小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

アメリカの成人向け予防接種スケジュール2017年版

2017年02月22日 06時26分13秒 | 予防接種
 アメリカの成人向け予防接種スケジュールが2017年版へ更新されたという記事を紹介します。
 日本では成人に対する定期接種は、高齢者向けの肺炎球菌ワクチン高齢者向けの季節性インフルエンザワクチンの2つだけですが、アメリカではさまざまなワクチンが推奨されています。
 また、予防接種制度も異なり、日本では定期接種は公費負担、任意接種は自己負担という仕分けがされていますが、アメリカでは健康保険で接種費用をまかなっています。

 ちなみに、昨年(2016年)の推奨内容は下図の通り(2016/7/26:日経メディカル「B肝、破傷風ワクチン、大人に勧めるべき?」);

 今年の変更記事を要約すると、
・経鼻生インフルエンザワクチンが非推奨となる。
・アナフィラキシー既往のある卵アレルギー患者でも、医療従事者の監視下であれば、あらゆる種類のインフルエンザワクチンを接種可能。
・3回接種が基本であったHPVワクチン(=子宮頸がんワクチン)は、9~14歳で1回目、5カ月以内に2回目の接種をすれば、3回目の接種は不要(ただし、青年期まで未接種の場合は、従来通り3回の接種が推奨)。
・HIV陽性の成人に、新たに髄膜炎菌4価ワクチン(MenACWY)の2回接種を推奨。
・B型肝炎ワクチンが有益とされる慢性肝疾患患者のリストに、新たにC型肝炎感染者が追加される。


■ 米国の予防接種ガイドラインが更新される
2017/02/22:ケアネット、提供元:HealthDay News
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香り立つ柔軟剤の功罪

2017年02月21日 12時45分02秒 | 医療問題
 最近はそうでもないのですが、一時、洗濯の際に使う柔軟剤の香りが強くて困ったことがあります。
 一応健康人の私でも辟易するくらいですから、化学物質過敏症の方は耐えられないでしょう。

 産経新聞の記事を紹介します。
 「日本人の10人に1人はいる」と専門家は言っていますが、本当だろうか・・・少なくとも私の周囲にはいませんが、表に出ないだけなのかな。

■ 他人の服に残る柔軟剤は「毒ガスの苦しみ」 理解されない化学物質過敏症の患者
産経新聞 2017/2/21


<化学物質過敏症の主な症状>

 汗の臭い対策などとして強い芳香や消臭効果のある洗剤や柔軟剤などの需要が高まる陰で、苦しんでいる人たちがいる。「化学物質過敏症(CS)」の患者たちだ。他人の衣服に残る柔軟剤などの化学物質が、めまいや頭痛などを引き起こすため、飲食店に入ることもためらわれ、会社や学校に行くのが困難になるケースもある。CSは暮らしの中にある化学物質によって発症する身近な疾病にもかかわらず認知度が低く、患者は周囲の無理解にも苦しんでいる。

 「レストランで匂いの強い人がいると食事ができない」「宅配の人の制服の匂いがつらくて…荷物にも移るから、洗剤を変えてほしいとお願いした」
 大阪市中央区のクリニック「ふくずみアレルギー科」で、治療のための勉強や情報交換を目的に、毎月第2火曜の午後2時から行われる「CS教室」。先月上旬には7人が参加し意見交換した。
 同クリニックの吹角(ふくずみ)●(=隆の生の上に一)之院長は全国で数少ないCS専門医で、北海道から沖縄まで全国各地から患者が訪れる。近年は柔軟剤などに悩まされる患者が増え、「おおげさと思われがちだが、患者にとっては毒ガスのように苦しい」と訴える。
 CSは、平成21年に厚生労働省によってレセプト(診療報酬明細書)に記載できる病名リストに登録された。ある化学物質を一度に多量に、または少量を慢性的に浴び、許容量を超えたときに突然発症する。スギにアレルギー反応を示して花粉症になった患者がマツにもブタクサにも反応するようになるのと同様、発症原因となった化学物質に限らず、ごく微量のさまざまな化学物質に拒否反応を示すようになることが多い。
 化学物質の発生源は、壁紙の接着剤、防虫剤、たばこ、芳香剤に消臭剤、香料など、日常生活の中に無数に存在する。同クリニックに通院するCS患者の発症場所は自宅が約半数で最も多く、職場、学校と続く。
 症状は頭痛や倦怠感(けんたいかん)、不眠など多様で、これといった特徴はない。患者は「仕事の疲れ」と考えて病院に行かなかったり、受診しても検査に異常が出にくいため、心身症や、女性の場合は更年期障害と診断されたりすることが多い。
 吹角院長は「かなりの患者が見落とされているが、日本人の10人に1人はいる」と推測する。発症に気付かず化学物質を浴び続けると重症化する恐れもあり、重篤になると、防毒マスクがなければ外出もままならなくなる場合もあるという。
 治療には薬の投与のほか、患者の住環境から化学物質をできるだけ排除。また、添加物を含む食品やアレルギーのある食材を見つけて避けるなど食生活を見直すことで、「別の物質の解毒作業を減らし、化学物質の解毒量を増やす」(吹角院長)。実際、多くの患者がこうした指導で軽症化し、寝たきり生活から仕事に復帰した人もいるという。
 さらに生活の上で欠かせないのが、職場や学校などでの周囲の協力だ。しかし、CSへの理解がなく、患者が柔軟剤や芳香剤の使用をやめてもらうよう求めても「個人のわがままだ」と一蹴されることが多く、退職や不登校に追い込まれるケースもある。

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「感染症に正しく備える」(岡部信彦先生)

2017年02月04日 17時44分00秒 | 感染症
 引き続きNHKラジオ第一放送「健康ライフ」から。
 元国立感染症研究所長(現在は川崎市健康安全研究所長)の岡部信彦先生による感染症のお話です。
 感染症全般に対する「ご意見番」の登場;

■ 「ジカ熱を考える」
・症状は軽く(デング熱よりも軽症)、発熱と皮疹が特徴。
・最近現れた感染症ではないが、軽症のため注目されてこなかった。
・ブラジル、ポリネシアで大流行した際、感染した妊婦から生まれた赤ちゃんに異常が発生することが判明して問題になった。
・胎児異常の発生率;風疹(妊娠初期)は50〜100%、ジカ熱は1%。
・数年前に風疹が日本で流行した際にCRS(先天性風疹症候群)が50名弱発生した。
・風疹はワクチンで予防可能。
・麻疹も減ってきたがなくなってはいない。

■ 「ワクチンの効果をどう計るか?」
・赤ちゃんのB型肝炎ワクチンが定期接種化。日本では以前からお母さんがキャリアーの赤ちゃんに対して予防措置(免疫グロブリン&ワクチン接種)が行われ、子どもの患者は減ってきたが、水平感染(家族・集団生活)が残り、その対策として定期接種化された。
・B型肝炎ウイルス感染症は慢性肝炎、肝硬変、肝がんの原因になり得る。長い目で見た予防措置である。
・ヒブ(Hib)ワクチンの対象疾患は細菌性髄膜炎(年間1000人発症、300人が重症化)。誰でも罹る流行する病気ではないが、ワクチンを接種することによりこの1000人/300人がゼロに近くなる。
・ヒブと肺炎球菌ワクチンによる細菌性髄膜炎減少が小児救急の仕事内容を変えた。

■ 「戦争と感染症」
・ポリオが撲滅できない国は「貧困」「紛争」「戦争」という問題を抱えている。
・「ポリオデー」を作り停戦して予防接種行うこともあったが、予防接種が戦争に利用された事実も無視できない。オサマ・ビン・ラディン暗殺はポリオ予防接種に伴う情報収集・スパイ活動が背景にあった。逆にポリオ予防接種を担当するスタッフが殺される事件もあった。
・派遣先の戦地から耐性菌、新興感染症を本国に持ち込むパターンもある。受け入れ体制の整備が必要。

■ 「公衆衛生と感染症」
・日本人の公衆衛生感覚は国際的にレベルが高い。
・自然災害ではふだん問題にならない感染症に注意。
熊本地震(2016年4月)ではノロウイルスの小流行があったのみ。
東日本大震災(2011年3月)では、肺炎、ノロウイルス、インフルエンザの小流行があったのみ。
・インドネシアではケガによる破傷風の死亡例が多かった。東日本大震災では高齢者のみの少数例発症で、小児例はいなかった。これはワクチンの成果である。
・日本は先進国の中でも耐性菌が少ない国である。
・家畜に対する抗菌薬使用の管理も耐性菌対策に重要。

■ 「限られた社会資源をどう生かすのか」
・災害時の避難所生活では閉鎖空間での集団生活のため感染症のリスクが高くなる。
・災害時は衛生研究所の人手が足りなくなり、水質検査などが優先され感染症の検査が手薄になる。
・岡部Dr.が中心に、14種類の感染症が短時間(2時間程度)に検査できるキットを開発し、熊本の避難所で役立った。

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「守ろう、子どもの冬の肌」(山本一哉先生)

2017年02月04日 16時58分50秒 | アトピー性皮膚炎
 NHKラジオ第一放送で朝5:38頃から「健康ライフ」という番組を月曜日〜金曜日に放送しています。
 内容は専門家による6分間程度のミニレクチャーで、ちょうど私の通勤時間帯であり、時々小児科関係のお話もありますので目をこすりながら聴いています(^^;)。

 先日は小児アトピー性皮膚炎の元第一人者、山本一哉先生(総合母子保健センター愛育クリニック皮膚科部長)が再放送で登場。
 縦横無尽の語り口は時々脱線しますが、まあご愛敬。
 気になる部分を備忘録としてメモしておきます;

■ 「寒さだけではない、皮膚へのダメージ」
・寒い→ 血の巡りが悪くなる→ 新陳代謝低下→ 汗や脂、セラミドなどが出にくくなる
・服の硬い繊維による摩擦刺激・・・
① 長くて硬いスカートでこすれて湿疹がよくならない女児例、タイツを履けば解決
② 手首の湿疹・・・シャツ/ブラウスが短くて手首を守ってくれない例

■ 「子どもと洗顔」
・洗顔も皮膚を傷つける。
・表皮+真皮の暑さは2mm、表皮はその100分の1(0.02mm)しかない。
・泡で洗い、こするのは厳禁。
・口の周りをティッシュで拭くことを繰り返すとかさついて赤くなってくる。
・思春期前の子どもは脂の分泌が少ないので補う必要がある。

■ 「冬のスキンケアの必要性」
・しもやけが減り診たことのない若い皮膚科医もいるらしい。
・理由は子どもの遊び方の変化:外遊びから屋内遊びへ。
・アカギレも見なくなった。
・その代わりにアトピー性皮膚炎が増えた。
・日本の入浴方法(湯船に3分間)が乾燥肌を助長している。
・熱いお湯で流すだけで脂は落ちる(台所と同じ)が、その上に洗浄剤を使ってさらに助長。
・対策として、入浴後にたっぷりの保湿剤で補う必要がある。

■ 「冬とアトピー」
・寒さ&乾燥→ ドライスキン
・幼児期は夏に毛穴に一致してザラザラしている皮膚(アトピックスキン)は冬になると湿疹になりやすい。
・ステロイド軟膏は登場して半世紀以上経つ。
・新たに登場したプロトピック軟膏は湿疹が残っているとしみて痛いので、ステロイド軟膏でよくしてから切り替える。
・中学生以降は忙しくなって皮膚科へ通院しきれなくなり、スキンケアもなおざりになり、成人型へ移行する要因になる。
・ポイントは「よくなってもステロイド軟膏をすぐにやめない」こと。ゆっくりゆっくりやめていこう。
・皮膚科を受診したら、次にいつ受診するかを確認して通院が途切れないように。

■ 「子どもの肌は誰が守るのか」
・周りの大人の仕事です。寄ってたかって守りましょう。
・保育園ではスキンケアをしてくれない(処方薬しか使えない)→ ウイークデイの日中は無治療になる。
・日本では9〜11月生まれの赤ちゃんはアトピー性皮膚炎になりやすい。乾燥の季節に外に出るようになるからと考えられている。ブラジルでは3〜4月(=秋)生まれに多い。

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「医療被ばく」を医療者も患者も認識すべし

2017年02月03日 06時48分47秒 | 医療問題
 日本は医療被ばくに関する意識が低いと言われており、そのため、医療被ばくによる発がん率が他の先進国より高いと聞いたことがあります。
 私がそれを意識するようになったのは、今から20年前くらいでしょうか。
 某学会でCT所見の経過を追った発表を聞いていたとき、会場から「そんなに何回もCT撮影をするのは患児の被爆という視点から好ましくないと思います」という意見があり、驚きました。
 質問者は小児放射線科医で「CT1回はレントゲン100枚分の被爆があります」とコメント。
 会場がざわついたことを記憶しています。
 以降、私自身はレントゲン検査をする際、そのメリットと被爆というデメリットを天秤にかけて考えるようになりました。

 なお、ヒトは宇宙から入ってくる放射線を常に浴びており、1年間では胸部レントゲン数枚分に相当すると書物で読んだことがあります。
 つまり、自然に生活している状態でも1年にレントゲンを数回撮影されたのと同じだけ放射線を浴びていることになるのです。
 だからレントゲン検査を受けたからといって、すぐ癌発生につながるわけではありません。
 誤解なきよう。

 最近目にした関連記事を2つ、紹介・抜粋させていただきます;

■ 「レントゲン、CT検査 医療被ばくのリスク」(崎山比早子著)
 2004年、イギリスの医学雑誌『ランセット』に、オックスフォード大学のベリングトン博士らの研究論文が掲載されました。タイトルは、『診断用エックス線による発がんのリスク:英国および 14ヵ国の評価』(04 年1月31 日号)。欧米をはじめとする15の国で、放射線検査の頻度や、その検査による被ばく量、年齢、性別、発がん率などを基に解析した国際研究です。その論文によると、日本は年間のがん発症者の3.2%、人数にして年間7587人が医療被ばくが原因とされています。2番目に多いクロアチアでも1.8%ですから、世界でも突出して医療被ばくが多いと言えるでしょう。


 上記リンクで提示されている患者さんが検査で受ける被ばく線量一覧(参考資料の1から);



 上の表によりますと、私が日常診療で撮影する胸部レントゲン1枚と胸部CT1回を比較すると、その被曝量は0.03:7.9=1:263となり、100倍どころか263倍の被爆(!?)という計算になります。
 皆さん、ご存じでした?

■ 医療者を守る放射線防護の10カ条〜京都医療科学大学教授の大野和子氏に聞く
日経メディカル:2017/1/13

<参考>
・「医療被ばくをどう考えるか ~低線量放射線のリスクを知るために~」(高木学校第8回市民講座報告集)
・「医療被ばくQ&A
・「あなたは医療被ばくについて患者の質問に答えられますか?
・「医療被ばく関連の解説
・「暮らしの中の放射線被ばく ―医療被ばくの現状―
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「おたふくかぜ難聴」を知ってください

2017年02月02日 05時32分52秒 | 予防接種
 小児科医はおたふくかぜワクチンの定期接種化をずっと訴えてきました(2012年の日本小児科学会による提言)。
 しかし、未だに採用されていません。
 理由は「国民が問題視していないから」です。
 皆さん、正しい知識を持ち、正しく病気を怖がり、対策を考えましょう。
 医者任せでは国は動きません。患者が賢くなってください。

■ おたふくかぜで難聴になることも 患者の実態調査へ
2017年1月29日:NHK
 子どもを中心に流行し、難聴になる危険性があるおたふくかぜについて、日本耳鼻咽喉科学会は難聴になった人数や症状の重さなど、実態を具体的に把握して国に対策を促していこうと、来月から全国すべての耳鼻科の医療機関を対象に大規模な調査を行うことを決めました。
 「流行性耳下腺炎」、いわゆる、おたふくかぜは子どもを中心に流行し、発熱や耳の下の腫れを引き起こすウイルス性の感染症で、例年に比べて患者が多い状況が続いています。
 おたふくかぜは、1000人に1人ほどの割合で難聴になるとする報告もありますが、日本耳鼻咽喉科学会によりますと、発生の詳しい実態はわかっていないということです。
 このため学会は、29日に都内で開いた会議で、過去2年ほどの間におたふくかぜの影響で難聴になったと見られる患者について大規模な調査を行うことを決めました。
 来月から、耳鼻科のある全国すべてのおよそ8000の医療機関に調査票を送って、患者の年齢や性別のほか、難聴の程度、聞こえないのは片耳か両耳か、どのような処置をしたかなどを尋ね、難聴になった人数や症状の重さなど実態を具体的に把握したいとしています。
 学会では調査結果を踏まえ、おたふくかぜの影響で難聴になる危険性を広く知ってもらうとともに、ワクチン接種が現在の任意のままでいいのか、厚生労働省に検討を求めたいとしています。
 日本耳鼻咽喉科学会の守本倫子乳幼児委員長は「おたふくかぜで難聴になることが社会の中で十分に認識されていない。一度難聴になると回復は非常に難しいので、調査を通じて予防接種の重要性を訴えていきたい」と話しています。

◇ 重い難聴の小学2年生は
 都内に住む小学2年生の西尾癒菜さんは幼稚園の年長のときにおたふくかぜにかかってから、数日後に重い難聴になりました。
 左右両方の耳が全く聞こえなくなり、病院で回復は見込めないと診断されました。
 現在は、右耳につけた小型マイクから音声を電気信号に変えて直接脳に送り込む人工内耳と呼ばれる装置を埋め込んで、周りの声や音を認識しています。
 しかし、装置をつけていても通学路で近づく車に気付きにくいほか、騒がしい場所では話が聞き取りづらく、学校の授業を補うため毎週、家庭教師に来てもらっています。充電のために装置を外した際などは、家族と筆談をしたり、50音表を指し示してコミュニケーションを取ったりするということです。
 癒菜さんは「学校では先生の声が小さく聞こえる。そんなときは友達に聞いている」と話していました。
 母親の西尾真理さんは「おたふくかぜで難聴になることを知らず予防接種を打っていなかったことを後悔し続けています。 私の認識が甘かったのですが、娘のように音を失う子どもがいなくなるよう、おたふくかぜの予防策が進んでほしいです」と話していました。

◇ 1000人に1人ほどが難聴に?
 おたふくかぜはムンプスウイルスが原因の感染症で、主にせきなどによる飛まつで感染し、発熱や耳の下の腫れなどを引き起こします。
 患者の多くは子どもで、通常1~2週間で症状は改善しますが、1000人に1人ほどの割合で難聴になるとする報告があります。
 ムンプスウイルスが、耳の奥にある内耳と呼ばれる部分にダメージを与え、その結果、鼓膜で聞いた音が電気信号に変換されなくなり、脳が音を認識できなくなるのです。
 日本医師会などが平成23年までの3年間に全国1万9000の病院を対象に行った調査では、全体の2割弱の病院からの回答で、117人が音が聞こえにくくなったと訴えて入院し、このうち61人に難聴の後遺症が残りました。
 日本耳鼻咽喉科学会の守本倫子乳幼児委員長によりますと、子どもが難聴になると、補聴器をつけたり両耳に症状がある場合は人工内耳を埋め込んだりする手術があるということです。
 しかし、元の状態に戻るわけではなく、耳で新しい言葉を聞いて覚えることが難しくなり学校での学習についていけなくなったり、友人とコミュニケーションをしづらくなり、疎外感やストレスを感じたりする問題も残るということです。

◇ 4~5年の周期で大流行
 国立感染症研究所によりますと、おたふくかぜは4年から5年の周期で大きな流行を繰り返す傾向にあります。
 流行の中心は、子どもで特に6歳未満が多くを占めます。
 ワクチンが定期接種から任意接種に変わった平成5年以降、全国3000の小児科の医療機関から報告された患者数が最も多かったのは、平成13年の25万人余りで、去年は15万9000人ほどとなっています。

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トランプ大統領はワクチン反対派

2017年02月01日 08時05分33秒 | 予防接種
 トランプ大統領に世界中(特にアメリカ自身)が振り回されています。
 世界中の「こまったちゃん」をなだめて指導する立場だったアメリカが、自ら最強の「こまったちゃん」と化しており収拾が付きません(^^;)。
 この記事を読むと、予防接種にも影響が出そうな気配。

■ トランプ政権に対する医学界の強い懸念
2016/12/10:YAHOO!ニュース
 これまで11月13日、12月4日の2回にわたってトランプ政権に対する科学界の懸念について書かれた科学紙の記事を紹介してきた。
 なぜこれほど科学者が心配しているかというと、彼が科学技術予算を減額するのではと心配しているからではない。彼の言動から伺える思想が、科学者一般の考え方とかけ離れているため、本能的に相容れないところがあるからだと思う。私自身も彼の一言一言に恐怖感すら感じる。そこがトランプラリーと浮かれている経済界の人たちと根本的に違う点だろう。
 そして極め付けともいえる恐ろしいトランプの行動が、モントリオール在住のフリーランスの記者Owen Dyerさんにより、12月5日付のThe British Journal of Medicine紙で明らかにされた(BMJ 2016;355:i6545 doi: 10.1136/bmj.i6545)。
 タイトルは「Andrew Wakefield calls Trump “on our side” over vaccine after meeting(Andrew Wakefieldがトランプと会談の後、ワクチン問題で「我々の味方」と呼んだ)」だ。
 このAndrew Wakefieldとは、1998年Lancetにはしかワクチンが自閉症の原因であるという捏造論文を書いた張本人だ。私も、小保方事件と比較してWakefield事件についてはこのサイトで詳しく述べているので参考にしてほしいが、この捏造論文のおかげで反ワクチン運動が勢いづき、英国や米国で新たなはしかの流行が起こり、死者まで出た。Wakefieldは捏造を否定し続けているが、共著者全員とLancetの編集者が捏造を認めたことで失脚したが、米国の反ワクチン運動団体の支援を得て、現在も活動している。

<参考>
ウェークフィールド事件1
ウェークフィールド事件2

 この記事でDyerさんは、Wakefieldが選挙前にトランプと会談し、会談後Wakefieldが「トランプは反ワクチン運動の味方で、3種混合ワクチンが自閉症を誘発することを認める政治家だ。」とコメントしたこと、また「この選挙はワクチン問題一本に絞って判断して投票するように」と、反ワクチン支持者に呼びかけていることを報告している。
 いくら選挙前で、また反ワクチン運動が大きな票田であるからといっても、捏造論文のWakefieldと会ったこと自体が問題だ。トランプとは直感に頼る煽動家で、科学的に考えることなど全く意に介しないだけでなく、捏造に対して寛容であることがわかる(すなわち自分も捏造を厭わない)。普通取り巻きがこのような会談を阻止するのだが、結局取り巻きも同じ穴の狢だろう
 さらにDyerさんはトランプのTwitterを調べ、トランプが従業員の子供について、「ワクチンを接種して、発熱し、自閉症になった」とトゥィートし、さらに「大統領になったら一度に幾つかのワクチンを接種する現在の方法はやめさせ、何回にも分けて接種させる」とトゥィートしていることを明らかにしている。これを読んで暗澹たる気持ちになる医学関係者は多いはずだ。
 私自身、個人が反ワクチン論を展開することに何の問題も感じないが、医学的な研究論文を全く無視した議論の展開は許すことはできない。
 この問題に関しては、大統領になってからトランプが心変わりし、専門家の意見に耳を傾けることを切に祈るが、まずCDCのワクチン行政にどう介入するか注視していく必要がある。その意味では、厚生福祉長官のトム・プライスが鍵を握るが、Dyerさんは信用できないと切り捨てている。  
 トランプの真実を最も語る記事ではないだろうか。
(西川伸一 | NPO法人オール・アバウト・サイエンスジャパン代表理事)


 とりあえず、「麻疹ワクチンは自閉症の原因になる」「同時接種は危険である」という科学的に否定された考えが復活し、ワクチン反対派が勢いづきそうです。
 みなさん、冷静に、冷静に、感情論に振り回されることなく科学的根拠を持って議論し判断しましょう。
 う〜ん、それをトランプ氏に期待しても無理そう(T_T)。
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