学問空間

「『増鏡』を読む会」、第9回は2月22日(土)、テーマは「上西門院とその周辺」です。

緑のたぬき・中沢新一

2012-05-26 | 東日本大震災と研究者
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2012年 5月26日(土)08時21分55秒

>筆綾丸さん
私は一時期、中沢新一にけっこうはまっていまして、オウム事件前の作品は全部読んでいます。
『悪党的思考』の後醍醐天皇論など傍線を引いて熱心に読み込んだのですが、後深草院二条のホームページを始めて間もない頃、本郷和人氏と話す機会があって、『悪党的思考』をどう思うかを聞いてみたところ、下らない本だと吐き捨てるように言われていましたね。
ま、私も今はそう思っているのですが。
中沢新一の文章は芸術・芸能の世界にいる人には良い刺激になり、その範囲にとどまってくれるのであれば別に社会に迷惑はかけませんが、現実政治に関わってはいけない人ですね。
今年の一月、中沢新一が「緑の日本」という政党をつくると発表しましたが、その後どうなったのか、あまり動きがありません。
この政党がそれなりに目立つようになったら、私はささやかな抵抗として中沢新一批判の新ブログを作ろうと思っていまして、そのタイトルは「緑のたぬき・中沢新一」です。
私の中沢新一批判の眼目は、中沢新一は家系がダメ、という無茶苦茶なもので、中沢一族を四代前まで遡って、この一族からは非常に頭の良い人が輩出しているけど、現実政治に関わるとトンチンカンなことばかりやっていて、全然ダメな人たち、ということを示そうと思っています。
ゴールデンウィークに笛吹市に行こうと思ったのも、中沢一族に関係する場所の風景を撮影するためでした。
ま、「緑の日本」が社会に根付かず、あっさり枯れてくれれば私も手間がはぶけて一番良いのですが。

※筆綾丸さんの下記投稿へのレスです。

マティスのダンス 2012/05/24(木) 21:14:06
小太郎さん
昨日、読み終えました。
僭越ながら、優秀な研究者ですね。冷静な論考で面白く読みました。
外連味とハッタリの中沢新一氏に対する批判は、残念ながら相当抑制的で、いやいや、もっとやれ、と思いました。今後の著作に注目したい研究者ですね。

「・・・多くの研究がオウム事件の原因を、七〇年代後半から八〇年代以降の日本社会、すなわち、高度経済成長を達成した後の日本社会の問題に帰着させていることである。このような着眼はまったく間違っているというわけではないが、端的に言って、視野が狭すぎる。(中略)それとは逆に、仏教研究を専門とする学者によって執筆された論考にしばしば見られるものだが、オウムの問題を、例えば仏教史全体から考察しようとすることは、視野が広すぎる」(19頁)
この「視野が広すぎる」というところで、飲んでいたコーヒーを思わず吹き出してしまったのですが、
「本書の結論を先取りして言ってしまえば、オウムとは、ロマン主義的で全体主義的で原理主義的なカルトである、ということになる」(22頁)
とすると、「視野が広すぎ」ないか、と懸念を抱きましたが、広すぎもせず狭すぎもせず、見事に分析しているなあ、と感心しました。

「ウェーバーは『支配の社会学』という著作で、人間社会における支配の形態を、合法的支配、伝統的支配、カリスマ的支配の三つに大別した。このなかで合法的支配とは、形式的に正しい手続きで定められた規則に基づいて行われる支配形態であり、典型的には官僚制を指す。次に伝統的支配とは、古から存在する秩序と支配の神聖性に対する畏敬の念に基づくものであり、典型的には家父長制を指す。最後にカリスマ的支配とは、支配者の持つ天与の資質(カリスマ)、とりわけ呪術的能力や英雄性、弁舌の才に対する信奉者の情熱的な帰依によって成立する支配形態であるされる」(127頁)
全然関係ないことですが、佐藤進一氏の「主従制的支配と統治権的支配」という有名なテーゼは、周知のことなのかもしれませんが、なんだ、ウェーバーのパロディか、と言って悪ければ、借用だな、少なくとも氏の独創ではないな、と思われました。

「そのもっとも代表的なものは、イスラム神秘主義のスーフィズムから着想を得たと思われる集団舞踊であり、それはグルジェフの宇宙論を再現するための緻密な構成と、即興的に変化するダイナミズムを混合させた前衛的な内容であったと言われる。この舞踊はアメリカの公演も行われ、グルジェフの名を舞台芸術家として知らしめる一因となった」(160頁)
これも全然関係ないのですが、アンリ・マティスの「ダンス」という傑作は、もしかすると、グルジェフの影響があるのかもしれないな、と思いました。ストラヴィンスキーの音楽やロシア・バレーとの関係は、あとで調べてみます。

「グルはインドの主要な輸出品である」(94頁)
こういう表現は知らなかったのですが、上手いことをいう人がいるものですね。中沢新一氏などは、さしづめ、輸入業者の一人で、ずいぶん儲けたのだろうな、と思いました。

「岩手を訪れた麻原一行は、地元のヒヒイロカネ研究家に会い、この地方で「餅鉄」と呼ばれる鉱石がヒヒイロカネであることを知らされる」(215頁)
恥ずかしながら、こういう鉱石の名も知りませんでした。
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