小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

スマホで10秒、小児喘息発症を予測

2019年02月24日 11時11分31秒 | 気管支喘息
 アレルギー疾患の究極の治療は、予防して発症させないことです。
 そのリスク因子はある程度絞られてきており、それらを用いて小児喘息発症を予測するツールが開発されたというニュースを紹介します。

 この報告ではリスク因子として「両親の喘息歴、湿疹、喘鳴、かぜではない喘鳴、人種、2つ以上のアレルギー感作」の6つを採用していますね。しかし、リスクがわかったからといってすぐ予防に結びつかないところが悩ましい。
 「両親の喘息歴」「喘鳴」「風邪ではない喘鳴」「人種」は変えようがありません。
 現在のところ、アレルギー疾患予防で確立されつつあるのは「乳児アトピー性皮膚炎を完璧に治療することに夜食物アレルギー発症予防」のみです。湿疹をなくすことにより経皮感作を防げることがわかってきました。つまり残りの「湿疹」と「アレルギー感作」は予防に結びつけることが可能なリスク因子なのです。
 これを証明するために、国立成育医療センターで「PACI Study」が進行中です。
 
スマホで10秒、小児喘息発症を予測
2019年01月08日 メディカル・トリビューン
 わずか6項目をチェックするだけで小児喘息の発症リスクが数値で分かるツールが米国Cincinnati Children's Hospital Medical CenterのJocelyn M. Biagini Myers氏らによって開発された。2000年に開発され、広く使われているAsthma Predictive Index(API)よりも発症リスクの予測に優れているという。スマートフォンのアプリとしてダウンロードできる。詳細は、J Allergy Clin Immunol(2018年12月7日オンライン版)に掲載された。

低~中等度リスクの検出に優れる
 このツールは、両親の喘息歴、湿疹、喘鳴、かぜではない喘鳴、人種、2つ以上のアレルギー感作-の6項目をチェックするだけで小児喘息の発症リスクが研究グループが開発したPediatric Asthma Risk Score(PARS)で分かる。PARSは1~14、7歳時の喘息発症リスクが3~79%で表示される。
 Cincinnati Childhood Allergy and Air Pollution Study出生コホート(762例)のデータから小児喘息発症の予測に役立つ項目を抽出し、PARSを開発。PARSは感度0.68、特異度0.77だった。APIとPARSはともに高リスク児の予測には優れていたが、PARSの方が低~中等度リスクの検出力で上回っていた。
 さらに、有用性を確かめるため、別の出生コホートデータでAPIとPARSを試行した。PARSで40%未満の発症リスクだった症例の43%がAPIでは見逃されていた。同コホートでのPARSの感度は0.67、特異度は0.79だった。
 PARSは、最も多いにもかかわらず発症予測が難しかった低~中等度の発症リスクの検出に有用であることが明らかになった。また、低~中等度の発症リスク症例は、予防戦略のよい適応となる。
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