平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ホタルノヒカリ 第9話

2007年09月06日 | 恋愛ドラマ
★わずかな時間で気持ちを描いてしまう。すごい。
 マコト(加藤和樹)に拒否されてしまった蛍(綾瀬はるか)。
 こんな気持ちの揺れ動き方をする。
1.縁側で高野部長(藤木直人)と会話。
 「恋をする前はかわいい気持ちを忘れてた」
 「肩を借りていいですか?」
 「まだがんばれるかな?」
2.会社でがんばってマコトに話しかける螢。でも無視。
3.家で掃除する螢。
 「どちらさまですか?」と高野に聞かれて
 「ちょっとがんばる螢さんです」
 ビールもコップで飲んで「今までの自分を改める」決意。
4.マコトが賞への出品が決定。おめでとうと言うが無視される。
5.家。縁側に寝転がって1分ごとにマコトにメールする螢。
 「ちょっとがんばる螢さん」から「ストーカーの螢さん」へ。

 これらは時間にして5分~6分ぐらい。
 これだけの短い時間で気持ちを表現してしまう。
 実に巧みだ。

★さらに揺れ動く気持ちを描いてみせる。
 第2シークエンスは、高野の気持ち。
 螢を探して抱きしめてしまう部長。
 それを見た山田姉さん(板谷由夏)は「部長は螢を女として好きなのだ」と螢に告げる。
 高野は「気持ちをしまい込んでしまうタイプ」「ありのままの自分を出せないタイプ」だとも言う。
 螢はまさかと思い、高野の気持ちを確かめてみようとするが、高野はいつもと替わらない。
 「ちょっとがんばらなくても何でもできてしまう高野部長」として「『ちょっとがんばる螢さん』は最近見かけないなぁ」と嫌みを言う。
 螢は「部長は好きな子をいじめしまうタイプだったしょ?」とカマをかけるが、「私は女の子全員に好かれるタイプだった。君と違って豊かな人生を送ってきた」と平然と答える。
 しかし、こんなメールも来る。
『ありのままの君が好きだ……』
 これに螢は焦るがメールの最後には
『って手嶋に言われるといいな』

 揺れ動く螢と
 平然と受け流すが『もしかしたら螢のことが好きかもしれない』高野の気持ちが巧みに描かれた見事のストーリーテリングだ。

★危うい会話、綱渡り……
 しかしマコトとの誤解が解ける。
 マコトは高野と話している螢が『僕の知らない螢さん』であったことで、螢を避けていた。
 折しも家の前で螢と高野がいっしょの所を目撃して、マコトは今までの真相を知る。
 そしてこんな会話。
高野「雨宮は君の女だ。それを忘れたことはない」
    ×     ×     ×
螢 「告白できたのは部長のおかげ」
マコト「部長がいなければ僕たち始まらなかったの?『ありのままの君が好きだ』。でも君の隣にはいつも部長がいたんだね」
    ×     ×     ×
マコト「君が好きだから信じるよ。すぐに家を出ていっしょに暮らそう」

 これらの会話も巧みだ。
 高野の「雨宮は君の女だ。それを忘れたことはない」という言葉も意味深。
 螢の「告白できたのは部長のおかげ」は危ういせりふ。一歩間違えば、関係をさらに悪化させてしまう。
 現にマコトに「部長がいなければ僕たち始まらなかったの?」と言われてしまう。
 また、一方でマコトは『ありのままの君が好きだ』という言葉を言っている。それは高野に「そう言われたらいいね」と言われていたせりふだ。
 この辺、実にうまい。

★ラスト……
 そしてマコトと暮らすため家を出て行く螢。
 ふたりの別れ。
 「さびしいですよね」と同意を求める螢に高野は答える。
 「忘れないでくれ……」
 「立て替えた2万4580円のビデオ延滞料」。
 でも高野の言いたいことは他にある。
 この楽しかった夏の生活を忘れないでほしい。自分も忘れないから。という想いがある。
 そして引っ越しのすったもんだがあって、出ていく螢。
 「今年の夏は楽しかったです」
 高野が一番言ってほしかったことを言ってくれた。

 今回は盛りだくさんの内容だった。
 しかし、どのシーンも的確にふたりの気持ちを表現しているから、駆け足、言葉足らずという感じがしない。
 実にうまいシナリオだった。


コメント
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