小児アレルギー科医の視線

医療・医学関連本の感想やネット情報を書き留めました(本棚2)。

「リスク」の食べ方(岩田健太郎著)

2013年07月01日 06時04分30秒 | 医療問題
2012年、筑摩書房発行(ちくま新書)

 今をときめく感染症専門医が、「食」にまつわる近年の話題を専門家の視点から批評した内容です。

 ユッケによる病原性大腸菌事件→ レバ刺し禁止、では、「なぜユッケではなくレバ刺しが禁止になったのか?」とその不条理さを指摘し、検討委員会のメンバーが基礎医学者ばかりで臨床医がいない欠点を挙げています。
 ほかにも「トクホ」の裏に潜むだましテクニック、巷にあふれる健康本は医療専門家には見向きもされないこと、等々医療と健康の狭間のグレーゾーンで金儲けをしている輩を批判しています。

 一読して「フ~ン」というのが私の感想です。
 ま、指摘されればごもっとも、というところでしょうか。

 確かに「脂肪を燃やしやすくする」というトクホの健康飲料のCMを見る度に「こんなでたらめの過剰宣伝を許していていいのか?」私もイライラする一人です。

 もし、「美白」を謳う化粧品で本当に肌が白くなるなら、それは「化粧品」ではなく「医薬品」として販売しなければなりません。逆に言うと「白くなるかならないかの瀬戸際」くらいの効き目しか許されていないのですね。

 トクホに関しても同様なのでしょう。

 健康本も、本物なら定着して医療に取り入れられるはず。
 しかし、流行の健康法は数年で消えていくのがふつうで、あの健康法今いずこ?というものがほとんどですね。
 このような意識が国民全体に広がり、インチキ健康食品・健康法がなくなることを祈るばかりです。

 至極まともな内容で問題ないのですが、読後感が爽やかにならないのは仕方がないのかな。
 それとも、私が岩田先生の文体をあまり好きではないのかもしれません(苦笑)。
コメント
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