「将軍になれば人を救える。
貧しい人、私の手の届かなかった人を助けられる。
そう考えると将軍になるのも悪くない」
これが義昭(滝藤賢一)が将軍になる理由だった。
確かに。
権力を持つとはそういうこと。
権力を持てば大きな力を使えるから、たくさんの人を救える。
政治家かくあるべし。
しかし現実は私腹を肥やし、自分に親しい人のために大きな力を使うのがほとんど。
一方、信長(染谷将太)。
信長の行動原理は「いくさ」で「褒められたい」から「皆が喜ぶ」から。
完全に子供の論理だ。個人的な動機だ。
堺を手に入れて外国のめずらしい物を見て見たい、という動機もそう。
年を重ねれば、もう少し成熟するかと思ったが、信長の幼児性は昔と変わらないようだ。
とは言え、光秀(長谷川博己)との対話で、将軍を戴いて近畿を抑え、大きな国をつくるという方向を見出した。
しかし、それはいくさをする動機であり、麒麟がくる平和な国づくりのためではない。
だから、信長と義昭がいっしょになったらいけないのになあ。
ふたりはまったく価値観が違う。
これは光秀の大きな見誤り、失敗だ。
義昭も甘い。
理想は大切だが、自らの力を持たなければ神輿でしかない。
力を持った者に利用されるだけ。
志、価値観が同じ者と組まなければ、いずれ矛盾・破綻が生じる。
これも足利義輝(向井理)を見てればわかることなのになあ。
自らの力を持たなかった義輝は周囲に翻弄され、無力を嘆き、見捨てられて死んでいった。
足利幕府再興にこだわる光秀。
これが光秀の限界なのだろう。
まあ、その後の歴史を知っている現代人だから言えることなんだけど。
…………………
駒ちゃん(門脇麦)パートも同じく価値観の話。
・貧しい人に薬を無償で与えるのは良いこと。
・薬を又売りして稼ぐのも良いこと(なぜならそれで家族が飯を食べられる)。
世の中の善悪・正義なんて相対的なものなんですね。
立場、境遇によって違ってくる。
光秀、信長、義昭、駒、又売りの子供──
この作品は登場人物の価値観がさまざまで豊かですね。
光秀が主人公だから当然なんだけど、義輝、義昭を描いて、信長の美濃攻略を省略するのも面白い。
貧しい人、私の手の届かなかった人を助けられる。
そう考えると将軍になるのも悪くない」
これが義昭(滝藤賢一)が将軍になる理由だった。
確かに。
権力を持つとはそういうこと。
権力を持てば大きな力を使えるから、たくさんの人を救える。
政治家かくあるべし。
しかし現実は私腹を肥やし、自分に親しい人のために大きな力を使うのがほとんど。
一方、信長(染谷将太)。
信長の行動原理は「いくさ」で「褒められたい」から「皆が喜ぶ」から。
完全に子供の論理だ。個人的な動機だ。
堺を手に入れて外国のめずらしい物を見て見たい、という動機もそう。
年を重ねれば、もう少し成熟するかと思ったが、信長の幼児性は昔と変わらないようだ。
とは言え、光秀(長谷川博己)との対話で、将軍を戴いて近畿を抑え、大きな国をつくるという方向を見出した。
しかし、それはいくさをする動機であり、麒麟がくる平和な国づくりのためではない。
だから、信長と義昭がいっしょになったらいけないのになあ。
ふたりはまったく価値観が違う。
これは光秀の大きな見誤り、失敗だ。
義昭も甘い。
理想は大切だが、自らの力を持たなければ神輿でしかない。
力を持った者に利用されるだけ。
志、価値観が同じ者と組まなければ、いずれ矛盾・破綻が生じる。
これも足利義輝(向井理)を見てればわかることなのになあ。
自らの力を持たなかった義輝は周囲に翻弄され、無力を嘆き、見捨てられて死んでいった。
足利幕府再興にこだわる光秀。
これが光秀の限界なのだろう。
まあ、その後の歴史を知っている現代人だから言えることなんだけど。
…………………
駒ちゃん(門脇麦)パートも同じく価値観の話。
・貧しい人に薬を無償で与えるのは良いこと。
・薬を又売りして稼ぐのも良いこと(なぜならそれで家族が飯を食べられる)。
世の中の善悪・正義なんて相対的なものなんですね。
立場、境遇によって違ってくる。
光秀、信長、義昭、駒、又売りの子供──
この作品は登場人物の価値観がさまざまで豊かですね。
光秀が主人公だから当然なんだけど、義輝、義昭を描いて、信長の美濃攻略を省略するのも面白い。