小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

帯状疱疹ワクチンで入院や神経痛が減少

2017年04月11日 06時09分50秒 | 予防接種
 帯状疱疹ワクチンの最新情報です。
 米国の帯状疱疹ワクチンは、水痘ワクチンの力価を上げて(濃くして)造ったワクチンです。

 有効率は従来のデータと同等ですね。
 私の興味は「ワクチンの効果は何年有効か?」
 というもの。
 この報告では、4年目以降はやや低下するという結果;

・帯状疱疹による入院に対する予防効果は、ワクチン接種から3年目までは74%、4年目以降は55%
・帯状疱疹後神経痛に対する予防効果は、接種から3年目までは57%、4年目以降は45%


 では10年後は?
 65歳以上で接種すると、75歳で再接種が必要?

■ 帯状疱疹ワクチンで入院や神経痛が減少
2017/04/11:HealthDay News、ケアネット
 帯状疱疹ワクチンの接種により、帯状疱疹による入院や帯状疱疹後神経痛などの深刻な合併症のリスクが大幅に低減されることが、新たな研究で明らかにされた。帯状疱疹は、水ぼうそうの原因ウイルスが後年に再活性化して痛みや水ぶくれを生じる病気で、そのリスクは年齢とともに上昇するといわれている。
 今回の研究によると、帯状疱疹による入院に対する予防効果は、ワクチン接種から3年目までは74%、4年目以降は55%であった。また、帯状疱疹後神経痛に対する予防効果は、接種から3年目までは57%、4年目以降は45%であった。この研究結果は「Clinical Infectious Diseases」3月15日号に掲載された。
 研究著者である米国食品医薬品局(FDA)生物製品評価研究センター(CBER)のHector Izurieta氏は、「帯状疱疹ワクチンは入院や慢性疼痛などの重度の合併症に対する予防効果が比較的高く、その効果は長期間持続することが判明した。本知見は、このワクチンが有益であり、今以上に多くの高齢者に接種を推奨すべきであることを示す重要なエビデンスとなる」と述べている。この研究はFDAの助成を受けて実施された。
 研究では、2007~2014年のメディケア受給者約200万人(65歳以上)を対象とした。解析の結果、ワクチンは入院を要する重症帯状疱疹および帯状疱疹後神経痛に対して最も高い有用性を示すことがわかった。年齢層でワクチンの有用性に大きな差はみられなかったが、ワクチン接種から時間が経つにつれて予防効果は低減した。
 帯状疱疹ワクチンは、米国では2006年に承認され、60歳以上の人を対象に接種が推奨されている。承認当時、ワクチン接種によって60歳以上の人が帯状疱疹にかかるリスクはほぼ半減すると複数の研究で示されていた。しかし、米国疾病管理予防センター(CDC)によると、2014年の同年代のワクチン接種率は28%にとどまっているという。
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ピーナッツアレルギーでも他のナッツ類は食べられる?

2017年04月10日 13時01分08秒 | 食物アレルギー
 久しぶりのワクチンネタを離れて、アレルギー関連のニュース紹介です(^^;)。
 「ピーナッツは植物学的分類では豆でありナッツではない」という知識はアレルギー専門医の中では有名ですが、一般の方々は混同しがちです。
 ただし、私が調べた範囲では次のような事実もあります;

・ピーナッツアレルギーの人が他の「ナッツ類」に反応する確率は20〜40%と多く、しかし分類上近縁の大豆などの「豆類」に反応するのは1%のみで、誘発される症状も軽いと報告されています。
・実際にピーナッツで症状が出る子どもでも、他のナッツ類でも症状が出るとは限りません。ナッツの種類ごとに一つ一つ検査、あるいは経口負荷試験をして食べられるかどうかを確認する必要があります。

■ ピーナッツアレルギーでも他のナッツ類は食べられる?
2017/04/10:HealthDay News、ケアネット
 1種類のナッツ類にアレルギーをもつ人でも、必ずしも他のナッツ類を除去すべきとは限らないことが、新たな研究で判明した。1種類のナッツ類にアレルギーをもつ人の半数以上は、他のナッツ類にアレルギー反応を示さなかったという。
 今回検討されたのは、アーモンド、ブラジルナッツ、ピスタチオ、カシューナッツ、クルミ、ヘーゼルナッツ。興味深い点として、ピーナッツアレルギーの人では、これらのナッツ類にアレルギーのある人はほとんどいないことも判明した。ピーナッツは実はマメ科で、ナッツ類(tree nuts)ではない
 研究筆頭著者である米フェニックスのアレルギー専門医Christopher Couch氏は、「一度も食べたことのない食べ物の場合はとくに、皮膚プリック検査や血液検査が陽性になっただけではアレルギーとは断言できない」と説明する。その代わりに、疑わしい食べ物を数時間かけて徐々に量を増やしながら摂取し、専門医がアレルギー反応を評価する食物経口負荷試験を受けるべきだとしている。なお、同氏は研究当時、米ミシガン大学医学部フェローであった。
 研究では、1種類のナッツ類にアレルギーをもつ患者100人強の医療記録を検討し、他のナッツ類に対するアレルギー反応を調べた。被験者は皮膚プリック検査または血液検査(特異的IgE検査)および食物経口負荷試験を受けた。
 その結果、皮膚プリック検査または血液検査では他のナッツ類に感作性を示したにもかかわらず、食物経口負荷試験ではアレルギー反応が認められなかった被験者の割合は、それぞれの検査で半数以上に上っていた。
 Couch氏は、「皮膚プリック検査や血液検査では想定以上に偽陽性が出やすいことが分かった。患者のアレルゲンや除去食の必要性を明らかにしたい場合、食物経口負荷試験が最も客観的な検査である」と話している。この研究結果は、「Annals of Allergy, Asthma and Immunology」オンライン版に3月27日掲載された。

<原著論文>
・Couch C, et al. Ann Allergy Asthma Immunol. 2017 Mar 22.
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