平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

相棒15 「帰還」~恨みとか憎しみとかじゃなくて、楽しいって動機じゃダメなんですか?

2017年01月02日 | 推理・サスペンスドラマ
「恨みとか憎しみとかじゃなくて、楽しいって動機じゃダメなんですか?」

 ついに『相棒』にもこういう犯人が出るようになってしまったのか……。
 犯罪や暴力を楽しむ犯人。
 狂気の犯人。

 これに対して、右京(水谷豊)は〝あなたが一生知り得ないこと〟として、犯人にこう語る。
「人間はいつもギリギリの縁に立っています。
 誰だって人の体が簡単に壊れること、心が簡単に操れることを知っているんです。
 それでも自らの意思でそうなしないことを選んでいる。
 間違いを犯せば後悔し、自分を責め、縁の下から這い上がろうとする。
 そういう人間そのものの姿をあなたは知らない。
 あなたは永遠に理解できない。
 あなたが人生の本当の楽しみを知ることはない、今までもこれからも。
 哀れな人だ」

 人は誰でも過ちを犯す。
 そして、それを悔い改めることが人間であり、生きることだ、と右京さんは言っている。
 今までの『相棒』の犯人って、反論することはあっても、犯した罪に対して何らかの後悔や反省があったんですよね。
 動機にもそれぞれ一応の理があった。
 ところが今回の犯人にはそれがない。
 人として決定的なものが欠けている。

 こうした犯人像という点で、今までの『相棒』とは異質なエピソードと言えるだろう。
 松本清張は〝犯罪の動機こそが人間ドラマだ〟と主張していて、『相棒』もそれを踏襲していたが、今回はそれを放棄。
 これから右京はサイコな快楽殺人者とも向き合うことになる。
 ときどき『ON 異常犯罪捜査官 藤堂比奈子』のエピソードが出てくるようになるのだろうか?
 ………………

 亘(反町隆史)は思いとどまった。
 怒りや憎しみの中で犯人を銃で殺すこともできたのだが、逮捕の道を選んだ。

 おそらく、これは甲斐亨(成宮寛貴)のダークナイト事件に対するアンサーだろう。
・思いとどまった亘。
・踏み込んで実行してしまった亨。
 成宮寛貴さんが芸能界を引退して、亨の再登場が難しくなってしまったため、『相棒』としては〝思いとどまる亘〟を描いておく必要があった。

 サイコな犯人の登場といい、亨の件の決着といい、『相棒』の転機となるエピソードだった。


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