平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

鎌倉殿の13人 第3回「挙兵は慎重に」~どこのどなたか存ぜぬが、この命をそなたに賭けよう!

2022年01月24日 | 大河ドラマ・時代劇
 三谷幸喜さん、絶好調!
 まさに縦横無尽の筆という感じ。

 まずは以仁王(木村昴)の挙兵。
 頼朝はまず情報収集。
 舅の時政(坂東彌十郎)に以仁王に力添えする源頼政(品川徹)の人物像を尋ねる。
「源頼政公は信ずるに足るお人か?」
 時政がマイナスのことを言うと、
「頼政公では人はついて来ぬ」と判断して、挙兵を取りやめた。

 頼朝、慎重ですねえ。
 頼朝が挙兵を取りやめた理由は他にもあった。
・平清盛(松平健)が老齢で、いずれ命が尽きること
・自分の手で清盛の首を取って父の仇討ちをしたいこと
・頼政が勝てば頼政が源氏の頭領になってしまうこと
 清盛の死を待つのは合理的であり、自分で父の仇を討ちたいというのは感情的。
 人間とはこのように矛盾した存在だ。
 頼政が源氏の頭領になるのを嫌がるのは、頼朝が権力志向であることを意味する。
 三谷幸喜さん、頼朝という人物を深く描き込んでいますね。

 以仁王の挙兵に関しては、時政の後妻りく(宮沢りえ)も一言。
 こんなに挙兵の情報がバレているから源氏は負ける。
 政子(小池栄子)もそうだが、この作品の女性陣は実に聡明だ。

 以仁王の挙兵の結果については、頼朝の京のスパイ三善康信(小林隆)の二通の手紙で表現。
 一通目は頼政が参じて以仁王の勝利間近という手紙。
 二通目は以仁王の敗北。
 上手い手法ですね。
 いくさの推移が端的にわかるし、三善康信という人物もクローズアップされた。
 …………………………………

 そして頼朝の挙兵。

 挙兵の発端は
 前述、三善康信の「頼政の密書を受け取った源氏はすべて成敗される」という勘違いから。
 歴史はこういう勘違いで動くんですね。

 さて、これで困ったのが頼朝。
 奥州・藤原氏に逃げるか? 挙兵して戦うか?

 兄・北条宗時(片岡愛之助)は僧・文覚(市川猿之助)を連れて来て、
 文覚に「民は源氏が立つのを待っている」「源氏が立つのは民の声」と語らせる。
 ところが、この文覚、どこの誰かもわからない髑髏を源義朝のものだと偽るようなインチキな人物。
 頼朝も文覚がいかがわしい男であることを知っていた。
 宗時さん、相変わらず詰めが甘い……笑

 主人公・義時(小栗旬)は数字を示した。
 徴税の木札を分析して、挙兵すれば3000の兵が集まることを試算。
 当面の敵・大庭、伊東の兵は多く見積もっても2000。
 このことは「必ず勝ついくさしかしない」合理的な頼朝には響いたようだ。
 義時、やっぱり主人公ですね。
 漫才で言えば、宗時はフリ、美味しい所は義時が持っていく。

 しかし、打倒平家の挙兵をするには大義名分がいる。
 大義名分がなければ3000の兵も集まらないかもしれない。
 すると、頼朝の従者の安達盛長(野添義弘)が後白河法皇からの密書を差し出す。
 盛長はこの密書を偽物と疑っていて出すのを控えていた。

 こうして挙兵を決意する頼朝。
 この挙兵までの描写、ギャグを織り交ぜて山あり谷あり、上手いですね。
 決して劇的でカッコよくはない。
 でも、ラストはすこし劇的にした。
 頼朝は文覚のインチキ髑髏髑髏を掲げて言う。
「どこのどなたか存ぜぬが、この命をそなたに賭けよう!」

コメント (2)
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