平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

「坂の上の雲」~病床六尺。正岡子規のもうひとつの戦い

2025年01月15日 | 大河ドラマ・時代劇
「坂の上の雲」のレビューが滞っていたので今週まとめて書きます。

 まずは正岡子規(香川照之)。
 秋山真之(本木雅弘)が米国・英国を視察し、日清戦争を経験し、
 秋山好古(阿部寛)がドイツ・フランスで学び、満州で戦う中、
 子規は肺の病気のため日本の狭い世界にいる。
 病が少し癒えて、新聞「日本」の従軍記者として日清戦争の中国へ渡るが、
 戦争はすでに終わっていた。

 子規は狭い世界で生きている自分を嘆く。
 病が重くなり、床に伏せるようになると焦りはさらに激しくなる。

 そんな中、子規は自分なりの戦いを始める。
 俳句・短歌の論評・再評価と革新だ。

 やがて子規は、自分の戦いが清国・ロシアと戦う真之や好古の戦いと同じだと考えるようになる。
 真之も同じ考えで、子規を励ます。

 こうして子規は俳句・短歌の革新という仕事を精力的におこなっていくが、
 病はどんどん重くなり、痛みは子規を苦しめ、妹の律(菅野美穂)に当り散らしたりする。

 こんな子規が死を前にした時にたどり着いた境地がこれだ。
「病床六尺」
 庭の木々や朝顔を見て子規は考える。
「この六尺の小さな世界の中にも自然の営みがあり、真実がある」
「とりとめのない日常の中に大切なものが潜んでいる」

 つまり真之や好古のように飛びまわらなくても、世界を知ることはできるのだ。

 司馬遼太郎が今作で子規を描いたのは、「もうひとつの戦い」と「病床六尺」を描きたかったからであろう。


コメント    この記事についてブログを書く
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする
« 「べらぼう」 第二回「吉原再... | トップ |   

コメントを投稿

大河ドラマ・時代劇」カテゴリの最新記事