今日の通勤は冗談抜きで命がけでした。
行きは行きで、昨日の夜に降った雨で濡れた路面が凍結し、ところどころ白く不気味に輝く中を、スリップしないよう細心の注意を払いつつ走ることを余儀なくされました。
でも、本番は帰りでした。
すっかり暗くなった職場を出たときは、どんより曇ってたものの、数秒に1粒、はらりと雪のかけらが舞い落ちる程度でしかなかったのに、山を降りて進むにつれて細かな粉雪が舞い飛ぶようになり、このあたりの主要幹線道路である国道に出た辺りからそれが激しくなり始め、それから5分も行かぬうちに、前がほとんど見えない吹雪の中を走っておりました。かつて経験したことのない猛吹雪、というといいすぎかもしれませんが、とにかくヘッドライトには大粒の牡丹雪がこれでもか! とばかりに群れを成して飛んでくるのしか映らず、その影で申し訳程度にかろうじて道の姿が見えるばかり。しかもバイザーに雪が付着して、内側は呼気と内外の温度差で曇ってくるし、外側は文字通り目隠し状態になるし、で、ものの数十秒で、目をつぶって走っているのとさして違わない状態に陥っておりました。とにかくバイザーの雪を手でぬぐいながら速度を落として先に進みましたが、街まで降りてくる30分ほどは、まさに生きた心地がしませんでした。しかもそんな天気にもかかわらず、灰色のコートを着た初老の男性が背中を丸めながら歩いているのです。私がそれに気づいたのは、ほとんどすれ違いに並んだ瞬間でした。前にいるのにまったく気づかなかったのです。幸いスピードを極力抑えていたことと、日ごろから歩行者や無灯火自転車を警戒して道の真ん中辺りを走ることにしていた習慣のおかげで、接触事故を起こさずにすみました。しかしあの天気の中、あんな闇に溶け込むような姿で歩くなど、もうひいて下さい、と車にお願いしているようなものです。せめて懐中電灯を持つなり、ライトを反射するものをかばんや服につけるなりしてくれないと、そのうち事故にあうことになるんじゃないでしょうか。
そんな生きた心地もしないままかろうじてうちまでたどり着きましたが、ジャケットは前側だけ雪で真っ白に変色し、バイクから降りた瞬間、どさっと音を立てて雪の塊が身体から剥がれ落ちました。さっそくグローブやジャケットをストーブの火で乾かしましたが、面白いように湯気が立つのが見えるほど、すっかり濡れそぼっておりました。
帰りはまだ気温が高かったせいか、アスファルトの道まで白く染まるようなことはありませんでしたが、今晩あの調子で降り続いたりしたら、明日朝は確実に積もることでしょう。何とか速やかに止んで、その上朝までにあらかた地面が乾いてくれないものか、と切に願う次第です。
行きは行きで、昨日の夜に降った雨で濡れた路面が凍結し、ところどころ白く不気味に輝く中を、スリップしないよう細心の注意を払いつつ走ることを余儀なくされました。
でも、本番は帰りでした。
すっかり暗くなった職場を出たときは、どんより曇ってたものの、数秒に1粒、はらりと雪のかけらが舞い落ちる程度でしかなかったのに、山を降りて進むにつれて細かな粉雪が舞い飛ぶようになり、このあたりの主要幹線道路である国道に出た辺りからそれが激しくなり始め、それから5分も行かぬうちに、前がほとんど見えない吹雪の中を走っておりました。かつて経験したことのない猛吹雪、というといいすぎかもしれませんが、とにかくヘッドライトには大粒の牡丹雪がこれでもか! とばかりに群れを成して飛んでくるのしか映らず、その影で申し訳程度にかろうじて道の姿が見えるばかり。しかもバイザーに雪が付着して、内側は呼気と内外の温度差で曇ってくるし、外側は文字通り目隠し状態になるし、で、ものの数十秒で、目をつぶって走っているのとさして違わない状態に陥っておりました。とにかくバイザーの雪を手でぬぐいながら速度を落として先に進みましたが、街まで降りてくる30分ほどは、まさに生きた心地がしませんでした。しかもそんな天気にもかかわらず、灰色のコートを着た初老の男性が背中を丸めながら歩いているのです。私がそれに気づいたのは、ほとんどすれ違いに並んだ瞬間でした。前にいるのにまったく気づかなかったのです。幸いスピードを極力抑えていたことと、日ごろから歩行者や無灯火自転車を警戒して道の真ん中辺りを走ることにしていた習慣のおかげで、接触事故を起こさずにすみました。しかしあの天気の中、あんな闇に溶け込むような姿で歩くなど、もうひいて下さい、と車にお願いしているようなものです。せめて懐中電灯を持つなり、ライトを反射するものをかばんや服につけるなりしてくれないと、そのうち事故にあうことになるんじゃないでしょうか。
そんな生きた心地もしないままかろうじてうちまでたどり着きましたが、ジャケットは前側だけ雪で真っ白に変色し、バイクから降りた瞬間、どさっと音を立てて雪の塊が身体から剥がれ落ちました。さっそくグローブやジャケットをストーブの火で乾かしましたが、面白いように湯気が立つのが見えるほど、すっかり濡れそぼっておりました。
帰りはまだ気温が高かったせいか、アスファルトの道まで白く染まるようなことはありませんでしたが、今晩あの調子で降り続いたりしたら、明日朝は確実に積もることでしょう。何とか速やかに止んで、その上朝までにあらかた地面が乾いてくれないものか、と切に願う次第です。