが分かった。リレンザあるいはイナビルの耐性A(H1N1)pdm09ウイルスは、検出されていない。






 うわっ、2013-2014シーズンはそれまで数%であったものが急に二ケタに増えてます。イヤな予感・・・。
 現在はどうなのか?
 国立感染症研究所のHPに現状報告がありました。

抗インフルエンザ薬耐性株サーベイランス



 これを見ると、A(H1N1)pdm09 のタミフル耐性が4.2%とシーズン中の報告より減っています。
 抗菌薬では一旦耐性株が出現すると年々増加するのが一般的ですが、ウイルスにはこのルールは当てはまらない様子。当初言われていたように、耐性ウイルスは感染性が弱く問題にならないと考えてよいのでしょうか。
 来たる2014-2015シーズンも耐性ウイルス情報をチェックする必要がありそうです。

 いずれにしても、耐性ウイルスという視点からすると抗インフルエンザ薬の選択は全身投与のタミフル/ラピアクタより吸入のリレンザ/イナビルが有利であることがわかりました。
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抗インフルエンザ薬による異常行動、その後

2014年09月15日 15時44分26秒 | 小児科診療
 一時期、タミフル内服後に子どもがアパートから飛び降りた、あるいは急に走り出し道路に飛び出した、などの異常行動が話題となり、厚労省は10歳代へのタミフルの処方を禁止し、現在もその状態が続いています。
 あれから大分経過しますが、その後検証されたのでしょうか?
 公式見解は伝わってきませんね。
 
 目に付いた記事を紹介します;

抗インフルエンザ薬使用例の異常行動、80%以上が睡眠中・覚醒直後に発生
(2013/10/18:日経メディカル)
 抗インフルエンザ薬が処方された20歳未満の患者700例以上を対象に行ったアンケート調査で、異常行動はタミフルが処方された群(10歳未満)、リレンザが処方された群とも約15%で認められ、全体の80%以上は睡眠時または覚醒直後に発生していたことが分かった。ライフ調剤薬局(愛知県)の近藤一朗氏らが、第46回日本薬剤師会学術大会(9月22~23日、開催地:大阪市)で報告。抗インフルエンザ薬の服薬指導において、特に睡眠時、覚醒直後に患者から目を離さないよう注意喚起することの重要性を指摘した。
 抗インフルエンザ薬を使用した小児で異常行動が見られたという報告は毎シーズン行われる。その都度、抗インフルエンザ薬との関連が話題となるが、現時点で、抗インフルエンザ薬との因果関係は確認されていない。しかし、インフルエンザ患者に少なからず起きていることは確かで、処方時の注意喚起は非常に重要となる。
 厚生労働科学研究「インフルエンザ罹患に伴う異常行動研究」の2011/12年シーズンの報告でも、特定の因果関係は認められないことが示された。同報告は、わが国の全医療機関を対象に、インフルエンザ様疾患と診断され、かつ重度の異常な行動(飛び降り、急に走り出すなど、制止しなければ生命に影響が及ぶ可能性のある行動)を示した患者に関する前向き調査だ。
 この調査で、2011/12年シーズンに、重度の異常な行動を起こした患者は92例。年齢は平均8.5歳、中央値8歳で、男性が74%。イナビル吸入後の飛び降りによる死亡が1例認められた。服用薬別(他薬併用あり)の件数(調査総数49件)は、アセトアミノフェン16件(飛び降り、突然走り出すは11件)、タミフル9件(同3件)、イナビル9件(同6件)、リレンザ7件(同3件)。医薬品非使用でも8件(同8件)認められた。
 同調査の前年シーズンまでの結果とほぼ一致しており、「これまでと同様に、抗ウイルス薬の種類、使用の有無と異常行動については、特定の関係に限られるものではないと考えられた」とまとめられた。そのうえで「抗インフルエンザ薬の処方の有無に関わらず、インフルエンザ発症後の異常行動に関して注意喚起する」こと、「抗インフルエンザ薬についても、従来同様の注意喚起を徹底するとともに、異常行動の収集・評価を継続して行う」ことが必要とされた。


 いつまで10歳代へのタミフル投薬制限を続けるのでしょうか?
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抗インフルエンザ薬の効果の比較

2014年09月15日 14時36分56秒 | 小児科診療
 さて、4つの抗インフルエンザ薬に効果の差はあるのでしょうか。
 日経メディカルの記事にこの問題を扱った記事を見つけました。

■ 4種類の抗インフル薬で解熱効果に大差なし、B型ではリレンザがやや良い傾向
(2012/10/15:日経メディカル)
 タミフル、リレンザ、ラピアクタ、イナビルの4種類の抗インフルエンザ薬(ノイラミニダーゼ阻害薬)は、A型あるいはB型においてともに解熱効果に大きな差が見られなかったことが示された。ただ、B型ではリレンザがやや良い傾向があることも報告された。2011/12シーズンにおける抗インフルエンザ薬の有用性の検討で明らかになったもので、日本臨床内科医会インフルエンザ研究班班長の河合直樹氏(河合医院院長、岐阜市)が、10月7、8日と徳島で開催された日本臨床内科医学会で発表した。



 前回のブログの内容と合わせて考えると、
「外来通院可能な軽症インフルエンザ患者はどの抗インフルエンザ薬を選択しても治療効果は変わらない、ただしB型の場合はタミフル/イナビルよりもリレンザの方が解熱までの時間がやや短い」
 となりますね。
 あとは年齢により選択可能な薬が限定されることくらいでしょうか。

・1歳未満      :ラピアクタ(新生児以降は可)以外は適応なし
・1歳以上、5歳未満 :タミフル、ラピアクタが使用可、リレンザは不可(※1)、イナビルは?(※2)
・5歳以上、10歳未満 :すべての薬を使用可能
・10歳以上、20歳未満:タミフルのみ使用不可(※3)
・20歳以上     :すべての薬を使用可能


※ 1)リレンザの添付文書より「低出生体重児、新生児、乳児又は4歳以下の幼児に対する安全性は確立していない(使用経験が少ない)」
※ 2)イナビルの添付文書より「小児に対しては、本剤を適切に吸入投与できると判断された場合にのみ投与すること」・・・って何歳からOK?
※ 3)タミフルの添付文書より「10歳以上の未成年の患者においては、因果関係は不明であるものの、本剤の服用後に異常行動を発現し、転落等の事故に至った例が報告されている。このため、この年代の患者には、合併症、既往歴等からハイリスク患者と判断される場合を除いては、原則として本剤の使用を差し控えること。」


 現実問題として、
 1歳以降の幼児→ タミフル
 小学生以上→ タミフル or リレンザ/イナビル
 10歳以上→ タミフル以外

 という感じです。

 ラピアクタは先シーズン使いませんでした。
 先々シーズンに受験生に対して点滴したのですが、熱が3日間下がらなかったもので、それが私自身の中でトラウマになっているのかもしれません。

 抗インフルエンザ薬使用例の異常行動に関する情報は次項で紹介します。
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抗インフルエンザ薬の使い分け

2014年09月15日 07時34分00秒 | 小児科診療
 現在発売されている抗インフルエンザ薬は以下の4種類(最後のファビピラビルは申請中)。



(参考)各抗インフルエンザ薬の「小児等における使用上の注意」一覧


 すべて抗ノイラミニダーゼ阻害薬という同じメカニズムです。つまり併用しても効果の相乗効果は期待できません。
 では、この4種類をどう使い分けるのか?
 日本感染症学会が指針を出しています。
 ポイントは、入院が必要な重症者や肺炎合併例は全身投与(内服/点滴)が優先され、肺炎の合併無く吸入可能な患者さんには吸入剤も選択可能。
 一般外来の軽症者にはとくにどれがお勧めという記載はありません。 

日本感染症学会提言「抗インフルエンザ薬の使用適応について(改訂版)

A群.入院管理が必要とされる患者
A-I群:重症で生命の危険がある患者
 オセルタミビル(タミフル®)
 ペラミビル(ラピアクタ®)

重症例での治療経験はオセルタミビルがもっとも多い。経口投与が困難な場合や確実な投与が求められる場合、また、その他の事情により静注治療が適当であると医師が判断した場合にはペラミビルの使用を考慮する。その際、1日1回600mgを投与し、重症度に応じて反復投与を考慮するが、副作用の発現等に十分留意しながら投与することが必要である[3日間以上反復投与した経験は限られている]。なお、A-1群では、吸入の困難な患者が多いと考えられるため、吸入剤の投与は避けるべきである。

A-2-1群:生命に危険は迫っていないが入院管理が必要と判断され、肺炎を合併している患者
 オセルタミビル(タミフル®)
 ペラミビル(ラピアクタ®)

オセルタミビルの使用を考慮するが、経静脈補液を行う場合、その他の事情により静注治療が適当であると医師が判断した場合にはペラミビルの使用を考慮する。なお、肺炎を合併しているこの群の患者では吸入剤の効果は限定されると考えられるため、吸入用製剤を投与適応から除外した。また、前述したように、ペラミビルの増量例や反復投与例における安全性は慎重に観察すべきである。

A-2-2群:生命に危険は迫っていないが入院管理が必要と判断され、肺炎を合併していない患者
 オセルタミビル(タミフル®)
 ペラミビル(ラピアクタ®)
 ザナミビル(リレンザ®)
 ラニナミビル(イナビル®)

オセルタミビルの使用を考慮するが、経静脈補液を行う場合、その他の事情により静注治療が適当であると医師が判断した場合にはペラミビルの使用を考慮する。なお、吸入投与が可能な例ではザナミビル、ラニナミビルの投与も考慮する。また、前述したように、ペラミビルの増量例や反復投与例における安全性は慎重に観察すべきである。

B群.外来治療が相当と判断される患者
 オセルタミビル(タミフル®)
 ラニナミビル(イナビル®)
 ザナミビル(リレンザ®)
 ペラミビル(ラピアクタ®)

オセルタミビルやラニナミビルあるいはザナミビルの使用を考慮する。ラニナミビルは1回で治療が完結するので、医療機関で服用することにより確実なコンプライアンスが得られるが、吸入剤であるので吸入可能な患者に使用することを考慮する。経口や吸入が困難な場合や、その他の事情により静注治療が適当であると医師が判断した場合にはペラミビルの使用も考慮できる。なお、外来での点滴静注や吸入投与に際しては患者の滞留時間を考慮し、特に診療所等で有効空間が狭い場合でも、飛沫感染予防策・空気感染予防策など他の患者等へのインフルエンザ感染拡散の防止策を考慮することが必要である。


 しかしこの提言には、以下の問題点に対する言及がありません。
・軽症例への投与の是非
・有効率の比較
・薬剤耐性ウイルス問題
・ラピアクタ点滴による院内感染のリスク

 これらに対する公式見解を出している学会はあるのかな・・・。

 ラピアクタ®については昨シーズン、尾木ママが「インフルエンザに罹ったら点滴で治療する薬もあるらしいわよ」と暗に誘導する内容がテレビCMで流れ、「軽症例に点滴治療は考えられない。インフルエンザ患者が点滴中ずっと病院内にいると他者への感染源になるというデメリットもあることを知らせるべきだ」と発売元の塩野義製薬が医師から非難を浴びたことが記憶に新しい・・・。
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インフルエンザ関連~小児へのタミフルの効果は?

2014年09月12日 09時20分57秒 | 小児科診療
 9月に入り、インフルエンザワクチンの予約が始まる季節になりました。
 そこで、目に付いたインフルエンザ関連の記事をピックアップしていきたいと思います。

 第一弾は抗インフルエンザ薬「タミフル」の効果に関する論文を紹介;

抗インフル薬タミフル「効果は限定的」 英医学誌など
2014年4月11日:朝日新聞
 英医学誌BMJと世界の臨床試験を検証する国際チーム「コクラン」は10日、抗インフルエンザ薬タミフルを服用しても効果は限定的として、服用基準の見直しを世界各国の政府機関に求める声明を出した。
 英オックスフォード大のグループが、タミフルを製造するロシュ社(スイス)から臨床試験の未公開データを入手して分析した。
 グループによると、タミフルをのんだグループは、のんでいないグループに比べ、感染して発熱などの症状がおさまるまでの期間が成人では0・7日短くなった。しかし、未成年者の場合は有意な差がみられなかった。また、成人、未成年者にかかわらず、感染者が肺炎など重症な合併症を引き起こすのを減らす効果も確認できなかったという。
 タミフルは、インフルエンザの症状の軽減や予防に効果があるとされる。新型インフルエンザ対策として、国と都道府県は2013年時点で約5420万人分を備蓄している。


 従来は小児でも「1日早く解熱する」とされてきましたが、その効果も怪しいという報告です。
 でも、臨床の現場では服用するとやはり早く熱が下がる印象があります。
 まあ、重症感のない患者さんは使う必要がないと考えてよい根拠にはなりますね。

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9月にイネ科花粉症?

2014年09月05日 06時40分13秒 | 小児科診療
 岐阜県で小中学生の目の痒み&充血の集団発生が話題になってます。

目の異常訴えた児童・生徒延べ2580人に 岐阜県内
(朝日新聞:2014年9月4日)
 岐阜県大垣市と羽島市の児童や生徒430人が3日に目のかゆみや充血などを訴えた問題で、県は4日も、4市町の42小中学校に通う計2150人が同様の症状を訴えたと発表した。2日間で延べ2580人に上り、県は「イネ科の花粉によるアレルギー性結膜炎の可能性がある」としている。全員が軽症という。
 4日の内訳は、羽島市14校1604人▽大垣市18校287人▽養老町6校104人▽輪之内町4校155人。ほかに教職員15人の発症も確認された。
 運動会の練習や野外活動をしていた学校が多かったという。1、2日になかったイネ科の花粉の飛散が3日に確認されたことや、無人ヘリコプターによる農薬の散布などは確認されていないことから、イネ科の花粉によるアレルギーの可能性が疑われるという。この地域では2011年の8月末から9月初旬にかけても同様の被害があり、延べ2531人が受診している。


 「イネ科の花粉」とありますが、具体的な植物の名前を是非知りたい。
 なぜなら、イネ科花粉症は5~7月がメインで、9月からは雑草の花粉に取って代わるのが一般的知識なので。
 検索してみると・・・

参天製薬のHP「イネ科花粉」
 主なイネ科植物の花粉飛散時期である5~7月は、本州、四国、九州では梅雨期であるため、湿度が高く花粉は飛散しにくいと考えられています。これに対し北海道では梅雨期がなく、比較的乾燥しているため、イネ科植物の花粉が飛散しやすく、花粉症が多く見られます。




 この花粉カレンダーを見ると「イネ」の花粉が8月下旬から9月上旬に飛ぶようですね。

■ ThermoのHP「夏・秋にもある花粉症

 掲載されている花粉カレンダーには「イネ科」が夏から秋にかけてずっと飛散すると読み取れます。
 しかし具体的な植物の名前の記載はありません。

夏の花粉症 イネ科 飛散時期と予防の特集 岐阜市版

 2011年にも同じようなエピソードがあったことが書かれています(おぼろげに記憶しています)。
 でも具体的な植物の名前の記載はやはりない・・・。

 う~ん、原因植物の名前を知りたい!
 ご存じの方、誰か教えてください。

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2014.9.4「錦織圭 vs バブリンカ」戦

2014年09月04日 05時57分59秒 | テニス
2014年全米オープン準々決勝。
たった今、進行中のゲームです。

現在セットカウント1-1。
世界ランキング4位のバブリンカを相手にがっぷり四つに組み、互角に渡り合っています。
さすがにバブリンカ、すべてにおいてハイレベル。
ショットの精度が高く少し余裕を与えるとすぐに winner が飛んできます。
それにしても自分のショットを信じて攻めきれている錦織が素晴らしい!

スタミナが心配されましたが、セットカウント2-1とリードしました。
双方一歩も譲らず、間違いなく世界最高レベルのラリー戦です。

・・・かっ、かっ、かっ、勝っちゃった!

コメント
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