平成エンタメ研究所

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青天を衝け 第40回「栄一、海を越えて」~今の日本はとんでもねえ流行病に罹っちまったんじゃないですか? 伊藤さん

2021年12月20日 | 大河ドラマ・時代劇
「いつ死ぬべきだったのか私は自分に問うて来た。
 いつ死ねば徳川最後の将軍の名を汚さずに済むのかずっと考えて来た。
 今は思う。
 生きていてよかった。話しができてよかった。楽しかったな。
 快なり……快なり、快なり、快なりじゃ!」

 徳川慶喜・享年77歳。
 生きていれば、いいこともある。
 穏やかな日常もある。
 栄一(吉沢亮)や徳川の旧家臣など、自分を慕ってくれる者もいた。
 いやあ、毎回書くが、草彅剛さんの「慶喜」は絶品だったな。

「人には向き不向きがある。
 俺は商売には向いていなかった。
 俺が一番胸が躍ったのは一橋で励んだ時だ」

 渋沢喜作・享年74歳。
 こう人生を総括した喜作(高良健吾)。
 喜作は函館で死ななかったことを後悔していない。
 栄一のように事業で成功したわけではなかったが、
「人には向き不向きがある」と篤二(泉澤祐希)肯定し、栄一を「引け目ばかり感じさせる腹立たしい男」と笑い飛ばした。
 老いても走り続ける栄一には、兄貴分として「誰もが前ばかり見て生きているわけじゃないんだからな」とさりげなく忠告。
 喜作はユーモアのあるやさしい人だな。
 こういう人が近くにいると、まわりは救われる。
 …………………………………

 一方、時代はおかしな時代へ。

「今の日本はとんでもねえ流行病に罹っちまったんじゃないんですか? 伊藤さん」

 日清・日露戦争で勝利して、欧州の戦争(第一次世界大戦)に参戦。
 参戦理由は表向き「日英同盟」だが、実は「アジアでの権益拡大」。
 これに疑問を持つ栄一は首相・大隈重信(大倉孝二)を問い詰めるが、
 大隈は「拡大しなければ国が成り立たんのだ。攻められるのだ」

 栄一の人間観に拠れば、人には熱量があるという。
「人の熱」は行動の原動力になる。
 だが、過度に熱くなると、脅え、憤り、争いが生まれる。
 だから、人は平熱を保とうとしなければならない。

 当時の日本は過度に熱くなった時代だったのだろう。
 その熱は幕末から明治を経て大正まで、ずっと続いている。
 栄一も熱かった。
 だが、栄一はそれに違和感を抱き始めたようだ。
 このまま行くと、まずい方向に行ってしまうような……。

 こんな心境に至ったのは、やはり回顧録編纂のために慶喜の話を聞いたからだろう。
 なぜなら慶喜は明治の時代を、枯れた「隠遁者」として、平熱を保って生きて来た人だから。

 慶喜は明治という時代のアンチだったんですね。

 巧みな作劇だ。
 具体的には描かれなかったが、慶喜の存在が明治という時代を逆照射している。

 さて次回は最終回。
 栄一はどのような心境に至るのか?
 

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2 コメント

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Unknown (mobilis-in-mobili)
2021-12-21 16:31:25
もはや主人公が老けメイクしただけで演じ続けるの無理があり過ぎます。役者を変えるべきです。晩年の渋沢栄一を演じるのは温水洋一の方がピッタリだと思います。
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確かに (コウジ)
2021-12-21 18:34:19
mobilis-in-mobiliさん

いつもありがとうございます。

確かに吉沢亮さんの栄一は若いですよね。
草彅さんの慶喜が見事に枯れているので、余計目立ってしまいます。

役作りのために、吉沢さん、体重を増やしたのですかね。
顔に肉が少しついていました。
あるいは、これもメイク?

似ていると言えば、前回登場した小村寿太郎が似ていると思いました。
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