小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

糖質制限食における脂質の取り方

2023年03月16日 09時43分22秒 | 予防接種
ダイエット法により脂質の評価が異なることが、
以前から気になっていました。

カロリー制限派:太る原因は脂質
炭水化物制限派:太る原因は糖質

さて、どちらが正しいのでしょう?
私自身、炭水化物制限を5年ほど続けており、
経験上「太る原因は糖質」の方が頷けます。

では、脂質は太る原因にならないのか?
と聞かれると「そうとも言えない」と玉虫色の回答。

コンビニで目に留まって購入・拝読した啓蒙本から、
脂質に関する記述を拾ってみました。

・脂質を過剰摂取すると吸収されずに排出されるが、
 カロリーが高いので、
 糖質制限を続けていて痩せづらくなってきたら、
 脂質の取り過ぎを見直す必要がある。

・脂質の摂取の際には、種類に気をつけるべし。
 飽和脂肪酸(動物性脂)・・・△
 不飽和脂肪酸(植物性油)・・・◎ 〜✖️
  〇 ω-9脂肪酸
  〇 ω-6脂肪酸
  ◎ ω-3脂肪酸
  ✖️トランス脂肪酸

・脂質の分類;
脂肪酸 
 → ①飽和脂肪酸
 → ②不飽和脂肪酸
  → 一価不飽和脂肪酸:③ω-9脂肪酸
  → 多価不飽和脂肪酸:④ω-6脂肪酸、⑤ω-3脂肪酸、⑥トランス脂肪酸

<解説>
① 常温で固形(肉の脂身、バター、パーム油)、過剰摂取でLDL(悪玉)コレステロールが増える
② 常温で液体(魚、植物油)、体によいものと悪いものがある。
③ オレイン酸が代表的。オリーブオイル/アーモンドオイル/なたね油など。血中の悪玉コレステロールを下げる。
④ リノール酸が代表的。ごま油/コーン油/大豆油など。血中コレステロールを下げる。過剰摂取により心筋梗塞や脳梗塞の原因になる。
⑤ α-リノレン酸やDHA/EPAなど。鯖などの魚の油、クルミ、エゴマ油、アマニ油など。血液中の脂肪の蓄積を改善する効果があり、動脈硬化などの生活習慣病を予防する。体によい油。
⑥ 血中の悪玉コレステロールを増やし、善玉コレステロールを減らす働きがある。大量に摂取すると、動脈硬化などの原因となる。


<参考>
・「面白いほどよくわかる糖質の新常識」(前川智著、宝島社、2022年発行)
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糖質・脂質・タンパク質・・・バランスのよい食事とは?

2023年03月16日 09時01分31秒 | 予防接種
三大栄養素をバランスよく摂取するのがよい食生活ですが、
現在、栄養学の常識が揺らいでいます。
そう、炭水化物制限(=糖質制限)が登場してから。

従来の糖尿病患者の病院での食事指導は「バランス食」「カロリー制限」でした。
しかし、食事指導を守っていても糖尿病が治るわけではありません。

なぜ?

それは糖尿病の薬物治療は、
「今までの食生活を続けられるように薬を使う」
という面があるからです。

治療薬としてのインスリンが登場した際のキャッチコピー(?)は、
「今までの食生活が続けられます」
「ご飯を我慢しなくても大丈夫」
という類いでした。

その後、京都の江部先生らが提唱した「糖質制限」。
糖質を減らすことにより、薬のいらない体をつくり、
健康を取り戻そう、というスタンスです。

こちらの方が理にかなっていると私は感じます。

実は、インスリンが登場する以前は、
糖尿病の食事指導は「糖質制限食」でした。

これらのことを踏まえ、
「バランスのよい食事」を考えてみます。

①カロリー制限派と②糖質制限派が推奨する、
三大栄養素の摂取バランスを比較してみます。
   
     カロリー制限   糖質制限
糖質:    60%     30%
脂質:    20%     45%
タンパク質: 20%     25%

私が意外に感じたのは、
糖質を減らす代わりに増やすのは、
タンパク質ではなくて主に脂質だということ。

基本的に糖質制限では、
糖質制限に気を遣いますが、
タンパク質と脂質は特に制限がいらないとされています。

ここが、すべてのカロリーを細かく計算して管理する、
カロリー制限より手軽な点です。

糖質制限では、
カロリーの高い肉料理や揚げ物も我慢しなくてよく、
アルコールも蒸留酒なら適量楽しめます。

カロリー制限ではこれらは“禁断の味”として厳しく制限されます。

上記2つのの食生活を1年間続けて比較した研究があり、
体重、腹囲、血糖値いずれも、
糖質制限の方が効果が高いという結果でした。

私自身、5年以上ゆるい糖質制限食を続けています。
おかず(肉と魚と大豆)と野菜中心の食生活で、
主食(ごはん、パン、パスタなど)を食べない生活。

おかずだけ食べると、
日本の食事はしょっぱいことに気づかされます。

白米がはかどるように、
味付けが濃く、塩分が多くなっているのです。

おかげさまで、おかずの味付けが皆薄味になりました。
これは高血圧対策として有効です。

じつはご飯がないと、タンパク質はたくさん食べれません。
「この辺でいいかな」で食事が終わります。

食後も体が重くなることはなく、すぐに動けます。
いわゆる満腹感は、炭水化物の影響であることがわかりました。
胃もたれもそうですね。

最近、成分がよくわからない食事をしたとき、
胃のもたれ具合で炭水化物の含有量がおおよそわかるようになりました。


<参考>
・「面白いほどよくわかる糖質の新常識」(前川智著、宝島社、2022年発行)
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玄米食は体にいいけど、ダイエット効果は?

2023年03月16日 08時46分10秒 | 予防接種
「炭水化物制限」提唱者の一人、
江部先生の本を何冊か読んだことがあります。

人間にとって健康的な食事を探し求めたところ、
1000年遡ると「玄米食」にたどり着き、
それでも解決できない糖尿病によい食事を探し求めたところ、
10000年遡って「炭水化物制限」にたどり着いた、
という文章が印象に残りました。

さて、玄米食は糖質制限ダイエット的に評価するとよいのでしょうか?

答えは「✖️」です。

玄米と白米では、炭水化物(=糖質)含有量はほぼ同じです。
何が違うかというと、食物線維やビタミン、ミネラルなど、
含まれる栄養素が玄米の方が豊富、にとどまります。

炭水化物制限するためには、
白米を玄米に置き換えるだけではダメで、
米自体の量を減らす必要があります。

最近「低GI」という単語をよく耳にします。
数値が低ければ低いほど、
食後の血糖値上昇が緩やかになるという指標です。

白米より玄米の方がGI値が低いので、
血糖値が上がりにくく、
糖質制限に効果的と誤解している人がいます。

しかし、血糖値が上がらないわけではなく、
血糖値が上下に大きく振れる「血糖値スパイク」が起こりにくくなる効果はありますが、
摂取する糖質量が減るわけではありませんので、ご注意ください。

「低糖質食材」として最近話題のオートミール
1食分の糖質は米の1/3程度で、
低糖質ではありますが、極端に少ないわけでもありません。

<参考>
・「面白いほどよくわかる糖質の新常識」(前川智著、宝島社、2022年発行)
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日本人はみんな「糖質中毒」?  

2023年03月15日 07時58分41秒 | 予防接種
「やめたくてもやめられない」ことを「中毒」と呼ぶことがあります。
糖質制限の啓蒙書を読んでいたら、「三大中毒」という言葉が目に留まりました。
面白いほどよくわかる糖質の新常識」(前川智著、宝島社、2022年発行)
この本からポイントを抜粋してみます;

三大中毒」とは、
一つ目は「アルコール中毒」、
二つ目は「ニコチン中毒」、
三つ目は・・・「麻薬中毒」ではなくて「糖質中毒」とのこと。

「我慢しようと思っているのに、どうしても食べたくなる」
という症状は、完全に糖質依存症状=糖質中毒。

あなたはどうでしょうか。
以下のテストを受けてみてください。

糖質中毒診断テスト
▢ 日中疲れることが多い。
▢ 食後2-3時間でお腹が空いてしまう。
▢ 食後にデザートを食べても、
 もっと甘いものを食べたいと感じることがよくある。
▢ お菓子やパンを食べ始めると、
 つい止められずバクバクと食べてしまう。
▢ デザート抜きのコース料理を食べるくらいなら、
 デザートありのふつうの食事を食べたい。
▢ 肉と野菜だけの食事では満足できない。
▢ 疲れているときにチョコレートやクッキー、ケーキなどの
 甘いものを食べると元気が出る。
▢ 食事の時に、ご飯やパン、パスタなどの主食だけ食べて、
 おかずや野菜は残してしまうことが多い。
▢ デザートを食事代わりにする日がある。
▢ 食事をした後に、強い眠気に襲われることが多い。
▢ 夜、お腹が空いてしまい夜食を食べないと眠れないことがある。
▢ 自分が食事をしていないときに、
 他の人が食事をしていると落ち着かず、うらやましく思う。
▢ 外食や会食、飲み会などの用事があり、ふだんより食事の時間が遅くなる日は、
 いつもの時間に何か食べてから行くことが多い。
▢ アメやグミ、チョコレートなどいつも持ち歩いているお菓子がある。

★ 判定;
 10個以上当てはまる → 糖質中毒
 4-9個当てはまる → 糖質中毒の恐れあり
 3個以下 → 糖質中毒なし

私は3つ当てはまりました。
ギリギリセーフ(^^;)。
 
なぜ、糖質中毒が起こるのでしょう。
それは、糖質を取ると脳が幸福を感じるから。
糖質を過剰に摂取すると血糖値が上昇し、
脳内に幸せホルモンであるドーパミンが放出され、
「幸福感」がもたらされます。

実はこれ、日常生活で経験していることですよね。
「やけ食い」で嫌なことを忘れる、とか。

それから、漢方薬にも応用されています。
甘麦大棗湯というエキス剤は、
漢方のイメージらしからぬ“甘い漢方薬”です。
その構成は、甘草、小麦、大棗(ナツメ)と甘い食材ばかり。
この方剤は、不安症やパニック障害に用いられます。
気持ちが落ち着くのですね。

さてドーパミンは別名「脳内麻薬」とも呼ばれ、
アルコールやニコチン、そしてコカインなどの、
麻薬中毒を起こす原因となる依存性の高い物質です。

皆さんは麻薬による「幸福感」を味わったことがありますか?

私は昨年、ある病気で手術を受けた際に、
耐えられない痛みに対して「モルヒネ」を投与されました。
すると、体の中がジワジワと温まり、
言いようのない幸福感で満たされました。
天国のような夢心地・・・
「ああ、これが麻薬中毒につながる多幸感なんだ」
と禁断の味を知る、貴重な体験でした。

話を元に戻すと、
脳は糖質を摂取することで一時的に幸福感に包まれますが、
数時間後には血糖値が急降下して、
血糖値を再度上げるために体が糖質を欲しがるようになります。

これが負のスパイラル(=中毒)の始まりです。

糖質はアルコールやニコチンよりも中毒性の認知度が低いため、
多くの人が中毒だと自覚のないまま過ごしています。

ではその対策は?

糖質中毒から脱出するためには、
一度周りに糖質がない環境に強制的に身を置くこと。
それを続けると、やがて糖質を摂らなくてもつらくなくなります。

・・・とシンプルに書いてあるのですが、実行し成功するのは難しそう。

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ポテトチップはなぜ体に悪いか? 

2023年03月15日 07時45分27秒 | 予防接種
ポテトチップは体によくなくて、
たくさん食べない方がいい、
と子どもの頃から言われ続けてきました。

といいつつも、
私は学生時代に一人暮らしを始めると1日1袋を食べ続け、
一番そそる味は「バター醤油」との確信に至りました。

ポテトチップの何が体に悪いのか?

ずっと「油」だと思ってきました。

しかし、自分自身が50歳を過ぎて糖質制限(=炭水化物制限)をするようになり、
「油じゃなくて炭水化物が悪いんじゃないか?」
と考えが変わりました。

今回、コンビニで目に留まった啓蒙書を読んでみました。
面白いほどよくわかる糖質の新常識」(前川智著、宝島社、2022年発行)
カラーイラストや図が多く、わかりやすい言葉で書かれています。
すると、そのどちらも正しくて、かつ片方だけでは正しくないことが判明しました。

ポテトチップスが体によくない理由は、
糖質と脂質の同時食べになること。
一緒に食べると、脂質よりも糖質が優先的にエネルギーとして消費され、
余った糖質はインスリンにより体脂肪に運ばれる。
すると脂質はエネルギーとして消費されず、
インスリンにより糖質と一緒に脂肪細胞に取り込まれ、
体脂肪として蓄積されてしまう。

つまり、糖質と脂質がダブルで脂肪を蓄えることになる。
本来、脂質単体であれば、それほど量を食べることはできないけど、
糖質と組み合わされることで一気に食べやすくなり、食が進んでしまう。
 → 糖質+脂質の組み合わせはダイエットの大敵!
(他例)ラーメン、カツ丼、カレーライス、ハンバーガー、ショートケーキ

これ、頷けますね。
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太る原因は脂質? 糖質?

2023年03月13日 14時11分22秒 | 予防接種
私自身、もう5年以上“ロカボ”(炭水化物制限≒糖質制限)をしてきました。
手応えありで、それまでジワジワ増え続けた体重は、
標準+αに維持できています。
まあ、循環器系の持病はよくもわるくもなく、それなりの経過ですが。

糖質制限というと「甘いものを絶つ」というイメージですが、
それだけではダイエット効果はありません。

炭水化物を摂取すると腸の中で消化され、
体内にはその最終分解物である「ブドウ糖」として吸収されます。

これって「甘いもの」と同じルートなんです。

つまり、炭水化物を制限しないとダイエット効果は期待できません。

炭水化物とは、いわゆる“主食”であり、穀類です。
米、小麦、トウモロコシ・・・

日本では弥生時代に農作が始まり、
米を主食としてから食物供給が安定し、
爆発的に人口が増えました。

視点を変えると、炭水化物に依存する食生活になりました。

もともとインスリンは、飢餓状態に備えるホルモンです。
食物にありつけたときに、
余剰の糖質を脂肪細胞に取り込んで、
食べ物がないときにそれを取り出して使うのです。

しかし飽食の時代と言われる現代では、
常に糖質を必要以上に摂取しているため、
「肥満ホルモン」などと不名誉な名前で呼ばれるようになりました。

視点を変えると、
ごはんを食べないだけでシンプルにダイエット可能です。
体が必要とする適切な糖質量に抑えることにより、
脂肪細胞にたまっている脂肪を燃焼させることができます。

逆に「米を食べないと食事した気になれない」人は、
「糖質中毒」「炭水化物中毒」
という“病名”がつきます。

さて、以前から糖質制限に関して、
密かに疑問を持ち続けてきました。

・ロカボでは炭水化物を取り過ぎると脂肪として貯まるという説明だが、脂肪を過剰摂取するとどうなるのか?
・ロカボではカロリー制限は必要ないとされるが、余ったカロリーはどこへ消えるのか?

最近コンビニで見つけて読んだ啓蒙本が、この疑問に答えてくれました。
面白いほどよくわかる糖質の新常識」(前川智著、宝島社、2022年発行)
カラーイラストや図が多く、わかりやすい言葉で書かれています。
そこには・・・

・過剰な糖質摂取は脂肪になるが、脂肪を過剰摂取しても脂肪になる。
・ロカボでもカロリーを取り過ぎるとダイエット効果を期待できない。

まあ、当然と言えば当然の答えですが、
従来の「ロカボ推進派」の方々はこれらの説明を端折ってきましたので。

さて、ほかにも参考になる知識がちりばめられていましたので、
メモしておきます。

・日本人の1日の糖質の平均摂取量は230g(角砂糖47個分)
 ダイエット外来に来る人は、平均450g(角砂糖112個分)
 
 → 太るはずです。

・誤った知識例;
「果物は食べても太らない」 → 果糖は砂糖より太りやすい。
「食事回数は多い方がよい」 → 回数ではなく合計カロリー量で決まります。

・日本人は食事≒米を食べるという意識が染みついている。
 まずそのイメージを払拭すべし;
 朝ご飯は朝食と呼ぼう!
 昼ご飯はランチと呼ぼう!
 ごはんを食事と呼ぼう!

・草食動物はだらだら食べる
 肉食動物はエネルギー不足になったときだけ補給する
 → 肉食動物の食事習慣の方が太らない

・・・身の回りに常にお菓子がないと落ち着かないあなた。
 だらだら食いをしていては脂肪は増えるばかりです。

・カロリー制限では脂質が肥満の原因とされているが、それは間違い。
 太る原因は脂質ではなく糖質。

 → 血糖値を上げるのは糖質のみで、
 脂肪やタンパク質は血糖値を上げません。
 脂肪に直結するのは脂肪、ではなく糖質が主役なのです。

・「脂質はいくらでも食べていい」も間違い。

 → 脂質も過剰であれば糖質の次に脂肪細胞に取り込まれます。

・果物はビタミンCが豊富で健康にいい → 果物は糖質の塊!
 果物にはブドウ糖の約2倍の甘味がある「果糖」という糖質が多く含まれており、
 ブドウ糖よりも脂肪として蓄積されやすく太りやすい。
 健康な人が常食すると、糖質過多により生活習慣病を引き起こし、
 逆に病気になりかねない。

 → 砂糖の成分であるブドウ糖よりも果糖の方が脂肪になりやすい!
 ダイエットで思うように体重の落ちないあなた、
 果物をたくさん食べていませんか?

・ビタミンCは緑黄食野菜(パプリカ、ブロッコリー、ミニトマト等)にも多く含まれる。
 ただし、ビタミンCは水溶性で、茹でると流れてしまう。

・ブドウ糖と果糖の違い
 ブドウ糖は小腸で吸収され閑蔵を通過して血中へ(血糖値が上がる)
 果糖は小腸で吸収された後そのまま肝臓に運ばれて代謝されるので、
 血糖値を上げないが脂肪に変換され肥満の原因になる。

 → これは“目からうろこ”ですねえ。

・果汁100%のジュースは体に悪い。
 果糖たっぷり → 肥満の素を飲んでいるようなもの。

・ペットボトルの清涼飲料水は糖質たっぷり。
500mlのペットボトルに含まれる砂糖の量を角砂糖に換算すると・・・
 コーラ  → 角砂糖14.3個
 オレンジジュース  → 角砂糖13.4個
 ミルクティー  → 角砂糖9.6個
 スポーツドリンク  → 角砂糖6.4個

・スポーツドリンクは熱中症対策にならない?
 糖質を多く含むため短時間に多量に飲むと、
 ペットボトル症候群につながるリスクがある。

TVのCMで盛んに宣伝されている「ポ〇リス〇ット」、
糖質をたっぷり含んでます。
500mlのペットボトルを2本飲むと、
なんと角砂糖13個分を食べるのと一緒です。
たくさん飲むとかえって健康に悪いので、気をつけましょう。
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ステロイド点鼻薬の副作用

2023年03月11日 08時16分47秒 | 予防接種
アレルギー疾患では「局所ステロイド薬」を多用します。
これは、全身投与(内服・注射・点滴)では全身の副作用が問題になるため、
局所に作用して全身に影響を及ぼさないように開発されてきました。

例えば、
気管支喘息 → 吸入ステロイド薬
アトピー性皮膚炎 → ステロイド軟膏・外用薬
アレルギー性鼻炎 → ステロイド点鼻薬
アレルギー性結膜炎 → ステロイド点眼薬

この中で、注意すべき副作用として、
アトピー性皮膚炎:皮膚菲薄化
アレルギー性鼻炎:鼻出血
アレルギー性結膜炎:眼圧上昇(~緑内障)
気管支喘息:成長抑制(小児の場合)
などが有名であり、
アレルギー専門医はこれらに留意して量・期間を考慮します。

この中で患者さんにも有名なのは、
アトピー性皮膚炎に対するステロイド軟膏の副作用ですね。
しかし、マスコミの影響で誤解も多いのが気になります。

ステロイド軟膏の副作用は、
皮膚が薄くもろくなり、毛細血管が広がるため赤みを帯びることです。
患者さんたちが副作用と思い込んでいる、
色素脱失(色が抜ける)や色素沈着(黒ずんでくる)は、
治療不足によるものなのです。

アレルギー性鼻炎では鼻出血が問題になりますが、
これも粘膜が薄くなり、毛細血管が広がるために出血しやすくなるメカニズムです。

それ以外の副作用は、長期的にはどうなんだろう?
という疑問が昔から心の片隅にありました。

それに答えてくれる記事(日本医事新報社)が目に留まりましたので、
ポイントを抜粋します。


・生物学的利用率(BA, bioavailability)の低いステロイド点鼻薬は,安全性が高い。
 
・従来からあるベタメタゾン点鼻液(リンデロン点鼻薬)やデキサメタゾン点鼻液(オルガドロン点鼻薬)は,薬剤の点鼻滴下後に咽頭へと落下します。したがって,これらの薬剤を使用の際には注意が必要です。 小林らが嗅覚障害に対して長期のステロイド点鼻療法を行った際,1~2カ月で血清副腎皮質刺激ホルモン(adrenocorticotropic hormone:ACTH),コルチゾール値の低下が出現したと報告しています。

・従前のステロイド点鼻液は現在ほとんど使用されなくなり,生物学的利用率が1%未満という全身的な副作用の発現率の低いステロイド点鼻薬が主たる薬剤となっています。薬剤のほとんどは体内に吸収されないため,安全性は高いと考えることができます。長期的な安全性の検討も報告されており,小児の成長にも影響を及ぼさなかったと報告されています。以上からも,生物学的利用率の低いステロイド点鼻薬は長期的な使用に際しても,安全性が高い薬剤と考えることができます。
 
・実際に臨床で多く経験する副作用は,鼻粘膜の刺激感,乾燥,鼻出血などが挙げられます。これらの副作用を回避するには,生活指導による症状改善や根治治療である免疫療法を導入することにより薬剤使用量を減量させることが不可欠です。 

私の知らない新たな副作用はなさそうです。
長期的にも近年開発された点眼薬であれば、
体に悪影響を及ぼす可能性は低く、
安全に使えるとのこと。

さらには、長期的に使用が止められない例は、
だいたいダニアレルギーによる通年性アレルギー性鼻炎のため、
舌下免疫療法を選択肢に入れる、というフローが見えてきました。

私が日々の診療で行っていることと一致します。
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肥満を予防するためには、一日何歩のウォーキングが必要か?

2023年03月11日 07時05分59秒 | 予防接種
小児の肥満対策には、食事療法とともに運動療法が欠かせません。

そして、
「適当・適切な運動とは何をどのくらいやればいいのか?」
と具体的に指導すべく、調査中です。

現時点の知識では、
肥満傾向の児はもともと運動が嫌いなので、
息が切れるレベルの運動は指導しても無理があると思われ、
「汗ばむくらいの運動を一定時間」
が適切ではないかと感じています。

そんなタイミングで、
▢ 病気予防を目指すなら、ウォーキングは1日何歩がいい?
高血圧は1日8000歩程度、糖尿病は1日9000歩程度で頭打ち
大西淳子=医学ジャーナリスト(2023.3.9:日経ビジネス
という記事が目に留まりました。
ポイントと思われる個所を抜粋します。

・スマートウォッチ(Fitbit)に6カ月以上にわたって記録されていたデータを提供した18歳以上の6042人(年齢の中央値は56.7歳、73%が女性、BMIの中央値は28.1)を分析対象。 

・参加者の1日あたりの歩数は7731.3歩(中央値)でした。さまざまな慢性疾患を対象として、1日の歩数が1000歩増加するごとの発症リスクの変化を調べたところ、糖尿病や睡眠時無呼吸症候群などのリスクが有意に低下した;
 神経障害のある2型糖尿病:31%減
 睡眠時無呼吸症候群:15%減
 肥満:11%減
 うつ病:8%減
 胃食道逆流症:8%減
 高血圧:8%減

・肥満、睡眠時無呼吸症候群、胃食道逆流症、うつ病の4疾患の発症リスクは、1日の歩数が増えると、ほぼ直線的に低下したが、糖尿病、高血圧という2疾患と1日の歩数の関係は非線形で、比例関係は見られなかった。

・肥満リスクは、肥満発症の有無に関する情報が得られた人たちの1日あたりの歩数の中央値(8280歩)から1万歩に増えた場合には、31%低下した。
・研究参加時点のBMIも考慮して分析すると、たとえばBMIが28だった人が歩数を1日6000歩前後から1万1000歩まで増やすと、肥満発症リスクは64%低下 する。

・1日に6000歩程度しか歩かない人が、歩数を2倍弱まで増やせば、個々の疾患のリスクはおおよそ4分の1から2分の1程度低下する;
 糖尿病:32%減
 高血圧:24%減
 胃食道逆流:34%減
 大うつ病:34%減
 肥満:41%減
 睡眠時無呼吸:52%減

・糖尿病はおおよそ1日9000歩、高血圧は1日8000歩までは、歩数が増加するにつれて発症リスクが低下しましたが、それ以上歩いてもリスク低下は見られなくなった。

・今回のデータは、1日あたりの歩数は一般的な慢性疾患6疾患の発症リスクと関係し、肥満、睡眠時無呼吸症候群、胃食道逆流症、うつ病のリスクは歩数が増えるほど低くなること、糖尿病と高血圧については、リスク低下の最大の利益は1日8000~9000歩で得られることを示唆する。

肥満対策として取り入れるとすれば、
「運動不足がちな人が1日の歩数として現在の倍くらいまで増やすと十分な効果が期待できる」
といったところでしょうか。

昔、万歩計で自分の一日の歩数を測定した経験がありますが、
1日10000歩歩くのは結構大変ですよねえ。

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「コレクチム軟膏が生後6ヶ月から使用可能になりました」のインパクト。

2023年03月04日 17時20分22秒 | アトピー性皮膚炎
と書かれても一般の方はピンときませんよね。

実は小児アレルギー科医にとって、
ものすごく大きな進歩なのです。

私は小児科・アレルギー科を標榜しているので、
湿疹の赤ちゃんが多く受診されます。

他の皮膚科・小児科を何件か渡り歩いて(ドクターショッピング)、
なかなかよくならずにたどり着く方も少なくありません。

そんな患者さんに対して、
当院では「アトピー性皮膚炎診療ガイドライン」に従って、
「プロアクティブ療法」を行っています。

といっても特殊な薬を使う治療ではありません。
ステロイド軟膏の塗り方と減らし方を丁寧に指導する方法です。

生後数ヶ月の顔を真っ赤にした赤ちゃんが受診されます。
よくみると、カサカサしていている場所、ジクジクしている場所が混在。
お母さんに聞くと、抱っこすると顔をお母さんの服になすりつけてくるとのこと。
これは、お母さんの服を使って掻いているのと同じです。
つまり、この赤ちゃんの顔の湿疹は痒いのです。

この状態を「痒みを伴う乳児湿疹」と呼びます。
良くなったり悪くなったりを繰り返し、
2ヶ月以上続くと「乳児アトピー性皮膚炎」という診断になります。

初めて治療を受ける場合は、非ステロイド軟膏から始めます。
それでよくなればOK。
上手く治らなければステロイド軟膏の出番です。
赤ちゃんの顔の皮膚は薄いので、
弱いステロイド軟膏で十分効きます。

最初は軟膏をベタベタたっぷり塗ってもらいます。
ステロイド軟膏と聞くと、
皆さん腰が引けて少ししか使ってくれないので、
ここはしっかり指導します。

湿疹がある場所を触るとザラザラしていますよね。
それを拡大してイメージすると、
皮膚の表面が凸凹しています。

少量の軟膏をその場所にすり込むように塗ると、
凹の場所に残りますが、
凸の場所には軟膏が残りません。

そして炎症が強いのは凸の場所です。

つまり、少量の軟膏をすり込むように塗ると、
薬が効かないのです。

すり込むように塗るのが有効な場合は、
筋肉痛や関節痛です。

皮膚の病気は、
表面にのせるつもりで、
一枚膜を張るつもりでたっぷり塗ると、
薬の効きが全然違います。

赤みと痒みが完全に消えるまで、
1日2回たっぷり塗り続けます。

1週間以内に再度受診していただき、
塗れているかどうか、
順調に改善しているかどうかを確認しています。

赤みと痒みが完全に消えたことを確認できたら、
ステロイド軟膏を一旦中止するか、
それとも継続してゆっくりやめていくか考えます。

初めての治療で、湿疹が軽度なら、
ステロイド軟膏をやめて保湿ケアへの移行を提案します。

何回も改善と悪化を繰り返している患者さんには、
ゆっくりやめている方法を提案します。

具体的には、
1日2回を1日1回塗りとし、
1週間後に再度受診してもらい、
悪化していないかどうか確認します。
順調なら、ゆっくりと塗る回数を減らしていきます。
(例)
 1日おき1回を1-2週間
 → 2日おき1回を1-2週間
 → 3日おき1回を4-8週間

途中で再度悪化したら、振り出しに戻ります。

この治療法(プロアクティブ療法)で、
「痒みを伴う乳児湿疹(≒乳児アトピー性皮膚炎)」
の8-9割はよくなり、いずれステロイド軟膏をやめられます。

しかし、ステロイド軟膏を必要十分使っても、
残りの1-2割はうまくいきません。
当院は皮膚科より弱いステロイド軟膏を使っているため、
その1-2割の患者さんは皮膚科に紹介してきました。
強い軟膏は副作用もあるので、
皮膚科専門医の診療が必要と考えます。

小児科医がガイドライン通りに治療をしても、
残念ながら全員が治るとは限らないのが現状です。

実は、アトピー性皮膚炎に対するステロイド軟膏以外のぬり薬もあります。

20年前に登場したプロトピック軟膏。
これは動物実験でガンが発生するとか(現在は否定されています)、
目の周りに塗るとヒリヒリしていたいとか、
2歳未満には使用できないとか
使用量制限があるとかの理由で、
簡単には使いづらくあまり普及していません。

さらに2020年以降、続々と新しい作用機序の軟膏が登場してきました。
具体的にはコレクチム軟膏とモイゼルト軟膏。
ステロイドと異なるので、
ステロイドで心配される副作用がありません。

しかしこの二つの薬も「2歳以上」という縛りがありました。
さらにコレクチム軟膏は「1回5gまで」という使用量制限があります。

結局、2歳未満のアトピー性皮膚炎患者さんは、
ステロイド軟膏しか使えないのです。

新型コロナワクチンもそうでしたが、
新しい医薬品が開発されても、
いつも子どもは置いてきぼり、後回しですね。

そんなところに、2023年1月、
コレクチム軟膏が「生後6ヶ月から使用可能」になったことを知りました。

これは朗報です。

ステロイド軟膏でコントロールできない乳児アトピー性皮膚炎に対して、
使える軟膏が登場したのです。

これで皮膚科に紹介せざるを得なかった乳児アトピー性皮膚炎患者さんを、
減らせる可能性が出てきました。

私がイメージするコレクチム軟膏を使う対象は、
ステロイド軟膏の減量過程で再燃・再発を繰り返す患者さんです。

ステロイド軟膏で湿疹の炎症を沈静化させたタイミングで、
減量に入るのではなく、コレクチム軟膏に変更します。
安定期を確認後、プロアクティブ療法に準じてゆっくり減量中止していくのです。

もしかしたら、赤ちゃんの湿疹〜乳児アトピー性皮膚炎を、
当院ですべて治療完結できるかも・・・
私自身、ワクワクしています。

欲を言えば、
・コレクチム軟膏の使用量制限の撤廃
・モイゼルト軟膏の2歳未満への使用の解禁
を実現して欲しいです。

すると、痒い湿疹で悩む赤ちゃんがいなくなるかもしれませんね。


<参考>
アトピー性皮膚炎診療ガイドラインからコレクチム軟膏の記述を抜粋;

「デルゴシチニブ軟膏は,細胞内シグナル伝達(JAK)を抑制する薬剤である.2020 年にコレクチムⓇ軟膏 0.5%が世界で初めて日本で承認・発売された.・・・アトピー性皮膚炎の炎症に対しては速やかに,かつ確実に鎮静させることが重要であり,そのためにステロイド外用薬とタクロリムス軟膏とデルゴシ チニブ軟膏をいかに選択し組み合わせるかが治療の基本である.その際,視診と触診を参考に炎症の部位を適切に把握し,これらの薬剤を十分な範囲に外用する.」

「デルコシチニブは,種々のサイトカインのシグナル 伝達に重要なヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬で,JAK ファミリーのキナーゼ(JAK1,JAK2,JAK3 および tyrosine kinase 2)をすべて阻害し,免疫細胞の活性化を抑制する.中等症以上の成人アトピー性皮膚炎患者を対象とした臨床試験で,デルゴシチニブ0.5%軟膏群では基剤群に比べて皮疹スコアの有意な改善がみられ,かゆみ NRS スコアも外用開始後すみやかな軽減がみられた.外用局所の副作用として,毛包炎や痤瘡,カポジ水痘様発疹症,単純疱疹,接触皮膚炎が報告されている。過量投与すると経皮吸収量増加により全身性に影響を来す可能性があるため,デルコシチニブ軟膏の使用は「1 日 2 回,1 回の塗布量は 5 g まで」という用法・ 用量を超えないようにする.また明らかなびらん面や粘膜への外用,密封療法や亜鉛華(単)軟膏を伸ばしたリント布の貼付などは経皮吸収を増加させるため, 行わないようにする.デルコシチニブ軟膏は免疫抑制作用を有することから,皮膚感染症部位には塗布しないよう細心の注意を払い,投与中は毛包炎やざ瘡,カポジ水痘様発疹症をはじめとしたヘルペスウイルス感 染症等の皮膚感染症に十分注意し,発現した場合,当該部位への本剤塗布を中止し,適切な感染症治療を行うことが必要である.デルコシチニブ軟膏の安全性や本剤と他の治療法との併用に関する情報は,「デルゴシチニブ軟膏(コレクチムⓇ軟膏 0.5%)安全使用マニュ アル」 を参考にされたい。」

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