小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

秋の花粉症は“道ばたの草”が原因

2021年10月24日 08時12分22秒 | 予防接種
花粉症、というと春のスギ・ヒノキの花粉症が思い浮かびます。
でも、秋の花粉症に悩まされる人も少なからず存在します。

秋に飛散する花粉は雑草類のブタクサ、ヨモギ、カナムグラ、アキノキリンソウなど。
道端でよく見かける草です。

「そんなに問題なら飛散情報が欲しい」
という声が聞こえてきそうですが、実はこれらの花粉はスギのように長距離飛ばないのです。
ふつう、数十m、風が強くて数百m。
ですから、飛散が多いか少ないかは百m単位で変わるので、飛散情報は意味がありません。
その草がたくさん生えている場所にいれば、症状に直結します。
一方、スギ・ヒノキは数十kmと越境して広範囲に飛散するので、ネット上の飛散情報が役立ちます。

また、秋はアレルゲン(=アレルギーの原因)となるダニが一番飛散(というか浮遊)する時期でもあります。
アレルゲンとなり得るダニ(コナヒョウヒダニ、ヤケヒョウヒダニなど)は梅雨〜夏に増殖し、
秋に死んでしまうのですが、その死骸のかけらや糞がアレルゲンとなるのです。

一年中鼻水・鼻づまりがグズグズしていて、秋に症状がつらくなる人はダニアレルギーの可能性大。
外より家の中での活動で症状が悪化する人もダニアレルギーの可能性大。
家の中より外での活動で症状が悪化する人は秋の花粉症の可能性大。
しかし、洗濯物・ふとんを外に干していると、そこに花粉が付着するので家の中でも症状が悪化する可能性があります。

秋の花粉症に対する治療は抗アレルギー薬内服、点眼点鼻が基本です。
効果不十分、あるいは眠くなって飲めない方には、当院では漢方薬の併用をお勧めしています。

一年中ダニアレルギーに悩まされている方には「舌下免疫療法」も選択できます。
これはダニエキスを固めた錠剤を舌下において溶けるまで1-2分間待ち、その後飲み込むだけ。
これを毎日数年間続けるとアレルギー症状が軽くなる体質改善療法です。
こちらも当院で扱っています。
残念ながら、秋の花粉に対する舌下免疫療法は2021年現在、開発されていません。

秋の花粉症の記事を見つけましたので紹介します。
今年は例年より花粉量が多いようです。
耳鼻科医師は「花粉症で微熱が出る」とコメントしていますね。
すると、新型コロナと区別しにくくなります・・・。

秋花粉「例年の10倍」…コロナ初期症状と“酷似”
2021/10/21 テレ朝)動画あり



小さな花から大量に飛び散る花粉。実は今、河川敷などに生育する野草の花粉の飛散が、ピークを迎えているのです。

多摩川野草会代表・のんさん:「ありました、ありました。オオブタクサという植物になります。すぐ真横にあるのが、ヨモギですね。ヨモギの花は、実は秋の花粉症の原因になる」

特に、キク科のブタクサや、ヨモギ、アサ科のカナムグラは、9月から11月にかけて花粉を飛ばします。
春のスギ花粉と違い、秋は花粉を飛ばす植物の種類が多く、期間が長いのが特徴です。

秋花粉に悩む男性(87):「9月入ると、花粉症がひどくなってね。くしゃみと鼻水ですよ。それがもう、すごいですよ。鼻の周りが、ものすごくかゆくなる。たまらないですね」

SNSから:「秋花粉のアレルギーがあり、薬を飲んでいても症状がひどい日があります「外にいると、鼻かむのでも気を使う」「突然来た、秋花粉に溺れてる。クシャミとまらんー!!」

■ 花粉量「例年の10倍」…なぜ?

しかも、今年は花粉の量に異変が起きているといいます。
「これは例年よりも多い」と話すのは、埼玉大学大学院で花粉の研究を行っている王青躍(オウ・セイヨウ)教授です。
去年と今年の今の時期のブタクサの花粉を比較したものです。今年は、花粉の量が明らかに増えているのが分かります。

埼玉大学大学院・王青躍教授:「例年、大体1平方センチメートルあたり(花粉が)10個から20個なんですけど。今年は10倍高い200個から300個なんですよ。今年は夏が暑くて、台風も少なかった。非常にブタクサとか雑草類の花粉ができやすいシーズンになってました。特別に多かったんです」

 コロナ初期症状と“酷似”注意
耳鼻咽喉(いんこう)科には、秋の花粉症に苦しむ患者が増えているといいます。さらに、新型コロナが流行しているなかでの注意点も…。

もちづき耳鼻咽喉科・望月優一郎院長:「秋花粉の患者さん、増えてますよね。コロナの初期症状と見分けがつかない。デルタ株になってからは、“のどの咽頭(いんとう)痛”がメインになってきているので、のどの痛みは新型コロナウイルスの症状でもあるし、秋花粉(の症状)でもあるし」

秋花粉症と新型コロナには、「のどの痛み」という共通の症状があるため、花粉症と勘違いしたまま外出し、新型コロナの感染を拡大させる危険性があるというのです。

もちづき耳鼻咽喉科・望月優一郎院長:「アレルギー反応でも、ちょっと微熱は出ますので。“アレルギーかな?”と言って、医療機関にかからないで、様子を見る方も多いんですけど。やっぱり、この時期なので、“熱”というのがキーワードで。高熱が出ている人は秋花粉(症)ではなく、コロナの感染症が考えられるので。気を付けたほうが、よろしいかと思います」

コメント
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