今日30日は多くの文学者の忌日となっています。蝸牛忌(幸田露伴昭和22年7月30日死去。81歳)、左千夫忌(伊藤左千夫大正2年7月30日死去48歳))、谷崎忌 ・潤一郎忌(谷崎潤一郎昭和40年7月30日死去79歳)、弦斎忌(村井弦斎昭和2年7月30日 死去63歳)です。このうち幸田露伴には親近感を覚えます。露伴の「努力論」では「徳」について書いていて、徳には、惜徳(徳を自分のために無駄使いしない)分徳(徳を分け与える)植徳(徳をあらたに植える)がある、といい、この「植徳」が特に大切といっています。「徳を積むのは人類の今日の幸福の源泉になって居る。真智識を積むのもまた人類の今日の幸福の源泉になって居る。 徳を積み智を積むことは即ち大なる福を植うる所以であって、樹を植えて福恵を来者に貽る如き比ではない。 植福なる哉、植福なる哉、植福の工夫を能くするにおいて始めて人は価値ありというべしである。」
これらの文学者の素養の深さを知れば知るほどつい最近までの日本人は巨大な精神性を持っていたのだと思わされます。