平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

来年の大河ドラマ『花燃ゆ』の不明瞭な制作決定過程~安倍首相に配慮?

2014年01月18日 | 大河ドラマ・時代劇
 2015年に放送する大河ドラマ『花燃ゆ』。
 その企画決定過程がおかしいと雑誌SAPIOは伝えている。

 この作品の主人公は長州藩士・吉田松陰の妹・文(ふみ)。
 長州と言えば山口県。
 山口県と言えば安倍総理。
 NHKはその経営委員に『永遠の0』の作家・百田尚樹氏ら、安倍総理のお友だち4人を起用している。
 安倍総理にヨイショしまくりだ。
 というか圧力がかかったのか?

 通常、大河ドラマの制作発表は6月くらいに発表される。
『八重の桜』は放送2年前の2011年6月22日。
『江』(2011年放送)は2009年6月17日。
『龍馬伝』(2010年放送)は2008年6月5日。
『平清盛』は少し遅れて2010年8月4日。

 ところが『花燃ゆ』は昨年の12月3日。
 今年の『軍師官兵衛』は2012年10月10日だが、これよりも2ヶ月も遅い。
 この異例の遅れは何なのか?

 花燃ゆ』を担当するNHKのチーフ・プロデューサーが山口県を訪れ、吉田松陰の松下村塾が置かれたゆかりの地である萩市の担当者に接触したのは昨年9月のこと。
 その際に女性脚本家2人の萩を訪れたプロデューサーは商工観光部観光課の担当者にこう聞いたという。
『山口県に何か大河ドラマの題材がないでしょうか』

 何と<山口県>というキイワードで企画が組み立てられていたらしいのだ。
 通常、大河ドラマの主人公は<人物>本位で決められる。
 たとえば『龍馬伝』を担当したチーフ・プロデューサーは
「久しぶりに“ご存じ”という人をやりたいという思いもあって。演出家と脚本家と3人で決めました」~雑誌『ロケーションジャパン』。
 『天地人』のチーフ・プロデューサーは
「2006年あたりからこの大河ドラマ48作目の題材を考え始めていたのですが、当初、局内で「直江兼続でいきたい」と話したとき、みんな知らないわけですよ」~雑誌『時代劇マガジン』。
 ところが『花燃ゆ』は『山口県に何か大河ドラマの題材がないでしょうか』。
 
 この件について山口県の郷土史家は次のように語っている。
「NHK関係者は秋になってから県内で精力的に動き出した。高杉晋作ゆかりの地を取材し、伊藤博文の妻を主人公にする案もあったが潰れたと聞いている。なぜそうまでして山口県を舞台にすることにこだわったのか。最終的に決まった文にしても主人公にするには史料があまりに少なく、無理矢理決めた感が否めない」
「どの地域を舞台にするかは主人公から自然に決まってくるものと思える。今回はなぜ<山口県を舞台にする>ことが重視されたのか。山口県は安倍首相の地元であるため、時の政権への配慮があったのではないか」

 このことに関して、NHKは口頭で「安倍首相に配慮したことはない」とし、文書で「明治維新で大きな役割を果たした長州を舞台に大河ドラマができないかと考え、長期にわたって取材を続けてきた」(広報局)と回答。

 しかし、「安倍首相に配慮」の疑問は否めない。
 何しろ大河ドラマの舞台になれば、地元は観光など、大きな経済効果が見込めますからね。
 揚げ足を取るわけではないが、『長期にわたって取材を続けてきた』というなら、観光課の方に『山口県に何か大河ドラマの題材がないでしょうか』と聞く必要はないのでは?

 こうした疑問を払拭する意味でも、NHKは企画の決定過程をもっと明確に公表すべきだ。
 木村拓哉さんの主演の『信長燃ゆ』、冲方丁さんのベストセラー小説『光圀伝』などの強力な候補をボツにして、『花燃ゆ』を推した理由を明らかにすべきだ。

 引用記事『大河ドラマが安倍首相の地元に決定するまでの「異例」の経緯』はこちら



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吉田松陰について (TEPO)
2014-01-20 10:05:15
吉田松陰という人物は必ず「偉人」として扱われます。
敵方にあたる会津視点から書かれた『八重の桜』においてすら、でした。

しかし、正直言うと私は松陰がなぜ「偉人」なのか理解できません。
確かに早熟の秀才だったようですが、思想家として見るべきものはない、というのが定評のようです。
たとえば本居宣長もあまり共感できない思想家ですが、宣長の場合、記紀に対する高水準の文献学的研究を残しており、学者として第一級であったことは認めざるを得ません。
これに引きかえ、松陰の思想は彼の門弟たちの行動に表れたもの-いわゆる「尊皇攘夷」-でほぼ尽きているようです。
まあ、若死にしてしまったわけですからやむを得ないとは思いますが。

要するに、極右と極左との違いこそあれ、1970年代に何人かいたであろう新左翼の理論的指導者のような存在だったと思います。
その思想的影響のもとにテロリストたち-これが語の正しい用法だと思いますが、石破氏の日本語力だとこちらは「志士」ということになるのでしょうね-が輩出した点もよく似ています。

松陰と新左翼指導者との唯一の違いは「門人たちが勝った」こと。
新左翼のどこかのセクトが革命に成功していたら、「廟」-さすがに「神社」ではないでしょう-に祀られていたことでしょう。

まだ1月だというのに鬼が笑いますが、来年の1月が勝負だと思います。
最初の一ヶ月だけ見てみて、よほど魅力あるストーリーでない限り、一年間休みとするかもしれません。
ここ何年間か、コウジさんと共に「大河完走」をしてきたのですが。
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「八重の桜」と対になる作品 (コウジ)
2014-01-20 19:12:56
TEPOさん

いつもありがとうございます。
吉田松陰に関してはTEPOさんほど詳しくないのですが、一年後のことですが、どう描かれるか楽しみですね。
おっしゃるとおり、客観的に見れば、松陰は政府転覆の過激派の理論的指導者。
長州の志士たちは過激派。

「八重の桜」が優れていた所は、時流やいくさの勝敗次第で、官軍は賊軍になり、賊軍は官軍になるということを描き切った所ですよね。
「花燃ゆ」に関しては、長州の正当性を第一に描かれるのでしょうが、逆に会津がどう描かれるか興味深いです。
主人公も同じ女性ですし、「八重の桜」と対になる作品になるのかもしれませんね。
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