福聚講

平成20年6月に発起した福聚講のご案内を掲載します。

四国88カ所お遍路の旅 その二(阿波路3難所寺)

2015-06-25 | 講員の巡礼(お四国他)ほか投稿
四国88カ所お遍路の旅その二(阿波路3難所寺)

阿波の国(徳島)には第1番から第23番までの札所がある。その中でも、焼山寺山(標高938メートル)の8合目近くにある第12番札所焼山寺は、四国霊場で2番目に高い山岳札所。(1番目は雲辺寺)
        

 11番の藤井寺から焼山寺までの歩き遍路は、険しい坂道を上り峠を越え「遍路転がし」と呼ばれるほどの難所。マイクロバスで行く私たちは、山道を歩いている人々と比べようもないが、急坂とカーブの連続で、すれ違いも厳しく、歩き遍路の方々の難行が思わた。駐車場から徒歩。参道の中央に、かなり大きな布袋様が、右手に数珠をかけ、嗤いながら待ち受けていた。その笑顔に癒されながら、なおも進む。参道の木々の間からの眺望は、四国山脈の山々が遠くに青く連なり、参道脇には、遅咲きの桜が、色を添えている。山門を潜ると、樹齢数百年の杉の巨木が左右に並び、大きな葉に光が遮られて薄暗い。木々の爽やかな匂いが身体を包む。本堂、太子堂で納経。

縁起によると、飛鳥時代に役行者が山をひらいた。この山には神通力を持った大蛇が棲んでおり、しばしば火を吐いて農作物や村人たちを襲っていた。弘法大師がこの地に巡られた時、阿弥陀様があらわれた夢を見た。目を覚ますと目の前が火の海になっている。そこで川で身を清めて山に登ると、大蛇は全山を火の海にして妨害した。大師は真言を唱えながら進んだのだが、大蛇は山頂近くの岩窟で姿をあらわした。大師は一心に祈願し、虚空蔵菩薩の御加護のもと岩窟に封じ込めたという。
        

第20番札所鶴林寺は、標高550メートルの、鷲が尾の山頂にあり、遠く紀州や淡路の山峰まで望まれる。歩き遍路で登る参道は焼山寺以上の難所といわれる。ここでも車道がありバスは近くまで通っている。遍路同士で仲良くなった一行は、先達の話を聞きながら、参道を気持ちよく進む。境内には、樹齢千年を超す杉の木や、檜や松の大木が、参道を覆う。本堂の両脇に、2羽の鶴の像が見える。右手の鶴は、顔をあげ、羽を広げ、今にも飛び立つような様子。左手の鶴は、顔を下げ、羽は畳んでいる。本堂、太子堂で納経。ここでは白衣(おいずる)に鶴の形をした朱印を押してくれる。少しにぎやかになった白衣の背中に袖を通して、良い記念が出来たと喜ぶ。

寺伝によると延暦17年、桓武天皇の勅願により、弘法大師によって開創された。大師がこの山で修行していたとき、雌雄2羽の白鶴がかわるがわる翼をひろげて老杉のこずえに舞い降り、小さな黄金のお地蔵さんを守護していたという。
        

第21番札所太龍寺は四国山脈の東南端、標高618メートルの太龍寺山の山頂近くにある。ここも、難所の一つで、歩き遍路には厳しい遍路道である。3キロの急峻な参道を上がるのは容易ではない。しかし平成4年にロープウエイが出来、私たちは楽に山頂まで上がることが出来た。ロープウェイから、「舎心嶽」が見え、御大師様の像が見えるはずだったが、行きは見過ごしてしまった。(帰りにお大師様の像が見えた)――福聚講の講元・高原師は、この舎心嶽の岩の上で、虚空蔵求聞持法(真言を百万遍となえる最も難行とされる修法)を修められた――

 山頂では、 境内の広さに驚き、厳しい山中に、これだけの伽藍をたてた人々の労苦と信仰の深さに感動。樹齢数百年の大杉の並木が、静かに、来る人を見守っている。六角堂、護摩堂、庫裏を過ぎ、石段を登ると、正面一段高いところに、多宝堂、右側に大師堂、左側に、蜂須賀氏が寄進した本堂などがある。本堂、太子堂で納経。太龍寺は、「西の高野山」と言われる。期待以上の、風格のあるお寺であり、お大師様が修行された一端をかいま見られた。ここまで巡礼にこられたことを感謝。

  ※弘法大師が19歳のころ、この深奥の境内から南西の「舎心嶽」という岩上で、虚空蔵求聞持法を修行されたという伝えは、大師が24歳のときの著作『三教指帰』に記されている。  ( つづく )  
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