『名も無く豊かに元気で面白く』

読んだ本、ニュース、新聞、雑誌の論点整理、備忘録として始めました。浅学非才の身ながら、お役に立てれば幸いです。

トランプ氏所有[フロリダ州パームビーチ「マー・ア・ラゴ」冬のホワイトハウスになるのか?

2016-05-05 06:42:17 | 日記


3日のインディアナ州予備選の惨敗を受けて、共和党の指名争い2位テッド・クルーズ候補は電撃的とも言える「撤退」を表明し、3位のケーシック氏も撤退する見通しとなった。圧勝したドナルド・トランプ候補は、これによって共和党の統一候補と「見なされる」ことになった。争う相手がおらず共和党大統領候補はトランプでほぼ決定です。計算され尽くした暴言のみ注目されていたトランプ氏の素行に今度は注目が集まるはずです。トランプ氏が余暇を過ごすため取得する前から屋敷で60年間、トランプの下でも約30年働いている執事だったセネカル氏によれば、トランプ氏の平均睡眠時間は4時間で朝『キングの野球帽の色が白であればご機嫌が麗しく、赤の場合は近寄らないのが得策です。』機嫌が良い時と不機嫌な時の差が激しい人のようです。しかし、同じ人を30年以上雇用し続ける紳士の一面もあります。もし、大統領になれば日本は「タフで頭が良く、勝つ方法を知っている。そういう人物がこの国に必要なんだ」と自画自賛するトランプ氏の言動に振り回されます。

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次々暴言を吐くが人気の衰えない大統領候補を、30年も間近で見てきた執事が口を開いた――「NYタイムズ」紙のジャーナリスト、ジェイソン・ホロウィッツ氏のスクープ記事をここに掲載する。

赤の帽子は危険信号

フロリダ州パームビーチにある、「マー・ア・ラゴ」では、すべてが光り輝いていた。プールの水面も、シークレットサービスが乗った黒いSUVもキラキラ光っている。暖かい風がヤシの木々のあいだを吹きぬけた。入り口には守衛が1人立っていた。

ここはアメリカ大統領選の候補者ドナルド・トランプの別荘だ。

私がマー・ア・ラゴを訪れた日は、ちょうど「キング」が「宮殿」に帰還する日だった。地中海様式で建てられた屋敷の部屋数は、なんと118室。もともとは90年前、シリアル会社で莫大な富を得た起業家の娘が建てたものだったが、30年前にトランプが買い取り、余暇を過ごすための場所に使っている。仮にトランプが大統領になれば、ここが避寒のための「冬のホワイトハウス」になるに違いない。

私がこの地を訪れたのは、屋敷の執事として、長年トランプに仕えてきた男、アンソニー・セネカル(74歳)に話を聞くためだった。セネカルはトランプが何を望み、どうすれば喜ぶのかをいちばんよくわかっている男だ。なにせ、この屋敷で60年、トランプの下でも約30年働いているのだ。

男は鼈甲の眼鏡をかけて口ひげをたくわえていた。黒いジャケットの胸元には白いポケットチーフが差されていた。なかなかの洒落者だ。

セネカルは主人の睡眠パターンからステーキの焼き方の好み(超ウェルダンが大好き)まで知り尽くしている。邸内にはヘアサロンがあるにもかかわらず、トランプはぜったいに利用せず、自分でセットすることにこだわるという「貴重な情報」も握っている(トランプ本人はカツラ疑惑を否定しているが……)。

広いプールがあるにもかかわらず、トランプは水着姿になることはめったにない。泳ぐのが嫌いなのだ。一方、最初の妻だったイヴァナも水着姿になることはなかった。彼女は裸で泳ぐのが好きだった。そんなときイヴァナはセネカルに命じて庭師たちを屋敷の中に閉じ込めたという。

トランプの機嫌を取るのはなかなか大変だが、セネカルはその方法をわきまえている。着陸寸前のジェット機から「トランプの機嫌が悪い」と緊急警告が入ったことがある。セネカルは大急ぎでラッパの吹き手を手配して、トランプが飛行場から屋敷に到着した瞬間に『大統領に敬礼を』という曲を吹かせた。この曲は大統領が公式行事に出席するときに演奏されるものだ。「キング」の機嫌はようやく直った。

トランプの平均睡眠時間は4時間ほど。たいてい日の出前には起き出している。セネカルの最初の仕事は、トランプに新聞の束を渡すことだ。

「それから数時間してトランプ様はカーキのズボンに白のゴルフシャツ、野球帽という恰好で外に出てきます。帽子の色が白であればご機嫌が麗しく、赤の場合は近寄らないのが得策です。

日曜日にはご自分でベントレーを運転して近くのゴルフ場にいらっしゃいます。黒と白のベントレーを毎年交互に乗り換えるのがトランプ流です」

トランプはゴルフの飛距離を自慢するのも大好きだ。しかし、その距離は彼自身が信じているほどのものではないようだ。

「以前、敷地から水路に向けて打ちっぱなしをしました。トランプ様に『いまの飛距離はどれくらいか』とたずねられましたので、『275ヤードくらいでしょうか』と答えました。実際のところは225ヤードほどでしたが……」

実は外国人労働者ばかり雇う

セネカルは'09年に引退するはずだった。しかし、トランプはセネカルを「替えのきかない男」とみなしていた。

「仕事をリタイアしたら、人生もすぐリタイア。死んじまうぞ。来年も君がいることを望んでいる」

トランプにそう言われ、執事の雑務は免除されたが、この屋敷の歴史を知る「番人」として再雇用された。「歴史の番人」として、尾ひれのついたホラ話にうんざりすることもあるそうだ。

「屋敷には子供用のスイートルームがあります。トランプ様のイヴァンカお嬢様も、幼いころはこの部屋を使っていました。このスイートには古い童謡をテーマにしたタイル絵があるのですが、トランプ様はお客人に『この絵はまだ若かった頃のウォルト・ディズニーが描いたものだ』と自慢されるんです」

主人のホラ話に呆れた表情をしていると、「おれがこういう話をするのが気に入らんのか? 本当かどうかなんて誰も気にしないぞ」と大笑いしたそうだ。

機嫌がいいときのトランプは、とても気前がいい。ポケットに詰め込んだ100ドル札を取り出し、敷地の管理人たちに渡すこともあるという。

「庭木の剪定をしているヒスパニック系の労働者たちに近寄っていって、100ドル紙幣をお渡しになるのです。おかげでトランプ様は、この辺りではとても慕われています」

トランプは自分が大統領になったら、移民を締め出してアメリカ人の雇用を守ると主張しているが、この屋敷では外国人労働者ばかりを雇っており、他の大統領候補から批判されたこともある。セネカルは外国人労働者にも理解がある。

「たしかにルーマニア人はたくさんいますね。南アフリカ人やアイルランド人もいます。地元の住民は外国人労働者とちがって、短期の季節労働を嫌うのです。外国人はよく働いてくれますよ」

500坪の巨大宴会場

それにしても、この屋敷の造りは贅を凝らしたものだ。石はイタリアのジェノヴァから取り寄せたもの。リビングの壁にかかるタペストリーは、16世紀のベルギーで作られた文化財だ。以前は強い日差しを避けて保護されていたが、トランプはリビングが明るいほうがいいと言ってカーテンを開け放つので、タペストリーはすっかり色褪せてしまった。

他にも、屋敷には数百年前のイギリスのオーク材を使った書斎があり、貴重な古書がたくさん並んでいた。かつてはここでトランプの子供たちが走り回って遊んでいたという。現在、書斎はバーに改装され、テニスウェアを着たトランプの肖像画が飾られている。

「トランプ様の他のお屋敷にも伺ったことがありますが、同じ画家の肖像画がかかっていました」

最近トランプが苛立っているのは、屋敷の上を飛ぶ飛行機の音だ。

「近くに飛行場があるので、エンジン音がうるさいのです。前のオーナーが所有していた頃は屋敷の上空を通らないように飛行航路を迂回させていたのですが、トランプ様が主人になってからは、その『特権』がなくなってしまったのです」

トランプは「いますぐ管制塔に電話しろ!」とカンカンになって叫んでいるという。実際に飛行場を運営する郡を相手に訴訟も起こしている。

トランプは自分のために1580m2を超える巨大宴会場も増設した。

「この宴会場が最初に使われたのは、'05年にトランプ様が今の奥方のメラニア様と結婚されたときです。メラニア様はとても心の温かい人です。前の奥方二人は、正直この屋敷にふさわしくない人たちでしたが……。結婚式のときには、(国民的歌手の)トニー・ベネットが歌を歌いました。招待客の中にはヒラリー・クリントンもいましたよ」

こう語りながらセネカルはヒラリーについて下品な冗談を言った。

セネカルは自分が長年仕えてきたトランプのことを手放しで称賛しているし、政治的信条も共有している。

'90年、セネカルは執事の仕事を一時中断して、ウェストバージニア州のある町の町長になったことがある。そのとき、物乞いをする人は許可証をもたなければならないという提案を行い、注目をあびた。

「トランプ様からは『よくやったぞ』とお褒めの言葉をいただきました」

私が屋敷を訪問中だった3月6日、トランプがゴルフコースへ向かうことになった。

「起立!」

セネカルはスタッフに向かって大声で号令をかけた。そして、その場にいた全員が立ち上がった。

屋敷の主は、大統領選のスローガンでもある「アメリカをもう一度偉大な国にする」と書かれた野球帽をかぶって歩いてきた。色は赤ではなくて白だった。どうやら機嫌はすこぶるいいようだ。

 

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