平成エンタメ研究所

最近は政治ブログのようになって来ました。世を憂う日々。悪くなっていく社会にひと言。

ロッキー・ザ・ファイナル

2007年09月20日 | 洋画
 エイドリアンを亡くし過去に生きているロッキー。
 過去の実績からそれなりのリスペクトを受け、レストラン「エイドリアンズ」も盛況。自分の選手時代の話を聞きに客がやって来る。
 精肉会社を首になったポーリーや過去に闘ったスパイダー、街の不良少女だったリトル・マリーらも自分の店で働かせ、愛情を注いでいる。
 親の七光りと言われロッキーから距離をおいている息子のことは気になるが、それなりに穏やかな生活だ。

 この枯れ方がいい。
 リトル・マリー(←ロマンスの相手)や息子との距離の取り方も一定で、敢えて近づこうとしない。彼らとの気持ちの問題を解決しようとしない。マリーの息子と犬を見に行くくらいの関わり。
 愛を歌いあげ、高らかに平和をメッセージした(「ロッキー4」)ギラギラしたロッキーとは全然違う。
 僕は今回のロッキーの方が好きだ。
 「ロッキー4」のロッキーはマンガだが、こちらには現実や実人生に根ざしたリアリティがある。
 作品全体はモノトーンで短調。

 ということで名作の期待。
 しかし、ロッキーが再びボクサーに復帰する意思を持ち、瞬殺のチャンピオン・ディクソンと闘い始める所からリアリティがなくなる。
 ロッキーの闘う理由に説得力がないからだ。
 まだ燃え尽きていなかったことが、今回復帰する理由なのだが、それが十分に描写されていなかったため、唐突に見える。
 くすぶっていた火が燃え上がるきっかけはコンピュータのディクソンとのシュミュレーション映像を見たことだが、それだけでなぜ闘う気になうのか?
 「まだ燃え尽きていない」というせりふの一言だけでは説得力がない。
 それまでの枯れっぷりがあまりに見事だっただけに、実にもったいない。
 距離をおいていた息子にも「自分がうまくいかないのを他人のせいにするな」「自分を信じろ」と言い始めるし。
 これらの気持ちの動きをもっと丹念に描いてほしかった。
 
 しかしまあ、そこは「ロッキー」シリーズ。
 トレーニングシーンから試合シーンになるとそんな理屈関係なく引き込まれてエキサイトしてしまう。
 今回のトレーニングは相手を粉砕するメガトンパンチを習得すること。関節が錆びついた(←見事な表現)ロッキーにはそう闘うしかないらしい。
 試合では飛びそうになる意識の中で過去が去来するという描写が見事。ゴングが鳴ると観客席のマリーと目をかわし合ってファイトに向かうというのもいい。コーチの檄や息子の「父さんはもう笑い者じゃない」という言葉が試合を盛り上げる。

 中間の物足りなさはあるが、作品の前半と後半は見事!

★追記
 エイドリアンのお墓の前で折りたたみイスに座り亡き妻を思うロッキー。
 帰る時は、お墓のそばにある大木に折りたたみイスを置いていく。
 この描写だけでロッキーがお墓に頻繁に来ていることがわかる。
 1シーンが単なるお墓参りでなく、いろいろなことを想像させる。
 作品の1シーンはこうあるべき。
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花ざかりの君たちへ 最終話

2007年09月19日 | 学園・青春ドラマ
★すべてが瑞希に!!
 今回は物語がすべて瑞希(堀北真希)の秘密、退学に向けられた。
 今までは寮対抗戦であったり、佐野(小栗 旬)のハイジャンであったり、物語が拡散。瑞希に視線を送っていたのは、佐野と中津(生田斗真)だった。

 しかし今回は全員の視線が瑞希に。
 僕は、ひとつのテーマに登場人物全員が関わるこの様なドラマの作りが好きだ。

 例えば難波先輩(水嶋ヒロ)。
 難波は言う。
 「俺たちが卒業したら、お前を守りきれない」
 いいせりふだ。キャラの立たせ方としては変なギャグをやるより数倍立つ。

 ラストのお別れのシーンはその集大成。
 全員が瑞希にコメントする。
 これでもかこれでもかと少しくどい気もするが許せる。
 原 秋葉(紺野まひる)の写真集を渡してのコメントが好きだ。
 「泣きたくなったらこのバカ達を見て笑いなよ」
 中津のコメントも。
 「じじいになって自分の名前がわからないくらいボケてもお前と過ごした時間は忘れない。お前は俺の最高のダチだからな」
 これらコメントに対して瑞希は返す。
 「桜咲学園の生徒で本当によかった。いってきます!」
 この「いってきます!」というのが気が利いている。

★サービス!サービス!
 学園祭の女装コンテストは視聴者へのサービスシーンであろう。
 なぜか他校の神楽坂(城田 優)までが女装している。
 神楽坂といえば、佐野のことが好きだったらしい。メイド喫茶で佐野を指名した。
 この女装コンテストのオチは佐野の優勝。女の瑞希が負けた。

★今週の中津~!
 今週の中津は告白の返事。
 中津センサーによれば、『ツンデレの佐野より笑カッコイイ自分の方に瑞希の心は傾いている』らしい(笑)
 結果はふられてしまうが、瑞希に冷たくするクラスメイトと闘ったり、「最高のダチ」と言い切る姿は清々しい。

★瑞希の想い
 瑞希は学園での思い出を壊さないために、最後まで男の芦屋瑞希で過ごすことにこだわった。女の瑞希に戻ったら、まわりとの関係がリセット。新しいものになってしまう。
 佐野はそんな瑞希の想いを理解して空港で告白した。

★最後は名セリフ!
・佐野の父親
 「ひとりではバーは跳べない。誰かのために生きろ。そうすればバーは越えられる」
・佐野
 「アメリカへは笑って帰れるか?だったら俺も笑って送り出す。ありがとう。ここまで来てくれて。おまえに出会えてよかった」
・校長
 「後悔している暇があったら今を存分に楽しみなさい」
・瑞希
 「あなたにとって桜咲学園とは?」と問われて
 「今、この一瞬がかけがいのないものと思えた私の一生の宝物です」(←これがテーマ)
・佐野、空港で
 「今度は俺が会いにいくよ」


コメント (4)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

タワーリングインフェルノ

2007年09月18日 | 洋画
★この作品はサスペンスの積み上げ方が見事。

 世界一の高層ビル。
 しかし器械から火災が発生。
 設計者のダグ(ポール・ニューマン)が調べてみると、彼が指定した材料が使われていない。
 手抜き工事だ。
 ダグは工事施工者に実態解明を求める。
 施工者は「理想と現実は違う。法の規定は守っている」と弁明。
 ダグは「このビルは規定以上でなくてはならない。明日までに仕様書と配電図を用意しろ」と言う。
 だが、それは甘い現状認識。
 81階の倉庫では負荷に耐えれなかった素材が燃えて火事になっている。
 大きいビル、しかも火災報知器も故障して(←これも手抜き工事)、それに気づかない。
 そしてビルの披露パーティ。
 上院議員などのVIPが集まりライトアップ、ビルのすべてに電気がともされる。
 しかしそれも間違い。
 全ビルに過度な負荷がかかり至る所から火災が……。
 ダグはパーティを下の階で行うようビルのオーナーに進言するが、VIPがいるのにそんなことはできないと重い腰。
 そして、ビルにあった何かに引火したのだろう。
 爆発。
 パーティのVIPたちはエレベーターで逃げるが、爆発の炎に巻き込まれて、上がってきたエレベーターから火だるまの男が……。

 保身、判断の遅れ、危機意識のなさ。
 これらが絡み合って、事態がどんどん悪くなる。
 うまいサスペンスの積み上げ方だ。
 その原因が人間的なものだから、尚更怖いし、ドラマになる。

 ビジュアルでの見せ方もうまい。
 最初は器械のショート火事。
 次に倉庫火災。燃え広がる火。
 そして爆発。
 81階全体が炎に包まれる。
 エレベーターから出てくる火だるまの男。
 どんどん火災の規模が大きくなっているのを映像で見せている。

★また、この作品、人物描写も見事だ。

 火事が発生。
 チーフ消防士オハラハン(スティーヴ・マックィーン)登場!
 満を持してヒーロー登場というわけだ。
 設計者のダグもオハラハンを助けて闘う。二大スターの共演!
 火事が起こっても保身を計るビルオーナーの義理の息子。彼はオーナーから施工費を200万ドル浮かすように指示を受け、400万ドル浮かしたと得意になっている。火災では自分が真っ先に逃げようとする。
 メインストーリーには絡まないが、他の脇役達も味を見せる。
 猫を助ける警備員(OJシンプソン)。
 詐欺師(フレッド・アステア)。
 彼を詐欺師とわかっていながら愛する女性。
 秘書と情事をしていたため、火災に巻き込まれてしまう男。(秘書は10分早く帰っていれば、死なずに済んだ)
 また、僕が好きなのはバーテンダー。
 助けられた子供に「何か飲み物はいかがですか?」といつもどおりにふるまう。
 命が危ないのに26年物の貴重なワインを守ろうとする。
 豪華な料理の中のスパイス!

★ラストは屋上タンクの爆破。
 爆弾を仕掛けに行くのはオハラハン。行ったら戻る方法がない決死行。
 「爆弾は誰が持ってくるんだ?」とダグに聞かれて、オハラハンは「どこかのバカが持っていくよ」と答える。
 かっこいい!
 タイムサスペンスもある。
 パーティ会場に火がまわるまで13分。爆弾爆発まで5分。

 「タワーリング・インフェルノ」は古さを感じさせない見事なアクション・サスペンス映画だ。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ハイスクール・ミュージカル

2007年09月17日 | 洋画
 トロイとガブリエラが歌うのを阻む障害は3つ。

★自分自身
 トロイにはバスケがあり、ガブリエラには転校したばかりで授業に専心したい。
 しかし大晦日にふたりで歌った喜びを忘れられない。
 学校のミュージカルのオーディションに参加。
★バスケ部と勉強クラブ
 歌に一所懸命になるふたりを見て、バスケ部・勉強クラブが邪魔をする。
 バスケ部には大会があり、勉強クラブには十種目学力コンテストがあるのだ。
 ちなみにトロイはバスケのスター選手、ガブリエラは数学の天才少女だ。
★演劇部のシャーベン
 バスケ部と勉強クラブはトロイ達のひたむきな気持ちに動かされ、オーディションを受けることに協力する。
 それに面白くないのが演劇部のシャーベン。
 このままだとオーディションで主役の座を奪われてしまう。
 そこでオーディションの日をバスケの試合と十種目学力コンテストの日に変更しトロイたちをオーディションに参加できないようにするのだが……。

 シンプルなストーリー。
 しかしキャラクターがしっかりしている。
 トロイはバスケ少年だが、そうであること、期待されることにプレッシャーを感じている。
 ガブリエラは爪の手入れもしたことがない真面目な勉強少女。天才少女として見られることを嫌がっている。
 そしてふたりに共通しているのは「ふたりで歌うことは楽しい」「歌うことで全く違う自分が表に出て来る」「歌うとありのままの自分になれる。他人に対して身構えることのなかった幼稚園児の様に」。
 
 この物語のダイナミズムはトロイとガブリエラが新しい自分を発見して変わっていくことだ。
 ふたりはバスケ部と勉強クラブという居場所を持っている。
 しかし少し「それでいいのか」と思っている。
 そんな思いを否定するのが、バスケ部と勉強クラブだ。
 このふたつは「肉体派」「知性派」としてお互い相容れない。(←この対立の図好きが面白い)
 トロイとガブリエラが「肉体派」「知性派」へ越境することを怖れている。
 ミュージカルナンバー「今までが一番」がそれを表現する。

 今までが一番♪ クールでいられるのはひとつのことに専心すること。似合わないことに手を出すな♪

 しかしふたりが乗り越えた時、バスケ部と勉強クラブも交流し出す。
 ふたりをオーディションで歌わすために協力する。
 そしてそれぞれの部で愛が芽生える。
 トロイとガブリエラが変わることで、ふたりが所属しているまわりも変わる。
 これがこの作品のダイナミズムで面白い所だ。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

プリズンブレイク シーズン2 第17話

2007年09月16日 | テレビドラマ(海外)
 第17話「血の輪廻」BAD BLOOD

★哀しい
 逃避行はやはり哀しい。
 腎臓の病をかかえた娘と逃げるシーノート。
 しかし娘は腎不全に。
 病院では冷たい対応。貧民救済所に行きなさい。
 持っていたお金も尽きた。
 いかがわしい病院での治療、医師が信じられない。
 娘を救うために自首するシーノート。
 実に哀しくせつない逃避行だ。

 また、この作品に多く見られる味方が敵になるという情況。
 娘には母親が必要。
 妻を釈放する条件としてシーノートはマイケル達逮捕に一役買うことを約束する。
 こんなシーノートを追いかけるマホーンも子を愛する父親。
 この点でマホーンはシーノートに共感する。
 この人物配置も見事だ。


 そしてティーバッグ。
 彼も哀しい。
 彼は呪われたバッグウェル家の血に苦しめられていた。
 この自分の血筋は絶やさなくてはならない。
 しかし家族はほしい。愛されたい。
 そこでホランダー親子を愛した。
 愛して拒絶されて、銃を突きつけても繋ぎとめておくという極端な行為に出る。
 しかし根底にあるのは、愛し愛されたいという思い。
 彼は叫ぶ。
 「俺を愛してくれ。少しでいいから」「まっとうな人間になるから」
 それでも拒絶されて、ティーバッグは一家を監禁してしまうが……。


★正義の人
 一方、マイケル。
 シガークラブの証拠品を手に入れるために、ホープ所長に助けを求める。
 裏切られた思いからホープは協力を拒むが、マイケルは捨て身の説得。
 (この説得内容はその場では描かれず、サプライズとして後で描かれる)
 果たしてホープはシガークラブへ行き、証拠品を手に入れ内容を確認する。
 それがリンカーン無罪と敵の陰謀を記録したものであることがわかると……、証拠品をよこせと迫るビル・キムと闘う。
 確執を捨てて、法の正義のために行動するホープ。
 これはホープのキャラクターの立たせ方として見事。
 ホープに協力を求めるマイケルの出した条件は、実は『マイケルが自首すること』だったのだが、ホープは「あと10秒したら気が変わるかもしれない」と言ってマイケルを見逃す。
 ここで観客は拍手喝采する。


★追記
 リンカーンとケラーマンはこんな会話をする。
ケラーマン「俺たちのやっていることはブラックホールに吸い込まれていくようなもの。ひとりひとり敵の手で抹殺されて吸い込まれていく。だが自分が吸い込まれる時はできるだけ多くの人間を道連れにする」
リンカーン「失恋の恨みは大きいな」
 ※ケラーマンとレイノルズ大統領は恋愛関係にあった。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

自民党総裁選

2007年09月15日 | 事件・出来事
「福田総裁」流れ強まる 自民党総裁選告示(共同通信) - goo ニュース

 永田町劇場。

 安倍下ろしを裏で糸を引いていた麻生さん。
 糸を引いていたというのは言い過ぎかもしれないが、近くにいて安倍さんが辞めるのは近い、首相退陣の混乱に乗して自分が、と考えていたのは間違いない。
 安倍さんが辞める前、自分を応援する「太郎会」で酔って上機嫌で出て来た姿を見て、「この人、次は自分だ」と思ってるなと感じた。

 しかし思わぬ伏兵が。
 福田康夫さん。

 「振り子の理論」。
 安倍色にうんざりしていただけに、安倍さんに距離をおいてきたこの人の登場は清新だ。

 福田さんの言葉は重い。
 言葉を十分吟味して安易なことはしゃべらない。
 それだけに発する言葉に重みがある。
 安倍さんの「改革続行」「責任をもって」といった伝わらない言葉とは違う。
 頼りがいを感じる。

 また風を読んで待つことができる。
 1年前は自分に風が吹いていないと感じて総裁選に出しない。
 混乱に乗じる麻生さんを嫌う空気を読んで、満を持して立つ。
 そして自分への風に変える。
 実に老獪だ。
 KYではない。

 自分のスタンスを変えないのもいい。
 幹事長時代、小泉さんと違うなと思えばすぐに身を引ける。
 風を読んでブレる人間の多い中、決して自分を変えず、自分への風が吹いてくるのを待てる。
 頼りがいを感じる。
 この老獪さ、頼りがいは安倍さんのアンチでもある。

 こうして考えると自民党はまだまだ人材豊富。
 その他にも小泉さん、谷垣さん、舛添さん。
 一方の民主党は若い。
 小沢さん以外に老獪さ、頼りがいを感じる人はいない。

 今回の自民党の対応は見事。
 これで自民、民主が対等になった。
 国会論戦も実のあるものになりそうだ。

 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

ホタルノヒカリ 最終話

2007年09月14日 | 恋愛ドラマ
★この作品は人物の気持ちを的確に表現する。

 例えば蛍(綾瀬はるか)の「ウンコしてると思われてしまう」(笑)。
 螢がマコト(加藤和樹)との生活で自分になれていない象徴的なせりふ。

 一方マコト、「螢を受け入れられるようがんばります」
 高野(藤木直人)とのことが吹っ切れていないらしい。

 そして高野。
 「人を好きになるって、こんなに純粋なことなんだなってわかった」
 螢のことを理解し、やさしく見守っていることがわかる。

★この三者の緊張関係は発展して描かれる。

 エレベーター、コンビニでのやりとり。鼻くそ談義。
 螢はいきいきとしているし、高野も会話を楽しんでいる。

 マコトとはウソをめぐってすれ違い。
 コンビニで部長に会ったことを黙っていてほしかった。
 部長に仕事で助けてもらったことを正直に話してほしかった。
 螢は「ごめんね」を繰り返す。
 マンションの部屋に入る時、ため息をついてしまう。
 マンガと英語の本。
 ゲームをしても盛り上がらない。
 仕事にかこつけて家に帰ろうとしない。
 こうした螢の行為ひとつひとつが的確に彼女の気持ちを表している。 

 一方、螢はマコトのことを思っている。
 コピー「晴れた日は映画にいこう」はマコトを思って書いたコピー。
 マコトとの生活に居心地悪さを感じながらもマコトのことが好き。
 この相反した気持ちが見る者をせつなくさせる。
 そして、ここでも螢を理解しているのは高野だ。
 コピーについて高野はこう言う。
 「恋をしてよかったな。手嶋を好きになったから出て来た言葉だ」

★そしてマコトとの別れ
 螢は言う。
 「幸せかどうかは私が決めること。楽しんでやっていけるようがんばる」
 (※この「がんばる」というのは要チェックだ。やはり無理をしている証拠)
 マコトは言う。
 「俺といると螢は螢じゃなくなる。俺じゃダメなんだ」
 「君は自分の気持ちに気づいていない」
 要にはマコトはこう洩らす。
 「本当に好きだから乗り越えられなかった」
 山田姉さん(板谷由夏)が螢をなぐさめていった言葉は的確だ。
 「恋は寄り道。わたしは未だに寄り道してる」

★この作品は「居場所探し」の物語だ。
 1年後、再び夏がやって来て螢はあの縁側に帰ってくる。
 「ジャージにチョンマゲで部長に会いたかった」
 「1日の終わりに部長と話をしたかった」
 高野は言う。
 「そこが君の居場所だろう」
 そしてお互いの気持ちを確かめ合って
 「どうしてかな?」
 と言う。


 後半は駆け足で、特に螢が縁側に戻ってくるくだりなどは続編でじっくりやってほしかった。
 それほど終わってしまうのがもったいないドラマだった。
 大変いいドラマでした。


 
コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

安倍首相退陣

2007年09月13日 | 事件・出来事
安倍首相退陣 「なぜ、この時期に…」 列島衝撃「美しい国は夢」(産経新聞) - goo ニュース

 安倍劇場がこの様な形で最終回を迎えるとは。
 立花隆さんも言っていたが、安倍さんを主役とする政治劇を結構楽しんでいた。
 坊っちゃん安倍さんが海千山千の小沢さんにどう追いつめられていくか?
 権力者がどう終焉を迎えるか?
 先の読めないドラマ。
 ドラマの最終回はいろいろ考えられる。
★自分の理念・政策を問うて解散総選挙~郵政選挙の小泉さんだが、これはなかなかかっこいい。
★自分の首を代わりにテロ特措法を通す~これは政治家としてまあかっこいい。
★矢尽き刀折れて辞任する~これもまだかっこいい。日本には敗者の美学がある。
 しかし、今回の辞め方は……。
 格好悪い。

 一般的に言われている様に参院選で辞職していれば、まだかっこいい。
 しかし組閣をして所信表明演説までして辞めるのは、完全に行き当たりばったり、苦しくて放り出した感じは否めない。
 体調の問題があったにせよ、「登校拒否」「敵前逃亡」と言われても仕方がない。
 辞め時を定められず、主役としては最悪を演じてしまったわけだ。
 もっともインパクトでは安倍さんは最高の役者さんであるが。

 この様に政治を面白おかしいドラマとして扱うのは不謹慎かもしれないが、仕方がない。
 根底で我々は政治を信用していない。
 ドラマとして楽しむ以外、仕方がないと思っている。
 
 本当は、この国会をすごく期待していた。
 テロ特措法の議論、年金の議論、政治と金の議論。
 自民と民主、どちらの主張がこれからの日本にとっていいのか?
 それを議論の中で表現してほしかった。

 年金の問題だって頓挫した感じ。
 舛添さんも長妻さんもがんばっていただいて、年金の実態を明らかにしてほしかった。

 今の時代に必要なのは、自分の殻に閉じこもることでなく自分を表現することだ。
 安倍さんは逃げた。朝青龍の様に。
 政治家に限ったことではないが、人は自分の正しいと思うことを主張して闘えばいい。


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

花ざかりの君たちへ 第11話

2007年09月12日 | 学園・青春ドラマ
★佐野サマはこれだけ変わった。

 最初は「放っておいてくれよ」「お前なんかに俺の気持ちはわからない」。
 他人を拒絶して、自分の殻に閉じこもって。
 別な言い方をすれば、他人から逃げる。
 自分の正直な気持ちとも向き合わないで、ウソをついている自分を自分だと思い込む。

 そんな佐野(小栗 旬)がこう変わる。
 「逃げ出したくないんだ。お前からも自分からも」
 本当の自分は「父親と話をしたい」「瑞希にごめんと言いたい。ありがとうと言いたい」
 だから本当の自分と向き合って、瑞希(堀北真希)に「昨日はごめん」と言った。
 父親には瑞希に背中を押されて「腹を割って話せた」。
 「昔の自分より今の自分の方が好きだ」と言えるようになった。

 筋肉と同じように固まってしまった心はほぐさなくてはならない。
 それをほぐすのは人。
 佐野の場合は瑞希。
 梅田北斗(上川隆也)の言葉を借りれば、「人の気持ちを動かすのは純粋な気持ち」。

★そんな変わった佐野サマが瑞希のために闘う。
 まずは中津(生田斗真)。
 中津の宣戦布告に「俺も譲れねえ」と言って、中津と争う。
 舞台は寮対抗の『開会セレモニー争奪戦』。
 寮対抗なのに戦いは佐野対中津に。
 ギャル語対決で、なぜか佐野がわかってしまうのが楽しい。
 そして次に闘うのが、高校記録のバー。
 瑞希に最高のジャンプを見せるために佐野は跳ぶ。
 それは瑞希への気持ちの表明。
 感動する瑞希。

 しかし、ハイジャン以外では瑞希になかなか佐野の気持ちは伝わらない様だ。
 マッサージ。「お前のために跳ぶ」と必死で言った言葉が、瑞希には今まで面倒をみてきたお礼ぐらいにしか伝わらない。
 瑞希が鈍いせいもあるが、佐野はまだまだ言葉で気持ちを表現するのは苦手。
 それでも口に出して言おうと思った点、佐野サマ、大きな進歩である。
 
 それにしても人と人の気持ちってなかなか伝わらないものだ。
 だからドラマが描かれるのだが。

★最後にもうひとつ。
 人と人の気持ちはシンクロして相乗効果をもたらす。
 佐野の瑞希のために跳ぶという気持ちが瑞希に伝わる。
 瑞希は「二足分下がれ」とアドバイスで返す。
 これは佐野の父親のアドバイスだが、瑞希の必死な応援の気持ちでもある。
 ふたりの気持ちがシンクロする。
 そのシンクロした気持ちがまわりにも伝わって、桜咲学園の連中は佐野を応援する。
 気持ちと気持ちのぶつかり合いは伝わって、さらに大きな力を生み出すのだ。


※追記
 今回の寮対抗戦は面白かった。
 瑞希・佐野・中津のメインストーリーに絡んでいたからだ。
 サブストーリーはメインストーリーに絡んでいなくてはならない。


コメント (2)
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする

輪違屋糸里~女たちの新選組

2007年09月11日 | 大河ドラマ・時代劇
 男は政治の中に生き、女は翻弄される。
 そして女性は強い。

★芹沢鴨(中村獅童)とお梅(中嶋朋子)。
 お梅は芹沢に<世の中への違和感><破滅への意思>という点で共感し惹かれている。
 彼らの深い情念は世の中からは疎まれるものであり、ふたりはお互いに居場所を求める。
 お梅は芹沢の所にしか居場所が見出せず、「最後にいっしょに壊れてしまう」。

★平山五郎(山本太郎)と吉栄(西原亜希)。
 平山は政治の中で命を落とし、吉栄は翻弄されるが、最後に見出すのは平山の子。
 子を産み育てる。
 それは母という大地の強さ。

★糸里(上戸彩)と土方(伊藤英明)。
 糸里は土方に惹かれるが、土方は糸里を避けるかのように政治にのめり込む。
 糸里との生活ではなく、政治に生きようと思う。
 糸里はそんな土方に裏切られ翻弄されるが、最後に選ぶのは土方を捨てての自立。
 桜木太夫となる。
 政治のくだらなさ、男の愚かさと弱さを知って彼女は京の街を歩く。

 
★「女たちの新選組」、ここで描かれた土方は「燃えよ剣」の痛快な土方とは大きく違っている。
 ここでの土方は迷い翻弄され、武士を目指す農民である。
 芹沢の解釈も独特だ。
 横暴だったのは確かだが、それは会津の指示で行ったこと。裏で会津が指示しているのが露見するのを怖れて、暗殺されたと解釈されている。
 従来の新選組の物語では、悪漢・芹沢の誅殺はエンタテインメントとして爽快なシーンだが、今回はそうではない。
 これらの点で従来の新選組の物語を期待していた向きには(僕もそうだが)物足りなかったかもしれない。
 今回、土方が格好良かったのは、芹沢に新選組の法度を突きつけるシーンだけだ。

※追記
 あとは4時間は長い。
 2時間ドラマで十分だったのでは?


コメント
  • X
  • Facebookでシェアする
  • はてなブックマークに追加する
  • LINEでシェアする