学問空間

「『増鏡』を読む会」、第10回は3月1日(土)、テーマは「二条天皇とは何者か」です。

「ぼくは君のお尻がなめたい」(by 渡辺一夫)

2014-10-22 | 南原繁『国家と宗教』
投稿者:鈴木小太郎 投稿日:2014年10月22日(水)23時00分10秒

『のちの思いに』には仏文科の名物教授・渡辺一夫への言及も多いのですが、次の部分は傑作ですね。

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 先生が故六隅許六のペン・ネームを使って、以前から独特のスタイルの本の装丁をされていたことは、よく知られていた。おそらくその延長だったのであろう、先生は駒込の新らしいお宅の日の当たるテラスで、彫刻刀を器用に動かしながら、木工細工に熱中されていた。ブック・エンドのような簡単な細工物に始まり、もっと複雑な両開き扉が二重についた厨子型の「作品」まで、だんだんに手の込んだ木工品が増えていった。この厨子は、おそるおそる二度扉を開けると、中ににっこり笑った奥様の肖像写真が入っているという念入りな傑作だった。あちこちに銘文が彫り込まれ、きれいに着色されたものもあった。
 時にはふざけて風呂場の小さな腰掛けを作り、それに丹念にフランス語の文字を刻まれた。そこには「ぼくは君のお尻がなめたい」とあった。こんなラブレーそこのけのいたずらに、これを毎晩使われる奥様は、「本当にはずかしくて困ります」と言いながら、それでも、風呂場のドアを開けてこの「作品」を見せて下さった。
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ウィキペディアを見たら渡辺一夫の装丁者としての名前は「六隅許六」とありますね。

渡辺一夫
http://ja.wikipedia.org/wiki/%E6%B8%A1%E8%BE%BA%E4%B8%80%E5%A4%AB

ただ、新潮社サイトでも確認できるように、『のちの思いに』には間違いなく「故六隅許六」とあります。

http://www.shinchosha.co.jp/kangaeruhito/plain/plain44.html

リンク先のブログによれば、どうも「六隅許六」と「故六隅許六」を両方使っていたようで、生前に「故」とつけるあたり、いかにも渡辺一夫らしいですね。

http://blog.livedoor.jp/hisako9618/archives/22023313.html

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