「告げ口はクズ山クズ兵衛、性に合わねえ」
鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助)が『節用集』の贋本(海賊版)をつくっていることを知った
蔦谷重三郎(横浜流星)。
訴え出れば鱗形屋は捕らえられ、蔦重は取って代わって版元になることができる。
鱗形屋が蔦重を利用していることもわかっている。
しかし、蔦重は──
「告げ口はクズ山クズ兵衛、性に合わねえ」
蔦重がためらう理由は──
・性分に合わないこと
・火事で蔵が焼けたことで、鱗形屋の金繰りが良くないこと
・息子も番頭も鱗形屋を盛り立てようとがんばっていること
・鱗形屋孫兵衛が本をつくるのが好きなこと
結局、蔦重は訴えず、「運天」、運を天に任せることにする。
しかし別のラインでこの不正が発覚、鱗形屋孫兵衛は捕らえられる。
鱗形屋孫兵衛からは「おまえが告げ口したのか?」と恨まれる。
すっきりしない蔦重は長谷川平蔵宣以(中村隼人)に思いを語る。
「濡れ手に粟、棚からぼた餅、俺はうまくやったんでさぁ」
「ただ、うまくやるってのは堪えるもんすねぇ」
これを聞いた平蔵は、出し抜いたり追い落としたりするのが世の中だ、と諭す。
蔦重は心を切り換えて。
「鱗の旦那、濡れ手で粟餅、有り難くいただきやす」
……………………………………………
今回の話、落語や講談を聞いているような感じでしたね。
「鱗の旦那、濡れ手で粟餅、有り難くいただきやす」
で、見事に締めた。
蔦重の気持ちの描写も、
・道が開けた嬉しさ
・自分を利用していた者が捕らえられた喜び
・追い落された者の後を引き継ぐ苦さ
・ひと言、危ないと行ってやれなかった後悔
・苦さと後悔を抱きながらも前を向く決意
などが入り交じって複雑だった。
そう、こういう複雑な心情描写が見たかったんですよね。
とはいえ、蔦重はこれを引きずらない。
「鱗の旦那、濡れ手で粟餅、有り難くいただきやす」
前作『光る君へ』の登場人物たちは思いをずっと引きずっていたが、
蔦重は江戸っ子気質で、カラッとしていて前を向く。
僕は『光る君へ』の登場人物タイプなので、蔦重の、カラッして前を向ける気質は憧れだ。
苦境にあっても、笑い飛ばして粋に生きていたい。
※追記
江戸城パートでは、田沼意次(渡辺謙)の立場・境遇が明らかに。
意次は絶対的な権力者ではない。
「日光社参」は押し切られておこなわれることに。
商業を活性化させて幕府の財政再建をおこなったが、あまり評価されていない。
足軽の出身なので良い家柄の者にバカにされている。
とはいえ、意次は「家柄」「出身」より「実力」「実績」だ。
田沼家が良い家柄であることを示す家系図を池に投げ捨てた。
これが意次の矜恃なのだ。
家柄・出身よりも実力・実績を頼りに生き抜いていこうとしている。
蔦重同様、意次も岩盤のような勢力と戦っている。
※追記
今回の江戸言葉
「金々野郎」
「半可通」
「源四郎」
「運天」
「占め子の兎」
鱗形屋孫兵衛(片岡愛之助)が『節用集』の贋本(海賊版)をつくっていることを知った
蔦谷重三郎(横浜流星)。
訴え出れば鱗形屋は捕らえられ、蔦重は取って代わって版元になることができる。
鱗形屋が蔦重を利用していることもわかっている。
しかし、蔦重は──
「告げ口はクズ山クズ兵衛、性に合わねえ」
蔦重がためらう理由は──
・性分に合わないこと
・火事で蔵が焼けたことで、鱗形屋の金繰りが良くないこと
・息子も番頭も鱗形屋を盛り立てようとがんばっていること
・鱗形屋孫兵衛が本をつくるのが好きなこと
結局、蔦重は訴えず、「運天」、運を天に任せることにする。
しかし別のラインでこの不正が発覚、鱗形屋孫兵衛は捕らえられる。
鱗形屋孫兵衛からは「おまえが告げ口したのか?」と恨まれる。
すっきりしない蔦重は長谷川平蔵宣以(中村隼人)に思いを語る。
「濡れ手に粟、棚からぼた餅、俺はうまくやったんでさぁ」
「ただ、うまくやるってのは堪えるもんすねぇ」
これを聞いた平蔵は、出し抜いたり追い落としたりするのが世の中だ、と諭す。
蔦重は心を切り換えて。
「鱗の旦那、濡れ手で粟餅、有り難くいただきやす」
……………………………………………
今回の話、落語や講談を聞いているような感じでしたね。
「鱗の旦那、濡れ手で粟餅、有り難くいただきやす」
で、見事に締めた。
蔦重の気持ちの描写も、
・道が開けた嬉しさ
・自分を利用していた者が捕らえられた喜び
・追い落された者の後を引き継ぐ苦さ
・ひと言、危ないと行ってやれなかった後悔
・苦さと後悔を抱きながらも前を向く決意
などが入り交じって複雑だった。
そう、こういう複雑な心情描写が見たかったんですよね。
とはいえ、蔦重はこれを引きずらない。
「鱗の旦那、濡れ手で粟餅、有り難くいただきやす」
前作『光る君へ』の登場人物たちは思いをずっと引きずっていたが、
蔦重は江戸っ子気質で、カラッとしていて前を向く。
僕は『光る君へ』の登場人物タイプなので、蔦重の、カラッして前を向ける気質は憧れだ。
苦境にあっても、笑い飛ばして粋に生きていたい。
※追記
江戸城パートでは、田沼意次(渡辺謙)の立場・境遇が明らかに。
意次は絶対的な権力者ではない。
「日光社参」は押し切られておこなわれることに。
商業を活性化させて幕府の財政再建をおこなったが、あまり評価されていない。
足軽の出身なので良い家柄の者にバカにされている。
とはいえ、意次は「家柄」「出身」より「実力」「実績」だ。
田沼家が良い家柄であることを示す家系図を池に投げ捨てた。
これが意次の矜恃なのだ。
家柄・出身よりも実力・実績を頼りに生き抜いていこうとしている。
蔦重同様、意次も岩盤のような勢力と戦っている。
※追記
今回の江戸言葉
「金々野郎」
「半可通」
「源四郎」
「運天」
「占め子の兎」