福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

角田さんの第12回目(結願)江戸三十三観音霊場・東京十社巡拝行記録・・7

2016-04-17 | 開催報告/巡礼記録
角田さんの第12回目(結願)江戸三十三観音霊場・東京十社巡拝行記録・・7

午後12時30分、東急バス・新馬場停留所から、バスに乗り、この日最後の札所、瀧泉寺に向います。約20分、目黒不動前に着きます。真ん前が、目黒不動で親しまれている瀧泉寺です。雅叙園の背高く、長いコンクリート塀をつたい歩いて、いきなり満開の桜の花と、赤色鮮やかな堂々とした山門の出食わしました。ここでは、大勢の参詣客が往来していました。

江戸三十三観音霊場第33番札所(結願所)
目黒不動尊別当 泰叡山 護国院 瀧泉寺(東京都目黒区下目黒3-20-26)
本尊 目黒不動明王
札所本尊 聖観世音菩薩
宗派 天台宗 

瀧泉寺の開基は、大同3年(808年)御年15歳の慈覚大師・円仁(後の天台座主第三祖)が、師の広智阿闍梨に伴われて、故郷下野国 から比叡山の伝教大師・最澄のもとへ向かう途中、目黒の地に立ち寄られました。その夜の夢に、面色青黒く、右手に降魔の剣を下げ、左手に縛の縄をもち、恐ろしい形相をした神人が、枕の上に立ち現れて「我、この地に迹を垂れ、魔を伏し、国を鎮めんと思うなり。来たって我を渇仰せん者には、諸々の願いを成就させん 」と告げ、夢覚めた後、その尊容を黙想し自ら、像を彫刻して安置したことが創建しました。なお、御尊像は、秘仏として、12年に一度、酉の年にご開帳されます。その後、慈覚大師は、唐の長安にある青龍寺の不動明王を拝し、先の神人が、この明王と分かり、帰朝して堂宇を建立します。棟札に「大聖不動明王心身安養咒願成就瀧泉長久」と認め、この「瀧泉」を寺号となし、山号は、貞観2年(860年)清和天皇から、「泰叡」の勅額を下賜され、泰叡山としました。堂宇建立の敷地を決める際、大師が、持っていた法具の独鈷を投げると、落ちた地に、泉が湧出、「独鈷の瀧」といわれ、数十日間、炎天旱魃が続いても涸渇することなく今日に至るまで、滔滔と漲り落ちています。この霊泉にちなんで、「瀧泉寺」と号されました。元和元年(1615年)本堂が火災で焼失しましたが、寛永11年(1634年)三代将軍徳川家光の加護を受けて、53棟の伽藍が、再興されました。逸話に、家光が、鷹狩りをしていた時、愛鷹が、行方不明になりました。家光は、目黒不動尊に額づき、祈願したところ、忽ち、鷹が本堂前の松樹(鷹居=たかすえ=の松)に、飛び戻りました。この霊験を目の当たりにした家光は、瀧泉寺を篤く尊信するようになつたといいます。歴代の将軍が参詣する広壮な堂塔は、目黒御殿といわれ、華麗を極め、多くの庶民参詣者で賑わったそうです。こうして、五色不動(目黒・目白・目赤・目黄・目青)の一つとして、江戸城の守護・五方の法難除けや、江戸から発する五街道の守護に当てられ、江戸随一の名所になりました。二宮尊徳は、報徳仕法の成功を祈願、明治に入ると、西郷隆盛は、主君島津斎彬の当病平癒のために日参しました。また、東郷平八郎元帥は、露西亜帝国との日本海海戦の勝利を立願したのです。
また、薩摩芋の栽培を広めた食料の恩人と言われる、青木昆陽先生は、蘭学者・文化人として、日本社会に貢献し、目黒の土地を愛して、自ら、「甘藷先生墓」と書き、今は、その墓が、国の史跡になっています。

境内は、仁王門などが立つ平地と大本堂の立つ高台の2段に造成されています。境内入口に、「独鈷の瀧」があり、ここで、既に多くの人で賑わっています。仁王門を潜ると、大本堂に行く急な石段があり、登った先に、入母屋造りに千鳥破風を持つ大きな本堂です。流石に、広大な境内のあちらこちらに、今はさかりと咲き誇る桜が目を引きます。なんとも、美しい光景です。本堂には、4月8日の釈尊降誕会花祭りに供えて、小さなお釈迦様が立っている厨子が置かれていて、参詣者が思い思いに、甘茶をかけて、供養をしていました。見所は、いたるところに見られます。私たちは、大本堂の裏手にある胎蔵界大日如来。天和3年(1683年)作と言われ、露座、銅製の如来像に拝礼しました。
仁王門の左手に、築地活版製造所社長で、日本に、明朝体活字を普及させた人、野村宗十郎(1857~1925)の銅像。楕円の古ぼけた石に、比翼塚と刻まれた墓があります。江戸情話。白井権八・小紫の秘話を伝える墓です。処刑された愛人白井権八と、彼の墓前で自害した遊女小紫。その悲話は、“後追い心中”として、歌舞伎などで有名ですがこの比翼塚は、二人の来世での幸せを祈りたてられたと言う。(碑文より)

瀧泉寺御詠歌(目黒不動尊)清らけき 目黒の杜の独鈷瀧 災厄難を除ける不動尊

瀧泉寺御詠歌(聖観世音) 身と心 願ひみちたる不動瀧 目黒の杜におはす観音






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