平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ビリギャル~努力をすれば報われる、という神話を復活させた王道のサクセスストーリー!

2015年09月24日 | 邦画
 努力すれば報われるという神話が、この国から失われて久しい。
 この作品『ビリギャル』はそれを思い出させてくれた。
 閉塞した時代にあって、神話の復活である。
 主人公は実在の人物だというから、そのリアリティは増す。

 さて、塾教師・坪田(伊藤淳史)は、どのようにしてさやか(有村架純)を慶応大学に合格させたか?

 まずはモチベーション。
 偏差値30の女の子が慶応大学に合格するという困難なミッション。
 慶応大学に入った自分をイメージさせること。

 次に個別指導。
 生徒のひとりひとりには個性や癖があるのに学校は一律で、同じ教え方しかしない。
 しかし、坪田はひとりひとりに向き合う。
 さやかの英語がダメダメだったら、中1のドリル。歴史の知識が皆無だったら、学習マンガ。
 みっともなさや、なりふりなんかは構わない。
 問題は慶大の試験にある論文だが、これは個人の資質に拠るものが大きいので、なかなか難しい。論文の書き方は指導できても、個人の考え方、感じ方は教えられない。
 しかし坪田は、さやかの中にある、反オトナ、偉そうにふんぞり返っているやつへの反発を上手く引き出して、考え方・感じ方を確立させた。

 一方、どんなに的確な指導をしていても、やがて行き詰まり、壁にぶち当たる時がやって来る。
 さやかの場合も例外ではなかった。
 伸びない模試の成績。
 評価は常に合格圏外のE。
 出ない結果に、さすがのさやかも腐る。何もかも放り出したくなる。
 この段階での坪田は無力だ。
 東京に行って慶応大学を見てきたらどうか、くらいの指導しか出来ない。
 結局、壁は自分で乗り越えていくしかないのだ。
 で、さやかはどのようにしてこれを克服したか?
 父親への反発である。
 野球部をやめて挫折した弟への叱咤と、「努力すれば報われる」という見本に自分がなることである。

 そして、最後に合格する上で、最も重要なこと。
 他人の応援と信頼。
 坪田は生徒たちを合格させるために、ほとんど寝ずに分析・研究している。
 これが、さやかたちの信頼に繋がった。
 母親のあかり(吉田羊)は、娘を全面的に信頼し、寛容だ。
 壁にぶち当たって、受験をやめたいと愚痴をこぼした時は、
「さやかがワクワクしている顔を見られただけでも嬉しかった」
 と、さやかを抱きしめた。
 何という大きな愛。
 さやかの反発の対象だった父親の徹(田中哲司)も雪の日の受験の時、車で受験会場まで送ってくれた。
 月並みですが、やっぱり一番重要なのは、人との繋がりなんですね。
 自分を信頼し、応援してくれる人がいることで、人はパワーを与えられる。

 というわけで、『ビリギャル』は王道のサクセスストーリーです。
 この作品がヒットするってことは、<努力すれば報われる>という神話を人々が、そろそろ信じたいと思い始めているのかもしれません。
 だが一方で、ネットでは、「ビリギャルの真相」として、<主人公は英語は得意だった><学校ではおちこぼれだったが、通っていた学校は有名な進学校だった>といった神話にイチャモンをつける動きも。
 現代社会は、<努力すれば報われる>という神話をなかなか成り立たせてくれないんですね。
 本当に素直じゃないんだから。
 閉塞の時代はまだまだ続く?

 最後に有村架純さん。
 いい演技をしてました。
 彼女が、この作品を機にブレイクした理由がよくわかります。

コメント (6)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする