平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

朝ドラ「ちむどんどん」~作品が雑すぎて、すごいことになっている……!

2022年05月26日 | その他ドラマ
 朝ドラ『ちむどんどん』がツッコミ所満載のドラマになっている。
 前作『カムカム・エブリバディ』の脚本が見事だったからなあ、比較されて粗が目立つ。
 どうした? 羽原大介(脚家家)さん。

 視聴者が毎日腹を立てているのが、長男・賢秀(竜星涼)のクズっぷり。
・チンピラと喧嘩して傷害
・ハンバーガーショップで器物損壊と音楽の下地先生をケガさせて暴行
・上京してボクシングジムで60万円の寸借詐欺
・鶴見で妹・暢子(黒島結菜)の所持金を奪って競馬でする
・長女・良子(川口春菜)の求婚相手の家から手切れ金詐欺

 視聴者のイライラをさらに増幅させているのが、母(仲間由紀恵)がこんな賢秀を叱らないこと

 そしてイライラはヒロイン暢子にも飛び火。
「料理をするのにあの髪はない。髪を束ねろ」
「入ったばかりの新人がオーナーに悪態をつき、勝負を挑むのはおかしい」
「ぺぺロンチーノの試作品をつくるお金はどうやって捻出したのか? オリーブオイルは高価なのに」
「ペペロンチーノの試食につき合ってくれた店主夫婦にお礼を言わないのはなぜ?」

 本来なら本日(5/26)は良子の恋愛が成就して感動エピソードになるはずなのだが、視聴者が泣いたのは、結婚がダメになっても良子の幸せを願った金吾(渡辺大知)の潔い態度。
 …………………………

 こんなふうになってしまった原因はいったい何なのだろう?

 まずはディティル。
「ペペロンチーノの試作品の費用」とか「家の借金問題」とか、これらに対する説明がいっさいなされていない。
 ドラマのリアリティってディティルの積み重ねによって生まれるんですよね。
 暢子がぺぺロンチーノの試作品の費用をどう捻出したかを描くことが、ひとつのドラマになるし、リアリティになるし。ヒロインへの共感に繋がる。
 なのにこれがなく、作家ははやく物語を進めることに躍起になっている様子。
 ここを敢えて描かず、視聴者に想像させるという手法もあるが、視聴者に行間を読ませるにはあまりにも情報量が少なすぎる。

 暢子の髪の件は僕も気になっていたが、こういうディティルって大事なんだよなあ。
 一部には、1972年なのに厨房の醤油の容器がペットボトルだったという指摘も。
 これらは脚本というより演出の問題だが。

 あとは朝ドラの視聴者層が保守層であること。
 悪いことをしたら罰せられる。親が叱る。本人も反省する。
 恩を受けたらお礼を言う。
 新人は謙虚で、空気を読む。
 ヒロインはこれらから少し突き抜けているが、突き抜けすぎてはいけない。
 朝ドラではこういう描写が要求される。
 突き抜けキャラは登場してもいいが、そこには心のベースがなくてはならない。
 たとえば下地先生や金吾が共感を呼んだのは、「音楽への愛や表現することの喜び」「良子へのひたむきな愛」といったものがベースにあったから。
 それが果たして暢子にあるのか?

 あとは、これは作品の内容とは関係ないが、ネット社会。
 ネットでは、朝ドラの感想が次々とUPされる。
 ツイッターでは、#ちむどんどん反省会というハッシュタグが毎回トレンド入りして不満がどんどん語られている。
 これをスポーツ新聞のネット記事が面白おかしく取り上げる。
 ネット社会のドラマはこれの洗礼を受けなくてはならない。
 それが良い反応なら作品の評価はどんどん上がっていくのだが……。

 さて、『ちむどんどん』は今後どうなっていくのか?
 視聴者の不満を踏まえ、作品の内容を変えていくのか?
 それともこれらは制作陣が意図したことで、近いうちに視聴者が「なるほど~、そういう計算があったのか」と納得する展開があるのか?
 これを見たくて、『ちむどんどん』を見続けている。
 黒島結菜ファンとしてもぜひ良い作品にしてほしいのだが……。

コメント (2)
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