しつこく「成長曲線」について探求していきます。
日本外来小児科学会2023でも成長曲線の教育講演がありました。
▢ ここまでわかる成長曲線
虎の門病院小児科 伊藤純子Dr
(2023.⒐9:第32回日本外来小児科学会)
そのメモ書きを備忘録として残しておきます。
◆ 成長障害の定義
以下の1and/or2により成長障害と定義する;
1.低身長:同年齢・同性の子に比べかなり背が低い子
・身長が同性同年齢の標準身長の平均 -2SD以下
2.成長速度低下:年間成長速度がとても遅い子
・成長速度が同性同年齢の標準の平均 -1.5SD以下
=年間の伸びが4㎝以下ならどの年齢でもこれに該当する
・病気をより反映するのは成長速度>低身長
◆ 身長は正規分布をしており、±2SD内に95.5%が入る。母子手帳はSDと異なるパーセンタイル表示を採用しており、下限ラインの3パーセンタイルは −2SDと微妙にずれる。
・−2SDを下回る児は2.3%(40~50人に1人)
・−2.5SDを下回る児は0.62%(160人に1人)
◆ 成長の評価は点としての実測値だけでなく線としての成長率も重要である。
・出生後1歳までが最も高い:20~25㎝/年
・思春期までは穏やかに低下する:-1.5SDは4㎝を下回らない。
・思春期に入るとスパートが認められる:10㎝/年
◆ 体重は正規分布をとらない。大きい方に偏っている。
◆ 体重の評価には肥満度判定曲線を用いる。
・母子手帳にも掲載されている。
◆ 小児期の成長要因を分析する
・小児期でも乳児期・幼児期・思春期では成長にかかわる要因が異なる;
(Infancy)栄養、インスリン、IGF-1
(Childhood)成長ホルモン、甲状腺ホルモン
(Puberty)性ステロイド
◆ 栄養障害は後を引く…
・乳児期に母乳不足で体重増加不良に陥った場合、それが身長にも影響を及ぼすと、栄養状態を改善しても身長が元のレベルには戻りにくい現象が観察されている。
・つまり低栄養はその後の発育にも大きく影響する。
◆ 成長曲線を活用すべし!
・成長曲線が最もよく病気の原因・経過を語っている。
・明らかな成長率低下がある場合は、必ず何かがある。
・成長曲線の描き間違いは意外に多い…何歳何か月まで正確に書き込む習慣を。
(例)小学5年生女子で125㎝は低身長?
…生まれた月で評価が異なる;
(3月生まれ→10歳0カ月)-1.8SD …正常範囲
(4月生まれ→11歳0か月)-2.8SD …低身長を疑う
★ 立位と臥位、朝と夕方でも身長は変わる。
◆ 成長障害の原因による分類
※ 下線は成長ホルモン療法の適応(最近増えてきている)
1.内分泌疾患
・成長ホルモン分泌不全症
・甲状腺機能低下症
・クッシング症候群
・思春期早発症、など
2.染色体異常
・ターナー症候群
・SHOX異常症、など
3.骨・軟骨の異常
・軟骨無形成症
・軟骨低形成症、など
4.奇形症候群
・Prader-Willi症候群
・Noonan症候群
・Silver-Russell症候群
5.低出生体重に関連したもの
・SGA性低身長症、など
6.心理社会的原因
・愛情遮断症候群
・虐待、など
7.慢性疾患・栄養障害・薬剤性、など
・腎不全
・先天性心疾患
・クローン病
・栄養障害、など
8.体質的なもの(これが最多で7~8割を占める)
・体質性低身長
・体質性思春期遅発症、など
◆ 成長障害の診断チャート(アクチュアル小児科診療:小児プライマリケア「低身長」より)
1)身長・体重の計測、成長曲線の作成
↓ 身長が -2.5SD以下(家族が気にしているときには -2.0SDでもよい)
↓ かつ/または
↓ 成長率の低下
2)病歴・身体所見…この部分の検討が大切
↓ 目標身長(Target Height が低い)→ 家族性低身長症
↓ 在胎週数に比して低身長・低体重 → SGA性低身長症(※)
↓ 体幹・四肢のバランスの異常 → 骨系統疾患
↓ 特異顔貌・小奇形など → 奇形症候群・染色体異常
↓ 低体重・偏った食事 → 栄養障害
↓ ステロイド等成長障害をきたす薬剤 → 薬剤性成長障害
↓ 他の慢性疾患の病歴・所見 → 他の慢性疾患による成長障害
↓ 家庭環境の問題 → 虐待、愛情遮断症候群
3)IGF-1、甲状腺ホルモン等の測定
骨年齢の測定
↓ 甲状腺ホルモン低値などの異常 → 甲状腺機能低下症などの内分泌疾患
↓ 女児で成長障害が強いとき染色体検査 → ターナー症候群
↓ IFG-1低値、骨年齢の遅延
4)GH分泌刺激試験
2種類以上で低反応(※※)→ 成長ホルモン分泌不全性低身長(GHD)
正常反応 → 体質性低身長?
(成長率低下が明らかな時はさらに専門医での精査が必要)
※ SGAであってもターナー症候群やGHD併発の可能性については検討が必要
※※ 器質性病変があって分泌低下が重度の時は1種類でも可
◆ 目標身長(target height)
(父親の身長+母親の身長 ± 13)/2
…1990年ごろまではこの数値に世代間身長差を考えて2㎝を加えていたが、1990年以降成人身長の伸びが頭打ちとなり、近年の小児に対しては加える必要がなくなっている。
日本では成人身長の低下が始まっており、それは低出生体重児の比率と関係している。
◆ 低出生体重児増加の原因
・出産年齢の高年齢化
・不妊治療の進歩/多胎妊娠の増加
・新生児医療の進歩に伴う早期分娩介入(人工早産)の増加
・予定帝王切開率の増加
・やせている女性の増加(※)/妊娠中の体重増加抑制に対する厳しい指導(※※)
※ 先進国では肥満増加が問題になっているにもかかわらず、日本女性のBMIは低下傾向。
※※ 産婦人科学会が反省中?
◆ 家族性低身長の定義
明確なものはないが、以下の定義がよく使用されている;
1)父または母の身長が、その年代の身長SDの -2未満
2)目標身長の計算式による数値が -1.5SD未満
◆ SGA性低身長症に対する成長ホルモン治療
・日本でも2008年より保険診療が認められたが、条件が厳しい(厳しすぎる?)
・SGA児の特徴:約85~90%が2歳になるまでに正常身長( -2SDスコア以上)に catch-up するが、catch-up しなかった約10~15%は小児期を低身長のまま経過し、多くは成人身長も低身長に終わる。
<成長ホルモン治療対象となるSGAの定義>
・出生時の体重および身長がともに在胎週数相当の10パーセンタイル未満、かつ出生体重または出生身長のどちらかが在胎週数相当の -2SD(約3パーセンタイル!)未満
<GH治療開始時のSGA性低身長症基準(年齢・成長)>
・「出生時」の条件を満たし、かつ現在次の3つの条件を満たす;
✓暦年齢が3歳以上
✓身長SDスコアが -2.5SD 未満
✓成長率SDスコア(治療開始前1年間の成長速度)が 0SD 未満
◆ SGA性低身長症に対する成長ホルモン治療
・成長ホルモンを投与することにより、3年間で約1~1.5SD身長を改善することができる(-2.5SD児 → -1.5SDへ)。
・早期治療が望ましい。3歳から治療すれば学齢である程度追いつく。
・開始前には他の疾患除外が必要(成長ホルモンの検査など)。
・しかしSGA児は思春期が早く進む傾向があり、成人身長は-2SD(+α)程度で終わることも多いのが現実である。
・成長ホルモン投与量の調節は検査値や成長速度を見ながら思春期の進みに注意して行うので、専門医による管理が必要。
・SGA性低身長に対する成長ホルモン治療は保険診療なので原則3割負担(医療費補助がない場合)となり医療費がかさむ。
◆ 成長ホルモン分泌不全性低身長症の特徴
・出生時は正常だが、その後成長率が低下傾向。
・2歳以降 -2SD を下回ってきて、年々、身長SDが低下してくる。
・成長速度は2歳以降一貫して -2SD と低く、これが年々身長SDが低下してゆことにつながっている。
★ まれに脳腫瘍が隠れていることがあるので注意!…脳腫瘍と診断される数年前から成長速度が鈍る例が多い。
◆ 成長ホルモン分泌不全性低身長症(GHD)の分類
(病因分類) (発症時期) (主な原因) (頻度)
遺伝性 出生前 GH1遺伝子異常 まれ
GHRH-R遺伝子異常
下垂体転写因子異常(Pit1など)
器質性(先天性) 脳形成異常 まれ
特発性 周生期 新生児仮死 ~70%
骨盤位出生
器質性(後天性) 乳児期~ 脳腫瘍、頭部外傷、 ~20%
小児期 放射線照射
◆「児童生徒の健康診断マニュアル(改訂版」(財団方針日本学校保健会)において、成長曲線・肥満度曲線上、医学的対応が必要とされている項目
・+1SD以上の身長増加
・-1SD以上の身長減少
・-2.5SD以下の低身長
・+20%以上の肥満度増加
・-20%以上の肥満度減少
…これにより見落としが少なくなった。
◆ ターナー症候群
・性染色体のモノソミー
・低身長や卵巣機能低下をきたすことが多く、心臓や腎臓の合併症も多い。
・病気というより体質と説明した方がよい(染色体は変えられない)。
・成長ホルモン治療を開始しても標準身長になかなか追いつかない。これはターナー症候群の標準成長曲線が異なるためであり、そちらで評価すると身長SDは改善しており(しかしほかの児童の成長には追い付かない)、GHは有効である。
・GH治療後ターナー症候群の成人身長は144.1±4.9㎝(無治療より約5㎝高くなる)。
◆ 正常の性発達と内分泌機構(視床下部-下垂体-性腺系)
(視床下部)ゴナドトロピン分泌刺激ホルモン(GnRH)
↓ +
(脳下垂体)ゴナドトロピン(Gn、性腺刺激ホルモン):LH、FSH
↓ +
(性腺)
卵巣:卵胞ホルモン(エストラジオール)→ 二次性徴、成長スパート、骨成熟
精巣:男性ホルモン(テストステロン)→ 二次性徴、成長スパート
★ 思春期のスイッチを押すのは「キスペプチン(Kisspeptin)」(日本人が発見、命名はアメリカ人)
◆ 一般外来で思春期のステージを評価することは難しい
・男子は外見では判断困難
・女子では12歳で乳房発育があるか、月経はあるかがポイント
◆ 思春期の内分泌検査
・思春期前はLH、性ステロイドとも測定感度以下
・ゴナドトロピン(LH、FSH)と性ステロイド(男子はテストステロン、女子はエストラジオール)の両方のバランスを見ることが基本。
・正常値は年齢ではなく思春期のステージにより異なる(付記された「正常値」を基準に評価しない)。
◆ 二次性徴発現時期の範囲(およそ5~95パーセンタイル)
(男子)
・精巣腫大開始:9.5~11.0~14.0
・陰毛発生時期:10.5~14.0
・最大成長スパート:11.0~15.0
・変声・腋毛発生:12.0~16.0
(女子)
・乳房腫大開始:8.0~10.0~13.0
・最大成長スパート:9.0~13.0
・陰毛発生時期:9.0~14.5
・初経: 10.0~14.5
◆ 二次性徴発現時期の正常・異常の線引き
以下の参考年齢より2~3歳(1SDが約1年と考える)早ければ早発、遅ければ遅発
(男児)
・精巣腫大:11歳
・恥毛・陰茎発育:12歳
・成長最大スパート:13歳
・腋毛・変声
(女児)
・乳房発育:10歳
・成長最大スパート:11歳
・月経:12歳
◆ 思春期早発症の主要症状
1.二次性徴の早発
(男子)
・9歳未満で精巣(3~4ml以上)・陰茎・陰嚢などの明らかな発育開始
・10歳未満で陰毛発生
・11歳未満で腋毛・ひげの発生や変声
(女子)
・7歳6か月未満で乳房発育(※)
・8歳未満で陰毛発生、または小陰唇色素沈着等の外陰部成熟、腋毛発生
・10歳6か月未満で初経
※乳房の診であれば「早発乳房」として経過観察
2.身長増加促進(骨成熟の促進)
◆ 思春期早発症早期発見の重要性
・女子では大部分が特発性だが、男子では頻度は低いものの大部分が腫瘍による。
・骨成熟促進により成人身長(最終身長)が低くなる恐れがある。
・二次性徴の早期発現が人格成熟および社会生活上の支障になりうる。
◆ 男性ホルモン(テストステロン)、女性ホルモン(エストラジオール)の骨への作用
・性ステロイドは骨成長促進・骨成熟促進・骨密度増加作用がある。
・成長板の癒合を起こしているのはエストロゲン。
・テストステロンの一部の代謝物がエストラジオールである。
・骨への作用はエストラジオール>テストステロン。
・そのため、女子の方が思春期が早く始まり早く終わる。
◆ 思春期早発症の原因分類
1.GnRH依存性(=真性、中枢性)思春期早発症
1)特発性(女子に多い)
2)頭蓋内腫瘍などの器質的疾患、放射線照射
2.GnRH非依存性(=仮性)思春期早発症
1)男子:hCG産生腫瘍(胚細胞腫、胚芽腫)など
2)女子:機能性卵巣嚢腫など
3)男女共通:McCune-Albright症候群、副腎疾患など
◆ 思春期早発症の治療
1.GnRH依存性(=真性、中枢性)思春期早発症
・GnRHアナログによるゴナドトロピン分泌抑制(主にリュープロレリンの4週毎の注射)
・二次性徴の抑制は容易だが、成人身長改善は困難(性ステロイドを止めると身長も止まるため)
・無治療でも身長予後のよいタイプもある
2.GnRH非依存性(=仮性)思春期早発症
・原因疾患の治療(腫瘍摘出など)
・抗アンドロゲン、抗エストロゲン剤も用いられるが、必ずしも有効ではない。
◆ 思春期遅発症
・思春期遅発の目安;
✓男子:14歳までに二次性徴が見られない。
✓女子:13歳までに乳房の発育がない、または15歳までに月経が起こらない。
・低身長を主訴として受診することも多い。
◆ 思春期遅発症の分類
1.(特発性)思春期遅発症
・いわゆる「おくて」、男子に多い。
・14歳になっても二次性徴の見られない場合に言う。
・主訴が低身長であることがしばしばある。
・10歳代前半までは中枢性性腺機能低下症との鑑別が困難。
・必要な検査をして性腺機能低下症の疑いがなければ様子観察する。
2.性腺機能低下症
・原発性(=高ゴナドトロピン性):Turner症候群、Klinfelter症候群など
・中枢性(=低ゴナドトロピン性):Kallmann症候群(嗅覚障害合併)、下垂体近傍腫瘍(頭蓋咽頭腫、胚細胞腫など)
◆ 性腺機能低下症の治療
① 原発性(=高ゴナドトロピン性):
・性ステロイドを段階的に補充する。
・早く補充しすぎると成人身長が早く止まってしまう。
・遅いと成熟の遅れによる精神的な影響や骨密度低下の問題が出てくる。
② 中枢性(=低ゴナドトロピン性)
・①と同じ治療をすることが多いが、ゴナドトロピン補充の方がより生理的(妊孕性)
◆ 骨年齢
・診断や身長予測に非常に重要であるが正確に評価するのは簡単ではない。
・左手の骨の20箇所(管骨13、手根骨7)それぞれの骨成熟度合いを標準図と比較
✓Greulich&Pyle法(米国):年齢で評価し平均
✓Tanner Whitehouse2(TW2)法(英国):男女別にスコアに換算して合計数値を年齢に換算する。日本人用に標準化された換算表あり。日本人用でのRUS(管骨)法が身長との関係が強い。
◆ ホルモン測定の「正常値」の落とし穴
・小児のホルモン正常値は年齢・性別・思春期のステージにより大きく変化する。
・成長ホルモン基礎値の測定は診断的価値が低い。
・IGF-1(ソマトメジンC)の測定は必須だが、正常値の幅が広く、年齢、栄養状態により変動が激しい。
正常値=GH正常、ではないし、
低値 =GH分泌低下、でもない。
◆ 成長ホルモン負荷試験の落とし穴
・実は精度の低い検査である。
・GH分泌には波があるので、何回か行えば必ず低反応に出会える。
・GHはGH分泌刺激ホルモンとソマトスタチンによる抑制とにより調節され、脈動的に分泌される。
・どの分泌刺激試験を使っても再現性が低く、正常者で低反応を示すことが約20%ある。
・思春期直前に成長率が一時的に低下する時期があるが、この時に検査するとGHは低反応になりやすい。性ステロイドが上がってくると改善する。
◆ 特発性成長ホルモン分泌不全性低身長に対するGHの効果
・治療開始後しばらくは成長率は著明に改善する。
・しかし -2SD~-1SDに達すると標準成長曲線に沿うことが多い(どんどん背が高くなるわけではない、患者さんのイメージする「正常の平均」には到達しない)。
・GH補充療法実施者の成人身長の平均は-2SD程度とされる。つまり、半分は-2SD以下ということになる(40%で-2SDを超えない)。治療後成人身長の平均は、
(男子)160.3㎝
(女子)147.0㎝
・思春期発来時の身長が低いと成人身長が低くなる→早期発見早期治療が必要。
◆ GHは“身長が伸びる魔法の薬”ではない。
・GHは未治療では身長が極めて低くなってしまう疾患の身長をある程度改善する薬。
・十分な投与量が必要であり、少量の投与では効果がない。
(GH分泌不全性低身長症)0.175㎎/㎏/週(生理的補充量)
(ターナー症候群や軟骨無形成症)0.35㎎/㎏/週(薬理的投与量)
・成人身長改善に関しては、思春期発来が壁になっており、治療開始時に平均身長との差が大きいと治療効果が限られるため、早期治療が望まれる。
◆ 成長ホルモンが保険適用となっている疾患の「小児慢性特定疾患研究助成事業」助成基準
(対象疾患) (小児慢性助成基準)(保険診療診断基準)
成長ホルモン分泌不全性低身長症 -2.5SD -2.0SD
脳腫瘍等器質的な原因による -2.0SD以下
成長ホルモン分泌不全性低身長症 または 同左
成長速度が-1.5SD以下
ターナー症候群 同上 同左
プラダーウィリー症候群 同上 同左
軟骨異栄養症 -3.0SD以下 同左
慢性腎不全に伴う低身長 -2.5SD以下 同左
ヌーナン症候群 -2.0SD以下 同左
SGA性低身長症 なし -2.5SD以下
◆ 低身長児に「そのうち伸びるよ」と言っていいか?
・「そのうち伸びる」のは低身長児の中の「体質性思春期遅発症(いわゆる“おくて”)のみであり、他に原因があるときは当てはまらない。
・「そのうち伸びる」と様子を見ていたが伸びないので受診、しかしすでに骨端線が閉鎖し成人身長に達してしまっていると取り返しがつかない…安易に用いてはならない言葉。
◆ サプリメントは有効? → ❌️
・たくさんの研究により、成長ホルモンを最も強く刺激する薬でさえ成長促進効果を持たないことが判明している。つまり、
(成長ホルモンを刺激する薬)≠(身長を伸ばす薬)
ということ。
・では、成長ホルモンそのものを正常身長児に投与するとどうなる?
→ 自分の成長ホルモン分泌が低下する(体がいらないと判断する?)。だからもし身長を稼ぐとしたら正常分泌量の倍以上を投与しなければ無駄。
<参考>
▢「身長を伸ばす効果がある」と宣伝されているサプリメント等に関する学会の見解(日本小児内分泌学会HP)