平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

江~姫たちの戦国~第24回「利休切腹」

2011年06月28日 | 大河ドラマ・時代劇
 今回は上手い。
 秀吉(岸谷五朗)と利休(石坂浩二)の対立がよく描かれている。
 その象徴が<竹筒に挿された一輪の花>。
 黄金まみれの秀吉とは対照的。
 切腹を申しつける場面では、利休は秀吉の嫌いな<黒の器>を出した。
 この小道具の使い方は見事。

 また、単なる対立として描くだけでなく、秀吉に葛藤させている所も上手い。
 秀長(袴田吉彦)の最期の言葉「耳に痛いことを言ってくれる者を信じるのじゃ」で秀吉は迷う。
 利休に頭を下げ、自分のそばにいて、苦言を言ってくれと頼む。
 この揺れ方!
 そして頭を下げたのに断られ、「嫌いだ」と言われて、秀吉はついに爆発する。
 おそらく秀吉の狂気、暴走はここから加速度的に始まっていくのだろう。
 これまでブレーキをかけてきたの秀長、そして利休。あるいは江(上野樹里)。
 それらの歯止めがなくなっていく。次回は江が遠ざけられそうだ。

 さて利休。
 利休は自分の美学に生きた人なんでしょうね。
 若かった時は描かれていないのでわかりませんが、老境にさしかかり、枯れて、質素・淡泊なものを美しいと感じるようになった。
 その美学に秀吉は反していて、非常に醜い。
 老いて盛んで、権力欲、物への執着も留まることを知らない。
 ふたりが別の道を歩んでいくのは必然だったのでしょう。
 そして普通の人間なら権力者と折り合いをつけて生きていく所、利休はそれを受け入れることが出来なかった。
 おのれの美学に殉じた。
 この生き方については賛否両論があるだろう。
 僕などは、「仁」で「どんなに恥をさらしても生きていくのが是」とした咲の兄・恭太郎の生き方に共感するので、利休の生き方はどうかと思うが、ともかく利休はそういう人。
 そんな利休を今回は見事に描き切った。

 ところで、この利休話は次回も続くらしい。
 これはどうだろう? 今回で十分。
 それよりも主人公の江はどうした?
 もっと時を進めて、江について描くべきことがあるんじゃないか? もう二十四回だし。
 この辺は構成が行き当たりばったり、甘い様な気がしてならない。
 江は相変わらず、時々文句を言うだけの目撃者だし、これだけ主人公不在のドラマも珍しい。
 これは作家が、江を掴めていないんじゃないのかな?
 他のキャラクターの方がイキイキとしているし、深く描かれている。



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2 コメント

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バランス (TEPO)
2011-06-28 21:32:00
利休と秀吉。やはり「大人のドラマ」部分は結構いいですよね。
他方、秀勝が去った後江が振り返ったら秀忠がいた、などという展開はまさかないよね、などと家族で話していたら、いたりしまして。

前回、子役を使わなかった弊害について縷々述べましたが、その意味でも

>もっと時を進めて、江について描くべきことがあるんじゃないか? もう二十四回だし。

には同感です。
江については秀忠に嫁いでから豊富なエピソードがあり、そこでこそ真に主役となるわけですが、本来子役を使うべきだった時代を含めてそれ以前が長すぎます。
本来ならとうに秀忠と結婚し、今頃は大阪の陣あたり、遅くとも関が原というところでしょう。
昨年の「龍馬伝」同様、やっと主役が主役らしくなったと思ったら超特急の雑な展開ということに今年もなりそうですね。

ところで、今回利休の弟子として登場した古田織部という武士を主人公とした「へうげもの」なる漫画(アニメにもなっている?)があるそうで、娘が結構ハマっているようです。
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クライマックス (コウジ)
2011-06-29 09:39:03
TEPOさん

いつもありがとうございます。

この作品はクライマックスをどこに持ってくるつもりなんでしょうね。
今の感じだと、TEPOさんが書いていらっしゃる関ヶ原や大坂の陣になりそうですね。
大奥などの徳川家の礎を築く話は、補足的になるかもしれません。
あるいは、江に世継ぎの子供がなかなか生まれないことを北政所とオーバーラップさせて、描いていくんでしょうか?

江の生涯を通じて何を表現したいのか?
それが現状では見えないんですよね。

「へうげもの」
タイトルは聞いていたのですが、面白そうですね。
違った形の戦国時代を見られそうです!

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