小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

新型コロナワクチン接種後の急性期副反応の9割は精神的ストレス(不安・恐怖)から

2021年12月05日 21時49分04秒 | 予防接種
さすが自衛隊、はっきりものを言ってくれます。
自衛隊が担当した大規模接種センターで新型コロナワクチンを接種した120万人の副反応を解析したところ、表題の結論がでたそうです。
報告の概略は・・・

・解析対象(接種人数)は約120万人
・接種後30分以内に副反応を訴えたのは2930人
・そのうち2601人(88.8%)は血管迷走神経反射(✳︎)、残りの329人はアレルギー性副反応。
・血管迷走神経反射の内訳は、
(20歳未満)114人
(20-34歳)947人
(35-49歳)657人
(50-64歳)342人
(65歳以上)530人
 そして7割が女性。
・アレルギー性副反応の内訳は、ほとんどがかゆみ、皮疹で、アナフィラキシーは2名(最も重篤なアナフィラキシーショックは0)。
✳︎「血管迷走神経反射」…精神的ストレスを感じたときに起こりやすい。症状は血圧低下・脈拍減少・失神・めまいなど。

「血管迷走神経反射」は医学用語で難しい表現ですが、例を挙げれば、
・コンサートで絶叫して気を失う
・映画でヨーロッパの貴族の貴婦人がショックを受けると失神する
などなど、結構身近な現象ですね。

端的に言えば、病気ではなく気持ちの問題、ということです。

小児科医である私も新型コロナワクチン集団接種の問診係としてお手伝いをしましたが、
こららの症状を訴える人は、問診段階から恐怖に慄いているのである程度予想がつきます。不安そうな人は、ベッドに寝た状態で接種するよう指示し、ことなきを得ています。


■ ワクチン接種の急性期副反応、9割はストレス原因 自衛隊の調査結果
 自衛隊が先月まで運営していた大規模接種センターで新型コロナウイルスワクチンを接種し、30分以内に副反応を訴えた約3千人について、9割近くはストレスが原因とみられるとの調査結果を自衛隊がまとめ、公表した。 
 調査対象は、東京会場で9月24日までに接種を受けた120万1688人。接種後30分以内の「急性期」に副反応を示したのは2930人だった。このうち88・8%にあたる2601人は精神的ストレスを感じた時に起こりやすい「血管迷走神経反射」と呼ばれる血圧低下や脈拍減少が見られたほか、血管迷走神経反射が原因となることが多い失神やめまいなどを訴えた。  2601人について、15歳間隔で区切って分布をみると、20~34歳が947人で最も多く、35~49歳が657人▽65歳以上530人▽50~64歳342人▽20歳未満114人と続く。年齢不明が11人だった。また7割近くが女性。血管迷走神経反射を訴えた約4割は20~34歳の男性だった。 
 一方、「急性期」に副反応を示した人のうち、残る329人はかゆみがあったり発疹が出たりしており、アレルギー性の副反応だった。重いアレルギー反応のアナフィラキシーは2人、重篤なアナフィラキシーショックを起こした人はいなかった。
  免疫学が専門の宮坂昌之・大阪大学名誉教授は「新型コロナのワクチン接種では、アナフィラキシーは極めてまれで、多くの副反応は接種へのストレスが原因であることは他の調査でも知られている。自衛隊の調査はそれを裏付けたものだ」と指摘する。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする