平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

どうする家康 第16回「信玄を怒らせるな」~弱き主君は害悪なり! 滅ぶが民のためなり!

2023年05月01日 | 大河ドラマ・時代劇
 信玄(阿部寛)は出陣で兵達を鼓舞する。
「天下を鎮め世に安寧をもたらす!
 織田信長、その器にあらず! 彼の者、敵を増やし、戦乱を拡げるばかり。
 民はいつまで苦しめばいいのか?
 この期に及んで見て見ぬ振りをするは我が罪と心得たり。
 時は今、この信玄が天下を鎮め、人の心を鎮めるため都に向かう!」

 家康(松本潤)も家臣達に叫ぶ。
「この地を守り抜き、武田信玄を討つ! 今こそ我らが桶狭間をなす時ぞ!」

 というわけで次回は三方原の合戦!
 今回は忍者戦があったし、この作品、エンタテインメントに徹している。
 それにしても千代(古川琴音)、強いな。
 あの大鼠(松本まりか)を圧倒したし、家康の謙信への使者をすれ違い様、瞬殺した。
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 家康は信玄に劣等感を抱いている。
 まあ、経験・キャリア・積み重ねた年月が違うので、比較自体が無意味なのだが。
 唯一、勝てると思っていた人質に対する処遇も家康の方が甘かった。
 信玄は徳川家の人質の松平源三郎(長尾謙杜)を虐待していたのではなく、
 他の若い家臣と同様に扱い、鍛えていたのだ。
 信玄の家臣団はよく鍛えられた「化け物」だった。
 
 頼りない主。情けない主。
 わしについて来いと言えない主。
 信玄の家臣になれば織田との縁が切れると喜ぶ家臣を持つ主。
 だが、家臣達はそんな主を支えたいと考えていた。
 家康が「わしは信玄に何ひとつ及ばぬ。すべて足りぬのじゃ」と語ると、
 家臣達は「殿にはこの家臣一同がおります」「力を合わせて知恵を出せば信玄に及ぶと存じます」と返した。
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 さて、ここからが君主論。

 頼りないけど支えたくなる君主っていますよね。
「三国志」で言えば、劉備。
 弱音を吐くし、うろたえるし、迷ってばかりの君主。
 でも、そんな君主を家臣は放っておけない。
 その根底にあるのは人柄の良さ。
 今回も自分を襲った井伊虎松(板垣李光人)を許して解放した。
 そうしたのは自分が、虎松に代表される遠江の信頼を得てないと考えたから。
 三河の一向一揆で学んだのだろうか、家康は力で抑えつけることをしない。
 今川氏真(溝端淳平)も許したし、田鶴(関水渚)も救おうとした。

 一方、これと対照的なのが織田信長(岡田准一)。
 信長は家臣を力で抑えつけ、敵対する勢力は力で押しつぶす。
 いわゆる恐怖政治だ。
 結果、押しつぶされた者は怒りや恨みを持つ。
 だから信玄が言ったように「彼の者、敵を増やし、戦乱を拡げるばかり」

 では信玄はどうだろうか?
 信玄は家康に源三郎経由でこんなことを伝えた。
「弱き主君は害悪なり。滅ぶが民のためなり」
 信玄も信長と同じように、力の信奉者だが、信長とは違う感じがする。
「生きのびたければ我が家臣となれ」と手を差しのべることができる。

 信長も人質だった家康を鍛えるために叩きのめしたが、家康に残ったのは「恐怖」だった。
 だが、信玄は同じように源三郎を叩きのめしたが、源三郎には「敬意」が残った。

 信玄と信長の違い。
 これは次回、明らかになるだろう。
 今川義元(野村萬斎)同様、家康の師になるのかもしれない。

コメント (2)
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