平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

いだてん 第37回 「最後の晩餐」~治五郎の面白いことは終わらない! 「これから一番面白いことをやるんだ、東京で! みんなが驚く、面白いオリンピックを!」

2019年09月29日 | 大河ドラマ・時代劇
 嘉納治五郎(役所広司)の人生、面白かっただろうな。

 面白かったことは? と聞かれて、
「羽田」
「ストックホルム」
「ロサンゼルス」
 と次々とオリンピック絡みの話が出て来る。

 しかし、一番面白かったことがなかなか出てこない。
 治五郎は「羽田」にも「ストックホルム」にも「ロサンゼルス」にも満足していないのだ。
 だが、外交官の平沢和重(星野源)に
「一番は東京オリンピックじゃないですか?」
 と指摘されると、我が意を得たりで、
「これから一番面白いことをやるんだ! 東京で!」
「みんなが驚く、みんなが面白いオリンピックを見事にやってのける! これこそ一番!」

 うん、幸せな人生だ。
 東京オリンピックのあり方については迷うこともあったが、最後まで夢や面白いことを追い続けていた。
 田畑政治(阿部サダヲ)が指摘したとおり、あのまま東京オリンピックをやれば、軍や政治が関与する国威発揚の『楽しくないオリンピック』になっただろうが、治五郎は東京オリンピック開催にこだわった。
 カイロのIOCの総会では
「オリンピックと政治が無関係だということを示してみせます! 信じて下さい!」
 と最後の大風呂敷を広げた。
 そして、最終的にたどり着いたオリンピック像は──
『みんなが驚く、みんなが面白いオリンピック』

 この治五郎の思いは田畑政治に引き継がれた。
『みんなが驚く、みんなが面白いオリンピック』は1964年、田畑政治によって成し遂げられるのだろう。

 見事な作劇ですね。
『1940年の東京オリンピック中止』と『治五郎の死』と『田畑への引き継ぎ』がドラマチックに繋がった。

 政治がオリンピックに関与することに抵抗した治五郎や田畑。
 田畑は「ダメだ、こんな国でオリンピックをやったって! オリンピックに失礼です!」と突っぱねたが、
 治五郎は「オリンピックと政治が無関係だということを示してみせます! 信じて下さい!」と突き進もうとした。
 方向は180度違うが、ふたりの東京オリンピックにかける思いは同じ。
 目指すは、政治がオリンピックに関与しない『楽しいオリンピック』!

 治五郎の棺に掛けられたのは『日章旗』ではなく『五輪旗』だった。
 治五郎の生涯はオリンピックだったのだ。


※追記
 2020年の東京オリンピック。
 応援で旭日旗を使うことを大会組織委員会は許可したらしいが、ダメでしょう。
 旭日旗を持ち込もうとしている連中はあきらかに政治的な意図を持っている。

『表現の不自由展』の愛知トリエンナーレへの補助金を文化庁は中止したらしいが、国が芸術に○☓をつけたらダメでしょう。

 最近、国がスポーツや芸術に関与している。
 そんなの楽しくないじゃんねえ!

コメント (2)
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