気温は低いが風もおさまり、心なしか少し日も長くなった金曜日の夜。人影まばらな上野公園を抜けて、東京都美術館に行く。
何年か前にハマスホイの「ピアノを弾く妻イーダのいる室内」が国立西洋美術館の収蔵となり、常設でたびたび目にしていたが、今回はそのハマスホイ作品37点を含むデンマーク絵画の展示。
行ったことのない国のことを云々するのはおこがましいが、やはりその国固有の美感や意識の違いだろう、印象派 . . . 本文を読む
毎朝の乗換駅で「アーティゾン美術館」という見慣れぬ名前を目にし、それが旧ブリヂストン美術館だと知ったのはつい先日のこと。5年の休館期間を経て新装なった美術館の、開館記念コレクション展に行く。
入場は全て事前予約の日時指定制。QRコードでの入場も今はお馴染みになったが、人数制限をかけているのだろう、金曜日の夜間(18:00~19:30)にもかかわらず会場は空間たっぷりで至極快適。
200点を超 . . . 本文を読む
美術館通いが好きな人にはお馴染みの「吉野石膏コレクション」。
これまで色々な美術展に貸し出されたのを単発で見ながら、山形を訪れる機会があれば是非(コレクションが寄託されている)山形美術館に行きたいと思っていたのだが、山形に行ってもきっと一度には見られないであろう点数の作品が、大挙して三菱一号館美術館に来ている。
それはもう名品揃いと言う必要もないくらい圧巻の充実度。特に今回はピサロやシスレー . . . 本文を読む
上野の国立西洋美術館で開催中の「ハプスブルク展」。
ハプスブルク家600年の蒐集の歴史を辿る圧巻の展示。絵画や工芸品はもとより、珍しいところでは中世の甲冑やタペストリーなど、贅を尽くした逸品が並ぶ。
(ヤン・ブリューゲル(父)の作品に基づく「東方三博士の礼拝」1663年以前、ウィーン美術史美術館)
(レンブラント・ファン・レイン「使徒パウロ」1636年?、ウィーン美術史美術館)
会期 . . . 本文を読む
渋谷のBunkamuraで開催中の「リヒテンシュタイン侯爵家の至宝展」。
世界で唯一、家名が国名になっているリヒテンシュタイン侯国の、富と財力によって積み重ねられたコレクションの数々。日本にいながらにしてそのおこぼれに与るのはありがたい。
(ルーカス・クラーナハ(父)「聖バルバラ」1520年以降、油彩・板)
(ペーテル・パウル・ルーベンスと工房「ペルセウスとアンドロメダ」1622年以降 . . . 本文を読む
上野の森美術館で開催中のゴッホ展。いかにもゴッホらしい、うねうねした作品も多いのだが、ごく初期のデッサンやリトグラフ、風景画も充実していて時間を忘れる。
(フィンセント・ファン・ゴッホ「秋の夕暮れ」1885年、ユトレヒト中央美術館蔵)
(フィンセント・ファン・ゴッホ「花瓶の花」1886年夏、ハーグ美術館蔵)
東京での会期は1月13日まで。その後、兵庫県立美術館に巡回(1月25日~3月2 . . . 本文を読む
上野の東京都美術館で開催中の「コートールド美術館展」。
会場に入っていきなりのセザンヌ9点、特にその晩年の湖景は静かに高貴。
(ポール・セザンヌ「アヌシー湖」1896年、コートルード美術館蔵)
ドガの踊り子はいつどんなバージョンを見ても美しい。
(エドガー・ドガ「舞台上の二人の踊り子」1874年、コートールド美術館蔵)
研究所併設の美術館とあって、最新の研究成果や未完作品の紹介も面 . . . 本文を読む
東京ミッドタウン(六本木)のサントリー美術館で開催中の「美濃の茶陶」展。副題に「黄瀬戸・瀬戸黒・志野・織部」とあるように、桃山時代の美濃焼の名品が揃う。
会期終盤の金曜夜にもかかわらず会場は空いていて、時に豪壮、時に繊細な美濃の世界を存分に堪能。
(志野茶碗 銘 朝日影 桃山時代 16~17世紀 香雪美術館蔵)
(鼠志野柳文鉢 桃山時代 16~17世紀 サントリー美術館蔵)
会場のレ . . . 本文を読む
うっかりしているうちに東京での会期が終わってしまった「ウィーン・モダン」(4/24~8/5 乃木坂の国立新美術館)。
上野のクリムトに続いて、こちらもクリムトとシーレ。「愛」の連作もシーレの自画像も、もう何度見たか分からないが、見るたびにやはり驚きと発見がある。
(グスタフ・クリムト「愛(『アレゴリー:新連作』のための原画 No.46」1895年、ウィーン・ミュージアム蔵)
(エゴン・ . . . 本文を読む
日が落ちても重く蒸し暑い夕刻、上野の国立西洋美術館で開催中の「松方コレクション展」に行く。
気骨溢れる明治人の生きざまをなぞるかのようなコレクションの歴史。世界各地に逸散しながらもそれぞれの場所で大切に保管されてきた作品の数々が一堂に会する奇跡。
(ポール・ゴーガン「扇のある静物」1889年頃、オルセー美術館蔵)
そういう見方は邪道かもしれないけれど、そんなことを感じずにはいられない圧倒 . . . 本文を読む
渋谷のBunkamuraで開催中の「バレル・コレクション」展。
20世紀初頭に海運業で財を成したウィリアム・バレル卿が遺したコレクション。
その死後、国外不出を条件にグラスゴー市に寄贈されたものが、収蔵館の改修工事期間中に日本で見られる奇跡。
(アンリ・ファンタン=ラトゥール「春の花」1878年、油彩・カンヴァス)
会期は6月30日まで(福岡、愛媛と巡回して東京が最後)。
バレル・コ . . . 本文を読む
このところ東京は夏模様。日が落ちかけてもまだ暑さが残る上野公園を抜けて、クリムト展に行く。
(グスタフ・クリムト「ヌーダ・ヴェリタス(裸の真実)」(部分)1899年、オーストリア演劇博物館蔵)
恐らく人生いろいろ複雑なことが多かったのだろう、クリムトのどの絵を見ても感じるのは「生と死」。
2枚目の女性はクリムトの愛人の1人、そして3枚目はまた別の愛人が生んだ息子が数ヶ月で亡くなった時の肖 . . . 本文を読む
年末年始にかかる美術展は毎年いくつか行けずに終わるのだが、今年は出足を早くしたことが幸いし、上野の「ムンク展」(東京都美術館)でコンプリート。
呼び物は「叫び」のテンペラ画(1910年作)だが、オスロ国立美術館(最も有名な「叫び」の油彩画を収蔵)と双璧をなすオスロ市立ムンク美術館のコレクションは多種多彩。
(エドヴァルド・ムンク「マドンナ」1895/1902年、オスロ市立ムンク美術館蔵)
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美術の教科書や画集に載っている絵には収蔵先が書いてあるが、頻繁に出てくる美術館やコレクションは決まっているので、色々見ているうちに何とはなしに頭に入ってくる。
フィリップス・コレクションもそのひとつだが、それがいま大挙して三菱一号館美術館にやって来ている。
深く暗い黒のドーミエ、珍しく厚塗りのコンスタブル、まるで生身の置物のようなスペイン舞踊団を描いたマネ、静物と風景画1点ずつだが存在感抜群 . . . 本文を読む
先日の黒田記念館。
その足で、国立西洋美術館の「ルーベンス展」へ。
よくぞまぁこれだけの大作を大量に集めたもんだと息を呑む。特にその「宗教画とバロック」と題された展示室は圧巻で、もう何周したか分からない。
(ペーテル・パウル・ルーベンス「法悦のマグダラのマリア」1625-28年、リール美術館蔵)
会期は1月20日まで(巡回はなく東京のみの開催)。
それにしてもこの秋の上野は本当に凄い . . . 本文を読む